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結婚 - Wikipedia

結婚

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

欧米の結婚式で結婚誓約書に署名をしているところ
欧米の結婚式で結婚誓約書に署名をしているところ
「結婚」という言葉は、結婚式を挙げること(夫婦になる瞬間)だけでなく、夫婦となってからの二人の関係性、その関係で継続的に過ごす年月なども含めて指している。結婚生活などとも言う。
「結婚」という言葉は、結婚式を挙げること(夫婦になる瞬間)だけでなく、夫婦となってからの二人の関係性、その関係で継続的に過ごす年月なども含めて指している。結婚生活などとも言う。
タイ人の結婚の一例
タイ人の結婚の一例
カトリック信者の秘跡としての結婚。ミサの中で行われ、ワインを飲んでいる。正教会では機密として扱われる。
カトリック信者の秘跡としての結婚。ミサの中で行われ、ワインを飲んでいる。正教会では機密として扱われる。
近代の結婚証明書(Marriage Certificate)の一例(1869年の本に掲載されたもの)
近代の結婚証明書(Marriage Certificate)の一例(1869年の本に掲載されたもの)
王族の結婚の一例。ルイ14世とマリー・テレーズ・ドートリッシュの結婚(1660年)。王族では「Arranged marriage」や「政略結婚」などとされるものがさかんに行われた
王族の結婚の一例。ルイ14世マリー・テレーズ・ドートリッシュの結婚(1660年)。王族では「Arranged marriage」や「政略結婚」などとされるものがさかんに行われた
フランスの中世の貴族の結婚が描かれた1430年ごろの本
フランスの中世の貴族の結婚が描かれた1430年ごろの本
近年では同性同士の結婚が合法的に認められる国もあり、結婚の概念や「夫婦」の概念にも広がりが見られる
近年では同性同士の結婚が合法的に認められる国もあり、結婚の概念や「夫婦」の概念にも広がりが見られる
World homosexuality laws。ゲイに関する地図。濃緑色が同性の合法的結婚が認められている国(→同性結婚の項が参照可)
World homosexuality laws。ゲイに関する地図。濃緑色が同性の合法的結婚が認められている国(→同性結婚の項が参照可)

結婚(けっこん)とは、主に男女が夫婦になること。婚姻(こんいん)ともいう。あるいは夫婦間の結びつきのこと。 ※結婚の際の儀式は結婚式を参照。

目次

語源

「結婚」という言葉は、明治時代に作られた。普段われわれが使う意味は成人男女が夫婦になることを指しているが、英語の「marry」を翻訳する際に対訳語としての日本語がなかったために作られた、と考えられる。 一神教の国では成人男女が夫婦になる場合、神の許しを得る儀式が必要となる。神との誓約を行い、その結果認められたものが夫婦となることを「marry」という。それまでの日本人は神との誓約をしないまま夫婦になっていた。古い日本語としては「婚姻」や「婚礼」、「祝言」など夫婦になることを示す言葉はあったが、それでは「marry」の意味と異なっていた。そのような背景から明治時代に作られた言葉であり、神の許しを得て成人男女が夫婦になるという意味があった。しかし、そのことを正確に記している辞書も言語学者もいなかった。新しい言葉であるにもかかわらず、由来も意味も曖昧なまま今日に至っている。神前結婚式はそのような背景から作られたものである。

定義

結婚の定義はいくつかある。

広辞苑では「婚姻」の定義として、「結婚すること」とした上で、「夫婦間の継続的な性的結合を基礎とした社会的経済的結合で、その間に生まれた子が嫡出子として認められる関係」としている。[1]

日本においては、婚姻届を出し戸籍に記載される婚姻(”籍を入れる”)を結婚と定義することもある。

その他にも以下のような要素に着目した様々な定義のしかたがありうる。

  • 社会的結びつき
  • 経済的結びつき
  • 人間的結びつき
  • 法的正当性

これらの根底にあるものは「契約」という概念である。親子の関係はタテの関係であり、生まれたら自動的に関係付けが発生し、原則的に一生の間不変である。一方、結婚というのはが結びつくヨコの関係であるとされる。一般的に血縁関係にない男女であるので、結び付きは契約的になる。したがって、結婚の解消というものがあり、これを離婚という。 ただし、一部の国または地域では、男性同士や女性同士の同性結婚も法的に認められている。

結婚は必ずしも同居を伴わず、単身赴任等で離れて暮らしていても婚姻関係は成立する。つまり親族以外の両性の心理的繋がりが婚姻状態であると言える。また、内縁関係であっても、実際に夫婦関係が構築されているのであれば、結婚と同様に扱われるケースがある。

形態

制度上の種類

一夫一婦制
一人の男性に対して、一人の女性という結婚形態。近代国家はほぼこの婚姻制度を採用している。近代以前はしばしば妻のみに貞操義務を要求されたが、これは男性による女性の支配だとして多くの国で撤廃され、男女に貞操義務が課された。
一夫多妻制
一人の男性が複数の女性と婚姻関係を持ってよい形態。前近代においてはほぼすべての社会で実践されていた。現在でも中東のイスラム社会などに認められる。また、アメリカ合衆国モルモン教徒も近年までは、一夫多妻制を採用していた。ただしこの制度を採用している地域の男性住民のすべてが複数の妻を持っているわけではない。イスラム教の一夫多妻制は、イスラーム教の公式見解に従えば聖戦によって男性が戦死する可能性が高かったため、未亡人や遺児の生活を保障するために始められたとされる。複数の妻が持てるのは経済的な余裕のある男性に限られる。一夫多妻制は男性による女性支配の原因となっているとされているが、西ヨーロッパ・アメリカの知識人の中には自国の女性差別を隠蔽するためにこのことを取り上げるものもいるという批判もある。
一妻多夫制
一人の女性が複数の男性と婚姻関係を持つ形態。現在この結婚制度を正式に法的に採用している国はないが、チベットなどで妻が複数の兄弟を夫とする慣習がある。
集団婚
互いに特定の相手を定めない婚姻形態。19世紀の学問では、私有財産制度が発生する前の原始社会では広く行われていたと考えられていたが、最近の文化人類学考古学の知見からは、その存在が疑問視されている。
同性結婚
男と男、女と女が結婚すること。
日本国では制度上、婚姻届は受理されない。
オランダベルギースペインカナダ南アフリカでは認められている。また、同性カップルに結婚と同様の法的効果を認めている国に、デンマークノルウェースウェーデンフランスドイツフィンランドニュージーランドイギリスなどがある。

その他の種類

近親婚
血の近い者同士が婚姻関係を結ぶこと
交叉いとこ婚
事実婚(内縁)
婚姻届の提出など、制度上正式な婚姻とするためのことをしないものの、同居する、経済基盤を共にするなど結婚しているのと同様の関係を指す。
重婚
一夫一婦制の社会で、既に配偶者が居るのに他の者とも結婚すること。
通い婚
男が女の元に、あるいは女が男の元に通う形態。夫が妻の元に通う場合は妻問婚(つまどいこん)とも言う。源氏物語に見られるように、かつての日本でも見られた形態である。

宗教との関係

結婚はあらゆる地域で宗教と密接に関わっている。

キリスト教

  • [2]正教会では機密として扱われる。正教会では婚配機密といい、機密である為信徒同士でのみ行われる。神品 (正教会の聖職)の内、輔祭司祭は妻帯が可能であるが、輔祭になる前に結婚しなければならない。また神品の再婚は認められない。主教は修道司祭から選ばれるため、主教は独身者である。離婚は神品職を解かれるほどの重い罪であり、一般信徒も一定期間、領聖停止などの措置が取られる事になる[3]。しかし一般信徒の場合、配偶者の生存の如何には関係なく三回まで再婚が認められる場合もある(但し極めて稀)。
  • [4]カトリック教会では秘跡として扱われる。正教会と同様に結婚の秘蹟は信徒同士で行われる事が原則であるが、教会によっては非信徒と信徒、または非信徒同士の結婚式を執り行う場合がある。カトリック教会では、離婚した配偶者が生存中の再婚は認められていない。カトリックの聖職者の結婚は生涯に渡って認められず、結婚すると聖職を追われる[5]
  • 聖公会では主教も含めた聖職者も結婚および妻帯が可能であり、妻帯した主教も数多く存在する。また正教会と違い、執事・司祭となった後でも結婚が可能である。
  • プロテスタントの中でもバプテスト会衆派では、会衆(教会員・信者)の同意により、神の導きと見なし結婚が成立する。比較的離婚には、柔軟である(というより、人によって考え方がバラバラである)。

イスラーム

イスラームでは婚姻は伝統的に契約として処理されている。男性は女性に婚資金(マフル)を支払い、結婚する。古典イスラーム法では、ムハンマドの妻アーイシャが9歳でムハンマドと結婚し初夜の性行為を行ったというハディースに基づき、女性の結婚最低年齢は9歳である。男性の結婚最低年齢は13歳程度である。しかしイランなどを除く多くのイスラーム諸国では現在では15~18歳が結婚最低年齢である。

ユダヤ

ユダヤ教では結婚は神聖な行為と考えられ、未婚の男性は一人前とみなされない。結婚は神が人間を誕生させて最初に行った行為であるから、必ず結婚すべきであるとされている。今でも伝統を守る地域では男子は18歳になると結婚する。恋愛は行うべきだが恋愛はあくまで一時的なもので、結婚とは結び付かないものだと教えられている[6]

法律との関係

法定財産制

法定財産制として、夫婦の財産を共有する共有制、各自が財産を所有する別産制などがあるが、日本では別産制を採用している。米国では州によって異なり、たとえばカリフォルニア州では共有制を採用している。

離婚

夫婦間の婚姻状態を解消することを、離婚という。

詳細は離婚を参照

日本における結婚

日本の正式婚の数は、1978年以降、現在に至るまで年間70万件台を維持している[7]

婚姻の成立

日本法民法)は、婚姻の成立に法律上の手続を要求する法律婚主義を採用している(民法739条)。実質的要件として当事者の婚姻意思の合致及び婚姻障害事由の不存在が必要とされる。また、形式的要件として戸籍法に基づく届出が必要とされる。

婚姻意思の合致

婚姻には、まず実質的要件として婚姻意思の合致が必要である。日本国憲法第24条1項は「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と規定する。「婚姻意思」とは何かという点については、婚姻という身分行為に必要な届出をなす意思であるとする形式的意思説もあるが、通説は婚姻届出を出す意思を有するとともに社会通念に従った生活共同体を創設しようとする意思をいうとしている(実質的意思説)。婚姻意思が存在しない場合(婚姻意思の欠缺)の婚姻は無効である(民法742条1号)。

婚姻障害事由の不存在

婚姻には民法に規定される婚姻障害事由(民法731条から737条)が存在しないことが必要である。婚姻障害事由のうち、民法731条から736条までの規定に違反した婚姻は不適法な婚姻として法定の手続に従って取り消しうる(民法第744条)が、民法737条違反については誤って受理されるともはや取り消し得ない(後述)。

日本における婚姻適齢は男性は18歳以上、女性は16歳以上である。婚姻適齢に達しない場合は婚姻障害事由となり民法744条により取り消しうる(不適齢者の取消しについては民法第745条に定めがある)。
婚姻適齢に達した未成年者は婚姻できるが、未成年者の婚姻には一方の親の同意が必要である。未成年者は婚姻により私法上において成年者として扱われる(民法753条)。通説によれば、この成年擬制の効果は年齢20歳に達する前に婚姻を解消した場合であっても失われないとされているので、初婚の解消後に再婚する場合には親の同意は必要とされない。
なお、未成年者の婚約については、未成年者(婚姻適正年齢外)であるからといって結婚をする約束(婚約)は無効にはならないという判例(大正8年6月11日大審院判決)もあるため、高校生同士が結婚の約束をしていたことが証明されるにいたった場合には法的効力をもつ婚約となることがありうる。
未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。父母の一方が同意しないとき、父母の一方が知れないとき、死亡したとき、又はその意思を表示することができないときは他の一方の同意だけで足りる。この同意がない場合には婚姻障害事由に該当することとなり婚姻届は受理されないが、婚姻障害事由のうち本条違反は取消原因として挙げられていないため(744条)、誤って受理されるともはや取り消し得ない。

戸籍法に基づく届出

婚姻には形式的要件として戸籍法に基づく届出が必要である。婚姻の届出をしない場合(婚姻届出の欠缺(けんけつ))の婚姻は無効である(民法742条2号本文)。ただし、その届出が739条2項に定める方式を欠くだけであるときは、婚姻はそのためにその効力を妨げられない(742条2号ただし書)。

婚姻の無効

婚姻意思の欠缺や婚姻届出の欠缺は婚姻の無効原因であり、また、婚姻の無効原因はこの二つに限られる(民法742条)。

詳細は婚姻の無効

婚姻の取消し

民法731条から736条までの規定に違反した婚姻(744条)、また、詐欺または強迫による婚姻(747条)は法定の手続に従って取り消しうる。これらは取消しであるから取り消されるまでは当該婚姻は一応は有効とされる。また、婚姻の取消しの効力には遡及効はなく、将来に向かってのみ効力を生ずる(748条1項)。

  • 婚姻取消事由及び取消権者(744条
  • 婚姻の取消しの効力(748条

婚姻の効力

夫婦同氏の原則

夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する(民法750条)。

同居・協力義務

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない(民法752条)。

婚姻による成年擬制

未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなされる(民法753条)。ただし、成年擬制の効果は私法領域に限られる(公職選挙法未成年者飲酒禁止法未成年者喫煙禁止法などの公法領域には及ばない)。

夫婦契約取消権

夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない(民法754条)。なお、夫婦関係が実質的に破綻している場合には形式的に婚姻関係にあっても夫婦契約取消権を行使することはできない(昭和42年2月2日最高裁判所判決)。

夫婦財産制

婚姻によって夫婦間に生じる財産関係、すなわち夫婦の財産の帰属・管理および生活費の負担などを規律する制度。民法756条以下により、婚姻届出前に契約によって定めることが認められている(契約財産制)。契約がない場合は法定財産制に従う(755条)。

契約財産制
契約財産制とは夫婦財産契約に基づく財産関係である。夫婦財産契約とは夫婦が婚姻の届出前にその財産関係についてなす契約であり、夫婦財産契約を定めた場合には法定財産制の適用はない(755条反対解釈)。日本で夫婦財産契約が締結される例は極めて少ないのが実情である。
法定財産制
法定財産制として、夫婦の財産を共有する共有制、各自が財産を所有する別産制などがあるが、日本では別産制を採用している。
婚姻費用の分担(760条
婚姻生活の費用は、夫婦の「資産、収入その他一切の事情を考慮して」分担する。
日常家事による債務の連帯責任(761条
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告して責任を免れることもできる。
夫婦間における財産の帰属(第762条
夫婦の一方が婚姻前から有する財産および婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(単独所有)となる(その管理も各自行うこととなる)。夫婦のどちらに属するか明らかでない財産は共有と推定する。

婚姻の解消

法律上、婚姻関係は夫婦の一方が死亡した場合、夫婦の一方が失踪宣告を受けた場合、離婚が成立した場合に解消される。

結婚に対する論争

ヨーロッパ

中世において、結婚の記録は教会の教区簿冊に頼っていた。そのため、キリスト教の影響力が弱くなる等によりキリスト教によらない結婚や事実婚が増えると、結婚の記録に不備が生じる。結婚記録の不備は特に相続の場面において社会問題となった。そのため、例えばイギリスは法律により国教会によらない結婚は結婚として認めず、違反者には重い罰金を科すなどの政策をとったことがある[8]

現代スウェーデンでは56%の人が未婚のまま出産する[9]。多くはそのまま生涯未婚を通す。フランスでも半数以上が未婚のまま出産を行っている[10]。こうした婚外子は年々増加しつつある。こうした中で結婚しなくても夫婦と同等の権利になれる制度が法的に定められ、あくまでこの範囲の中で夫婦として子育てを行い、本当に愛し合い一生連れ添いたいとお互い思った場合のみ結婚を行うという考えが一般的になりつつある。

アメリカ

アメリカでは結婚は一般的なものの、46%とほぼ2組に1組の高い離婚率を示しており、先進国ではトップに位置している[11]

日本

日本においては、先進国の中で比較すると、結婚は非常に一般的であるといえる。婚外子も僅か2%だが、未婚率は年々上昇し20代で結婚しない人の割合は1960年の9.9%から2000年には54%まで上昇している。生涯未婚率は上昇しているが相対的に低く、2000年では男性12.57%、女性5.82%となっている[12]

未婚化・晩婚化

平均結婚年齢は年々上昇し、未婚率も上昇しており、非婚化晩婚化が進んでいる。

要因として、一般的には女性の高学歴化や社会進出(賃金労働者化)などが言われている。山田昌弘は、「男性の収入の不安定化」「女性の専業主婦志望」をあげている[13]

男性の収入の不安定化

男性は収入が低く、将来の見通しが不安定だと、結婚率が低くなる(女性の場合は、年収と結婚率に相関関係はみられない)[14]。この現象は、1980年代から零細農家や小規模商店の男性が結婚できないという形で徐々に現れていたが、政府・自治体やマスコミでは「低収入の男性を差別することになる」としてタブー視され、触れられなかった[13]

1990年代までは、大多数の男性は年功序列制度により、若い間は収入が低くても将来収入が増える見通しがあり、収入及び将来が不安視されることはなかった。だが、1990年代に入り、ニューエコノミーへの転換、グローバル化の進展に伴い社会構造が変化した結果、少数の正社員と多数の非正社員が必要な状況へと変わっていった。この結果、多数の男性がフリーターなどの収入が低く、将来の見通しが不安定な状態になり(またそこから抜け出すことができず)、結婚しづらい状況となった[13]

女性の専業主婦志望

専業主婦を志望する女性にとっては男性の収入が低く、将来の見通しが不安定だと結婚相手として認識しづらくなる[15]。ただし、女性の専業主婦志望は、フェミニスト、反フェミニスト双方にとって都合が悪く、双方から圧力がかかるため、要因として挙げづらいという[13]

  • フェミニスト側:「女性が(仕事など)社会で活躍できる機会を求める」という立場を取っているため、女性自らが仕事を辞め主婦になることを望んでいるということになると「活躍できる機会を求める」必要が無くなってしまう
  • 反フェミニスト側:「女性が社会進出した結果、未婚化、少子化が進んでいる」という立場を取っているため、実は女性が社会進出をそんなに望んでいないとなれば、自分たちは見当外れのことを言っていたことになり、振り上げた拳を降ろす先が無くなってしまう

「結婚後も面白い、やりがいのある仕事を続けたい女性はいる」という反論もあるが、上述したように社会の構造が少数の正社員と多数の非正社員が必要な状況へと変化しており、定型的、単純な作業をしている多数の非正社員は、「面白く、やりがいのある仕事」をしておらず、結婚を機に楽な専業主婦になりたい人の方が多い[13]

ただし、「専業主婦となっても生活水準を維持できるだけの収入がある男性」は少なく、低収入の男性が結婚相手として選んでもらえないという言い方をするならば、専業主婦となることを望む女性もまた、少数の高収入の男性に選ばれる立場になっているという言い方もできる[13]

親への肯定感の欠如

日本では、婚外で子をもうけることへの抵抗感が根強く、結婚は子供を生むための前提として考えられる傾向がある。結婚や子供を作ることを志向する独身者は、自分の親に対する尊敬の念があり、親への肯定感が強い。逆に親への否定感が強いと結婚を忌避する傾向がある。

統計

日本の平均初婚年齢の推移

(厚生労働省統計情報部『人口動態統計』より)

男性(才) 女性(才)
1950年昭和25年) 25.9 23.0
1960年(昭和35年) 27.2 24.4
1970年(昭和45年) 26.9 24.2
1980年(昭和55年) 27.8 25.2
1985年(昭和60年) 28.2 25.5
1990年平成2年) 28.4 25.9
1995年(平成7年) 28.5 26.3
2000年(平成12年) 28.8 27.0
2005年(平成17年) 29.8 28.0

表現に関して

結婚することを俗に「籍を入れる」と言ったり、特にマスコミなどでは「入籍」と表現する場合があるが、この意味での「入籍」は、戸籍法上の「入籍」とは意味が異なる。俗に言われる「籍を入れる」・「入籍」は、単に「婚姻届を提出することで、が同じ籍になる」という意味である。

これに対し戸籍法上の「入籍」とは、既にある戸籍の一員になることである。既にある戸籍とは筆頭者が存在する戸籍であり、これに入るには筆頭者の配偶者になるか、子(養子含む)として戸籍に加えられるしかない。結婚は、戸籍法上では初婚の場合(分籍をしていなければ)、婚姻届が受理されることにより、元々お互いが入っていた親の戸籍から離れて新しく戸籍が作られ、そこに2人が構成される。その為、このケースでは戸籍法上の「入籍」とは言わない。ただし、離婚や分籍の前歴があれば当人が筆頭者であるため、その戸籍に配偶者を迎え入れればこれは戸籍法上の「入籍」と呼ぶことも出来るが、一般的ではない。

なお、まれに「婚姻届」ということを、「入籍届」と表現されることがあるが、入籍届は離婚時に子が別の(基本的には非筆頭者側の)戸籍に入るための届出書であり、婚姻届とは全くの別物である。

脚注

  1. ^ 婚姻 — 広辞苑
  2. ^ 正教会にわくわくの好奇心を抱いておられる方に(結婚式について) - 名古屋ハリストス正教会
  3. ^ これは懲罰的措置ではなく精神的治療に必要な期間とされている
  4. ^ カトリック教会の結婚観 - 東京大司教区
  5. ^ 聖職者の性行為も罪であるとされ、少年信者に対する性的虐待が問題となっている(カトリック教会の性的虐待事件を参照)
  6. ^ ユダヤの力(パワー)―ユダヤ人はなぜ頭がいいのか、なぜ成功するのか! (知的生きかた文庫) 加瀬 英明 著
  7. ^ 『現代用語の基礎知識』(自由国民社)
  8. ^ 『近代統計制度の国際比較』安本稔編集 2007年12月 日本経済評論社 ISBN9784818819665
  9. ^ http://www.kanshin.com/diary/1050078
  10. ^ http://bavarde.exblog.jp/118464
  11. ^ http://www.riconavi.com/page008.html
  12. ^ 総務省統計局「国勢調査」
  13. ^ a b c d e f 『新平等社会』著:山田昌弘 文藝春秋 2006年9月
  14. ^労働政策研究報告書No.35「若者就業支援の現状と課題―イギリスにおける支援の展開と日本の若者の実態分析から―)」独立行政法人労働政策研究・研修機構
  15. ^下流社会』著:三浦展 光文社 2005年9月

関連項目

ウィキメディア・コモンズ
ウィクショナリー
ウィクショナリー結婚の項目があります。
ウィキクォート
ウィキクォート結婚に関する引用句集があります。

参考文献

  • ゼクシィ編集部『結婚準備きちんとブック』メディアファクトリー、2002年4月 ISBN 4840105634
  • 「いちばんシアワセ」作成委員会『人もうらやむ結婚大成功マニュアル―婚約・挙式・披露宴・二次会・ハネムーンから新生活まで幸せになるためのけっこん最低「予備」知識』双葉社 2002年11月、ISBN 4575712280
  • 加藤秀一『恋愛結婚は何をもたらしたか』 ちくま新書 筑摩書房 ISBN 4480061878
  • ジョン・R・ギリス 北本正章 訳『結婚観の歴史人類学』勁草書房 ISBN 4326601922

外部リンク


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