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国鉄EF71形電気機関車 - Wikipedia

国鉄EF71形電気機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

国鉄EF71形電気機関車
長×幅×高
(mm)
18500×2800×4164
運転整備重量 100.8t
電気方式 交流20kV(単相 50Hz)
軸配置 B-B-B
台車形式 DT129M(両端)DT137(中間)
主電動機 直流直巻電動機(MT52形)×6基
定格出力 2700kW(1時間)
定格引張力 21100kg(1時間)
制御方式 サイリスタ連続位相制御

サイリスタインバータ 永久直列制御

ブレーキ方式 空気式EL14AS

抑速回生ブレーキ

最高運転速度 100km/h
備考  

EF71形電気機関車(イーエフ71かたでんききかんしゃ)は、旧・日本国有鉄道(国鉄)が奥羽本線の勾配区間用として1968年から製作した交流電気機関車である。

目次

[編集] 開発の経緯

奥羽本線板谷峠は平均勾配が約33あり、信越本線碓氷峠山陽本線瀬野-八本松(瀬野八越え)と並ぶ、国鉄主要幹線きっての難所であった。

同区間は太平洋戦争後早期の1949年に直流電化され、勾配線対応のEF16形EF64形を使用してきた。1959年に東北本線黒磯駅以北が交流電化され、福島駅で分岐する奥羽本線も交流電化し、板谷峠の電化区間も交流方式に転換する方針が決定したことから、板谷峠対応型の勾配区間用交流電気機関車が計画され、サイリスタ位相制御・交流回生ブレーキを搭載した試作機 ED94形(後のED78形)が試験に供された。

同区間は貨物列車も多数往来しており、牽引定数を極力確保する必要があった。連結器の強度と勾配条件から列車重量は最大 650t を想定したが、この条件下ではED78形のみの重連運転では出力の不足が懸念された。出力確保のため、EF70形に続く動軸6軸の「F形」として開発された形式がEF71形である。

[編集] 構造

車体はED75形やED76形(500番台)などと同一の意匠で、重連運転を恒常的に行うため正面に貫通路を設ける。全長は 18500mm に達し、側面の通風口は片側7組を備える。

主電動機は国鉄新性能電気機関車の標準形式である直流直巻電動機 MT52形を6基搭載する。交流専用のため端子電圧が上げられ、1基あたり定格出力は 450kW(1時間定格)である。機関車の定格出力は 2700kW (1時間定格)とされ、これは国鉄の交流電気機関車の最大値である。

制御方式はED78形と共通のサイリスタ位相制御であるが、動軸を6軸としたことから回路構成を一部変更し、主変圧器の2次側を6分割として6組のサイリスタブリッジを配置する構成とされた。主電動機の接続は2個直列3並列の固定接続である。列車暖房用電源は主変圧器の3次巻線から供給される。

台車は前後のものはED78形とほぼ同一のDT129形で、中間台車は車体と台車側受の間にコロを挿入して曲線区間での横動を許容したDT137形である。

[編集] 形態区分

1次形
1968年 - 1969年に13両 (1 - 13) が東芝三菱重工業+三菱電機で製作された。
2次形
1973年に2両 (14・15) が東芝で製作された。正面下部の前面通風孔を廃止した。

[編集] 運用

いわゆる「ヨンサントオ」ダイヤ改正(1968年10月1日)の板谷峠交流電化開業から使用を開始した。全車を福島機関区に配置し、普通列車貨物列車寝台特急あけぼの」の牽引など広汎に使用された。専らED78形牽引列車の補助機関車としての運用を想定されてはいたが、現実の運用では本機での単機牽引も行われ、厳密な区別はされていない。

純粋な補助機関車での運用として、キハ80系気動車を使用していた特急「つばさ」に使用した時期がある。同列車での補機運用は1970年に大出力機関搭載のキハ181系気動車を使用開始したことで一度解消されたが、連続勾配下での過負荷運用による機関過熱などが多発したため、負荷軽減のため再度本形式を補機として使用することとなった。1975年3月に奥羽本線の全線電化が完成し、「つばさ」が485系電車での運用を開始したことで当該運用は解消している。

JR移行ではJR東日本に承継され、引き続きED78形とともに使用されたが、客車夜行列車の廃止や貨物列車削減などで運用は狭まっており、その末期まで残った板谷峠越えの普通列車運用では、わずか2、3両ほどの短編成の客車列車を大出力の本形式が牽引するという不経済な事態も見られた。

1992年に山形新幹線開業のため福島 - 山形間が標準軌化されたことで同区間での用途を喪失した。一部は東北本線で臨時の運用に使用されたこともあったが、一般の勾配では過大とも言える大出力で、特殊設計であるがゆえに他線区への転用・活用が難しく、1993年までに全車が除籍され形式消滅した。

保存車両

[編集] 脚注

  1. ^ 廃車直後より利府駅に留置され、2002年のFIFAワールドカップの際に再整備され移設した。

[編集] 関連項目

 


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