サラエボ
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サラエボ(Sarajevo, サライェヴォ)は、ボスニア・ヘルツェゴビナ及びボスニア・ヘルツェゴビナ連邦の首都。標高約500mの高地に位置する。人口は1991年に約45万人、1993年の調査で約50万人である。
オーストリア・ハンガリー帝国の皇位継承者フランツ・フェルディナントとその妃ゾフィーが訪問中の1914年6月28日、セルビア人青年に射殺されたサラエボ事件と、1984年に開催されたサラエボオリンピックで世界に名前を記憶されている。
目次 |
[編集] 歴史
- 主要記事:History of Sarajevo
サラエボの位置する盆地はアドリア海とバルカン半島内陸部を結ぶ交通の要衝で、資源も豊かであり、紀元前3世紀から人が居住していた。
15世紀末、ボスニア地方を併合して属州としたオスマン帝国は、ボスニア県(のちに州に昇格)支配の拠点として盆地内の、それまで小さな砦しかなかったミリャッカ川沿いのヴフルボスナの地に町を建設。16世紀前半にボスニア県知事ヒュスレヴ・ベイがモスクなどのイスラム教の宗教施設やバザールなどの公共施設を建設し、ボスニアの首都、商業の中心都市に発展した。サラエボ(Sarajevo)の都市名はトルコ語で「宮殿のある平地」を意味する「サライ・オヴァス(Saray Ovası)」に由来する。
ボスニアの多くの人々がイスラム教に改宗した結果、サラエボはバルカン半島におけるイスラム教・イスラム文化の中心都市となった。1908年にボスニアがオーストリア・ハンガリー帝国に併合された後も、数多くのイスラム教徒が住む町で、多くの優れた建築遺産を有する、オスマン時代の面影を残した都市である。1984年には冬季オリンピックが開催され、共産圏初の冬季オリンピック開催地となった。
しかし、1992年に始まったボスニア内戦によって、甚大な被害を受けた。現在も内戦の爪痕は深く残っており、多く残る破壊された建物が内戦のすさまじさを物語っている。
[編集] 経済
- 主要記事:Economy of Sarajevo
サラエボは、ボスニア・ヘルツェゴビナにおいて最も経済的に発展している地域の一つであり、他の主要都市と同様に製造業と観光業が中心である。また、様々なレベルの地方政治の中心として、多くのサラエボ市民が行政府で働いている。サラエボには、国際的国内的な企業がいくつかあり、経済安定に貢献している。
[編集] 文化
- 主要記事:Culture of Sarajevo
[編集] 行政
サラエボには、サラエボという単一の自治体は存在しない。ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦のサラエボ県に属する基礎自治体のうち、ツェンタル、ノヴィ・グラド、ノヴォ・サラエボ、スタリ・グラドの4つの自治体はサラエボの一部と見なされている。このほかに、サラエボの市域の一部はスルプスカ共和国にも及んでおり、サラエボはスルプスカ共和国の憲法上の首都である(事実上の首都となっているのはバニャ・ルカ)。
[編集] 交通
[編集] サラエボ出身の人物
- ウラジミール・プレローグ - 化学者
- エミール・クストリッツァ - 映画監督
- ゴラン・ブレゴヴィッチ - 作曲家
- アリヤ・イゼトベゴヴィッチ - 政治家
- ブランコ・ツルヴェンコフスキー - マケドニア共和国大統領。
- ボリス・タディッチ - セルビア大統領。
- イヴィツァ・オシム - サッカー選手、元日本代表監督。
- ヤドランカ - サラエボオリンピックで公式テーマ曲を歌った歌手。 現在日本在住。
[編集] 姉妹都市
サラエボは以下の姉妹都市を有している:
[編集] サラエボが登場する作品
- 短編小説『サラエボの鐘―1920年の手紙』(イヴォ・アンドリッチ) 1946年
- 短篇映画『たたえられよ、サラエヴォ』(ジャン=リュック・ゴダール監督) 1993年
- 映画『ユリシーズの瞳』 1996年
- ドキュメンタリー映画『エグザイル・イン・サラエヴォ』 1997年
- 映画『ウェルカム・トゥ・サラエボ』 1997年
- 映画『パーフェクト・サークル』 1997年
- 映画『アワーミュージック』(ジャン=リュック・ゴダール監督) 2004年
- 映画『サラエボの花』(ヤスミラ・ジュバニッチ脚本/監督)2005年
- 映画『ハンティング・パーティ』(リチャード・シェパード監督)2007年
[編集] 外部リンク
冬季オリンピック開催都市 |
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