ザク (機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
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ZGMF-1000 ザクウォーリア(ZAKU Warrior)、ZGMF-1001 ザクファントム(ZAKU Phantom)を初めとするザクシリーズは、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』以降のコズミック・イラ(C.E.)世界に登場する架空の兵器(モビルスーツ・MS)。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] 機体解説
ザク=ZAKU(Zaft Armored Keeper of Unity=“鎧に身を固めたZAFTの統一の保護者”)は、ユニウス条約締結後プラントで開発された次世代MS群「ニューミレニアムシリーズ」(サウザンドシリーズ)に属するMSである。当初は量産機としては初の核動力MSとして設計されていたが、ユニウス条約で定められた「ニュートロンジャマーキャンセラーの軍事利用の禁止」を受け、従来のバッテリー駆動方式に設計変更された経緯を持つ。
最大の特徴はバックパック換装機構「ウィザードシステム」を備えている事である。数種類のバックパック型オプションユニットを用途に応じて換装する事で、単一の機体を様々な局面に対応させる事が出来る。このシステムはユニウス条約において定められた「連合・ザフト両軍の保有MSの上限の設置」への対抗策でもあり、用途を限定したいわゆる局地戦用機の生産台数の抑制にも貢献している。
本機のスペックは、軽装時においても先代機のゲイツ、 地球連合軍のGAT-Xシリーズを上回るとされる。またインターフェイス面も改良が加えられ[要出典]、パイロットを問わない高い操作性を有している。
コストや活動時間の理由からPS装甲の採用は見送られたが、肩部に固定装備されたシールドで機体前面をカバーするのみで単機での大気圏突入が可能であるなど、通常装甲のMSとしては非常に高い耐熱性及び堅牢性を有する。ただし、稼働に支障をきたす程の損傷を負う可能性が高いため、単独での突入はイレギュラーな状況を除き推奨されてない。
[編集] ザクウォーリア
ザクウォーリア | |
型式番号 | ZGMF-1000 |
---|---|
所属 | ザフト軍 |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 17.19m 20.4m(ブレイズウィザード装備時) 20.5m(ガナーウィザード装備時) 19.1m(スラッシュウィザード装備時) |
重量 | 73.09t 91.11t(ガナーウィザード装備時) 89.59t(ブレイズウィザード装備時) 86.49t(スラッシュウィザード装備時) |
武装 | MMI-M633 ビーム突撃銃 MA-M8 ビームトマホーク 対ビームシールド ハンドグレネード×4 M68キャットゥス500mm反動砲 |
主な搭乗者 | ルナマリア・ホーク アスラン・ザラ ディアッカ・エルスマン シホ・ハーネンフース アイザック・マウ スー 他 |
一般パイロット用の標準機。最も多く生産された機種であり、単に「ザク」と呼ばれる機体はこのウォーリアを指す事が多い。
右肩に1基のスパイクを持つ曲面アーマー、左肩に対ビームコーティング仕様のスパイクシールドを装備した左右非対称の形状となっている。従来のザフト主力機共通の特徴であるトサカ型複合センサーは本機では採用されおらず、頭部は非常にシンプルなデザインとなっている。また、耐弾防御のみならず体当たり攻撃に用いられるスパイクアーマーは、前大戦当時オーブからプラントに流出した超高硬度金属製錬技術が用いられているという。
制式カラーは濃淡グリーンのツートン。エース級パイロットはパーソナルカラーへの変更が許されている。ノクティルーカウィザード 装備時、イライジャ機、アイザック機など、ウォーリア、ファントムとも両肩のアーマーは交換が可能であり、CD『機動戦士ガンダムSEED DESTINY COMPLETE BEST』のデジパックジャケットには、シールドが右肩に付き(左肩はスパイクアーマー。MS-06ザクと同じ構成になっている)頭部にブレードアンテナを取り付けたガナーザクウォーリアも描かれている。
「ウォーリア」とは英語で「戦士、武士、闘士」の意。
[編集] 劇中での活躍
普及機とは言え、C.E.73年時点ではようやく本格配備が実施されたばかりの最新鋭機だった為、初期はルナマリア・ホーク等のザフトレッド、ディアッカ・エルスマンを初めとするエース級パイロットに優先的に供給されていた。
また、アスラン・ザラもアーモリーワン襲撃やユニウスセブンの破砕作業に際して本機に搭乗している。彼等はこの機体で、ファントムペインに強奪された3機のセカンドステージシリーズ、カオス、アビス、ガイアと互角以上の戦いを繰り広げている。中盤以降は配備が進み、地上、宇宙を問わず各戦線で見られるようになる。
[編集] 専用機、パーソナルカラー
ルナマリア・ホーク機…パーソナルカラーは赤。主にガナーウィザードを装備している。
ミーア・キャンベルライブ仕様…カラーリングはピンク、右肩にハロ、シールドに星のマーキングがされている。イベント用の大道具扱いであり、軍の規定とは関係ないが、メサイア攻防戦でこの機体が後方支援として使われていた。
ハイネ隊仕様…カラーリングは右肩がオレンジでオレンジショルダーと呼ばれる。「ザクザクキャンペーン」のプレゼントとして設定された。ハイネの死後、彼を慕う者が部隊にかかわらずオレンジショルダーにしたとされ、本編ではジュール隊所属で登場した。
搭乗者不明機…カラーリングは黒色にファイヤーパターンが書かれている。ブレイズウィザードを装備。本編第45、49話にに登場した「ザクザクキャンペーン」の最優秀作品。
シホ・ハーネンフース機…コミックの為、カラーリングは不明。左肩に彼女のパーソナルマークであるホウセンカが描かれている。機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAYに登場。
ラガシュ基地仕様…カラーリングは頭部、胴体がネイビーブルー。
[編集] ザクファントム
ザクファントム | |
型式番号 | ZGMF-1001 |
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所属 | ザフト軍 |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 19.37m 20.4m(ブレイズウィザード装備時) 20.5m(ガナーウィザード装備時) 19.4m(スラッシュウィザード装備時) |
重量 | 74.7t 91.2t(ブレイズウィザード装備時) 92.72t(ガナーウィザード装備時) 88.1t(スラッシュウィザード装備時) |
武装 | MMI-M633 ビーム突撃銃 MA-M8 ビームトマホーク×2 対ビームシールド×2 ハンドグレネード×4 M68キャットゥス500mm無反動砲 |
主な搭乗者 | レイ・ザ・バレル イザーク・ジュール ハイネ・ヴェステンフルス ディアッカ・エルスマン イライジャ・キール カイト・マディガン リーカ・シェダー 他 |
主に指揮官用に生産された上級機。頭部に追加されたブレードアンテナにより通信、指揮統制、情報処理能力の強化が図られている。右肩にもシールドが装備され、左右対称の機体構成となっている。性能的にはウォーリアと大差無いが、一部にやや高品質な部材を用いているらしい。
ウォーリア同様、エース級パイロットによるカラー変更も許されているが、搭乗者が限定されたファントムは特にその傾向が強く、相対的にカスタム機の割合も多い。なお第48、49話では通常のザクウォーリアと同じ緑のザクファントムが多数登場している事から、基本色はウォーリア同様の緑であるらしい(SDガンダム GGENERATION PORTABLEでも一般機のザクファントムは緑だった)。 「ファントム」とは「幽霊、亡霊、幻影」等の意。
[編集] 劇中での活躍
ウォーリア同様C.E.73年では、配備が開始されたばかりの先行機であり、ザフトレッドやそれに匹敵するエースパイロット、歴戦の熟練パイロットたちが優先的に使用している。
第2話~第3話において、レイ・ザ・バレル機は軽装状態のまま奪取されたセカンドステージシリーズやネオ・ロアノークのエグザスと渡り合った。イザークのスラッシュザクファントムは、アスラン機との連携によってセカンドステージシリーズを圧倒する活躍を見せた。また、ハイネのブレイズザクファントムは、開戦時のプラント防衛戦で戦艦数隻やMSを撃破する多大な戦果を挙げている。
[編集] 専用機、パーソナルカラー
レイ・ザ・バレル機…パーソナルカラーは白。主にブレイズウィザードを装備している。
イザーク・ジュール機…パーソナルカラーはスカイブルー。主にスラッシュウィザードを装備している。
ハイネ・ヴェステンフルス機…パーソナルカラーはオレンジ。主にブレイズウィザードを装備している。
搭乗者不明機…パーソナルカラーは紫。ブレイズウィザードを装備。第9話に登場した。
ディアッカ・エルスマン機…パーソナルカラーは黒灰色。主にブレイズウィザードを装備している。
[編集] 武装
- MMI-M633 ビーム突撃銃
- MMI(マイウス・ミリタリー・インダストリー社)製のアサルトビームライフル。ザクシリーズの主力装備。精度は多少低いが、速射性能に優れビーム弾をバラ撒く事で多数の敵に同時に攻撃を行う。
- 着脱式のビームマガジン方式を採用しており、機体ジェネレーターへの負担が軽減されている。ゲイツのライフルと比較して小型で取り回しにも優れる。
- MA-M8 ビームトマホーク
- シールド内に収納されているハンドアックス状のビーム発生デバイスを持つビームサーベル系兵器。主に格闘兵装として使用されるが、トマホーク(投擲用斧)の名が示す通り、ビームブーメランの様な投擲武器としても使用可能。
- 対ビームシールド
- 3基のスパイクを持つ対ビームコーティングシールド。球状関節のアームによって肩部フレームに接続されており、運用にマニピュレーター(手)を必要としない為、銃とトマホークを同時に使用する等、より柔軟な運用が可能となる。
- ウェポンラックも兼ねており、裏面にはビーム突撃銃の予備カートリッジを2基、内部にはビームトマホークを収納可能。
- ハンドグレネード
- MSサイズの手榴弾。腰部サイドアーマー表面に設けられた「ハンドグレネード用パレット」[1]に、左右に2発ずつ、計4発マウント可能。一部解説本では「腰部キャニスター」に装備する旨記されているが、ZGMF-1000、1001の腰部にキャニスター(筒)状のものは全く見当たらず、執筆者が「ミサイルキャニスター」(ミサイル発射筒)と武器一般の装着部を混同し誤記したものと思われる。
- なお、以下5種類の弾種が設定されているが、劇中では殆ど使用されず、使用されたグレネードもどの種類であるかは不明。
- ZR20E高性能炸裂弾
- ZR27Iテルミット焼夷弾
- ZR30F通常榴散弾
- ZR11Q閃光弾
- ZR13Q発煙弾
[編集] ウィザードシステム
本機最大の特長であるバックパック換装システム。用途の異なるウィザードを戦況や作戦目的に応じて交換する事で、ザクという単一の機種に複数の機能を持たせる事に成功している。
その特性や運用方法が地球連合軍のストライカーパックシステムと酷似しており、開発に当たってはストライクとの戦闘データやテスタメントの開発データを参考にしたものと思われる。
インパルスのシルエットシステムは、自律飛行によって戦場に到達し現場での換装までも可能としているが、ウィザードシステムにはこの機能は無く、換装には母艦ないしは基地の専用設備が必須となる。これは、インパルスが「新開発の兵装交換システムの柔軟性を検証する」為の試験機であるのに対し、ザクは軍制式の実戦配備機であり、より容易で確実な運用方法が求められた為であろう。
本システムはザクのみならず、ドムトルーパーやバクゥハウンドにも同規格のコネクターが実装されており、装備の互換性が図られている。また、本来はストライカーパックシステム規格(セカンドソース)採用のアストレイアウトフレーム(アウトフレームD)は、マルチパックとよばれる変換アダプターユニットを使用する事で、ウィザード、シルエットいずれのシステムのバックパックの装備も可能としていた。
[編集] ブレイズウィザード
ブレイズウィザード | |
型式番号 | M |
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重量 | 16.5t |
武装 | AGM138 ファイヤビー誘導ミサイル×28(14×2) |
多数のスラスターを備えた宇宙用高機動型ウィザード。地上部隊のザクにも多く装備されているが、単独での飛行能力は持たない。
劇中でも最も登場頻度の多い装備で、主にレイ、アスラン、ハイネ、ディアッカの機体が使用している。 「ブレイズ」とは「火炎、劫火」の意。
- AGM138 ファイヤビー誘導ミサイル
- 両側スラスターブロック先端部に内蔵された小型ミサイル。広範囲目標の制圧や弾幕形成による撹乱に威力を発揮する。装弾数は片側19発、計38発。
[編集] ガナーウィザード
ガナーウィザード | |
型式番号 | A1 |
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重量 | 18.02t |
武装 | M1500 オルトロス高エネルギー長射程ビーム砲 |
遠距離砲撃用ウィザード。大型ビーム砲と専用エネルギータンクで構成される。
劇中では主にルナマリア、ディアッカ機の他、エターナルを追撃したグラスゴー隊所属機や、レクイエムの中継点を攻撃したジュール隊所属のオレンジショルダー機5機が使用している。
ガナーウィザードを装備したザクファントムは「FINAL PLUS」及び漫画版において登場している。
「ガナー」とは「射撃手、砲手」の意。
- M1500 オルトロス高エネルギー長射程ビーム砲
- ウィザード右側方にマウントされる長射程ビーム砲。
- 不使用時はバレルとストックが折り畳まれており、展開時の全長は機体の身長を上回る。射撃時は右脇に挟む形で保持する。かつてのGAT-Xシリーズに搭載された超高インパルス砲と同等の破壊力・射程距離を有しつつ、信頼性や連射性能の点で上回る。また射撃に要するエネルギーは全て付属の大容量エネルギータンクによって賄われる為、機体の稼働時間にも支障はない。
[編集] スラッシュウィザード
スラッシュウィザード | |
型式番号 | K |
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重量 | 13.4t |
武装 | MMI-M826 ハイドラガトリングビーム砲×2 MA-MR ファルクスG7ビームアックス |
近接格闘戦用ウィザード。機体の運動性を維持するため、他のウィザードに比べやや軽量化されている。
劇中では主にイザーク・ジュール機が使用している他、第2・3クールOP、オーブ侵攻(オペレーション・フューリー)、レクイエム攻防戦の際にも、スラッシュ装備のザクウォーリアが数機確認されている。
「スラッシュ」とは「切り刻む、斬撃」の意味。
- MMI-M826 ハイドラガトリングビーム砲
- バックパックに2門装備されるビームガトリング砲。高速連射による面の制圧を目的とした武装。有効射程はそれ程長くはなく、主に格闘戦に移行する際の牽制に使用される。左右の砲それぞれにMMI-M633 ビーム突撃銃と同規格のエネルギーカートリッジを各1基ずつ設置する。
- MA-MR ファルクスG7ビームアックス
- 接近戦用のビーム斧。高出力のビーム刃を形成し敵MSを対ビームシールドごと斬り裂く。劇中でもアビスのビームランスやカオスの巡航機動防盾など、対ビームコーティングされたデバイスを難無く両断していた。収納時には柄を短縮し腰部背面にマウントする。
[編集] ノクティルーカウィザード
ノクティルーカウィザード | |
型式番号 | AAL |
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重量 | 不明 |
武装 | 144cm大型魚雷×2 マーク13ホーミング魚雷×4 M25 対潜爆雷×8 |
『ガンダムSEED DESTINY MSV』に於いて設定された強襲揚陸用ウィザード。水上スキーのプレートと肩部に装着する可動翼、水上・水中用センサー内蔵のセイルフィンがセットになっており、ウィザード装着以外にも肩部、頭部パーツの換装作業を要する為、両肩にシールドを持つザクファントムとの相性が良い。
水中から浮上して両足に装備したスキーで水面上を高速移動し、海岸線や浅水部の敵に対し強襲を敢行する。
「ノクティルーカ」とはラテン語で夜光虫という意味。
[編集] イージーウィザード
ドムトルーパーが標準装備する簡易ウィザード。詳細はドムトルーパーの項を参照。
[編集] ナイトウィザード
オリジナル仕様ドムトルーパーが装備するウィザード。詳細はオリジナル仕様ドムトルーパーの項を参照。
[編集] ブースターウィザード
イライジャ専用ザクが装備する高機動型ウィザード。加速時はスラスターカバーやウイングが展開し、大気圏内での飛行も可能となる。
[編集] ケルベロスウィザード
バクゥハウンドとの連携運用を想定して開発された高機動格闘用ウィザード。詳細はケルベロスバクゥハウンドの項を参照。
[編集] バリエーション
[編集] ザク量産試作型
ZGMF-X999A ザク量産試作型(ZAKU Mass Production Trial Type)は『ガンダムSEED DESTINY MSV』に於いて設定されたザクの試作機。
ザク量産試験型 | |
型式番号 | ZGMF-X999A |
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所属 | ザフト軍 |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 不明 |
重量 | 不明 |
装甲 | フェイズシフト装甲 |
武装 | DFX-25 高周波ブレードトマホーク×2 大口径レールガン×2 対ビームシールド |
主な搭乗者 | コートニー・ヒエロニムス |
前大戦後開発されたザクのプロトタイプ。型式番号から通称「9ザク(キュウザク)」、またはザク999(トリプルナイン)とも呼ばれる。
本機はX09A~X13Aで完成を見たNジャマーキャンセラーを搭載し、量産機としては史上初の核動力MSとして研究開発が進められていた。また核エンジン搭載によって膨大な電力供給が可能となり、外装を全面的にPS装甲としている。1000型との相違点はジンタイプ等に見られるトサカ状の頭部複合センサーが残っている、モノアイレール中央部の支柱の存在、肩部シールドがまだ採用されておらず両肩がスパイクアーマーとなっている点等が挙げられるが、動力部以外の基本構造はほぼ同一である。試作機は様々な仕様を含め計47機が製造され、南アメリカ独立戦争時に試験中に実戦に使用された機体が存在したと言われる。
この内の1機は、高周波振動により敵機を破壊するトマホーク及び大口径のレールガンと、核エンジンからの豊富なエネルギー供給あってこその実験的装備を備えた機体であった。この機体はザフト兵器設計局ヴェルヌ局所属のテストパイロットコートニー・ヒエロニムスによって試験運用された。
しかしC.E.72年3月10日、ユニウス条約の締結を以ってNジャマーキャンセラーの軍事利用が禁止された事により、計画は中断を余儀無くされる。しかし兼ねてからその基本スペックの優秀性は高い評価を受けており、通常のバッテリー動力に改修し各部形状を変更した新世代の機体群「ニューミレニアムシリーズ」として開発は再び続行された。
なお条約以前に製造された47機は全機が解体・廃棄されたと伝えられているが、連合の非公式記録によれば条約締結後も何度か目撃されているようである。加えて、解体された機体から回収されたNジャマーキャンセラーの稀少物質(ベースマテリアル)はニュートロンスタンピーダーに転用されている。
[編集] ザクスプレンダー
ZGMF-X101S ザクスプレンダー(ZAKU Splendor)は『ガンダムSEED DESTINY MSV』に於いて設定された分離式機動コクピット・動力性能実証型MS。
インパルスのコアスプレンダーの有効性を検証すべく分離・合体機構を付加されたザクベースの実験機。
しかし本機のコアスプレンダーはインパルスに比べて戦闘機と呼ぶには余りにかけ離れており、コクピットブロックに小型の可変翼を付け加えた簡素なものであった。上半身、下半身を構成するチェストフライヤー、レッグフライヤーはインパルス同様推進力による動力飛行が可能だが、当然空力的に優れた形状とは言えず、滞空時間は十数分程度に過ぎない。なお、本機はデュートリオンビーム送電システムの実験も兼ねており、頭部にビームの受信装置を持つ。
生産数2機の内、1機は耐久試験の結果大破・破棄され、残りの1機はアーモリーワンに保管されている。
[編集] ホスピタルザクウォーリア
ホスピタルザクウォーリア(Hospital ZAKU Warrior)はザクのバリエーションの1つである機体。戦闘用では無く文字通り病院としての機能を搭載した機体である。
背部に様々な医療設備、器具を内蔵したコンテナを搭載しており、ザク自身の動力を使う事で発電施設が無い場所でも簡易の病院施設として機能する。車両やヘリには進入不可能な場所でも医療設備を運搬出来る為、戦地や局地では非常に重宝される。
ブレイク・ザ・ワールド直後の地球にも多数導入され、各地の被災地で活躍した。元ザフトのエースパイロットであるミハイル・コーストもこのホスピタルザクを駆って各地の被災地を渡り歩いた。
[編集] コマンドザクCCI
ZGM-1000/R4 コマンドザクCCI(Command ZAKU CCI)は『ガンダムSEED DESTINY MSV』に於いて設定されたザフト軍の戦域通信指揮統制型MS。
ニュートロンジャマーにより電波通信が侭ならないので作戦に応じて無線通信を円滑化すべく開発された戦域通信指揮統制用ザクウォーリア。基本的に非武装機である為、型式番号から「Fight」(=戦闘型)を示す”F”の文字が省かれている。運用には2機以上の護衛機が必要になる。アンテナガンと肩に装着されたパラポナアンテナが特徴であり、内部構造も通常のザクとは異なる。
[編集] プロヴィデンスザク
ZGMF-X3000Q プロヴィデンスザク(Providence ZAKU)は『ガンダムSEED DESTINY MSV』に於いて設定されたザフト軍の新型ドラグーン性能実証型MS。
プロヴィデンスザク | |
型式番号 | ZGMF-X3000Q |
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所属 | ザフト軍 |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 不明 |
重量 | 不明 |
武装 | MA-BAR76T 高エネルギービームライフル GDU-X4 突撃ビーム機動砲×8 GDU-X7 突撃ビーム機動砲×2 MA-M8 ビームトマホーク×2 対ビームシールド×2(オプション) |
主な搭乗者 | リンナ・セラ・イヤサカ |
その名が示す通りに第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦で猛威を振るったプロヴィデンスのドラグーンシステムをザクに実装した機体で、レジェンドの試験機ともなった。設計当初はウィザードのみで対応する案もあったが、ドラグーンの性能を最大限に発揮する為に機体本体にも大幅な改修が施された。
動力源は核エンジンで、ハイパーデュートリオンシステム(ただし、他の機体のハイパーデュートリオンシステムは、頭部の受信システムを使用した外部からデュートリオンビームの供給例がなく、機体内で核エンジンのエネルギーを用いてデュートリオンビームを生成していると思われる為、それらとは別物或いは試作型と思われる)を搭載(核エンジンを使用するためのNジャマーキャンセラーは、ユニウス条約に抵触する為、機体ナンバーからは核エンジン搭載を示す「A」が取り払われている)。頭部にはデュートリオンビームの受信システムが搭載され(他の機体では使用された事は無く、設定の考察ミスの可能性がある)、胴体と手足はレジェンドに類似した形状を持つ。レジェンドを髣髴させる10機のドラグーンは、パイロットの空間認識能力に依存する事無く実戦レベルでの運用を目的とした試作型であり、背部のGDU-X7はそのままレジェンドに継承されている。
機体カラーは黒を基調に赤いストライプでエッジが塗り分けられている。テストパイロットはプラント統合開発局局員リンナ・セラ・イヤサカで、彼女は前大戦時プラントに移民した元モルゲンレーテ嘱託社員でもある。メサイア攻防戦に実戦投入され、多大な戦果を挙げており、オーブ軍のエース、タキト・ハヤ・オシダリの搭乗するオオツキガタと交戦している。
[編集] 武装
- MA-BAR76T 高エネルギービームライフル
- 背部のコネクタに接続される大型ビームライフル。ライフルの両サイドにビーム突撃銃のエネルギーカートリッジを装着出来る。
- レジェンドに装備されたMA-BAR78Fは本兵装の改良型で、機体本体からエネルギーを供給するタイプになっている。
- GDU-X4 突撃ビーム機動砲
- 量子通信によって遠隔操作可能なビーム砲。砲自体が鋭利なブレードになっており、砲撃以外に打突による直接攻撃も想定しているが、実体ブレードでは威力不足と判断されたのか、或いは対象との衝突時の内部機構への負担を考慮してか、レジェンドにはビームスパイクを内蔵したGDU-X5が採用された。
- GDU-X7 突撃ビーム機動砲
- レジェンドガンダムの項目参照。
- MA-M8 ビームトマホーク
- シールドに内蔵されるビームトマホーク。
- 対ビームシールド
- 両肩のアーマーに接続される対ビーム仕様のシールド。ザクウォーリア、ザクファントムと同一の装備で、着脱が選択式となっている。装備時はシールドと背部の円形ユニットが干渉し合う欠点があるが、取り外した場合には予備のエネルギーカートリッジや格闘兵装であるビームトマホークの携行が不可能となる制約が発生してしまう。
- レジェンドではビームライフルのエネルギーを機体本体から供給し、脚にビームジャベリン、手にビームシールドを備える事でこの問題に対処している。
[編集] 専用機、カスタム機
[編集] ミーア・キャンベル専用ライブ仕様ザクウォーリア
慰問コンサートのため、ラクス・クラインに扮したミーア・キャンベルが使用したザク。彼女のシンボルカラーとも言うべきピンクで塗装されており、胸部には「LOVE」の文字が、右肩にはハロの、左のシールド部には黄色の星がマーキングされている。無論彼女自身が搭乗しているわけではなく、舞台装置として使われただけで操縦者は別にいる。最終話ではブレイズウィザードを装備しメサイヤから出撃した。小説版では「そのあまりの派手さ」でタリア・グラディスに眩暈を感じさせている。
[編集] イライジャ専用ザクファントム
サーペントテールのイライジャ・キールの専用のザク。
それまで専用のカスタムジンを愛機としていたイライジャだが、DESTINY ASTRAYにおいてカイト・マディガンの攻撃から叢雲劾を救うためにカイトの攻撃の矢面に立ってしまい使用していたジンが大破してしまう。その後、カイトよりジンを壊したお詫びとして彼のコレクションの1機であるザクファントムを譲り受け、それ以降はこの機体を使用している。
通常は左肩にしかシールドを装備していない為ウォーリアと誤認されがちだが、型式番号ZGMF-1001が示す通りファントムのカスタム機である。
最大の特徴として機体の部分部分にPS装甲を配置している。通常は灰色一色だが、アクティブ時はPS装甲部が赤く発色し、ジン改に近いパターンが現れる。このPS装甲は、過去のイライジャの戦闘データを分析した結果、最も被弾しやすい箇所に施されている。また、任意に発動可能な為エネルギー消費を抑えるのにも一役買っている。
腰部と脚部にはジン用のミサイルポッド等の追加兵装がマウント可能。ジン時代から装備している頭部のバスターソードは、新たに対ビームコーティングが施された。
[編集] マディガン専用ザクファントム
フリーのプロMSパイロット、カイト・マディガンが所有するザクの1機をカスタマイズした機体。当時、ザフト正規軍でもごく一部にしか配備されていない最新鋭機(判明しているだけでも、イライジャに与えた機体とノクティルーカ用のザクも含めて3機)をどうやって彼が入手したかは明らかにされていない。
最大の特徴は両肩に装備されたブレードシールド。その名の通り、剣としても盾としても使用できる他、ガトリング砲も内蔵されている完全複合武器である。攻守・遠近を問わない高い汎用性が強みだが、使いこなすには相応の技量が要求される。
この他腰のサイドアーマーにも同種のシュナイダーアーマー(こちらはシュナイダーナイフとアーマー機能の他に、隠し武器としてグレネード弾も装備)を装備している。またカイト愛用のビーム実弾複合リボルバーのホルスターとも交換可能である。
もちろん、各種ウィザードも使用可能である。
これとは別に、マディガン専用のノクティルーカザクファントムも存在する(マディガン専用ザクファントムは改造個所が多すぎる為、ノクティルーカに変更が利かない為)。
[編集] アイザック専用ザクウォーリア
ザフト軍ジュール隊所属パイロットアイザック・マウが海底基地“ラガシュ”にて受領したザクをカスタマイズした機体。
ラガシュに配備されたザクは一般部隊の機体と異なり、頭部、胴体がネイビーブルーの専用カラーに塗装されている。アイザックに与えられた機体も同様の配色だが、背部には以前の乗機であるケルベロスバクゥハウンドより引き継がれたケルベロスウィザードが装着されている。更にウィザードのより円滑な運用を可能とする為、左肩シールドは右肩と同様のスパイクアーマーに換装されている。
[編集] スー専用ザクウォーリア
民間軍事会社に所属する戦闘用コーディネイター、スーの専用機。
ダークグレーとレッドの専用色に染められている以外の外見は一般機と変わらないが、スーの高い操縦技能に合わせ、その内部は大幅にチューンナップされている。背部には本体と同色に塗装されたケルベロスウィザードを装備する。
[編集] 脚注
- ^ ホビージャパンMOOK『機動戦士ガンダムSEED DESTINYモデルVOL.2』「SEED DESTINY MSV」による。
[編集] 関連項目
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ガンダムシリーズの映像作品 | ||||||
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ガンダムシリーズの劇中項目 | ||||||
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