欧州議会
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欧州連合の議会 欧州議会 - 欧州議会章 本会議場(ストラスブール)、事務局本部(ルクセンブルク)、会議場・事務局支部(ブリュッセル) |
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議会の種類 | |
上院 | |
下院 | |
議長 | 第-代 : ハンス=ゲルト・ペテリング(欧州人民党・民主主義グループ) |
副議長 | |
成立年月日 | 1952年 |
所在地 | 〒- 本会議場 - フランス、アルザス地域圏バ=ラン県、ストラスブール 事務局本部 - ルクセンブルク、ルクセンブルク市 会議場・事務局支部 - ベルギー、ブリュッセル |
任期 | 5年 |
定数 | 785 |
選挙制度 | |
議会運営 | |
公式サイト | European Parliament |
シンボル |
欧州連合 |
---|
欧州理事会 |
欧州連合理事会 |
欧州委員会 |
欧州司法裁判所 |
欧州投資銀行 |
欧州中央銀行 |
基本条約 |
欧州議会 |
政党・会派 |
選挙 |
加盟国 |
目次 |
[編集] 概要
欧州統合の過程において、EUでは最高意思決定機関として加盟国の首脳からなる欧州理事会、立法機関として加盟国の閣僚からなる欧州連合理事会、行政執行機関として加盟国から委員が1人ずつが選ばれる欧州委員会が存在する。これらの機関に対して、欧州市民の代表として統制する機能を担うのが欧州議会である。そもそも欧州議会は欧州連合理事会に対して諮問的役割に甘んじてきた経緯があり、また欧州議会の議員も、加盟各国の議員が兼ねていたことから、与えられた権限はごく限られたものだった。ところが1979年に欧州議会の直接選挙が実施されて以降、近代議会の発展に倣うように、単一欧州議定書では欧州連合理事会との協力手続きが導入され、さらにマーストリヒト条約では共同決定手続きが可能となるなど、EU基本条約改正のたびに、立法権限を強化している。実際において、現在では例外的に残っている諮問手続きにおいてさえ、欧州議会の意見が前提となっていて、欧州議会が関与しない立法は事実上存在しないといってよいほどである。また発効が断念された欧州憲法では、欧州議会はEUにおける代表民主制の体現者として、欧州連合理事会とともに共同立法権者としての地位が明記されていた。
[編集] 名称
EUの公用語は加盟各国の公用語であり、それぞれの言語で欧州議会の正式名称が定められている。したがって欧州議会の正式名称は2007年1月1日現在、23の言語で以下のとおりに表される。
- ブルガリア語:Европейски парламент
- チェコ語:Evropský parlament
- デンマーク語:Europa-Parlamentet
- ドイツ語:Europäisches Parlament
- エストニア語:Euroopa Parlament
- ギリシア語:Ευρωπαϊκό Κοινοβούλιο
- 英語:European Parliament
- スペイン語:Parlamento Europeo
- フランス語:Parlement européen
- アイルランド語:Parlaimint na hEorpa
- イタリア語:Parlamento europeo
- ラトビア語:Eiropas Parlaments
- リトアニア語:Europos Parlamentas
- ハンガリー語:Európai Parlament
- マルタ語:Parlament Ewropew
- オランダ語:Europees Parlement
- ポーランド語:Parlament Europejski
- ポルトガル語:Parlamento Europeu
- ルーマニア語:Parlamentul European
- スロバキア語:Európsky parlament
- スロベニア語:Evropski parlament
- フィンランド語:Euroopan parlamentti
- スウェーデン語:Europaparlamentet
[編集] 沿革
欧州議会は当初、欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)における共同総会として設置された。議員は加盟国の国会議員の中から78人が互選され、権限の影響力は共同体の意思決定に対して限定されたものだった。その後統合が深化し、また加盟国や領域が拡大するにつれて議席数は増加し、権限も強化されていった。
- 1952年 - ECSCにおける共同総会(Common Assembly)として創設される。(議席数:78)
- 1957年 - ローマ条約締結。翌年設立される欧州経済共同体(EEC)、欧州原子力共同体(Euratom)と共通の機関となることが決まる。(議席数:142)
- 1962年 - 欧州議会(European Parliament)の名称が使われるようになる。
- 1973年 - 欧州共同体(EC)にデンマーク、イギリス、アイルランドが加盟する。(議席数:198)
- 1976年 - 直接選挙の導入に関する議定書が制定される。
- 1979年 - 初の直接選挙が実施される。総会がストラスブールで開催され、直接選挙となって初の議長にフランスの元保健相シモーヌ・ヴェイユが選出される。(議席数:410)
- 1981年 - ECにギリシャが加盟する。(議席数:434)
- 1986年 - ECにスペインとポルトガルが加盟する。(議席数:518)
- 1987年 - 単一欧州議定書の発効により欧州議会(European Parliament)が正式名称となる。
- 1992年 - マーストリヒト条約締結。翌年のEU発足が決まる。
- 1994年 - ドイツ再統一後初となる第4回選挙が実施される。(議席数:567)
- 1995年 - EUにオーストリア、フィンランド、スウェーデンが加盟する。(議席数:626)
- 2004年5月 - EUにキプロス、チェコ、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、マルタ、ポーランド、スロバキア、スロベニアが加盟する。(議席数:788)
- 2004年6月 - 第6回選挙が実施される。(議席数:732)
- 2007年 - EUにブルガリアとルーマニアが加盟する。(議席数:785)
- 2009年 - 第7回選挙が予定されている。(議席数:732)
[編集] 所在地
欧州議会は本会議場をストラスブール、事務局本部をルクセンブルク市に置くほか、欧州委員会や欧州連合理事会との連携もあって、ブリュッセルで総会の一部や委員会を開き、また事務局の支部を置いている。それぞれの所在地は1992年12月にエディンバラで開かれた欧州理事会で採択された議定書(エディンバラ議定書)で定められており[1]、とくに総会は本拠地であるストラスブールで1年に12回開かれることが含まれ、その後1997年締結のアムステルダム条約においてもそのことが確認されている[2]。
[編集] 本拠地をめぐる論争
これまでに欧州議会では欧州連合理事会や欧州委員会との連携を考え、ブリュッセルでの総会開催を集中させようとする動きがあった。しかしこれには欧州議会の機能が他国に移ってしまうとEUの主要機関がなくなってしまうフランスが強く反対している。1985年に欧州議会はブリュッセルに新たな欧州議会のビルを建設する決議を可決したが、フランスは欧州司法裁判所に対してこの決議を無効とするよう求めて訴訟を起こした[3]。この事案は却下され、欧州議会は1997年までにブリュッセルに3棟のビルを完成させている。しかし1995年、欧州議会はストラスブールでの翌年の総会開催を12回から11回に減らすことを決定し、この決定を不服としたフランスはこの決定の取消を求めて再度欧州司法裁判所に提訴した。欧州司法裁判所は1997年に判決を下し、エディンバラ議定書にあるとおり、総会はストラスブールで年12回開催されなければならないとした[4]。この判決は欧州議会の自己組織権を制限するものであり、また言い換えるとストラスブールで年12回の総会が開かれればよいというもので、ブリュッセルでの総会開催を制限するものではない。仮にストラスブールで年12回の総会開催を維持する一方で、ブリュッセルでの開催頻度を上げれば、相対的にストラスブールの本拠地としての地位は下がりかねないことになる。それでもブリュッセル・ストラスブール間の移動や議場にかかるコストを削減するために、本拠地を移転・集中させるべきだという主張が根強く残っている[5]。
[編集] 権限
欧州議会は当初、あくまでECにおける諮問機関として意見表明しか行うことができず、欧州議会の意見は実質上唯一の立法機関である欧州連合理事会を拘束することはできなかった。しかしその後のEU基本条約により、欧州議会の欧州連合理事会に対する権限は拡充され、EUでの立法過程において欧州議会の拘束力は次第に強まっていった。
[編集] 立法権
欧州連合の立法手続きも参照
欧州議会は欧州連合理事会の立法過程に対して意見表明を行って関与する程度に過ぎないが、その意見表明は事案により欧州連合理事会を拘束する。
- 諮問手続き
- 諮問手続きとは欧州連合理事会から諮問を受けた法案に対して、拘束力のない意見を表明する手続きのことであり、共通農業政策全分野[6]、租税に関する規定[7]などで用いられる。欧州議会が創設されてから有する手続きである。欧州連合理事会と欧州議会との意思が相反することが起こりえるが、このとき欧州連合理事会は欧州議会の意思に従う必要はない。ただし欧州連合理事会は欧州議会に対して意見を聴取しなければならず、これを怠った法規は重要な手続き上の要件に反するため無効となる。
- 協力手続き
- 協力手続きにおいて欧州議会が絶対多数で反対した法案について、それでも欧州連合理事会がその法案を採択するには、全会一致であることが求められる[8]。単一欧州議定書で導入された手続きだが、その後のアムステルダム条約で対象となる規定は後述の共同決定手続きを要するものに変更され、現在では経済通貨統合に関する規定[9]のみが対象となっている。
- 共同決定手続き
- 共同決定手続きにおいて欧州議会が絶対多数で反対した法案は、欧州連合理事会はもはやこれを採択することはできなくなる[10]。つまりEU市民を直接代表する欧州議会は、加盟各国の閣僚からなる欧州連合理事会が定めようとする法規を阻止することができるようになったということであり、これはEUの立法過程に民主的な関与が増大したことを意味する。共同決定手続きはマーストリヒト条約で導入されたが、その後のアムステルダム条約、さらに2001年締結のニース条約により対象となる法案は増加した。
[編集] 予算審議
EUの予算における支出には義務的支出と非義務的支出とがある。前者は共通農業政策など、条約や法律により義務とされている支出で、後者は構造基金や環境政策など、義務とされていない支出で、欧州議会は後者の支出に関する決定権を有する[11]。また欧州議会は予算案を全体として拒否する権限を有しており、過去に1979年と1984年に拒否権を発動している。この拒否権の発動には全議員の過半数かつ投票総数の3分の2の同意を要する。また予算の執行状況について欧州議会は欧州委員会に対して監督する権限を有している。
[編集] 承認
同意手続きも参照
EUにおいては、非加盟国のEU新規加盟[12]や、EUの基本原則に違反している加盟国に対する制裁が科されようとするとき[13]には、欧州議会の承認を要する。また第三国や国際機関との協定締結にあたっても欧州議会の承認を要する。
[編集] 政治的監督
欧州議会は欧州委員会にして政治的に監督する権限を有する。欧州委員会の新体制発足にあたっては、欧州理事会が指名した欧州委員会委員長候補を承認することと、欧州連合理事会と欧州委員会委員長候補が共同で指名した新欧州委員会を全体として承認すること[14]である。また発足後も欧州委員会に対しては、投票数の3分の2かつ全議員の過半数で不信任決議を採択し、委員会を総辞職させることができる[15]。このほかEU諸機関や加盟国、個人がEU法に反していると疑われるときには、欧州議会は調査委員会を設置することができる[16]。さらに、欧州委員会や欧州連合理事会の行為に対して、欧州議会は欧州司法裁判所に取消訴訟や不作為訴訟を提起することができる[17]。これは欧州議会もまた自らの違法行為や不作為について訴訟を提起される。
[編集] 過去の例
- バローゾ委員会の承認
- 2004年に発足したバローゾ委員会の承認に際して行われた聴聞会では、一部の委員候補が不適切であるとし、11月1日に発足する予定だった新体制が人事を修正するために遅れたということがある[18]。
- サンテール委員会の総辞職
- これまでに欧州委員会に対する不信任決議が採択されたことはないが、1999年1月14日にサンテール委員会の不正疑惑や職務怠慢に対して、欧州議会で不信任決議案が提出されたが、必要な票数が集まらなかったため採択には至らなかった。その後、不正疑惑を調査していた専門家による調査委員会からの報告で、欧州委員会による不正融資や縁故採用が指摘されたことを受け、同年3月15日にサンテール委員会は総辞職した[19]
- 旅客の個人情報の提供に関するアメリカ合衆国との協定
- アメリカ合衆国では、同国を離発着する航空機の旅客情報について、航空会社に対して開示義務を課す法律が2001年11月に制定されているが、これはEUの個人情報保護法令に抵触する疑いがあり、欧州委員会とアメリカ政府はこの件について協議した。その結果両者間で合意がまとまり、協定が締結されることになった。欧州連合理事会はこの協定締結を承認し、2004年5月28日に協定締結、即日発効した[20]。ところが欧州議会はかねてよりこの協定の適法性について疑問を抱いており、欧州委員会と欧州連合理事会の決定を無効とするよう欧州司法裁判所に訴訟を提起した。2006年5月30日欧州司法裁判所は、欧州委員会と欧州連合理事会の決定は法的根拠を欠くという判断を下した[21][22]。
[編集] 法案提出権
法案提出権は原則として欧州委員会が有しており、欧州議会は統一的な選挙手続きの法案を提出する権限のみ有している。欧州議会は欧州委員会に対して法案提出を要請することができるが、この要請には拘束力はない。
[編集] オンブズマン
欧州議会はオンブズマン1名を任命することができる。オンブズマンはEU諸機関の不正な職務行為を調査する権限が与えられている。またEU市民はEU諸機関の行為についてオンブズマンに直接または欧州議会議員を通して苦情を申し立てることができる。このオンブズマン制度はマーストリヒト条約の発効を受けて創設されたものであり、オンブズマンは完全に独立した立場であることが求められ、いかなる職と兼ねることはできない。
[編集] 組織
[編集] 本会議
本会議は通常1回の会期を4日間とし、8月以外の毎月1回ストラスブールにおいて開かれる。また本来8月に行われる本会議は他の月に行うことで、年12回の本会議を開催することになる。このほか会期を2日間程度とする会議を年数回、ブリュッセルで行う。本会議では各委員会で討議されたEU指令案や規則案に関する報告書の審議や、EU域内および国際情勢に関する問題を討議し、決議・勧告等を採択する。定足数は議員総数の3分の1以上であり[23]、決議は原則として挙手または電子投票による多数決[24]だが、事案によっては議員総数の過半数を要する多数決が実施される。
[編集] 役職
欧州議会は議員の中から、有効投票数の過半数を獲得した1名を議長に選出する。議長の任期は2年6か月で、議会を対外的に代表する。現在の議長は23代目で、ドイツ出身のハンス=ゲルト・ペテリングが2009年6月の欧州議会改選まで務める。このほか副議長14名、財務担当議員5名が選出され、議会運営や財政上の問題に対応する。
[編集] 委員会
委員会は行政執行機関である欧州委員会から提案された指令案や規則案、予算案を審議し、本会議に報告する。委員会には政策分野別に20の常任委員会があり、それぞれの委員会は28人から86人の議員で構成されている。このほか暫定委員会が設置されることもある。委員会は月に1-2回、主にブリュッセルで開会されており、ときには欧州委員会の担当委員からの聴取や専門家を交えた公聴会が開かれることもある。
[編集] 事務局
事務局には事務総長以下およそ5000人の職員が勤務しており、議長官房以下8つの総局に分かれている。主な業務は本会議や委員会の運営や、外国の議会との交流、広報活動だが、とくに欧州連合の持つ23の公用語間の翻訳作業は他の国際機関と比べて特徴的なものであり、職員のおよそ3分の1は翻訳作業に従事している。
[編集] 議員
詳細は欧州議会議員を参照
欧州議会の前身である共同総会の議員は、加盟国の国会議員が互選により選出され務めていた。その後1976年9月に採択された直接選挙の導入に関する議定書により、議員を直接選挙で選出することが決まり[25]、1979年6月に第1回選挙が実施された。またその後のマーストリヒト条約ではEU市民権(Citizenship of the European Union)の概念を採り入れ、EUに対する市民の政治参加が保証されている。
[編集] 選挙制度
欧州議会議員選挙も参照
直接選挙の導入に関する議定書には、比例代表制で選出すること、選挙期間は特定の週の木曜日から日曜日までとすること、18歳以上の市民に選挙権を付与する、などの原則が謳われており、幾度の修正を受けたローマ条約においては、普通・直接選挙の実施、各加盟国の議席数、議員の任期(5年)が定められているが[25]、具体的な選挙運営は加盟国の規定に任されている。すなわち欧州議会議員選挙の制度は、直接選挙の導入に関する議定書およびローマ条約に定められた共通の原則(欧州議会はこれを「有権者との親密さ」と「比例代表制」としている)に基づいていれば、実際の選挙は加盟各国の裁量に委ねられている。例えばベルギーやイタリアなどでは地域単位で選挙区を設けて、その中で比例代表制で選出している一方で、スペインやデンマークなどでは全国単位で選挙を実施しており、また選挙権は18歳以上に付与されているが、被選挙権は加盟国ごとに異なっている。なお直接選挙の導入に関する議定書では欧州議会議員との兼職を禁止されている者が定められており、例えば以下に挙げる者が該当する。
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このほか、各国で欧州議会議員との兼職を禁止する規定を作ることができる。特に各国の国会議員との兼職についてはこれまでに大きく議論されている。
[編集] 待遇
従来欧州議会の議員に対する待遇は統一的に定められておらず、各国の議員とほぼ同様のものとなっていた。そのため議員の出身国間で議員に支払われる給与に格差が生じていたが、2005年6月に欧州連合理事会において欧州議会議員の給与体系の統一が正式に了承された。また欧州議会は議員に対して、日当や旅費、事務用品費などを支給している。このほか議員に対する特権として、各国議員が享受している特権にEU諸機関の職員と同様の待遇が受けられ、特に加盟国間での移動では議員パスが発行され、過去に国外退去処分を受けていても入国を拒否されることがなく、他の書類を必要としないというものがある。
[編集] 対外交流議員団
欧州議会には33の対外交流議員団があり、1つの議員団はおよそ15人からなる。これらの議員団は諸外国の議会の議員との交流に努めており、交流する相手により4つに大別される。すなわち、ロメ協定により特別な貿易や援助関係を持つアフリカ・カリブ海・太平洋諸国との議会合同会議、歴史や地理的、文化的に密接な関係を持つ地中海沿岸諸国との合同会議、将来の加盟を視野に入れたEUと協定を結んでいるヨーロッパ諸国との議会間合同委員会、その他特に経済的に関係を持つ諸国との対外交流議員団がある。
[編集] 議席数
国 | 2007年 第5次拡大時 |
2009年 第7回選挙時 |
国 | 2007年 第5次拡大時 |
2009年 第7回選挙時 |
---|---|---|---|---|---|
ドイツ | 99 | 99 | オーストリア | 18 | 17 |
フランス | 78 | 72 | ブルガリア | 18 | 17 |
イタリア | 78 | 72 | デンマーク | 14 | 13 |
イギリス | 78 | 72 | フィンランド | 14 | 13 |
スペイン | 54 | 50 | スロバキア | 14 | 13 |
ポーランド | 54 | 50 | アイルランド | 13 | 12 |
ルーマニア | 35 | 33 | リトアニア | 13 | 12 |
オランダ | 27 | 25 | ラトビア | 9 | 8 |
ベルギー | 24 | 22 | スロベニア | 7 | 7 |
ギリシャ | 24 | 22 | キプロス | 6 | 6 |
ポルトガル | 24 | 22 | エストニア | 6 | 6 |
チェコ | 24 | 20 | ルクセンブルク | 6 | 6 |
ハンガリー | 24 | 20 | マルタ | 5 | 5 |
スウェーデン | 19 | 18 | 合計 | 785 | 732 |
欧州議会の議席数は、EUの拡大とともに増加してきた。しかし、議員が多すぎると議会の円滑な運営に支障をきたすという考え方から、アムステルダム条約で議席数の上限を700に制限された。その後ニース条約でこの上限は732に改められ[26]、2004年5月の東方拡大時に一旦議席数は788となるが、その1か月後に実施された第6回選挙で732議席まで削減された。2007年1月の第5次拡大完了時には、議員数は再び上限を超える785となったものの、2009年に実施を予定されている第7回選挙では再び732議席に戻る[27]。なおリスボン条約では議員数の上限を750としている。
[編集] 各国の配分議席数
欧州議会の加盟国別の議席配分は、基本的には人口に比例しているが、厳密なものではない。そのことにより、小さな加盟国の意見が強く反映されるという観点からすれば、国家主権の平等を考慮しているという利点もある。その一方で、人口に基づく比例分配がなされていないのは選挙の平等性に反するという批判(いわゆる1票の格差)がある。なおリスボン条約においては欧州議会における各国の議席の上限を96、下限を6としている。しかし現在上限を上回っている国としてドイツが、下限を下回っている国としてマルタがあるが、リスボン条約が発効した場合、これらの国の議席は同条約に基づいて調整されることになる。2007年の第5次拡大完了時点と2009年の第7回選挙でのEU加盟各国の配分議席数は 表1 のとおりである。
[編集] 政党・会派と議席数
欧州規模の政党も参照
欧州議会では、各国の保守政党(イギリス保守党・ドイツキリスト教民主同盟など)の連合である「欧州人民党・民主主義グループ」と各国の社会民主主義政党(イギリス労働党・フランス社会党・ドイツ社会民主党など)の連合である「欧州社会党」が二大勢力である。その他に各国の自由主義政党、緑の党、左派政党などが統一会派を組んでいる。 2007年1月1日における各政党・会派の議席数は 表2 のとおりである。
会派 | 議席 |
---|---|
欧州人民党・民主主義グループ (EPP-ED;Group of the European People's Party(christian Democrats)–European Democrats) |
277 |
欧州社会党 (PES;Group of the Party of European Socialists) |
218 |
欧州自由民主主義者連盟 (ALDE;Alliance of Liberals and Democrats for Europe) |
106 |
諸国民のヨーロッパ (UEN;Union for Europe of the Nations) |
44 |
欧州緑の党・欧州自由連盟 (Greens-EFA;European Greens–European Free Alliance) |
42 |
欧州統一左派 (GUE-NGL;European United Left–Nordic Green Left) |
41 |
独立と民主主義 (IND/DEM;Independence and Democracy) |
23 |
アイデンティティー・伝統・主権 (ITS;Identity, Tradition and Sovereignty) |
20 |
無所属 | 14 |
合計 | 785 |
[編集] 欧州議会に関連する人物
- ハンス=ゲルト・ペテリング - 現職(第23代)議長。
- マリア・デ・ルルデス・ピンタシルゴ - 元議長。元ポルトガル首相。
- オットー・フォン・ハプスブルク - 元ドイツ選出議員。ハプスブルク家当主。
[編集] 脚注
- ^ Decision taken by common agreement between the Representatives of the Governments of the Member States on the location of the seats of the institutions and of certain bodies and departments of the European Communities, OJ 1992, No. C 341, p. 1.
- ^ Protocol on the location of the seats of the institutions and of certain bodies and departments of the European Communities and of Europol.
- ^ ECJ, Cases No.358/85, No.51/86
- ^ ECJ, Case No.345/95
- ^ 参考文献として、山根裕子 『EU/EC法 ― 欧州連合の基礎』 有信堂高文社、ISBN 978-4842040264、1995年、97頁以下。
- ^ ローマ条約第37条2項
- ^ ローマ条約第175条2項
- ^ ローマ条約第252条
- ^ ローマ条約第99条5項、第102条2項、第103条2項、第106条2項
- ^ ローマ条約第251条
- ^ ローマ条約第272条3項以下
- ^ マーストリヒト条約第49条1項
- ^ マーストリヒト条約第7条1項
- ^ ローマ条約第214条2項1款、3款
- ^ ローマ条約第201条
- ^ ローマ条約第193条
- ^ ローマ条約第230条2項
- ^ 参考記事として、駐日欧州委員会代表部広報部 「特集 バローゾ新欧州委員会」 『ヨーロッパ』239号3頁 (PDF形式)駐日欧州委員会代表部
- ^ 参考文献として、児玉昌己 「サンテール欧州委員会の総辞職とEUの憲法政治 : 欧州議会の対応を中心として」 『同志社大学ワールドワイドビジネスレビュー』 第1巻第1号、ISSN 1880-6198(20000300)、同志社大学、1-35頁、2000年。
- ^ OJ 2004, C 158, p. 1
- ^ ECJ, Cases No.318/04, No.317/04
- ^ 参考記事として、Paul Meller "EU wrong to allow passenger data release, says court" IDG News Service, May 30, 2006 日本語版としてComputerworld.jp内記事
- ^ 欧州議会議院規則第149条2項
- ^ 欧州議会議院規則第159条
- ^ a b 現在においてはローマ条約第190条に規定されている。
- ^ ニース条約により修正されたローマ条約第189条2項
- ^ ニース条約におけるEU拡大に関する宣言 Declaration on the enlargement of the European Union, OJ 2001, No. C 80, 80.
[編集] 外部リンク
- European Parliament(加盟各国語)
- 欧州議会の概要(外務省)