ディアッカ・エルスマン
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ディアッカ・エルスマン (Dearka Elthman) は、テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』及び『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する架空の人物(声:笹沼晃)。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
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[編集] 個人データ
- 人種:コーディネイター(二世代目)
- 誕生日:C.E.54年3月29日
- 星座:牡羊座
- 血液型:AB型
- 年齢:17歳⇒19歳
- 身長:176cm⇒180cm
- 体重:67.5kg⇒58kg
- 趣味:日本舞踊
- 髪色:金
- 瞳:薄い紫
- 出身:プラント フェブラリウス市
- ザフト軍クルーゼ隊所属の赤服。士官アカデミーの成績は四位。マイペースでよく軽口を叩く反面、根は真面目で実直な青年。他者の悩み事や相談を聞き入れ助言する心慮深い包容力がある。彫りの深い端正な男顔で、健康的な褐色肌が特徴。母親似ではないかといわれている。父親はプラント最高評議会議員タッド・エルスマン。父親の反対を押し切ってザフト軍に志願しており、同年齢で同室のイザーク・ジュールとは熱い友情で結ばれた親友で、共に行動する事が多い。初期は2人とも好戦的な性格だったが、徐々に熱しやすく激情的なイザークの抑え役・なだめ役が定着した。敵機を倒した時のセリフ「グゥレイトォ!!」が印象的である。
[編集] 経歴
[編集] 機動戦士ガンダムSEED
クルーゼ隊の一員としヘリオポリスを襲撃し、G兵器の一機バスターを奪取する。以降搭乗機とし、アスランらと共にアークエンジェルを追撃し続ける。
同僚であるニコルの戦術を「臆病者」と批判し、イザーク同様年下の彼を小馬鹿にした態度をとっていたが、オーブ近海戦においてニコルが戦死する。予想もしなかった信じがたい出来事にディアッカ含めパイロット全員が一時放心状態となるも我に返り、自軍の不利を省みず攻撃を仕掛けるイザークと虚脱状態のアスランを抑え、無念さを抱え帰投する。更衣室で感情を爆発させ争うアスランと涙するイザークを必死に食い止める。辛い悲しみを堪え「仲間同士が争っても何にもならない、自分達が撃つべき敵は仇のストライクだ」と正論を訴え、二人の諍いを冷静に仲介する。その結果、仲間達の意志を固く団結させた。
その後、キラのストライクを迎撃する決戦時、ニコルやミゲル、イザークの傷の仇をとるために奮闘する。しかし、ムウのスカイグラスパーに機体を中破されアークエンジェルの目の前に不時着してしまう。身動きが取れなくなった直後にアークエンジェルの主砲にロックオンされてしまい、やむを得ず苦渋の思いで投降した。アークエンジェルの捕虜となり、バスターも奪還される事になった。
医務室のベッドに繋がれたディアッカは、ザフトとの戦闘で恋人トールを失ったばかりのミリアリアと遭遇する。ディアッカは不運な事態が多数重なったことで若干機嫌が悪く、冗談を言い彼女をからかう。だが、それはまさかの図星であり、情緒不安定なミリアリアは急に激昂し、彼は危うく刺殺されかける。その直後、トールと同時刻に生死不明になりキラを失ってしまったフレイが「コーディネイターなど、皆死ねばいい」と叫び発砲を受ける瞬間、正気に戻ったミリアリアが彼を救った。その場ではただ唖然とするディアッカだったが、これまで敵であるナチュラルを見下し、自国プラントを死守しているという英雄感覚が、いかに深い憎しみと悲しみを生み出すかを初めて目の当たりにした。この一連の騒動により、彼は戦争そのものへの思いを新たにする。
アラスカ基地にアークエンジェルが到着後に基地内の留置所に移送されるはずであったが、アラスカ基地攻略戦漏洩による、地球連合軍上層部移転の混乱で艦に留置されたままとなり、戦闘後、逃亡艦となったアークエンジェルと共にオーブに向かう事になる。その後、地球連合軍によるオーブ解放作戦を前に解放される。しかしアークエンジェルの危機を見過ごすことが出来なかったディアッカは、モルゲンレーテ社工場内で修復されていたバスターに搭乗し、アークエンジェルと共にオーブ防衛に貢献する。この戦いの中でアスランと再会し、迷いを抱く彼を後押しした。
そのままアークエンジェルの陣容に加わり、アークエンジェル、クサナギと共に宇宙へと上がり、ディアッカのバスターはムウのストライクと共にアークエンジェルに配備された。
コロニー・メンデルでの戦闘では、偶然イザークとの再会を果たす。恋人を失いながらも憎しみの連鎖を断ち切ろうとするミリアリア、亡きオーブ代表首長ウズミ、そしてキラやアスランの姿を見てきたディアッカの言葉は、親友イザークに大きな影響を与えた。
最終決戦である第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦では、レイダーに攻撃されたデュエルを救い、奮戦する。その後、アークエンジェルに接近してきたクルーゼのプロヴィデンスに攻撃を仕掛け、ドラグーンの一斉射によって機体を中破させられる。直後にレイダーから攻撃されるが、イザークによって救われ、アークエンジェルのブリッジで停戦を迎えた。
停戦後は再びザフトの赤服として、最年少議員となったイザークの護衛の任に就く。
[編集] 機動戦士ガンダムSEED DESTINY
戦後はザフト軍に復隊し、ジュール隊に配属されていた。イザークと共にブリーフィングに参加するなど、実質的にジュール隊の副官的立場にあった。面倒見の良い性格に冷静さが加わり、心身ともに一層逞しく成長を遂げている。
ユニウスセブン落下テロの際は、ジュール隊の一員としてガナーザクウォーリアで出撃し、アスランやイザークと共に円熟した腕前を披露した。彼ら歴戦の強戦士の戦いぶりは、後輩のシン達を驚嘆させていた。
その後もイザークと共に宇宙でのプラント防衛任務に就いていたが、ディアッカもデュランダルら議会のやり方に疑問を抱き始める。
月面のジブリール追い、月面でのレクイエム攻防戦では、「レクイエム」発射を阻止する事に成功した。メサイア攻防戦では、イザークをやや焚きつけるような感じで共に出撃し、アスランと対面時には、問い詰めようと激しかけたイザークをなだめつつ、2機でキラとアスランを援護した。最終決戦を戦い抜き生還している。
『スペシャルエディション 完結編 『自由の代償』では、メサイア攻防戦後、ラクスの護衛を勤めた。ラクスがイザークと黒服の人物を引きつれ歩いていく時には、黒服に昇格したディアッカが、イザークに礼をしている。イザークと共にニコルの墓参りをした。
[編集] 余談
- 初期の公式設定では、「激怒すると狡猾で残忍な性格が現れる」という敵役らしい特徴があった。この設定が活かされることはなかったが、結果的に彼のマイナスイメージが無くなることとなった。
- 『SEED』の小説版では、アスラン、ニコルに対して、小馬鹿にした態度をとっていたが、彼らを特に嫌ってはいなかった。この他者を皮肉る性格は、背伸びしたがる少年にみられる心情とされていた。捕虜として拘束され、アークエンジェル内の廊下で、ザフト軍との戦闘で恋人トールを失ったばかりのミリアリアと、サイ、フレイ達と出会う。意外にも自分と歳の近い少年少女兵がいることを初めて知り、内心驚いている。ただこの時も彼らに対して反抗的な言葉を吐き捨てていた。
- アークエンジェルに残り、ミリアリアの身を守ろうとした理由(小説参照)として明確となっているのは、大切な人を亡くしても、戦争を終結させるために命を掛けて闘う正しい心をもった人間を死なせるわけにはかないと感じたからである。自分よりも非力な年下の少女から、本当の闘う意味を見出した彼なりの敬意と感謝の意である。
- 『DESTINY』の小説版では、イザーク共々アスランの脱走には何らかの理があったのではないかと上層部へ不信を持っていたが、イザークの判断で行動は起こせないでいた。心情的にはレクイエム破壊の折にもアスラン達に加勢したいと感じていたが、イザークもまたエターナル援護を決意したためそれに賛同。地球を滅亡させる脅威を阻止すべく加勢した。また、デスティニー・プランに対しても最初から批判的であった。コミックボンボン版ではガナーウィザードを装備しており、ガナーザクウォーリア部隊の指揮を執っていた。ミリアリアと再会することはなかったが、終盤、イザークと共にアスラン達を援護するべく出撃する直前に、ミリアリアがアークエンジェルに乗り込んでいるのではないかと心配する描写が存在する。メサイア攻防戦後はラクス・クラインの護衛を勤めた後、イザークと共にニコルの墓参をしている。
- 『スペシャルエディション完結編 『鳴動の宇宙』 』では、プロヴィデンスとの戦闘前に、レイダーと遭遇し、これを撃破している。
- 『FINAL PLUS~選ばれた未来~では、ラストにて、ラクスがイザークと黒服の人物を引きつれて歩くシーンで、黒服を着たディアッカらしき人物(左側、二番目)が見られた。『スペシャルエディション 完結編 『自由の代償』のエンディングにて、のちに黒服に昇格したことが確認できる。
- 詳細な経緯は不明だが、『SEED』後はプラントに帰還した。MIA(戦闘中行方不明)とされていたディアッカが帰国後どのような処分を受けたかは不明だが、一般兵(緑服)としてザフト軍に復隊している(前作SEEDのDVD最終巻の映像特典によるとザフトへの復帰直後の赤服の着用が確認されており、後に赤服の剥奪処分を受けたと思しい)→緑になったのは除隊から再入隊という手続きをとったためと思われる。その後はイザーク率いるジュール隊に配属されるが、劇中ではイザークと共にブリーフィングに参加するなど、実質的にジュール隊の副官的立場にある。
- イザークとは士官アカデミーのルームメイトとなり、知り合ったとされている(アニメージュ誌“ガンダムSEED なぜなに質問箱”掲載)。
- ヘアースタイルは寝癖ではなく自分でセットしている(アニメージュ誌“ガンダムSEED なぜなに質問箱”掲載)。
- 『ニュータイプ』誌で、劇中に登場したディアッカの私服姿はルナマリア、メイリンに絶賛され、彼のいる隊に配属されたいと憧れられていた。
- 『ドラマCD』では、極度の負けず嫌いであるイザークがアスランと様々なジャンルで勝負。その後イザークが苛立つ感情から部屋を荒らし、その片付けや宥めるのにも手を焼いていた。だが、二人が衝突する時は常に根気強く、「お兄さん」的な役回りを買って出ている。また、評議会の議場で頭の固い議員達を叱咤するイザークの正論に共感しつつも、側にいる自分はハラハラしているとアスランに話している。
- ディアッカの定番セリフである「グゥレイトォ!!」は、実際の劇中では『SEED』『SEED DESTINY』合計2回程度しか喋っていない(ゲームなどでは頻繁に喋っている)。
- ディアッカの趣味は日本舞踊で、戦前は師匠の元に通っていた。また、ゲーム『君と友と戦場で』や『第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ』にてそれが明かされている。
- 初期キャラクター設定では、「アリマン」という名前であった(ちなみに、その当時はイザークが「ディアッカ」であった)。
[編集] ゲーム
[編集] 第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ
外宇宙や三重連太陽系へ行ってソール11遊星主やバッフ・クラン軍やバルマー帝国、その他の異星人などスケールの大きい敵との戦いを経験した。そのため、ヤキン・ドゥーエの最終決戦の際にイザークと遭遇した際に、「もうナチュラルとかコーディネーターとかのちっぽけな理由で人間同士が争っている場合じゃない」とイザークを説得する場面がある(更に一定の条件を満たせばイザークを仲間にすることができる)。また、性格も本編よりややコミカルに描かれており、ミリアリアとの関係をフォウ・ムラサメ等に励まされるシーンも描かれている。
[編集] スーパーロボット大戦W
場合によっては仲間になるのとほぼ同時にトール・ケーニヒの生存が判明するため、ミリアリアとトールの再会を見守る描写がある。その後、トールとは意気投合している。
[編集] 機動戦士ガンダムSEED DESTINY GENERATION of C.E.
- Extra4a「蘇える光」
- ミリアリアがアークエンジェルに搭乗していると思い込み、イザークに「俺は向こうへ付く」と話、ザフトを裏切り再び三隻同盟に加入する。しかしミリアリアに再会できないまま戦場で戦死する。
- また設定上アークエンジェルにはミリアリアは搭乗していなかったと思われるため、どちらにしろ再会する事は無かったと思われる。
- Extra4b「重なる明日」
- シン率いるミネルバやイザーク達と共に連合から発射される核ミサイルを食い止めるため出撃する。
- 場合によっては戦死する。その際「もう1度ミリアリアに会いたかった」と語っていた。
[編集] 主な搭乗機
- GAT-X103 バスター
- ZGMF-1000/A1 ガナーザクウォーリア
- ZGMF-1001/M ブレイズザクファントム(専用機)
- ZGMF-1001/M ガナーザクファントム (コミックボンボン版のみ)