着うた
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着うた(ちゃくうた)は、携帯電話の着信音をMP3やAACなどのフォーマットで符号化された30秒程度の長さの楽曲にするサービス。株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント (SME) の登録商標である(KDDIの商標であるという誤解が起きたため、サービスの案内ではSMEの商標であることを強調する記述が多い)。
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[編集] 概要・沿革
2002年12月にKDDIがauブランドで開始し(CHEMISTRY「My Gift to You」が世界初の着うたである)、2003年12月よりボーダフォン日本法人(現ソフトバンクモバイル)、2004年2月よりNTTドコモも同様のサービスを開始、同年12月よりボーダフォン日本法人のVodafone 3G(現SoftBank 3G)端末向けにロングバージョンを開始している。着信メロディの場合は楽曲の使用料が作曲者にしか支払われないのに対し、着うたはそれに加え、音源を制作・所有するレコード会社や音楽出版社にも支払われる。そのため料金が前者と比べて割高(1曲平均105円 - 消費税込み)になる。データ量も前者では多くて50キロバイト程度だが、後者では100キロバイトを超える場合がほとんどである(ロングバージョンは400キロバイトを超える他、通常の着うたよりも割高となっている)。 パケット料金定額制の登場により、ダウンロード数は飛躍的に伸びているが、ダウンロード時間の短縮が課題となっている。
auの2004年冬以降のCDMA 1X WIN端末・ソフトバンクモバイルの2005年8月以降のSoftBank 3G端末(一部機種を除く)・NTTドコモの902iSシリーズ以降では、サビなど楽曲の一部ではなく、一曲丸ごとの配信が可能な着うたフルを導入した。着うたフルでは、新しい圧縮方式としてHE-AACを採用することにより、ダウンロード時間の短縮が図られている。
現在携帯電話各社からMUSIC-HDD W41T、W42S、W44T(TiMO W44T II、LEXUS W44T IIIを含む)、W51SA、W52S、W52T、W54T、MUSIC PORTER X、Vodafone 804N、Vodafone 803T、Vodafone 705T、Vodafone 904T、SoftBank 910T、SoftBank 911T、SoftBank 920T等大容量メモリを搭載し、音楽再生用の機構を持った携帯電話が数多く発売されている。
着うたは著作権情報を持つので本体メモリから外部メモリへ移せず、本体メモリが足りなくなるという問題があったが、外部メモリーカードの著作権保護機能を使用して、ダウンロードした端末または契約者電話番号でプロテクトを掛ける方法によって解決が図られている。
着うたのフォーマットには、NTTドコモは3GPPを、ソフトバンクモバイルはMP4を、auは3GPP2あるいはAMCを採用している。これらは各社独自拡張部分があるため互換性は無い。このため、番号ポータビリティで他のキャリアに乗り換えた場合は、着うたの引継ぎは出来ない。
なお、現在auでは、他社のサービスとの差別化を図るため、EZ「着うた」の名称を使用している。
1曲のダウンロード数が100万を超えるなど、業界の新しい形態として注目を集めている。
[編集] 自作着うた
最近では、ユーザー自身がに着うたを自作することもよく行われている。これには公式に着うたが配信されていないようなマイナーな楽曲を着信音登録するため、配信されていてもその部分が望むものでないため、すでに所有している楽曲を再購入することに抵抗を覚えるためなどの理由がある。
しかしながら、日本の携帯電話会社は着うたの自作に対して規制を敷いているため、製作工程は以下に示すような複雑なものとなっている。このため自作着うたは公式のものとは異なる形式の場合が多く、容量制限と組み合わさることで同等の再生時間や音質のものを作ることは事実上不可能である。また楽曲の切り出しやフェードアウト等の編集を伴うため、コーデックや波形編集に関する、ある程度の知識が要求される。
自作着うたにされるのは、CDなどで購入した楽曲が中心であるが、アニメやドラマの音声(決めゼリフや面白い声)を好んで使うことも多い。
[編集] 自作着うたの種類
自作着うたには以下の種類がある。
- キャリア公式の形式(amcなど)に変換するもの。
- 最も長時間かつ高音質なものが製作可能だが、キャリアの隙をついた方法であり、新形式の採用が行われた直後など一部の機種でしか登録できない。
- 動画ファイル(3gpや3g2など)に偽装するもの。
- 比較的長時間かつ高音質であるが、機種ごとに作成方法(主に後処理)が異なり、また登録可能な項目が少ない。
- 着信メロディ(mmfなど)に偽装するもの。
- いわゆる「えせ着うた」。仕様上、低音質で再生時間も短いものしか作れないが、キャリアを問わず多くの機種で登録可能でき、項目の制限も無い。また著作権保護機能の対象にならない。
[編集] 自作着うたの作成
自作着うたの作成は、主に以下のような工程で行われる。
- 音楽CDやMP3などの楽曲ファイルをWAV形式に変換(リッピングまたはデコード)する。なお、ショート版の楽曲がある場合それを使用したほうが切り出しをしやすい。
- Audacityなどの波形編集ソフトで20~40秒程度の長さに切り出す。場合によっては切り貼りなども行う。
- 携帯動画変換君やヤマハ製のMMF変換ツールなどを用いて変換し、専用のツールで後処理を行う。注意点として携帯動画変換君を使用する場合、QuickTimeがインストールされていないと変換に失敗したり音の出ないファイルが出来上がったりすること、ファイルサイズが制限を越えると登録できないことなどがあげられる。
- アップローダーやメモリー編集ソフト、SDメモリーカード・メモリースティックなどのメモリーカードを用いて転送する。
[編集] 自作着うたの問題点
自作着うたの作成や自身の端末への登録は著作物の個人的利用に該当するために合法であるが、他人への譲渡や裏サイトなどでの公開は違法行為となる。また現在のように携帯電話にメモリーカードが普及する以前は携帯電話への転送手段はアップローダーと呼ばれる掲示板を利用することが主流であり(ほかにも電子メールやメモリー編集ソフトなどの手段はあったが容量制限が厳しかったため必然的にこうなった)、初心者が気が付かずに違法アップロードしてしまうこともあった。
また、自作着うたはキャリアのサポート外となり、また失敗作を再生した場合、端末の電源が落ちることも多々あるので注意が必要である。
[編集] 対応機種
※2008年3月現在
[編集] au
- A13xx、A14xxシリーズ (CDMA 1X端末)
- A53xx、A54xx、A55xxシリーズ(A5301Tを除く)
- INFOBAR(A5307ST)
- talby(A5508SA)
- Sweets(A5510SA)
- Sweets pure(A5519SA)
- Sweets cute(A5524SA)
- ジュニアケータイ(A5520SA、A5520SA II、A5525SA)
- Wxxシリーズ (CDMA 1X WIN端末)
- PENCK(W31H)
- neon(W42T)
- DRAPE(W46T)
- MEDIA SKIN(W52K)
- INFOBAR2(W55SA)
[編集] ソフトバンクモバイル
[編集] ロングバージョン対応
- SoftBank/Vodafone 9xx、8xx、7xxシリーズ (SoftBank 3G)
- FULLFACE(SoftBank 913SH)
- FULLFACE2(SoftBank 921SH)
- インターネットマシン(SoftBank 922SH)
- PHOTOS(SoftBank 920SC)
- コドモモバイル(SoftBank 812T、SoftBank 820T)
- THE PREMIUM(SoftBank 820SH、SoftBank 821SH)
- THE PREMIUM TEXTURE(SoftBank 823SH)
- SoftBank 813SH For Biz(法人専用)
- MIRROR(SoftBank 821P)
- XS(SoftBank 707SC)
[編集] ロングバージョン非対応
- V8シリーズ (Vodafone Global Standard)
- V6シリーズ (V601SH、V601Nを除く)
- nudio(V602T)
- V5シリーズ
- 2Gでは唯一サービスを行っている。
[編集] NTT DoCoMo
- FOMA 90xiシリーズ
- FOMA SIMPURE N1
- FOMA SIMPURE L1
- キッズケータイ(SA800i、F801i)
- FOMA SH851i(DOLCE)
- FOMA P851i(prosolid II)
- FOMA D800iDS
- FOMA 70xiシリーズ
[編集] イー・モバイル
[編集] 国外での着うた
海外の携帯電話でも「着うた」は「Ringtone」という名前で存在する。ビルボードなどがRingtoneのチャートを出しているが、海外の携帯電話は日本の携帯電話と違いPCから転送した楽曲を着信音に(無料で)設定できる。