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日本における携帯電話 - Wikipedia

日本における携帯電話

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

本項では日本における携帯電話について解説する。日本では鉄道事業者の沿線にある回線に接続して使う携帯型の有線電話機も携帯電話機という[1]

目次

[編集] 定義

日本国内の電気通信役務の区分では、かつての自動車電話から発展した電話網を指す。無線設備規則の用語では「携帯無線通信」と定義されている。

なお、各種の公的な統計などで、第二世代デジタルコードレス電話を起源として異なる発展をしたPHSを扱う場合には、通例「携帯電話・PHS」と併記し、「携帯電話」にはPHSを含まない。また各種電波法令上では、無線局免許状が必須な「携帯電話端末」を使う携帯電話と、免許不要局小電力無線設備な「PHS端末」を使うPHSとして、両者は明確に区別されている。もっとも、無線局免許状は事業者が管理するため、利用者が違いを意識する事は無い。総務省の資料などでは繰り返し「携帯電話・PHS」と併記するのを避けるため「携帯電話(PHSを含む)」と一度だけ表記し、後は「携帯電話」とのみ表記する場合が多い。携帯電話不正利用防止法の用語では、携帯電話・PHSによる音声通信が「携帯音声通信」と定義されている。

なお、通信衛星による自動車・携帯電話に関しては衛星電話の項を参照のこと。

[編集] 歴史

1997年から2004年までの日本歴代携帯電話端末の一部
1997年から2004年までの日本歴代携帯電話端末の一部

日本では1985年に民営化を果たしたNTTが最初のハンディタイプ携帯電話を世に出したのが1987年。当時は市販の受信機で誰でも会話の内容を傍受し聞くことが可能なアナログ式であった。1993年には会話の内容を傍受することが困難で、周波数使用効率にも優れたTDMA方式の第二世代携帯電話2G)(PDC方式)サービスがNTTドコモにより開始された。そして、2000年10月以降は、すべてデジタル式となっている。

1979年の旧・日本電信電話公社による自動車電話サービス事業の開始から、電電公社と事業を引き継いだNTTが自動車電話事業を独占していたが、1988年から1989年にかけて、旧・IDOや旧・DDIセルラー新規参入を果たし、初期費用や通話料金などの価格の引き下げ競争が始まった。それまでの自動車電話のユーザーは企業の経営幹部層(エグゼクティブ)などにほぼ限られていたが、土木工事現場の連絡用などにも使われ、ビジネスユースに広がるようになった。

その中で、1989年、画期的な小型携帯電話「マイクロタック」が発売され、NTTドコモ1992年NTTから分離独立)も同様の小型携帯電話「mova」を開発して対抗した。

通信業界全体の大きなターニングポイントとなった1994年には、自動車・携帯電話機の買取制度(携帯電話機の売り切り制)が導入され、初期費用、回線利用に必要な料金の大幅な値下げが行われた。NTT移動通信網(NTTドコモ)系9社、第二電電(DDI)系セルラーグループ8社、日本移動通信(IDO)に、新規参入の第二弾であるデジタルホングループ(現ソフトバンクモバイル)とツーカーグループの参入のほか、端末機の供給でも家電メーカーなどが加わり、20社近くが名乗りを上げた事もあり、競争はさらに加速され、結果、携帯電話が広く一般に普及する下地が作られた。日本国内の1992年での携帯電話機・自動車電話の稼働台数は約170万台。全人口に対する普及率は約1.4%にあたる。

1995年1月17日兵庫県南部地震阪神・淡路大震災)では、有線インフラに壊滅的被害が発生した中、無線の強さを発揮した面もあるものの、同時に当時の携帯電話は一部地区を除いて119番への接続が出来ず、また被災地周辺では繋がりにくい状態が発生する、など、後にも述べられる複数の問題点も同時に露呈している。

同年には携帯音声通信サービスPHSが始まり、通話料の安さと携帯電話に先駆けて始まったSMSの一種・Pメール(旧・DDIポケットによる)がヒットしたこと等で若年層を中心に普及した。当初は携帯電話との相互通話が不可能という制限があったことや、携帯電話各社の値下げなどにより、逆に携帯電話の普及に弾みがつく結果となり、携帯音声通信サービスの日本国内市場では近年、契約者数ベースでは携帯電話がPHSの10倍以上を占有し続けており、支配的となっている。

また、文字転送サービス及び携帯電話でのE-mailの普及も相まって1986年頃から始まりバブル経済期に一世を風靡した無線呼び出し(ポケットベル)は、1999年頃から急速に携帯電話に取って代わられることになった。

携帯電話・PHSの契約数を多く獲得する目的で、購入時の端末価格を抑えるために、月々の基本料金から販売店へのバックマージンを支払うというビジネスモデルインセンティブ制度)により、1円から数百円など端末原価を大幅に下回る価格で端末が乱売される事もあったが、その反面、中途解約に対して違約金を請求される「縛り」という問題もある。

2000年前後から、各キャリアの契約者数が増え、以前のように「無線の強さ」よりも、限られた電波帯域を奪い合う弊害の方が目立つようになった。とりわけ大きな地震が起きるようになると、一番手軽に対外情報を確認できるツールとして一斉に携帯電話を使うのが当たり前になってきているが、そのたびに各社携帯電話会社の設備容量を超える発着信が頻発し発信規制を敷くなど、1995年の兵庫県南部地震の頃とは状況が変わってきている。規制は通話だけではなく、各社の通信サービスも対象となり、手持ちの端末がなにも機能を果たさなくなることが珍しくなくなっている(キャリアや機種によっては、通話と通信(iモードなど)の規制を分離できるので、状況によって使い分けることが可能)。最大手のNTTドコモによると、大規模地震の時の発信数は通常時の数十倍と発表されている。そのため、公共インフラ機関など災害時の復旧を優先的に必要とする所向けに、発信規制時も優先的に接続できるサービスが提供されたり、効率的に情報をやりとりできる臨時伝言板サービスが設けられるなど対応が細やかになってきている。

2005年にはツーカーグループのKDDIへの吸収合併、2006年にはボーダフォンの日本からの撤退に伴う同社日本法人のソフトバンクによる買収、2007年にはイー・モバイルの新規参入など、業界の再編も発生している。

[編集] 年表

日本における携帯電話の加入数
日本における携帯電話の加入数

[編集] 端末形状

日本では、1990年代は、ストレート型フリッパー型が主流で、折りたたみ型はほとんど存在しなかったが、メールカメラ機能などが充実するにつれ、2000年頃からは大画面化に有利な折りたたみ型が主流となり、ストレート型は少なくなった。ビジネスユースが主流だった時代は携帯電話機の本体色に使われる色は黒色系がほとんどを占めていたが、パーソナルユースの普及率の増加に従いカラー・バリエーションが展開されるようになった。

2003年頃からは、折りたたみ型の画面側が回転する回転2軸ヒンジ型の形状や、メインディスプレイが常に外側を向くスライド型回転型(リボルバー型)が増え、2006年にはワンセグ対応機種の登場にともないサイクロイドも現われた。また、上記の基本形状の他にも、サブディスプレイや外部アンテナの有無、バッテリーの位置などさまざまな形状がある。

形状 画像 特徴
ストレート型
ストレート型
本体に大がかりな可動部分の無い、最も簡単な構造のもの。折りたたみ型が主流になってからは、少数派であることを特別に何らかのデザイン意図のある場合での採用がみられる。
  • 長所:小型軽量。画面をいつでもチェックしやすい。回転機構が無いため薄くしやすい。
  • 短所:画面が傷つきやすい。大きな画面を搭載しにくい。ボタンが露出しているため、バッグに入れている時などに誤操作を起こしやすい。なお現在の端末は改良され、画面に傷がつきにくいハードコート処理や側面などにあるスイッチを操作してキーロックなどができるようになっている。
  • Nを除く初期型電話、現在ではNTTドコモD705iμauINFOBAR2softbank822Pなど
フリッパー型
フリッパー型
ストレート型のキー部分にカバー(フリップ)を付けた構造のもの。フリップ型と呼ばれることもある。構造的にあまり差異がないためストレート型に含まれることもある。カバーの部分がスライドする端末も存在する。
  • 当初はNTTドコモmovaのDシリーズによくあり、2007年はauのMEDIA SKINが久々にフリッパー型を採用した。
折りたたみ型
折りたたみ型
中央部で折りたためる構造のもの。その形状から、日本国外では「クラムシェル(貝殻)」とも呼ばれる。現在、最も多いタイプ。折りたたんだ時にも情報を表示できるように、背面にサブディスプレイをもつものが多い。また、1軸ヒンジの単純な折りたたみ式のものでは、近年はかなり薄型の機種も出てきた。
  • 長所:画面に傷がつきにくい。大きな画面を搭載できる。置いているときなどでも人にのぞかれにくい。通話時に丁度良い大きさと形状。
  • 短所:画面をすぐにチェックしにくい。折り畳むときに「カチッ」と音が鳴るものが多い。多くの機種では片手で開きにくい(デザインや機構でこの短所をカバーしている機種もある)。内側に磁石を使用しているものでは磁気カード類を挟むとカードの情報に影響することがある。
  • 初めはNTTドコモmovaのNシリーズだけが採用していたが、503iSシリーズ以降は多くの機種が採用した。
  • パナソニック製では、供給している3社すべてにワンプッシュオープン(ヒンジ部分にボタンがついていて、押すとばねの力で自動的に開く)と呼ばれる構造を持つ機種が多数ある。
回転2軸ヒンジ型
回転2軸ヒンジ型
折りたたみ型の構造に折りたたみ用ヒンジの軸と直交する軸を持つヒンジを加え、折り畳んだ時にメインディスプレイが内側だけでなく外側にも向くように180度回転できるもの。本体(キー側)・開閉ヒンジ・回転ヒンジ・ディスプレイ部、という構造。
  • 長所:画面を外側にし閉じたままでもほとんどの機能が使用できた。画面を外向きにし開いたままカメラを起動すると自分を撮影することができるなど。
  • 短所:背面液晶が搭載されているモデルが少ない。開く際に画面が回転してしまうなど。圧力のかけかたによっては可動部分が破損しやすい。
  • DoCoMoのSH905i、auのW61CA、SoftBankの912Tなど。
サイクロイド
サイクロイド型
折りたたみ型の構造に加え、ワンセグ視聴のために、メインディスプレイが横向きに90度回転するもの。(現在では右方向のみに回転する形状となっている。)回転した後もディスプレイ中心線と端末の中心線は一致する。
スイング型
スイング型
折りたたみ型の構造に加え、ディスプレイ側ボディを横向き回転させることができるもの。サイクロイド型に似ているが、左右90度ずつ回転でき、横向きにしたときの位置が中央ではなく左右にずれている。
デュアルオープン型
デュアルオープン型
通常の折りたたみ型は縦方向に開閉するものだが、横方向にも開閉できるもの。本体の側面に、開閉ヒンジを支える別の回転ヒンジがついている。
  • NTTドコモのP905i、auのW44S、SoftBankの920Pなどがこれに該当する。
スライド型
スライド型
2枚構造の本体が、縦または横方向にスライドする構造のもの。広い画面とある程度使いやすいダイヤルキー部分を両立できる。ただし、クリアキーが可動側にある機種だと、段差がメール入力時の操作をしにくくするという面もある。
爪切り型 爪切り型 回転型(リボルバー型)の構造に回転軸と直交する軸を持つ折りたたみヒンジを加え、折りたたみ型のような開閉も可能なもの。画面側が爪切りてこ部のように可動する。回転2軸ヒンジ型に似ているが、スイング型のようにディスプレイを横に90度回転させて使うこともできる点が特徴。本体(キー側)・回転ヒンジ・開閉ヒンジ・ディスプレイ部、という構造。
  • NTTドコモのP505iS(フレックススタイル)やP903iTVなど。
回転型
(リボルバー型)
回転型 2つに分かれた本体が、回転するようにスライドする構造のもの。
  • NTTドコモのSO505i、SO505iS、SO506iC(180°スタイル)、auのA5502Kなど。
PCカード型
PCカード型
データ通信に特化した構造で音声通話機能を省略したもの。PCカードスロットを内蔵したノートパソコンPDAなどのモバイル機器向け。
CFカード型 CFカード型 (PHS) PCカード型と同様、データ通信に特化した構造で音声通話機能を省略したもの。CFカードスロットを内蔵した小型モバイル機器向けで、アダプタを利用することでPCカードスロットにも装着できる。
  • auのW05K、SoftBankのC01SIなど。
PDA型 PDA型 大型のタッチパネルや文字入力用のキーボードを備え、PDAとして利用できる。データ通信以外にも音声通話機能も有している。
  • NTTドコモのM1000、Htc ZやSoftBankのX01Tなど。
リバーシブルスタイル型 画面が360度回転する折りたたみ型。
  • auのW56Tなど。

[編集] サービス

2001年には通信速度の高速化、電波利用効率の更なる改善、通話・通信品質の向上、国際ローミングサービスの拡充などを目的としたCDMA方式の第三世代携帯電話3G)(FOMAW-CDMA方式)サービスがNTTドコモにより開始された。2002年にはKDDIがCDMA2000 1xのサービスを開始。

なお、日本以外ではアナログ式が残る地域(例・北米)も存在する。

日本での携帯電話事業は、2006年現在

である。日本では、携帯電話事業者は、当初地域ごとに別の会社でなければならなかった。その後KDDI(沖縄を除く)やソフトバンクモバイルは、全国地域会社を統合している。

当初、BBモバイルソフトバンク)、イー・モバイルイー・アクセス)が1.7GHz帯・W-CDMAアイピーモバイルが2.0GHz帯・TD-CDMA方式による新規参入を表明、2005年9月に基地局の免許を申請し、フィールドテストなどが行われている。同年11月にはこの3社に対し総務省が参入の認定を行い免許を交付した。[2]

その後、BBモバイルは当初、2007年4月1日にサービスを開始する予定であったが、ボーダフォンを買収し、その既設施設と割り当て周波数帯を利用するため、2006年4月ソフトバンクに交付された免許の返上を申し出た。そして2006年10月、ボーダフォンをソフトバンクモバイルへ商号変更・ブランド名をソフトバンクとし事業を展開した。

イー・モバイルはHSDPAにより2007年3月31日にデータ通信専用型サービスを開始した。

[編集] 電話サービス

日本国内では、サービス上の料金制度として、月額基本料に無料通話分を含んだ、通話の状況に合わせたパック料金がある。また、料金前払いのプリペイド式携帯電話もある。国外では、固定電話よりも普及の早い発展途上国もあり、時間貸しの公衆電話としての利用もある。

日本の場合、電報コレクトコールダイヤルQ2ナビダイヤル等、テレドーム等は、全部または一部の事業者から利用不可のものがある。また、フリーダイヤル等は掛ける先(着信)側での契約がされていないと掛けられない。新幹線公衆電話秋田山形新幹線を除く)からはNTTドコモ以外の事業者には発信できない。

また、留守番電話転送電話機能やキャッチホン機能を備えたサービス・端末が一般的である。

[編集] 料金形態

料金体系はほぼ世界の料金体系と同様である。 音声通話の場合は通話時間、データ通信の場合は通信時間またはデータ量で算出される。 また、世界的に早い時期にデータ通信(パケット通信)の定額制を導入している。(NTTDoCoMoパケ・ホーダイ au by KDDIEZフラット2004年8月からダブル定額/ダブル定額ライトソフトバンクモバイルパケットし放題(旧Vodafone時代のデュアルパケット定額))

最近では、音声通話の定額制も一部で始まっており、大々的にCMを行ったため話題を呼んでいる。

欧米の事業者は、周波数使用権をオークションで購入する費用、日本の事業者はインセンティブに多額の費用を負担しており、両者の料金を単純に比較することはできない。

[編集] デジタル化後の動向

現代の携帯電話端末では着信の際、発信者が非通知設定・通知不可能・公衆電話発信の回線等でない限り、ディスプレイに発信者番号が表示される(固定電話のナンバーディスプレイと同等の機能)。また、端末の電話帳機能に登録している番号に合致した場合には、登録した名前も表示できるものもある。 この機能を悪用した、ワン切りという問題がある。

着信音に用いる音楽着信メロディ[3]、操作しない状態でディスプレイに表示されている画面を待受け画面と呼ぶ。最近では着信音を歌唱音声を含めた音楽データ(着うた)に設定できる機種もある。現代では着信番号に連動して、着信時の演奏曲を設定できる機能がほとんどの端末にある。

2000年頃からの携帯電話は多機能化しており、インターネットに接続できる機種(iモードEZwebYahoo!ケータイなど)や、デジタルカメラを内蔵して静止画を撮影可能な機種写メールiショット、フォトメールなど)、さらには動画撮影ができる機種(ムービー写メール、iモーション、ムービーメールなど)、アプリケーションをダウンロードして実行できる機種(iアプリS!アプリEZアプリ (Java)EZアプリ (BREW)など)も多い。一部、テレビ電話も出来るようになった(FOMA/Vodafone 3G/au)。

一方、多機能化により2003年頃から、電話機に組み込まれたソフトウェアの不具合(バグ)が頻発しているが、キャリアショップへの持込みによるソフトウェア書き換えの導入や、エアダウンロードによるネットワーク経由でのソフトウェア更新技術の導入により端末の回収、全交換に至るものは減少している。 ただし、ソフトウェアの書き換えに失敗した場合、移動機内部のデータ消失や起動不可能になるケースもあり、万全の準備をして手順どおり書き換えを行うべきである。

2006年にワンセグ放送が始まったのに伴い、ワンセグ対応端末も発売された。放送開始時はP901iTVW33SA905SHの3機種が販売された。現在の対応端末には、P903iTVD903iTVSH903iTVSO903iTVW33SA IIW41HW43HW43H IIW44SW43SAW51CAW51KW51SAW51SHW51TW52T911SH911T805SCF904iがある。

なお、2002年頃からの動向としては以下があげられる。

赤外線通信
赤外線通信

[編集] 機能の多機能化

多機能化の内容は、PDA化とも言える、PDA寄りの機能の追加から始まり、次第にPDAの枠を越えて発展を続けている。携帯機器の項目も参照。

[編集] ビジネスモデル

日本の携帯電話のビジネスモデルは、垂直統合モデルと呼ばれる。これは、通信事業者が指導的立場に立って端末やサービスの仕様を決定し、端末メーカーやコンテンツプロバイダはこれに従うというものである。端末やコンテンツが事業者ごとに囲い込まれるため、新機能や新サービス、またそれを生かしたコンテンツを足並みをそろえて速やかに普及させることができる。

また、端末は事業者を通じて販売され、その後の料金収入を当て込んだ多額のインセンティブによって端末販売価格の大幅な値引きが可能となるため、高機能端末の普及も促進される。しかし、利用者が事業者と端末の組み合わせを自由に選ぶことはできない(番号ポータビリティで自由化したのは電話番号と事業者の関係である)し、ある事業者のもとで提供されているコンテンツ(たとえばJavaアプリ)を他の事業者で利用することも難しい。

このようなビジネスモデルの違いにより、日本と海外では端末やサービス、ひいては携帯電話を取り巻く文化に至るまで、ガラパゴス化ともよばれる、大きな違いが生じている。

一方、近年の日本では、インセンティブに頼る端末販売政策の限界(市場の飽和による新規契約数の頭打ち傾向)や矛盾(SoftBank 3G端末のSIMロック解除目当ての短期解約や転売)、寡占構造による市場構造の固定化などの弊害にかんがみ、2007年、総務省は、モバイルビジネス研究会という諮問グループをもうけて、市場活性化についての答申を行わせた。モバイルビジネス研究会は、2007年9月に、最終報告書をまとめたが、その報告書において、従来型の端末販売奨励金を中心とした販売の見直しの必要性を指摘した。

この答申結果にもとづき、総務省は、2007年10月に、端末販売奨励金つきの従来型契約と、端末販売奨励金なしの端末費用と通信費用の分離型の契約の2つを、ユーザーが選択出来るようにするべきである、というガイドラインを打ち出した。この総務省ガイドラインをうけて、総務省方針にさきがけ端末費用の月賦化で同じ主旨を先行実施していたソフトバンクモバイルを除いた、ドコモおよびKDDIの2社も、この方針にそった料金プランを、年内に発表した。

[編集] 端末市場の縮小と業界再編

新しい料金プランは、月々の通信費用負担を抑えるかわりに、端末が必要なら端末の実勢価格を払う、あるいは、端末代金の月賦払いを伴うものである。この為、必然的に、端末の買い替え間隔は、従来より伸びると予想される。この事および、既に飽和に近い携帯電話保有率とあわせて、ここ数年、5000万台前後で推移してきた国内年間販売台数は、2007年をピークに、将来、減少に転ずるという予測がおおくなされている。

このような市場予測にもとづき、将来展望が開けないことから、下位端末メーカーの中には、携帯電話製造からの撤退を発表するところも出てきた。2008年1月には、三洋電機と京セラは、京セラが三洋電機の携帯電話事業を500億円で買収することに、最終合意したことを発表した。また、三菱電機は、2008年3月に、携帯電話事業からの撤退を発表した。

[編集] 文化

詳細は日本の携帯電話文化を参照

日本語で携帯電話は、文字通りに「携帯電話」と呼ばれるが、しばし略された「ケータイ」という名称で一般に知られている。日本に在住する人口の多くが携帯電話を所有し、その大部分は現在ではカメラ機能をはじめとする拡張機能が備わっている端末である。このように多機能化した携帯電話を大部分の人口が有する日本の事情から、国際的に見ても特異な携帯電話文化が日本には生まれた。

[編集] 業務区域

1999年9月末時点での各社の業務区域
1999年9月末時点での各社の業務区域
地域 NTT移動通信網 セルラー / IDO デジタルホン ツーカー
北海道 NTT北海道移動通信網 北海道セルラー電話 デジタルツーカー北海道
東北地方 NTT東北移動通信網 東北セルラー電話 デジタルツーカー東北
新潟県 NTT移動通信網
関東甲信地方 日本移動通信 東京デジタルホン ツーカーセルラー東京
東海地方 NTT東海移動通信網 東海デジタルホン ツーカーセルラー東海
近畿地方 NTT関西移動通信網 関西セルラー電話 関西デジタルホン ツーカーホン関西
北陸地方 NTT北陸移動通信網 北陸セルラー電話 デジタルツーカー北陸
中国地方 NTT中国移動通信網 中国セルラー電話 デジタルツーカー中国
四国地方 NTT四国移動通信網 四国セルラー電話 デジタルツーカー四国
九州地方 NTT九州移動通信網 九州セルラー電話 デジタルツーカー九州
沖縄県 沖縄セルラー電話
2007年3月1日時点での各社の業務区域
2007年3月1日時点での各社の業務区域
地域 NTTドコモ au ソフトバンクモバイル TU-KA
北海道 NTTドコモ北海道 KDDI ソフトバンクモバイル
東北地方 NTTドコモ東北
新潟県 NTTドコモ
関東甲信地方 KDDI
東海地方 NTTドコモ東海
近畿地方 NTTドコモ関西
北陸地方 NTTドコモ北陸
中国地方 NTTドコモ中国
四国地方 NTTドコモ四国
九州地方 NTTドコモ九州
沖縄県 沖縄セルラー電話

[編集] 周波数帯域利用状況

日本の携帯電話の周波数帯域利用状況
周波数帯域 サービス
800MHz帯 NTTドコモ : movaPDC)、FOMAW-CDMAプラスエリアのみ)
au : cdmaOneCDMA2000 1x(EV-DO含む)
1.5GHz帯 NTTドコモ : PDC(movaデュアルバンド、関東・東海シティフォン、関西シティオ
ソフトバンクモバイル : SoftBank 6-2シリーズ(PDC)
1.7GHz帯 イー・モバイル:W-CDMA(HSDPA)
NTTドコモ : FOMA(W-CDMA、東名阪地域のみ、902iS以降の一部機種)
2GHz帯
FDD:上り1.9/下り2.1)
NTTドコモ : FOMA(W-CDMA、プラスエリア除く)
au : CDMA2000 1x(W02H、A5515Kおよび2006年以降の一部WIN端末)
ソフトバンクモバイル : SoftBank 3G(W-CDMA)

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

  1. ^ TL-1042-JA携帯電話機[1]
  2. ^ 参入計画の最初では、BBモバイルはTD-CDMA、イー・モバイルはTD-SCDMA(MC)の各方式での参入を計画し実証実験も行っていたが、最終的にW-CDMA方式で事業展開することとなった。
  3. ^ 略称の着メロYOZAN(関東地区でASTELサービスを提供していた元PHS事業者)の登録商標・登録番号第4194385号

[編集] 外部リンク


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