ザクII
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ザクII(ザクツー、ZAKU II)は、アニメ『機動戦士ガンダム』をはじめとするガンダムシリーズのうち、宇宙世紀を舞台とする作品に登場する、架空の兵器。ジオン公国軍の量産型モビルスーツ(MS)である(型式番号:MS-06)。(注:「II」は、ローマ数字の2である)。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] 機体解説
初の正式量産型MS、ザクI (型式番号:MS-05、通称旧ザク)の性能をさらに向上させたのが本機である。一年戦争の序盤戦において大艦巨砲主義を引きずる連邦軍に壊滅的な打撃を与え、ジオン軍の快進撃の立役者となった。宇宙世紀の戦争における巨大人型兵器 モビルスーツ(MS)の優位性を決定づけた機体である。
主に動力伝達系統の改良や稼働時間の向上がなされ、この機体をもってジオン公国軍は地球連邦軍に戦争を挑む事を決意した。この機体は汎用性が高く、オプション武器・装備も多彩で、様々な作戦環境に合わせてカスタマイズされた機体のバリエーションも多く作られている。
主要武装は専用の120mmマシンガン(ザク・マシンガン)もしくは280mmバズーカ(ザク・バズーカ)を装備し、また対艦船用近接兵器のヒートホークも装備する。さらに左肩に棘(スパイク)付きのショルダーアーマーを装備しており、格闘時にタックルなどに利用することができる。なお、標準機ではスパイクは3本。稀に右肩の防御シールドにもスパイクを装着した機体も見ることができる。
一年戦争中の生産機数は、ザクI を含めて約8,000機といわれ[1]、これは両軍を通して最高である。一説に約3,000機とするものもあるが、これはF型のシリーズ全体の生産数と同じであるため、誤認であると考えられる。ただし、ジオン公国軍が生産したMSの総数を約4,000機とする資料もある。
その優れた設計と絶大な戦果によって後のMSに多大な影響を与える事になる。特に機動性を重視した設計や、固定兵装を持たず様々なオプション装備で汎用性を確保する等のコンセプトは後のMSのスタンダードとして定着してゆく事となる。また、人型の兵器による白兵戦が宇宙世紀の戦争形態となる事を決定付けた機種でもある。
戦争序盤は連邦軍を圧倒したザクIIだったが、後に連邦軍がガンダムとその廉価版であるジムを開発すると旧式化が否めなくなり、戦争終盤では連邦のMSに圧倒されるようになってしまった。
[編集] 武装
[編集] ザク・マシンガン
主兵装として120mmマシンガンを携行する。主にザクが使用していたことから通称「ザク・マシンガン」と呼ばれる。弾薬は薬室上部の円盤型弾倉(ドラムマガジン)から給弾される。ザクI登場時に開発されていた105mmザク・マシンガン(型式番号:ZMP-47D 内部のわずかな改造により120mm弾を使用した物もある)や120mmザク・マシンガン(型式番号:ZMP-50B)の発展型でありドラムマガジンは水平型に改められている。ひとくくりにザク・マシンガンと総称されるが、仕様の異なる物がいくつか存在しており、細部の仕様もそれぞれ異なり、生産会社や工場によるバリエーションもあるとされる。開発時には敵機として宇宙艦艇や宇宙戦闘機を想定していたため、破壊力を重視した榴弾や徹甲榴弾を使用する。また、宇宙での運用が前提となっていたため、射撃時の反動を軽減するため砲弾の初速は比較的抑えられている。そのため地球連邦軍がMSを実戦投入すると貫通力の低さが問題視された。
- M-120A1
- 最も広く使用されたタイプ。『機動戦士ガンダム』のTV版、劇場版で使用されたタイプはすべてこれである。開発を請け負ったジオニック社の社内開発コード「ZMC38III」の番号も広く知られており、「ZMC38III M-120A1」と併記することが多い。単発(ライフルモード)と連射を切り替えることが出来る。単発は『機動戦士ガンダム』TV版第1話および劇場版『I』にて、サイド7内においてジーン軍曹が使用、連邦軍試作兵器の多くを破壊しているが、ガンダムの装甲には全く歯が立たなかった。レシーバーは巨大なネジで留められており、ザク自身の手で分解や応急修理が可能になっている。装弾数は332発。後にザク・デザートタイプの「M120AS」に発展した。
- ZMP-50D
- 型式番号から分かるとおり、ザクIのザク・マシンガンの直系タイプ。ドラムマガジンが右にオフセットされている。装弾数は100発。ZMPとはザク・マシン・ピストルの略。
- MMP-78
- 連邦軍のV計画により、対MS戦の必要性に迫られ貫通力が強化された新型マシンガン。前期型と後期型があり、後期型ではグリップの取り付け位置とグレネードランチャー、オプションで対空弾と下から装填される専用箱型マガジンが追加されている点が異なる。MMPとはモビルスーツ・マシンピストルの略である。『0083』で登場する後期型は、M16系のXM177をプロップガン風にアレンジしたような外見になっているのが特徴。
- MMP-80
- MMP-78ザク・マシンガンに代わる新型。大きく前期型と後期型に分かれる。以前より小口径(90mm)になっており、速射性と命中率がアップしている。給弾方式が下部からの箱型弾倉に変更され、小型化により持ち運びが容易になった。標準装備のシングルカラム32連装ボックスマガジンの他にトリプルカラム100連装バナナマガジンも用意され、大幅な火力増強が図られていた。ただし、前期型には120mmのものもあったようである。『0083』でF2型やゲルググマリーネが装備する後期型は、現実世界の銃であるMP40サブマシンガンを映画プロップガン風に改造したような外見になった。
[編集] その他の武器
- 280mmバズーカ
- 通称「ザク・バズーカ」と呼ばれるザクI用バズーカの発展型。元々対艦用に開発されたバズーカであり、核弾頭の使用が前提であった。南極条約の締結後は核兵器の使用ができなくなり威力が落ちたため、さまざまな改良型が開発されることとなり、ドムのジャイアントバズに発展した。口径が240mmの物も存在する。複数のバリエーションがあったものと考えられる。H&L社製。(型式番号:H&L-SB25K)
- ヒートホーク
- ザクI用ヒートホーク(型式番号:HEAT HAWK Type3)の発展型。斧の刃部分から高温を発し敵の装甲を焼き切る格闘兵器。当初は対艦船用近接兵器であったが、後に地球連邦軍がMSを開発すると、対MS用にも転用された。グフやザクIでも装備している姿が見られる。ルナチタニウム製のガンダムのシールドを叩き割るなど、まともに食らえばガンダムといえど無事では済まない威力を持つ。両刃にした「ヒートトマホーク」等、バリエーションも非常に多く、生産形態は明確ではない。一般的なザクII用ヒートホークの型式番号は、HEAT HAWK Type5。後のグリプス戦役で地球連邦軍のハイザックが改良型ヒートホークを使用している事から、ビーム兵器主体の時代になってもある程度の有効性は認められていたようである(ハイザックはビーム兵器を2つ同時に使用できない)。もっとも、斬撃ではなく溶断を目的とするこの兵器ならば鋭利な刃は必ずしも必要ではなく、むしろ細身のアイロンのような形状が理想的とも思われ、その説に沿った設計図も描かれてはいるのだが、その後これに準ずる設定改変は行なわれてはいない。(ただし、溶断というよりも装甲を叩き折る、引き裂く、といった表現の方が正しいかも知れない)。
- クラッカー
- MS用の投擲兵器。手榴弾としてMSのマニピュレーターによって、目標に直接投げつける。クラッカーの本体には計6つの突起が付いており、それが各々の方向に爆散することで広範囲に威力を発揮する。
- シュツルムファウスト
- 使い捨ての大型弾頭ロケットランチャー。名前を直訳すると「突撃鉄拳」。F2型とFZ型、また『機動戦士ガンダム MS IGLOO』ではシャア専用機が使用したが、それぞれ形状が異なる。F2型やシャア専用機が使用したタイプは第二次世界大戦でドイツ軍歩兵の使用した携帯無反動砲パンツァーファウストを大型化したような形状である。そのパンツァーファウストの発展型であるパンツァーファウスト3は単なる無反動砲ではなく弾頭がロケットブースター付きとなっており、シュツルム・ファウストでも同様と思われ、映像でもロケットの燃焼が確認できる。しかし無誘導兵器であるため、MSのような機動性の高い標的に命中させることは難しい。特にザク用という訳ではなく、ドムなど他のMSでも使用できる。なお、後世のギラ・ドーガも同名の武装を装備しており、こちらは実際に旧ドイツ陸軍のパンツァーファウストをMSサイズにスケールアップしたもの、と設定されている[2]。
- 脚部3連装ミサイル・ポッド
- 陸戦型ザク用に開発されたミサイル・ポッド。3発のミサイルを内蔵した3連装式で、脚部のウェポンラッチに装着され手持ち武器を持ったまま使用が出来た為、副武装としてザクシリーズだけではなくグフやイフリートなど幅広く使用された。
- ZIM/M.T-K175C無反動砲(マゼラ・トップ砲)
- ジオン軍の主力戦車であるマゼラ・アタックの175mm砲を取り外し、MS用の手持ち武器として改造した火砲。本来は現地改修の非公式兵器(機動戦士ガンダム TVシリーズ 第21話登場)であったが、マシンガンとバズーカの中間的用途の遠距離射撃用兵器として、意外に多くの地上部隊で使用されていた(機動戦士ガンダム 第08MS小隊 第8話などに登場)。
[編集] 劇中での活躍
アニメ『機動戦士ガンダム』では、第1話からほぼ全編にわたって登場している。宇宙世紀史上初めて実戦でMS同士が相対したのが、ガンダムとザク(ザクII)である。しかし、劇中中盤まではホワイトベース隊に、終盤では連邦軍MS隊によって次々に撃破されていくシーンが哀愁を漂わせている。
アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』では、ネオ・ジオンが自軍の戦力として使用している。その時点ではかなりのロートル機であり、敵機と遭遇する確率の低い哨戒などの任務に使用されていた。39話で運悪くガンダム・チームと交戦することを余儀なくされた部隊は新鋭機のΖΖガンダムの前にことごとく全滅させられてしまう。基本性能に変化はないが、コクピットはリニアシートに換装されている。また、宇宙空間に放棄されて浮遊していたザクIIがアーガマに回収され、その当時破損していたΖガンダムの頭部の代わりに、緊急的に先に回収したザクIIの頭部を取り付けて出撃した場面もある。この時の機体は便宜上「Ζザク」と呼ばれる。
アニメ『∀ガンダム』では、ルジャーナ・ミリシャによってザクIとザクIIに容姿が大変似ている機械人形が多数発掘され、「ボルジャーノン」と呼ばれ活躍している。一部の登場人物からは「ザク」とも呼ばれた。
[編集] 設定の変遷
MS-06F ザクII | |
所属 | ジオン公国軍 |
建造 | ZIONIC社[3] |
頭頂高 | 17.5m |
重量 | 自重36.4t 総重量67.1t |
出力 | 12300kw |
地上走行速度 | 160km/h |
装甲材質 | 発泡金属 カーボンセラミック ボロン複合材料・等 |
武装 | 120mmライフル 280mmバズーカ ヒートホーク |
主な搭乗者 | ジオン公国軍一般兵士 |
モビルスーツ ザク | |
所属 | ジオン公国軍 |
建造 | ジオン公国 |
頭頂高 | 17.5m |
重量 | 74.5t |
ジェネレータ出力 | 951kw |
機関出力 | 55000Hp |
地上走行速度 | 85km/h |
装甲材質 | 超硬スチール合金 |
武装 | 専用マシンガン バズーカ ヒートホーク |
主な搭乗者 | ジオン公国軍一般兵士 |
最初のTVシリーズに登場するMSの公式設定は非常に少なく、特にジオン側のモビルスーツで当初から具体的なカタログデータが設定されていたのはザクだけであった(右表参照)。従っていわゆる「リアルな設定」の大半は、後に書かれたムックの記事や模型化・商品化の際に設定された、アニメのスタッフが直接関わっていない非公式のものである。ただし、「作品中で映像化された段階で公式」とするサンライズのルールにより、後に公式となった設定もある。(ムックのタイトルに『公式~』とあっても、実際は外部の編集スタジオにより公式・非公式設定が混同されて書かれたものもあり、注意が必要である。)例えば「ザクII」という名称は『ガンダムセンチュリー』(1981年発行)が初出であり、CMなどに使われたことはあるが、映像本編において使われたことは現在のところ一度も無い「非公式設定」となる。もっとも、旧ザクの呼び方の一つ「ザクI」は公式となったため、その流れで「ザクII」も公式名称と拡大解釈することもできる。またジオニック社がザクを製作したという設定も『ガンダムセンチュリー』が初出であるが、こちらは後に映像作品で使用され「公式設定」となっている。
ザク・マシンガンの水平な円盤型弾倉はデグチャレフDTやアメリカン180といった現実世界の銃を思わせるが、デザインに特定のモチーフは無い。しかし雑誌企画『ガンダム・センチネル0079』でデザインの大幅なリファインが行われ、現実世界の銃であるXM-177サブマシンガンをモチーフにしたような形状となった。また、プラモデル「1/100 マスターグレード 量産型ザク」商品化の際にもリファインが行われたが、この時は微妙な形状やパーツのレイアウトの変更に止まっている。後にそれぞれMMP-78、ZMP-50、そして『機動戦士ガンダム』第1話からほぼ全編に渡って登場するオリジナルのものにM-120A1の型式番号が与えられ、全て「ザクマシンガン」と呼ばれるが別形式であると設定された。これらの詳細は「U.C. ARMS GALLERY」商品化の際に追加されたものである。
なお今のところ、ザクマシンガンの公式設定はTVアニメ放映時からあった口径が120mmであること、砲弾の装薬が薬莢式であること、フルオート射撃が可能なこと、また『0083』登場のMMP-78でグレネードランチャーや箱型弾倉の使用が可能になったことくらいであり、後は全て後付の非公式設定である。
また、『機動戦士ガンダム』劇中で地上のみに登場したクラッカー及び3連装ミサイルポッドは『MSV』において陸戦型ザクIIの武装であると設定されている。
装甲材質は『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の1/144HGキット(1998年発売)の説明書では超高張力鋼となっている。この表記は1985年の月刊ニュータイプ付録にあったモビルスーツカタログが初出で、それまで「馬力」と表現されていた一年戦争時のMSの「出力」に関する数値設定も「kw」という単位で再創作された。これらはシリーズ第2作『機動戦士Zガンダム』が長いブランクをおいて制作されたために、第1作の諸情報が失伝してしまっていたことによる(「ルナチタニウム」が「ガンダリウム合金」の前身、という後付け説明も同様の理由である)。
その後2000年代以降、TVシリーズ以来のアニメの設定やHGUCキット(2003年発売)では超硬スチール合金という名称に再統一された。
超高張力鋼は現実に存在するもので、自衛隊の新型潜水艦に使われているNS110等がそれにあたるが、引っ張り強度や水圧に対する強度は高いものの、耐弾性の高い硬化処理が成された防弾鋼というわけではない。
[編集] 備考
ザクのメカニックデザインは大河原邦男、設定書のフィニッシュワークは安彦良和による。当時は敵側のメカが玩具化されることはなかったため、スポンサーの制約を受けず、自由にデザインすることができた(ただし、頭部のモノアイは監督からの指示による)。大河原は当時のほかのアニメと同じく、1話で消えるやられメカだと思ってデザインしたという。名称は「雑魚」と、軍隊の「ザクッザクッ」といういわゆる軍靴の音を組み合わせたもの。
[編集] バリエーション
- MS-P06 試作型ザクII
- MS-06A 先行量産型ザクII
- MS-06C 初期量産型ザクII
- MS-06F 量産型ザクII(中間生産型)
- MS-06F-2 後期量産型ザクII
- MS-06FZ 最終生産型ザクII(ザクII改)
※これ以外のバリエーションについては、ザクシリーズのバリエーションを参照。
[編集] 先行量産型ザクII
先行量産型ザクII(せんこうりょうさんがたザクツー)は、プラモデルを中心とする企画『モビルスーツバリエーション』に設定上存在する、ジオン公国軍の量産型MSである。第一次量産型とも呼ばれるほか、型式番号からA型とも呼ばれる。(型式番号:MS-06A)
[編集] 機体解説
ザクIの問題点を改修し、最初に完成したザクIIである。元々はザクIの改良型 (MS-05C) として設計されていたが、大幅な改良が行われたため新たに「MS-06」の型式番号が与えられることになり、名称も「ザクII」となった。宇宙世紀0077年8月に量産が開始されたが、キシリア・ザビの提言により近接戦用武装が取り入れられることとなり、宇宙世紀0077年9月からはC型ザクIIに移行した。ただし初期量産型の生産が一定の軌道に乗るまでの半年間は同時に生産されていたという。
初期量産型との大きな違いは、右肩のシールドと左肩のスパイクアーマーがなく、ザクIと同じ球形のアーマーを両肩に装備していたことである。また、コクピットの開閉方式も異なっていたようである(旧型は中央正面にハッチがあり、パイロットがコンソールを乗り越えて乗り降りするため、モニターが汚れやすかった)。機体の塗装パターンは当初ザクIのものをそのまま使用していたが、後にザクII独自のものに変更された。
[編集] 備考
初出は『ガンダムセンチュリー』。その後『MSV』で詳しく設定され、SDガンダムのガチャポンシリーズにおいて初めて画稿が起こされた。
[編集] 初期量産型ザクII
初期量産型ザクII(しょきりょうさんがたザクツー)は、アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する、ジオン公国軍の量産型MSである。先行量産型、初期生産型、初期型、前期型、核武装型とも呼ばれるほか、型式番号からC型とも呼ばれる。(型式番号:MS-06C)
[編集] 機体解説
先行量産型(A型)に次いで宇宙世紀0077年9月に試作機が完成。直ちに量産が開始されたザクIIであり、ジオン公国軍の一年戦争開始時点における主力であった。いずれは連邦軍もMSを配備する可能性を想定し、A型に近接戦能力がないことを不安に思ったキシリア・ザビの提言により、右肩のシールドと左肩のスパイクアーマーが装備された。さらに、携行武装としてヒートホークが追加されることとなった。
核攻撃を前提とした機体で、コクピット周辺の装甲裏側に放射線遮蔽液が注入され、全備重量は90トンを越えていたが、後に南極条約によって核兵器の使用が禁止されるとデッドウエイトとなると判断され、耐核装備を外した量産型(F型)に移行していった。
頭部に隊長機を表すブレードアンテナが装備されている機体もあるが、通信機能が付加されている場合と、単なる飾りである場合がある。
[編集] パーソナルカスタム機
- シャア・アズナブル(中尉)専用機
- 一週間戦争で搭乗した機体。塗装パターンは赤(淡いピンクとワインレッド)。
- ジョニー・ライデン(曹長;当時)専用機
- 一週間戦争で搭乗した機体。塗装パターンは量産カラーをベースに、右肩シールド・左肩スパイクアーマー・コクピットハッチ・背部ランドセルのみ赤(クリムゾンレッド)。本当は全身を真っ赤にしたかったらしいが、ペンキの量が足りなかった。なお頭部ブレードアンテナは無い。
[編集] 劇中での活躍
一年戦争開始時にはまだF型はほとんど前線に出ていないという設定であるため、アニメ『機動戦士ガンダム』冒頭のコロニー落としの場面に登場するザクはC型ということになる。
ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズにはシャア専用機が登場。ブレードアンテナはまだない。ただしこれはゲームオリジナルアレンジという扱いであり、後に制作された映像作品『機動戦士ガンダム MS IGLOO』に登場した際にはブレードアンテナが付いていた(サンライズの公式設定では、ブレードアンテナの無いシャア・アズナブル専用機は存在しないとされている)。
漫画『MS戦記 機動戦士ガンダム0079外伝』にはフレデリック・ブラウン搭乗機が登場。ただし、劇中ではF型と呼ばれている。左肩のスパイクアーマーが黄色で塗装されている。SDガンダムのガチャポンのシールに描かれているのはこの機体である。
[編集] 備考
設定の初出は『ガンダムセンチュリー』。その後『モビルスーツバリエーション』で詳しく設定された。
[編集] 量産型ザクII
量産型ザクII(りょうさんがたザクツー)は、アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する、ジオン公国軍の量産型MSである。前期型、中期型とも呼ばれるほか、型式番号からF型とも呼ばれる。単純にザク、あるいはザクIIと言った場合は本機の事を指すことが多い。(型式番号:MS-06F)
[編集] 機体解説
量産型ザクII(F型) | |
型式番号 | MS-06F |
所属 | ジオン公国軍 |
建造 | ジオニック社 |
頭頂高 | 17.5m |
本体重量 | 58.1t |
全備重量 | 73.3t |
ジェネレーター出力 | 951kW |
スラスター総推力 | 43,000kg |
センサー有効半径 | 3,200m |
装甲材質 | 超硬スチール合金 |
武装 | 120mmザク・マシンガン 280mmザク・バズーカ ヒートホーク ミサイルランチャー クラッカー |
主な搭乗者 | ジオン公国軍一般兵士 |
初期量産型(C型)は耐核装備が施されているため重量が重く、機動性に難があった。そのため耐核装備を外したF型の研究・開発が行われており、一年戦争以前から一定数が生産されていた。一年戦争初期は主に後方支援として配備されていたが、南極条約によって核兵器が使用禁止となったため本機が主力となり、一年戦争中はジオン、地球連邦両軍を通じて最も多く量産された。その完成度の高さから、後に誕生する全てのMSの基本となっている。
生産時期や工場の違いによりさまざまなマイナーバージョンがあり、また、さまざまなパーソナルカスタム機も存在する。さらに、多くのバリエーションのベースとしても使用されており、サブタイプは枚挙にいとまがない。
初期量産型同様に、頭部に隊長機を表すブレードアンテナが装備されている機体もあるが、通信機能が付加されている場合と、単なる飾りである場合がある。
[編集] パーソナルカスタム機
- ドズル・ザビ専用機
- 『モビルスーツバリエーション』 (MSV) に登場。もっとも有名なF型のカスタムタイプで、身長2mを超す巨漢であるドズル・ザビ中将が乗れるようにコクピット容積を大型化し、通常の物よりも大型のヒートホークを装備している。また機体の縁に金色のエングレービングが施されており、スパイクは両肩に4本ずつ、両手の甲に3本ずつ装着されている。ドズルは本機に乗って前線に赴き、兵士たちを鼓舞した。実戦に遭遇したとする記述もある。(むしろ戦場視察を口実に積極的に実戦参加していたとする説もあり、その際はマシンガン等の火器は一切持たず上記の専用ヒートホークのみを携えての肉弾戦を好んだとされる。)
『モビルスーツバリエーション』ではF型とされているが、EBシリーズなどではS型とする記述もある。また、ヒートホークには明確な設定画がないため、解釈はその時々によって異なる。ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズのムービーによれば、ルウム戦役の際にすでに実戦配備されている。 - アナベル・ガトー専用機
- サンライズ発行のカレンダー『ANAHEIM ELECTRONICS GUNDAM HISTORY 2002 CALENDAR』に登場。前腕部の形状が通常のものと異なるが、工場の違いによるバリエーションとされている。塗装パターンはグリーンとブルー。
- ジョニー・ライデン専用機
- ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズに登場。塗装パターンは赤(クリムゾンレッド)。
- 長谷川裕一『機動戦士ガンダムMSV戦記 ジョニー・ライデン』シリーズに登場。塗装パターンは赤(クリムゾンレッド)と黒。後のR-2型と同様のカラーリングである。
- シン・マツナガ専用機
- ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズに登場。肩のスパイクアーマーと頭部に白い装飾が施されている。
[編集] マイナーバージョン
- 中間生産型
- 『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』のプラモデル「1/144 MS-06FZ ザクII改」に登場。F型とFZ型の中間にあたる[要出典]機体。F2型とは別の機体である。
[編集] 備考
設定の初出は『ガンダムセンチュリー』。その後『MSV』で詳しく設定された。元々は南極条約の締結後に開発されたという設定であったが、バリエーションが増えるに従い徐々に前倒しされていった。アニメ『機動戦士ガンダム』に登場するザクのほとんどは本機か陸戦型ザクIIということになる。
『MSV』ではF型は後期生産型と記述されているが、これはA型、C型に対して後期に生産されたタイプという意味であり、当時、後期量産型ザクII (MS-06F-2) 及び最終生産型ザクII (MS-06FZ) の設定が存在しなかったためこの様な名称となっている。
[編集] ザクII FS型
ザクII FS型(ザクツー FS型)は、プラモデルを中心とする企画『モビルスーツバリエーション』に登場する、ジオン公国軍の量産型MSである。指揮官用カスタムタイプ・ザクIIカスタムなどとも呼ばれる。(型式番号:MS-06FS)
[編集] 機体解説
ガルマ・ザビ専用機としてよく知られる機体である。従来のF型と大きく異なる点は頭部に4門のバルカン砲を装備したことで、S型が開発されるまでは主に中隊長に配備されていた(S型を扱う技量の無い指揮官が代用で用いたとの説もある)。ブレードアンテナは標準装備であり、通信機能も強化されている。また、F型ではあるが陸上用ザクII並の地上適性能力もある。
なお、ガルマ専用機はパーソナルカラーのブラウンで塗装されていた。
[編集] 備考
元は大河原邦男による劇場版のポスターなどのイラストから。『モビルスーツバリエーション』ではバリエーションとして扱われているが、元々のイラストではシャア専用機にもバルカン砲が描かれており、単なるイラスト上の演出でしかなかった。 当時は、「ザクII」の呼称はこのタイプを指し、「初期量産型ザクII」および「量産型ザクII」は、単に「ザク」と呼ばれていた。ハイグレード・ユニバーサルセンチュリーシリーズでプラモデル化された際に、設定もいくつか追加されている。
[編集] 後期量産型ザクII
後期量産型ザクII(こうきりょうさんがたザクツー)は、OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場する、ジオン公国軍の量産型MSである。後期型、後期生産型とも呼ばれるほか、型式番号からF-2型(F2型)とも呼ばれる。(型式番号:MS-06F-2 (MS-06F2) )
[編集] 機体解説
後期量産型ザクII | |
型式番号 | MS-06F-2 |
所属 | ジオン公国軍 |
建造 | ジオニック社 |
頭頂高 | 17.5m |
本体重量 | 49.9t |
全備重量 | 70.3t |
ジェネレーター出力 | 986kW |
スラスター総推力 | 20,500kg×2 3,100kg×4 合計53,400kg? |
センサー有効半径 | |
装甲材質 | 超硬スチール合金 |
武装 | 120mmザク・マシンガン MMP80マシンガン ヒートホーク シュツルムファウスト |
主な搭乗者 | ノイエン・ビッター コウ・ウラキ チャック・キース |
統合整備計画の影響を受けたザクIIの後期生産型で、対MS戦を考慮され再設計されている。完全に統合整備計画に則っているわけではないが、細部が改修され、一年戦争終結後も地球連邦軍やジオン公国軍の残党によく用いられた。
[編集] 劇中での活躍
OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』では、一年戦争の勝利によって、ジオン公国軍から地球連邦軍に押収された機体が砂漠専用のベージュに機体色を変更され、仮想敵機として模擬戦に用いられたりしていた。アナベル・ガトーによるトリントン基地奇襲に対し、チャック・キース等がこのザクに搭乗し応戦した。デラーズ・フリートを始めとするジオン公国軍残党でも主力として用いられている。中にはブースター付の機体も存在し、キンバライド基地指令のノイエン・ビッターがアルビオン隊との交戦にて搭乗した。本機の胴体と腕部を利用した、ドラッツェという機体も存在する。
[編集] 備考
メカニックデザインはカトキハジメ。『ガンダム・センチネル0079』に登場するカトキ版ザクIIをアニメ用にリファインしたもの。F型とFZ型の中間になるようデザインされている。
[編集] 最終生産型ザクII (ザクII改)
最終生産型ザクII(さいしゅうせいさんがたザクツー)は、OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場する、ジオン公国軍の量産型MSである。ザクII改(ザクツーかい)、ザク改(ザクかい)、最終型とも呼ばれるほか、型式番号からFZ型とも呼ばれる。(型式番号:MS-06FZ )
[編集] 機体解説
最終生産型ザクII(FZ型) | |
型式番号 | MS-06FZ |
所属 | ジオン公国軍 |
頭頂高 | 17.5m |
本体重量 | 56.2t |
全備重量 | 74.5t |
ジェネレーター出力 | 976kW |
スラスター推進力 | 24,500kg×3 3,000kg×2 |
センサー有効半径 | 3,200m |
装甲材質 | チタン・セラミック複合材 |
武装 | ヒート・ホーク MMP-80マシンガン ハンドグレネード×3 シュツルム・ファウスト |
主な搭乗者 | バーナード・ワイズマン |
統合整備計画の適用により生産された機体で、実戦データを元にして武装を含めて全面的に改修してありカタログスペック上はゲルググ並み、実際の性能はドム並みともジム・コマンド並みともといわれる。特にスラスター総推力はF型の70%増しとなっているが、搭載する推進剤の量は変わらないため、稼働時間は逆に半分に減少している。戦争末期の出現であり生産数が少なく、実戦投入されることもあまりなかった。装備する新型銃90mmマシンガンは120mmに比べ口径は小さいが、対MS戦を考慮し装弾数と集弾率の向上が図られている。これらの改良によりこの最終生産型ザクは、連邦のジムに対し「後れを取ることは無くなった」とされている。また、一定時間ではあるが脚部推力を生かしてドムのようなホバリング走行を行うことができた。
統合整備計画の実施時期には諸説あるため、FZ型の開発時期もはっきりしていない。一般的には一年戦争末期の生産とされているが、試作機は一年戦争中期の時点で完成していたようである。一年戦争初期にはすでに存在していたとする説もあるが、極初期の試作型であるか、F型の中期生産型を誤認したものであろう。
[編集] 武装
- 90mmザク・マシンガン MMP-80
- MMP-78ザク・マシンガンに代わる新型。大きく前期型と後期型に分かれる。以前より小口径になっており、速射性と命中率がアップしている。給弾方式が下部からの箱型弾倉に変更され、小型化により持ち運びが容易になった。ただし、前期型には120mmのものもあったようである。グレネードランチャーの取り付けも可能。『0080』でFZ型が装備する前期型はワルサーMPLに似たゴツい外見だったが、『0083』でF2型やゲルググMが装備する後期型は、現実世界の銃であるMP40サブマシンガンを映画プロップ風に改造したようなコンパクトな外見になった。
- ハンドグレネード
- クラッカーに代わる投擲兵器。腰部右側に3つ取り付けられている。『0080』最終話ではバーニィは機体には装備せず、森林の中にトラップとして設置していた。
[編集] 劇中での活躍
バーナード・ワイズマンが本機に搭乗。OVA第1話では故障によりサイド6のリボーコロニーに不時着し、アルフレッド・イズルハに出会ってしまう。
最終話ではクリスチーナ・マッケンジーの搭乗するガンダムNT-1と戦い、相討ちになった。相討ちとはいえ、映像作品としてはガンダムと名の付くモビルスーツを撃破した唯一のザクである。この際機体に装備していた武装はヒート・ホークのみだったが、森林地帯に煙幕やハンドグレネード、アドバルーンを利用したダミーバルーン等のトラップを設置しガンダムNT-1を撹乱させていた事も大きかった。
劇中では、新兵であるバーニィとアルがコロニー内に不時着したFZ型を、ジム系MSの残骸から調達したジャンクパーツを用いて修理できたことから、統合整備計画の合理性と、地球連邦軍と工業規格が統一されていることが伺える。
[編集] 備考
メカニックデザインは出渕裕。OVAの作品解説に書かれている通り、元々は1980年代風にリメイクされたザクIIという設定であり、初代『機動戦士ガンダム』に登場したザクと同じものという設定であった。しかしプラモデルの商品展開の都合により別の機体という設定となってしまった。だがOVAのスタッフが製作した画集『MS ERA 0001~0080 ガンダム写真集』には開戦当時からこの機体が登場しているため、これをそのまま認めるには一年戦争初期から存在しないとおかしなことになる。後に出渕裕は2000年頃のインタビューで、このデザインはさすがにやりすぎだったと発言したことがある。リメイク意図としては、ザクII→マラサイの間のミッシング・リンク的機体との説がある(小さな頭部でモノアイスリットの支柱がなく、ヘルメットを被ったような機体もあることなどから)。
[編集] 指揮官用ザクII
指揮官用ザクII(しきかんようザクツー、ZAKU II COMMANDER TYPE)は、アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する、ジオン公国軍の指揮官用量産型MSである(型式番号:MS-06S)。
シャア・アズナブル少佐が搭乗した機体が最も有名であり、シャア専用ザクの名で知られシャアザクと略される事も多い。主に中隊長以上の士官が使用したため、中隊長用、士官用などとも呼ばれるほか、型式番号からS型とも呼ばれる。
[編集] 機体解説
指揮官用ザクII(S型) | |
型式番号 | MS-06S |
所属 | ジオン公国軍 |
建造 | ジオニック社 |
頭頂高 | 17.5m |
本体重量 | 56.2t |
全備重量 | 74.5t |
ジェネレーター出力 | 976kW |
スラスター総推力 | 51,600kg |
装甲材質 | 超硬スチール合金 |
武装 | 120mmザク・マシンガン 280mmザク・バズーカ ヒートホーク 他 |
主な搭乗者 | シャア・アズナブル |
F型を元に指揮官やベテランパイロット用に推力を30%増すなど細部が改修された機体である。ただし、燃料タンクの増設は行われていないため、稼働時間は短くなっている。また、指揮官用に通信能力を強化するため、ブレードアンテナが標準で装備されている。
指揮官はパーソナルカラーに塗装することを許されており、その中で特に有名なのが、シャア・アズナブル少佐が搭乗した機体である。シャア専用機は「赤い彗星」の名の通り全身を赤系統(強めのピンクとワインレッド、ただしHGUCではワインレッドではなく茶色等、キットによっては細かな差も見られる)で塗装している。
[編集] 劇中での活躍
シャア・アズナブルは、そのたぐいまれな操縦能力でザクIIの性能を限界まで引き出し、一般機(F型)と指揮官機の違いがあるとはいえ、「通常の3倍のスピード」と恐れられたほどの速さで専用機を乗りこなした。シャアの搭乗した機体の中で、続編も含めて全く損傷しなかったのはこのシャア専用ザクだけである。
テレビ版にはシャア専用機以外の指揮官用ザクIIは登場しないが、劇場版IIIには、ア・バオア・クーの戦いにおいて部下の量産型ザクIIを岩の外に押し出し自分は要塞内に退避したが、その直後に飛び込んできたミサイルによって撃破された指揮官用ザクIIの姿が確認されている。塗装は量産機と同じグリーンである。
他にア・バオア・クー防衛ラインにおいて量産カラーの機体と戦列を組み出撃するシャア専用機に似た赤い機体の姿が見られるが、画像が小さ過ぎてこの機体がS型かは不明である。
漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』ではアニメ版と同じく初期においてガンダムを圧倒する。大きな違いは地上においてヒートホークによる白兵戦を行ったことである。『ガルマ編』の終盤以降しばらく出番が無かったものの、オデッサ作戦前夜にジブラルタルにて、ガンダムと決着を着けるべく再登場し、ジム二個小隊とスレッガー隊を壊滅させた後、ガンダムと交戦するも、シャアがマリガンが乗っているドダイに気を取られた一瞬の隙を突かれ、頭部を切断された後、バランスを崩し(おそろらく操縦不能になったものと思われる)、海に落下し放棄される。
[編集] 備考
メカニックデザインは大河原邦男。劇中ではホワイトベースのオペレーター、オスカが「このスピードで迫れるザクなどありはしませんよ。通常の3倍の速度で接近します」と述べているが、劇中ではそれがパイロットであるシャアの操縦技術によるものであるのか、機体性能の違いによるものであるのかは明らかでなかった。そこで機動性を単純に通常のザクの3倍として解釈すると、本機の機動性はガンダムすら遙かに凌駕することになるが、後に『ガンダムセンチュリー』では「通常の30%増しの推力」と設定とされている。
そのため現在では「通常の3倍の速度」を「小隊巡航速度の3倍」と捉え、「通常の速度」(通常の軍隊では、予め定められた巡航速度で移動する)をレーダーで観測する小隊単位での巡航速度とし、シャアの行う単独での全速突貫が、その機体の特殊性と彼の操縦技術・身体的能力とが相まって、数値的に小隊巡航速度の3倍の値で移動していたとする解釈が一般的である。
劇中でも前述のオスカの発言のみに使用されていた言葉であり、他に「3倍」という機体性能の違いが具体的に描かれたことはない。またオスカの発言の後、(シャアが初期量産型ザクIIで参戦していた)ルウム戦役に従軍した経験があるパオロ・カシアスは「(通常の3倍で迫るザクなら)シャアだ」と警告していることも、機体の性能によるものだけではないとする解釈の裏付けとなっている。一方で「通常の3倍の速度を出せる性能を持っている」と解説した書籍・ゲーム・玩具も存在し、後付の設定ゆえか統一はされていない。
[編集] ザク(小説版)
原作者富野由悠季執筆の小説『機動戦士ガンダムI』『機動戦士ガンダムII』『機動戦士ガンダムIII』に登場する「ザク」は、外見は基本的にアニメその他のF型を踏襲するが、以下のような違いがある。
- 頭頂高が16mである(これはガンダムも同様)。
- マニピュレーターの人差し指先端にレーザートーチ(バーナー)が装備され、建材や敵機の薄い装甲(ガンダムの顔面など)等を焼き切ることができる。
- 制式塗装がグリーン系ではなく、白褐色である。
- 有重力下でバックパックのスラスターを使用してジャンプした場合、その最高高度は800mほどと設定されている。
[編集] ザク(Ver. ORIGIN)
漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場。大河原邦男が新規にデザインを書き起こしている。
[編集] 機体解説
開発経緯などはTV版と同じだが、TV版には無かった固定武装が装備されている。左腕に2連装マシンガンが1基、胸部にバルカン砲を1基(S型は左腕のマシンガンが無く、胸部のバルカン砲は2基)装備し、頭部左側にレーザートーチが装備されている。最大の変更点はマシンガンがドラムマガジンではなくバックパックからのベルト給弾式になっており、名称も120mmマシンガンからハイパーライフルへと変更されている。破壊力もTV版より強化されており、サイド7の宙域でガンダムと交戦した時は一連射でガンダムの装甲をボロボロにしてしまった。バズーカの給弾も上部からカートリッジを装着するようになっており、装弾数は3発となっている。
劇中での活躍もTV版とほぼ同じだが、サイド7には3機ではなく6機が潜入し、スレンダー機を除く5機がガンダム01号機と02号機に撃破された。シャア専用機はコクピットハッチのデザインがアニメ版と同様の形状に戻され、以後登場する量産型も同様に改められた。前日談が描かれたコミックス第12巻では、ザクI用装備としてアニメ版同様のドラムマガジン式のマシンガンが登場し、以後ザクIIでもドラムマガジン式のマシンガンを装備した機体が登場している。ルウム戦役で黒い三連星が乗り込んだ機体はR型を思わせるデザインだが、劇中ではバーニア強化型としか解説されておらず、形式番号等は明確になっていない。ガイア機は両肩にシールドを装備し、バズーカの予備弾倉がマウントされていた。オルテガ機とマッシュ機は通常機と同じだが、オルテガ機はスナイパーライフルを、マッシュ機は両手持ちの大型ヒートホークをそれぞれ装備し、レビル将軍が座乗するアナンケを撃沈した。
[編集] 参考文献
- みのり書房「月刊OUT」別冊『宇宙翔ける戦士達 ガンダムセンチュリー』(1981年発行。2000年、樹想社より再販)ISBN 4-87777-028-3
- バンダイ「模型情報」別冊『モビルスーツバリエーションハンドブック』第1集(1983年発行)
- 講談社 ポケット百科シリーズ32『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション 1 ザク編』(1984年発行)ISBN 4-06-107782-1
- バンダイ「模型情報」別冊『ヒストリー・オブ・モビルスーツ』(1984年発行)
- ホビージャパン『ガンダムウェポンズ MS-06R ザクII編』(1995年発行)
- 講談社『機動戦士ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』(2001年発行)ISBN 4-06-330110-9
- サンライズ『ANAHEIM ELECTRONICS GUNDAM HISTORY 2002 CALENDAR』(2002年発行)
[編集] 脚注
- ^ 初出は「OUT 9月号増刊 宇宙翔ける戦士達 GUNDAM CENTURY」」
- ^ プラモデル「1/144ギラ・ドーガ」(バンダイ)付属解説書の記述による。
- ^ この記事において、製造メーカー名が非公式ながら設定された。現在では「ZEONIC」と綴られ、公式の存在となった。
[編集] 関連項目
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ガンダムシリーズの映像作品 | ||||||
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ガンダムシリーズの劇中項目 | ||||||
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