リック・ディアス
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リック・ディアス (RICK-DIAS) は、アニメ『機動戦士Ζガンダム』に登場する架空の兵器。エゥーゴの量産型モビルスーツ(MS)である。型式番号:RMS-099(RMS-009)もしくはMSA-099(MSA-009)。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] リック・ディアス
[編集] 機体解説
リック・ディアス | |
型式番号 | RMS-099 (RMS-009) MSA-099 (MSA-009) |
所属 | エゥーゴ |
建造 | アナハイム・エレクトロニクス社 |
生産形態 | 量産機 |
頭頂高 | 18.7m |
本体重量 | 32.2t |
全備重量 | 54.7t |
ジェネレーター出力 | 1,833kW |
スラスター総推力 | 74,800kg |
センサー有効半径 | 11,500m |
装甲材質 | ガンダリウム合金 チョバムアーマー スペースドアーマー リアクティブアーマー[1] |
武装 | ビームピストル×2 ビームサーベル クレイ・バズーカ 55mmバルカン・ファランクス トリモチランチャー |
搭乗者 | (メインパイロット) クワトロ・バジーナ アムロ・レイ エマ・シーン アポリー・ベイ ロベルト バッチ ボティ アスナ・エルマリート ジャック・ベアード (一時的に搭乗) フランクリン・ビダン カミーユ・ビダン(TV版) ファ・ユイリィ(TV版) |
エゥーゴ初のオリジナル量産型MSで、エゥーゴとアナハイム・エレクトロニクス社により共同で開発された、代表的な第2世代MS。いわゆるアナハイム・ガンダムの第1号であり、後にΖ計画と呼ばれることとなる高性能MS共同開発計画の走りとなった機体である。
旧ジオン系の技術者が中心となり開発されたためにリック・ドムなどのジオン系MSを思わせる外観を持ち、ドム・タイプのMSにガンダム系の機能をミックスさせた機体とされる[2]。装甲材質および内部フレームにクワトロ・バジーナ大尉によりアクシズからもたらされたガンダリウムγをMSとして初めて採用したため、後のエゥーゴの指導者ブレックス・フォーラ准将の提案によりγガンダム(ガンマガンダム、γ GUNDAM、GAMMA GUNDAM)と呼ばれる予定だった。しかしその外観から「ガンダムの名を使うのは、先代のガンダムに申し訳無い」「別のコードネームを使いたい」とするクワトロの希望により、宇宙用の機体を意味する「リック」、エゥーゴの活動が折り返し地点に到達したことから喜望峰の発見者バーソロミュー・ディアスの「ディアス」を合わせてリック・ディアスとしたとされる。命名者であるクワトロは「語呂で付けたもので意味はない」という旨の発言をしており、「エゥーゴの活動が折り返し地点に到達した」というのは後付設定である[2]。リック・ディアスの命名についての経緯はアニメの劇中では語られることはなかったものの、『機動戦士ガンダムΖΖ』の第1話「プレリュードΖΖ」などで確認することができる。小説版『Ζ』でもほぼ同じ事柄が語られるシーンがあるが、小説版はガンダムMK-II、百式、リックディアスの設定やデザインがアニメ版とはかなり異なっている。
また、本来の型式番号は「MSA-099」だが、地球連邦軍の目からエゥーゴの動きを欺くため「RMS-099」とされた。当時の地球連邦軍(ティターンズ)におけるの型式番号の命名規則は、各開発拠点に割り当てられた10~19の数値の後に開発順で1桁の数字がつけられる方式がとられているが、09で始まる基地は存在しない。 なお、正式の型式番号に関しては「MSA-009」と記した書籍もあり、どちらが正しいかは一概に判断が付かない。ごく一部には「RMS-009」と記したものもある。ただし、後に開発されたMSがMSN-00100(MSN-100)であることから「MSA-099」説が理にかなっている。メディアワークス『データコレクション機動戦士Zガンダム下巻』によれば、MSA-099が本来の開発コードであり、グリプス戦役開戦までのカモフラージュ(仮名、偽名)としてRMS-099が使用されたことになっている。
月刊ニュータイプ創刊号掲載「ザ・オフィシャルアート・オブ・Zガンダム」によれば、リックディアスの装甲はガンダリウムの他、チョバムアーマー、スペースドアーマー、リアクティブアーマー等、戦車に使われている装甲が全て使用されている。また、脚部は第二次大戦中のソビエト製戦車に使われていたような鋳造構造であり、設定画の脚部のディテールアップ稿では、鋳造の湯口の穴の痕や装甲表面のザラザラとした質感等も描き込まれている。これはデザイナー永野護が無類の戦車マニアであり、そのこだわりによるものである。
メインカメラはモノアイを更に機能化したもので、機体前面の状況を全てスキャンしつつ、広角/魚眼レンズ的な視覚をを補正して直視に近い映像として全天周囲モニターに投影する[3]。この方式はシステムを小型化することが可能な上、可動部が少ないためメンテナンス性に優れている。このデバイスは一説にはガンダリウムγと共にアクシズから持ち込まれた技術のひとつで、ガザ系列からのフィードバックであると言われている。腹部に大型のジェネレーターを設置したため通常腹部にあるコクピットブロックは胸部に2/3と頭部に1/3に架かる位置に移動され、パイロットは頭部左側にあるハッチから搭乗する。コクピットブロックは緊急時に射出される。センサーは連邦軍のものより高性能なものを使用しているため、ミノフスキー粒子の下では連邦軍の機体より遠距離から相手を捕捉することができる[4]。
通常バックパックが配置される背部にはプロペラント(推進剤)タンクを兼ねる作動肢としてバインダーを2基備えている。これはガンダム試作2号機のフレキシブル・バインダーの延長上に位置するものと考えられており、ガンダリウムγによる軽量化とムーバブルフレームの採用に合わせ、これによるAMBAC機能により鈍重な見かけに反して軽快な運動性を示した。このバインダーは取り外してシールドや投擲武器として用いることも可能で、『Ζ』13話で使用シーンがある。
固定武装として頭部にバルカン・ファランクスを、腰部にビームサーベルを1基装備している。携行武装としては主にクレイ・バズーカやビーム・ピストルを装備、これらは背部のウエポンラックに搭載可能で、ビーム・ピストルはウエポンラックに装備した状態でも対後方・対空兵器として使用可能である。ビーム・ピストルのエネルギーパックは、百式用ビームライフルと共通である。また、撃墜した機体から鹵獲したと推測される、ガルバルディβ用ビームライフルの使用も確認されている。シュツルム・ディアスやシャア専用機にガルバルディβと相似形のパーツが見られることから、画面には登場していないものの同機をエゥーゴが使用しているとの説もある。
また、マニピュレーター基部には多目的ランチャーが設けられ、トリモチやバルーンダミーなどを射出することができる。
[編集] 開発経緯
そもそも、本機は納入先が決まらないまま宇宙世紀0085年にアナハイムが独自に開発に着手した経緯を持つ。当時アナハイムはガンダム開発計画に伴う事件によって地球連邦政府に不信感を抱かれ、発注が望める状況ではなかった。そこで費用の節約のため、二つの開発チーム共同で開発に当たることとなった。
それがかつてガンダム試作1号機・ガンダム試作3号機を担当した先進開発事業部「クラブ・ワークス」と、ガンダム試作2号機・ガンダム試作4号機を担当した旧ジオン系の技術者が多く在籍する第二研究事業部である。結果的にGPシリーズの開発陣総出で開発に当たることとなり、数々の技術が投入された。
開発に当たりガンダム試作2号機を基本設計としたため、スラスターシステムや機体背部などに共通点を見いだすことができ、ドムを踏襲したシルエットを持つ。試作機のプロトタイプ・リック・ディアスのテストを経て改良した後、ロールアウトされた。当初量産された機体は濃紺をベースにした塗装が施され、クワトロ・バジーナ大尉の乗機のみが赤く塗装されていたが、彼の優秀な功績によりこの機体が兵士の間で評判となり、制式塗装が赤に変更された。
量産にも相応の目処は立っていたが、それでもネモなどのGM系よりは高価なために、主に士官級パイロットに優先的に配備されている。
[編集] 劇中での活躍
エゥーゴの新型MSとしてアニメ第1話に3機登場。『Ζ』劇中で最初に登場したMSである。クワトロ機のみ赤い塗装でアポリー・ベイ、ロベルトの機体は濃紺の塗装だった。グリーンオアシスを襲撃した際、そのズングリとした外形にそぐわない高機動さで、迎撃に現れたジムIIやハイザック等多数を相手に対等以上に渡り合っている。その能力は第5話にて、連邦軍(実質ティターンズ)側の技師だったフランクリン・ビダンが深い関心を寄せるほど優秀なものだった。フランクリンはクワトロの機体をアーガマより奪取し、アレキサンドリアに持ち帰ろうとしたところを、流れ弾により撃墜される。映画版ではフランクリンの機体は艦砲射撃により撃墜され、小説版では、フランクリンは本機を持ち帰ろうとしたところでレコア・ロンドに射殺されている。
ジャブロー降下作戦(TV版ではその少し前、ティターンズ艦艇強奪のためグラナダ襲撃に際して)において、アポリーとロベルトが、クワトロ機と同じ赤い塗装に統一された機体に搭乗した。映像から見れば、宇宙という黒い背景画で動き回るロボットが黒い色をしていては背景との区別が付き難いため赤にしたとも見る事もできる[要出典]が、「ティターンズ・ブルー(紺・黒のツートンカラー)」に塗装された敵MSとの目視識別が困難なために変更されたとする説[要出典]もある。MGリック・ディアスの取扱説明書によればもともとエゥーゴはゲリラ的な活動を行っていたため目識別しにくい色にしたが、ティターンズと本格的に衝突することになり色を塗り替えられたとされている。劇中ではロベルトが「味方に撃たれないため」と発言している。色に関してもアポリーが「大尉の色は人気がある」と評判の高い赤へと変更されたことを裏付ける発言をしている。ただし、この件の真相は、当時『機動戦士Zガンダム』を制作していたサンライズの作画彩色現場で赤のインクが大量に余っていたため、それらを在庫処分して制作コストを下げるため赤いモビルスーツを多くしたということであった。
ケネディ宇宙港でのシャトル防衛戦でロベルト機はブラン・ブルタークの駆るアッシマーにより撃墜される。アポリーが宇宙に帰還してからは、地上に残された機体を引き継ぐ形でアムロ・レイが使用した。
その後もアニメ全編を通してアーガマの主力、ひいてはエゥーゴの中核として戦い、アポリーやロベルトの他にもエマやバッチなどアーガマの士官級メインパイロットのほとんどが搭乗している名機体である。ティターンズが同時期に開発したガンダムMk-IIと比較されることも多い。劇中の台詞やカタログスペックから推測[要出典]するに、攻撃性能(火力)と機動性能(加速力)ではガンダムMk-IIに劣るが、運動性能(回避力)と防御性能(装甲強度)ではリック・ディアスが優れており、ほぼ互角の性能であることが伺える。これはガンダムMk-IIがコストを度外視して開発、設計されたMSである事を考慮すると驚異的であり、特注機に匹敵する量産機である。もっともコクピットを頭部にとったことは功罪合い半ばするところがあり、脱出システムに欠陥があるのか、愛機の腹部を狙撃されたアポリーは頭部ユニットのみが脱出する余裕があったにもかかわらず、機体とともに爆死している。なお、小説版第1巻では、ガンダムMK-IIはリックディアスよりもスラスターのパワーがまさるが、総合的なキルレシオは両者ほぼ互角、という旨のくだりがある。
しかし『Ζ』本編において「敵と味方のMSデザインが各種混在しており、分かり辛い」という意見が出たため、その後のエピソードであるアニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』では、エゥーゴのMSをツインアイとゴーグルアイ、ネオ・ジオン軍のMSをモノアイタイプと明確に分けたことにより、アーガマの戦力としては登場せず、格納庫の一角に1機が寝かされているが、使用されなかった。
漫画『機動戦士ガンダム エコール・デュ・シエル 天空の学校』では、第3部にてエゥーゴ所属のアイリッシュ級戦艦ツバイカウ所属機として登場。ハロウィン隊小隊長ジャック・ベアードと主人公アスナ・エルマリートが搭乗する。アスナ機は白く塗装されている。強化人間となったティターンズ所属のエリシア・ノクトンのギャプランと交戦し、両機とも撃墜されている。
劇中外ではグリプス戦役後、第一線を退いた後でも「ファットマン(太っちょおじさん)」という愛称を付けられ、整備性と運動性の良さからコロニー防衛隊等が好んで使用したとされる。
[編集] 備考
メカニックデザインは、永野護が描いた百式の初期稿を元に、永野護自身が再度デザイン・クリンナップを行っている。ただし、上方パース設定のみ藤田一己が行った。藤田は上方パース設定を起こした際、上腕を角ばった形に描いているが、実は永野は上腕を楕円の様な形状と想定していた。これは放送当時発売されたプラモデルを永野自身が改造してシュツルム・ディアスを製作した際、モデルグラフィックス誌上において明かしている。
関節はネモらと共通らしく、TV版『機動戦士Ζガンダム』でアムロの乗った機体の腕が翌週には修理されている描写について、富野監督はインタビューで「ネモの肘から先だけ付けて、色だけ塗り替えていた方がらしかったかな」と発言している。インタビュアーも「エゥーゴは金がないから当然関節は共通でしょうね」と応じている。
当初は、装甲材にガンダリウムγを使用してはいるものの、機体構造にムーバブルフレームを採用していないという設定だった。しかし後に、第2世代MSの条件が、「ガンダリウムγ」「全天周モニターとリニアシート」「ムーバブルフレームを採用していること」と変更されたため、ガンダムMk-IIに採用されているものよりは完成度が劣るものの、アナハイム・エレクトロニクス社が独自に開発した最初期のムーバブルフレームが採用されているという設定に改められた。
[編集] バリエーション
- RX-098 プロトタイプ・リック・ディアス
- RMS-099 (MSA-099) リック・ディアス
- MSA-099 リック・ディアス[シュトゥッツァー]
- MSA-099 リック・ディアス[ガンダムヘッド]
- RMS-099B シュツルム・ディアス
- RMS-099S リック・ディアスS
- MSA-099-2 リック・ディアスII(リック・ディアス改)
- RMS-099NT レッテン・ディアス
[編集] プロトタイプ・リック・ディアス
プロトタイプ・リック・ディアス(PROTOTYPE RICK-DIAS)は、バンダイ発行の雑誌「SDクラブ」の企画『大河原邦男コレクション』(M-MSV)に登場する、エゥーゴの試作型MS。型式番号:RX-098(RX-98)。
[編集] 機体解説
プロトタイプ・リック・ディアス | |
型式番号 | RX-098 (RX-98) |
所属 | エゥーゴ |
建造 | アナハイム・エレクトロニクス社 |
生産形態 | 試作機 |
頭頂高 | 19.0m |
本体重量 | 40.5t |
全備重量 | 59.7t |
ジェネレーター出力 | 1,790kW |
スラスター総推力 | 78,500kg |
センサー有効半径 | 11,500m |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
武装 | ビームピストル ハイパービームサーベル×2 クレイ・バズーカ |
エゥーゴの試作型MSで、リック・ディアスの前身にあたる。当初開発はアナハイムによって独自に行われていたが、開発期間とコストの低減のためアナハイムで請負生産[5]している地球連邦軍のMSのムーバブルフレームを基本構造としている。そのため搭載するジェネレーターに制限が生じ、出力不足に陥っていた。しかし、エゥーゴから新素材ガンダリウムγの技術が導入されることとなり、それらの問題は解決した。それに伴い開発プロジェクト名はγガンダム計画に改められることとなった。
本機は機動性・格闘性能に重点を置かれ開発されている。メインカメラはモノアイシステムを採用し、更にサブモノアイを設置している。背部のバックパックは大型で、両側面にシールドとしても機能するバインダースラスターを有する。コックピット自体はリック・ディアスと違い完全に胴体の中に納まっている。
固定武装はバックパックに設置されたハイパービームサーベル2基である。また、クレイ・バズーカやピームピストルを装備する。
[編集] 劇中での活躍
「SDクラブ」の短編小説『モビルスーツコレクション・ノベルズ』Act.5「宿敵の幻影」に登場。ジェネレーターの出力不足の問題から開発が行き詰まっていた所に、ガンダリウムγがもたらされリック・ディアスの完成へとつながる経緯が描写されている。
[編集] 備考
メカニックデザインは大河原邦男。
[編集] シュツルム・ディアス
シュツルム・ディアス(STRUM DIAS)は、アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場する、ネオ・ジオンの量産型MSである。型式番号:RMS-099B(RMS-099RS)。
[編集] 機体解説
シュツルム・ディアス | |
型式番号 | RMS-099B (RMS-099RS) |
所属 | ネオ・ジオン |
建造 | アナハイム・エレクトロニクス社 |
生産形態 | 量産機 |
頭頂高 | 18.0m |
本体重量 | 32.5t |
全備重量 | 61.3t |
ジェネレーター出力 | 1,920kW |
スラスター総推力 | 105,000kg |
センサー有効半径 | 11,500m |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
武装 | ビームカノン×2 ビームピストル×2 バルカン・ファランクス×2 |
主な搭乗者 | サトウ アムロ・レイ(小説版) |
アナハイム・エレクトロニクス社が開発した、リック・ディアスの発展・強化型。クワトロ・バジーナ大尉専用機として開発されたが、クワトロにはリック・ディアスの後百式が与えられたために彼が搭乗する事はなかった。第一次ネオ・ジオン抗争の際、アナハイム・エレクトロニクス社とネオ・ジオンの政治的裏取引により横流しされたMSであり、またエゥーゴの元ジオン系軍人が寝返った際にネオ・ジオンに持ち込んで戦力となったMSである。エゥーゴの元ジオン系軍人であるサトウ隊長率いるシュツルム・ディアス隊が運用した。
[編集] 備考
メカニックデザインは永野護。『機動戦士ガンダムΖΖ』の登場に際して明貴美加によりクリンナップされた。大日本絵画発行の模型雑誌「モデルグラフィックス」で永野自身が作例を担当する形で初公開され、そこで設定が起こされたときの型式番号は「RMS-099RS」。
本来はエゥーゴのクワトロ・バジーナ専用機としてデザインされた機体で、永野のテキストでは「シャア専用突撃型」とされている。しかし、『Ζガンダム』制作時にはデザイン画の提出が行われず、永野の弁によると「忘れた」との事。
『ガンダムΖΖ』において作劇の都合上ネオ・ジオンの機体として登場した。この登場には、既に発売されているプラモデルに新規パーツを追加する事で新メカとして劇中に登場させる事を目的としたバンダイ主導のデザインコンペの際、モデルグラフィックスから提出された案の中に永野の作例をベースとした設定が存在していたため。ただし、キットは発売されなかった。
小説版ではアムロ・レイが搭乗しているようにエゥーゴのエース用MSだが、『ΖΖ』ではモノアイの機体はジオン、と視聴者に判りやすいMSの配置が行なわれたため、上記のように敵役となった。
なお現在発売中のマスターグレードリック・ディアス(クワトロ専用機)には、カメラアイの庇(バルカンファランクスのカバー前部)が若干跳ね上がっていたり膝部分のパーツが長くなっている等、シュツルム・ディアスをイメージさせる追加パーツが付属している。これはクワトロ専用機と銘打つにあたり、成型色以外に量産型との差別化を図ったためと推測される。
[編集] リック・ディアス[シュトゥッツァー]
リック・ディアス[シュトゥッツァー]は雑誌企画『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』に登場するエゥーゴのMS。
[編集] 機体解説
アナハイム・エレクトロニクス社がガブリエル・ゾラ用に試作した、増加装備をつけたリック・ディアス。
ゾラがエゥーゴに参加する前に使用していたリック・ドム[シュトゥッツァー]を参考に設計・開発された。開発当初は増加装甲や追加オプションによる重量増が機動性を犠牲にしてしまう[シュトゥッツァー]系MS共通の弱点を解決させることができずにいたが、後に追加されたロング・シールド・ブースターを併用することにより機動性を強化・向上させることに成功し、さらに「巡航形態」にすることも可能になっている。ただし、リック・ディアス本体に可変機構はないため、[シュトゥッツァー]ユニットのバインダーを左右に展開し、ロング・シールド・ブースターを背中に装着させるだけの単純なものとなっている。コンセプト的にはGディフェンサーとガンダムMk-IIが合体した際の巡航形態「Gフライヤー」に似ており、後にリ・ガズィが使用した「バック・ウェポン・システム(BWS)」に技術的なつながりを見て取ることもできる。
ツインアイとアゴがある“ガンダム”系MSを連想させる頭部バリエーションもある。ただし、ゾラは“ガンダム”を連想するツインアイヘッドの使用を最後まで拒み、ワイヤーカッターを追加しただけの通常型頭部のみを使用し続けた。腹部にウインチユニット、背中にウイングバインダーを2基装備し、その中にミサイルが充填されている。
最終決戦時にはロング・シールド・ブースターを3基接続して推力・攻撃力・防御力をさらに向上させているが、いびつな“性能の水増し”によって極めてバランスの悪い機体になってしまい、[シュトゥッツァー]の扱いに長けたベテラン・パイロットであるゾラでなければ機体のポテンシャルを引き出すのは難しかっただろうと言われている。
武装プランの一例としてメガ・バズーカランチャーの装備も考察されていた。
[編集] スーパーディアス
スーパーディアス(SUPER DIAS)は、『SDガンダム GGENERATION』シリーズに登場する、エゥーゴの試作型MS。初出はワンダースワンカラー用『GGENERATION GATHER BEAT2』。リック・ディアスSがDディフェンサーを装備した形態をこのように呼称する(型式番号:RMS-099S+D Defenser)。
[編集] 機体解説
スーパーディアスはスーパーガンダムと同様のシステムで運用され、ガンダムMk-IIとGディフェンサーと同様に背面で接合される、Dディフェンサー(D-DEFENSER)と呼称される強化型バックパックを装備できるようになっている。Dディフェンサーを装備した状態ではDディフェンサー組み込み式の2丁のビームマシンガンを使用する。ただし、ゲーム中の扱いは実弾兵器である。
Ζ計画の副産物として開発された機体である。難航する可変MSの開発に対して、万一可変機の開発が挫折した場合の保険として、可変機構を持たずとも可変機並の高機動性を確保すべく、開発が進められた。Dディフェンサーを装備した状態であれば、可変機並の機動力を発揮することが可能である。
[編集] リック・ディアスS
Dディフェンサーと組み合わせて使用される前提で開発された、リック・ディアスの改良型である。型式番号:RMS-099S。
Dディフェンサー装備のため、マウントラッチの増設などが行われている。その関係か、Dディフェンサーが装備されていなくても、通常のリック・ディアスより高性能を誇る。武装は基本的にベース機と同じものを流用するが、クレイ・バズーカの代わりに長射程のロングレンジ・バズーカを装備する。外観上の差としては、頭部カバーの形状が異なる。
[編集] Dディフェンサー
Gディフェンサーと酷似した名称だが、単独での運用機能は持たされておらず、あくまで強化型バックパックという位置づけである。ただしGディフェンサーのコクピットは後部に接続可能となっている。型式番号:FXA-04。
[編集] 劇中での活躍
森田崇の漫画『機動戦士ガンダムΖΖ外伝 ジオンの幻陽』にてエゥーゴの新型MSとして登場。ロングレンジ・バズーカによる狙撃任務に運用され、サイド7から脱出するティターンズ残党の宇宙艇や随伴するハイザックを狙撃した。
[編集] リック・ディアスII
[編集] 機体解説
リック・ディアス改ともいわれている。ガンダムタイプの頭部も用意されていたといわれている。
[編集] レッテン・ディアス
レッテン・ディアスは、ホビージャパン発行の雑誌「ゲームぎゃざ」の読者参加型ゲーム『機動戦士ガンダム G-STRATEGY』に登場する、エゥーゴのNT専用量産型モビルスーツである。(型式番号:RMS-099NT)
[編集] 機体解説
リック・ディアスをベースとするNT専用量産型MS。サイコミュは簡易型の準サイコミュにも換装可能で、非NT兵の搭乗も可能。 固定装備として腕部有線式ビーム砲、バックパックにはインコムが搭載されている。 頭部はシュツルム・ディアスに似たひさしのついたタイプ。コックピットハッチのある位置にバルカンポッドのようなモジュールがあるが、コックピット位置などディアスタイプと共通か不明。 腕部有線式ビーム砲はゲーマルクに酷似した指で、武装保持には困難があったと推測される。 バックパックはZZガンダムのような大型のタイプ。ビームピストルは撤去されている。
[編集] ディジェ
ディジェ (DIJEH) は、アニメ『機動戦士Ζガンダム』に登場する、カラバの試作型陸戦用MSである。(型式番号:MSK-008)
[編集] 機体解説
ディジェ | |
型式番号 | MSK-008 |
所属 | カラバ |
建造 | カラバ |
生産形態 | 試作機 |
頭頂高 | 18.4m |
本体重量 | 33.9t |
全備重量 | 51.8t |
ジェネレーター出力 | 1,892kW |
スラスター総推力 | 74,000kg |
センサー有効半径 | 11,700m |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
武装 | バルカン砲×2 ビームライフル ビームナギナタ クレイ・バズーカ |
主な搭乗者 | アムロ・レイ |
リック・ディアスをベースに開発された、いわば「陸戦型リック・ディアス」とも言える機体。そのためコクピットも頭部に配置してある。エゥーゴのジャブロー降下作戦以降、多くのMSパイロット達は機体をカラバに託しシャトルで宇宙に帰還したため、アウドムラに残されたアポリー・ベイ中尉のリック・ディアスは以降、カラバに参加したアムロ・レイ大尉の使用機となっていた。ディジェはその機体を改装したワンオフの試作機である。アナハイム社キャリフォルニア工廠の旧ジオン系の技術者が開発に参加していることから、一年戦争時の名機ゲルググに似たフォルムとなった。背部バインダーは陸戦用に換装された放熱フィンであると言われている。アムロ・レイ専用機としては、唯一のガンダムタイプ以外のMSである。
武装はリック・ディアスに準じているが、ゲルググの様にビームナギナタも装備している。またビームライフルは百式用を流用している。
劇場版機軸で描かれたことぶきつかさの漫画『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』によると、一年戦争後の幽閉生活から解放されたアムロ・レイは、エゥーゴの置き土産となったリック・ディアスに搭乗したため、本機をニュータイプ・アムロ・レイの復活を象徴する機体にするというハヤト・コバヤシの意見を元に、アナハイム社は本機の外観のガンダムタイプへの変更を依頼されていたとの説もある。だがその案は、反ティターンズの同志でもあるジオン残党に不穏な行動と受け取られてしまう可能性を危惧され、カイ・シデンの機転により、頭部をモノアイ化し、ジオン系MSタイプの外観への変更が依頼された。しかし急な換装依頼だったため、モノアイの裏側にはツインアイ用のソケットが名残として残っているなど、直前までガンダムタイプのエクステリアとして進行していた名残は多く、結局は一部パーツを換装することによりガンダムタイプの頭部とする事もさほど難しくなかったようである。なお本作では、「SFS搭乗飛行時の空力特性を優先して、リック・ディアスにもガンダムにも似ていない曲線的なデザインになった」という設定である。ただしこのコミック自体は公式設定という訳ではない。
[編集] 劇中での活躍
陸戦用ではあるが、本編では専らドダイ改に乗って空中戦を行っている。戦闘のために地上に降りたり、ビームナギナタを用いて接近戦を仕掛けたりする描写はなかった。
第35話でティターンズのキリマンジャロ基地付近に降下したカミーユ・ビダンのΖガンダムとクワトロの百式を出迎えるように登場。サイコガンダムを中心としたティターンズの防衛隊とドッグファイトを繰り広げた。
第36話では吹雪のキリマンジャロ基地構内で戦闘、サイコガンダムと対峙するΖガンダムを援護するものの、サイコガンダムに搭乗したフォウ・ムラサメの最期を見届けてしまう。
第37話では、ダカールの連邦議会を占拠するため、クワトロを送り届けた。
第38話では宇宙に戻るカミーユとクワトロを防衛するために奮闘、ガルダ級メロゥドとジェリド・メサのバイアランを撃墜した。
劇場版『機動戦士Ζガンダム』ではディジェが登場したエピソードは全て省かれていたため一切登場しなかったが、前記の漫画『デイアフタートゥモロー』にて存在が確認されている。
[編集] 備考
メカニックデザインは藤田一己。元々はアクシズが開発したハマーン・カーン搭乗機としてデザインされたが、劇中では演出ミスによりアムロ用リックディアス改造機として登場した。初放映時、アムロ=ガンダムのイメージが強いファンからは非難が集中した。デザイナーの藤田一己もこの事実を認めており、「アムロ機になると知っていれば、もっと違うデザインにしていた」と明言[6]している。藤田の言葉の裏づけとして、設定書には隊長機と一般機を通信アンテナの有無によって見分ける、との旧ジオン軍でお馴染みの設定が書き込まれている。
コミックボンボン誌上で連載されていた近藤和久の漫画『機動戦士Ζガンダム』では、企画段階での経緯に沿う形で、チャイカなる名称でジオン残党側の量産機体として登場している。アニメ劇中でのディジェとは異なり、ガザ系列同様のナックルバスターを装備しているのが特徴である。
デアゴスティーニ・ジャパンが発行する「ガンダム・ファクトファイル」では、映像作品に登場し、はっきりとアムロ・レイが搭乗した事が判明している機体の中で、唯一表紙になっていない。
[編集] ディジェSE-R
ディジェSE-R (DIJEH SE-R)は『Ζ-MSV』に登場するMS。(型式番号:SE.DJ-1R)
[編集] 機体解説
ディジェSE-R | |
型式番号 | SE.DJ-1R |
所属 | カラバ、エゥーゴ |
建造 | カラバ、エゥーゴ |
生産形態 | 試作機 |
頭頂高 | 18.6m |
本体重量 | 28.6t |
全備重量 | 58.3t |
ジェネレーター出力 | 不明 |
スラスター総推力 | 不明 |
センサー有効半径 | 不明 |
装甲材質 | ガンダリウム合金(推定) |
武装 | 不明 |
主な搭乗者 | 不明 |
MSK-008ディジェをベースにしたSEシステムと呼ばれる新装備・新技術を導入し、ベース機をはるかに超える超高性能機と仕上がった。性能は勿論、コクピットのレイアウトや構造などの外見もディジェと全く異なっているうえ、開発元や具体的な性能についての記述すらなく、本当にディジェをベースにしているのか、実在したのか疑問の声もある。
[編集] 備考
藤田一巳がメカデザイン、世界設定を務めていた「タイラント・ソード」というガンダムワールドをベースにオリジナル設定を加えたジオラマ・フォト・ストーリーがホビージャパン1987年10月号から1988年2月号まで5回に渡って連載されていた。この物語は、SEシステムという全く新しいシステムを搭載した、モビルスーツを超越する「ソード」という新たな機動兵器カテゴリーの研究・運用試験が描かれている。ディジェSE-RはこのSEシステムの名残ではないかと推測される。
『スーパーロボット大戦シリーズ』ではディジェは一度も登場していないが、本機は何度か登場している。 『第3次スーパーロボット大戦』、『スーパーロボット大戦64』では百式とほぼ同じ武装に加え、ハイメガ粒子砲を装備していたが、『スーパーロボット大戦MX』ではハイメガ粒子砲がなくなっている。
[編集] 脚注
- ^ 月刊ニュータイプ創刊号掲載「ザ・オフィシャルアート・オブ・Zガンダム」による。
- ^ a b 『Ζ』小説版より。
- ^ HGUCキットの解説書より。
- ^ 放送当時発売されたプラモデルの機体解説より。
- ^ ガンダム関係の書籍にはOEM生産という言葉が多用されているが、OEMとは、相手先ブランドによる自社製品の生産のことを意味し、自社製品でないものを生産することをOEMとは言わない。それらはあくまで請負生産(アナハイムからみて)や委託生産(ライセンス元からみて)と呼ばれる。
- ^ 漫画『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー』の劇中で語られる「たまたま別口で進行していたデザインを流用した」とは、この事に由来するファンサービスであると推測される。
[編集] 関連項目
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ガンダムシリーズの映像作品 | ||||||
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ガンダムシリーズの劇中項目 | ||||||
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