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野田聖子 - Wikipedia

野田聖子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

野田 聖子(のだ せいこ、1960年9月3日 ‐ )は、日本の政治家衆議院議員(5期)。郵政大臣(小渕内閣)、郵政政務次官(橋本内閣)、岐阜県議会議員を歴任。

衆議院議員 野田 聖子
生年月日 1960年9月3日
出生地 福岡県北九州市
出身校 上智大学
学位・資格 外国語学士
前職 岐阜県議会議員
会社員
所属委員会
内閣役職
衆議院財務金融委員会委員
世襲 祖父・野田卯一(衆議院議員)
(初当選は祖父の引退から11年後)
選出選挙区 岐阜1区
当選回数 5回
所属党派 自由民主党
党役職 党広報局長
会館部屋番号 衆・第1議員会館711号室
ウェブサイト 野田聖子ホームページ

目次

概要

福岡県北九州市生まれ。オリンピックの年にちなみ名前は聖子(せいこ)と名付けられた。旧姓島聖子。東京育ち。祖父は大蔵事務次官から政治家に転身し、衆議院議員として経済企画庁長官、建設大臣などを歴任した野田卯一。1984年に卯一の妻・野田光の死去に伴って野田卯一の養子となり野田姓を継ぐ。選挙地盤や看板などを受け継いでいないため、厳密には世襲議員とはいえない。本人によれば大村益次郎は遠い親戚になるという。

田園調布雙葉学園高等学校を中途退学し、ミシガン州ジョーンズヴィル・ハイスクール(Jonesville High School)に入学し卒業。1983年上智大学外国語学部比較文化学科を卒業し、帝国ホテルに入社。 1987年、岐阜県議会議員に立候補し当選する。この時期に消費税導入をめぐって政府・自民党と社会党との攻防(社会党は1989年の参院選で議席倍増)を目の当たりにした際、「女性の立場から社会党の土井たか子人気に動揺、危機感と政治家としての自覚を持ち、国政を目指すことを決意した」という。

第39回衆議院議員総選挙1990年)では自民党からの公認が取れず、旧岐阜1区から立候補するも落選。第40回衆議院議員総選挙1993年)に再度の立候補、「衆議院にも自民党の女性議員を」との公約を掲げて初当選した(当時、衆議院に女性自民党議員は皆無だった)。以後、当選4回。河本敏夫会長の新政策研究会(通称:河本派、後に番町政策研究所)に所属した。

初当選で登院して成立した内閣は細川内閣で自民党は野党へ転落したため、野党の立場から政治活動をすすめる。

1994年6月29日、首班指名選挙で野党自民党は日本社会党委員長の村山富市を首班に担ぐも、新生党小沢一郎の誘いに乗り一時は武部勤伊吹文明中山正暉ら10数名と離党を考え断念した渡辺派渡辺美智雄が、「社会党の委員長を首相なんかに推せるか」と旗振りをする中、野田は渡辺、武部、伊吹や中曽根康弘中尾栄一赤城徳彦山本有二らと共に、連立与党の統一候補となった同じ河本派所属の海部俊樹元首相を支持に傾いた。しかし、議場の入り口で河本敏夫から直々に説得され、涙ながらに投票を棄権した。

第二次橋本内閣で郵政政務次官に就任(1996年11月7日)。1998年7月30日に成立した小渕恵三内閣では、郵政大臣に抜擢される(37歳10ヶ月・戦後最年少入閣、船田元の最年少記録39歳を更新。最初で最後の「女性の郵政大臣」)。郵政大臣に就任した際、首相・小渕からは「将来の女性首相候補」と持ち上げられ、野中広務古賀誠らからも目を掛けられた。1999年、自民党国会対策副委員長、衆議院議院運営委員会の議事進行係になる。議事進行役は将来有望な若手議員が抜擢されることが多く、初の女性進行係となったことで話題となる。2000年、自民党政調副会長、筆頭副幹事長に就任。

2001年保守党所属の参議院議員鶴保庸介と結婚(~2007年)、披露宴に代わる「初春の集い」を翌2002年1月に帝国ホテルで開催した。番町研を国会議員生活10年の節目となる2003年12月に脱会。派閥にとらわれず国民の支持を広げるためといわれる。(03年9月自由民主党総裁選挙では番町研会長高村正彦推薦人)夫とは事実婚を実践して男女共同参画社会の構築を唱導。夫婦別姓に関しては選択的夫婦別姓を主張。また不妊治療をしている国会議員として、マスメディア(主にテレビや女性誌)に何度も取り上げられ、この分野で数少ない先駆者と目されている。少子化対策についての提言も数多い。

政策課題の筆頭として子どもの問題を重視し、児童買春児童ポルノ禁止、発達障害(超党派「発達障害の支援を考える議員連盟」に所属して2001年11月24日、発達障害者支援法は成立)などの課題に積極的にかかわり、児童ポルノ禁止法を代表的にすすめた一人である。

2005年の総選挙では刺客候補の佐藤ゆかりを退け、5選を果たした。

趣味は読書、映画鑑賞、カラオケ、パソコン。日本酒党で「日本酒を愛する女性議員の会」(幹事長:小渕優子)で会長を、また日本酒造協会では顧問を務めている。メールマガジンの名称は「キャサリン通信」だが、このキャサリンは飼い犬(フレンチ・ブルドッグ)の名前。不妊治療の辛いときに橋本聖子に勧められて飼うことにしたという。

政策課題と実績

野田は自らを保守本流であると自認し、その保守本流の中身については、(1)日本国憲法の精神、(2)自由民主党の原理原則――に基づく政治であると説明している。また国の浮沈は、人(野田は「人財」と呼ぶ)を重視することだと主張し、「人財」の開発と育成が必要不可欠だと強調する。

夫婦別姓

与党女性議員政策提言協議会「選択的夫婦別姓に関するプロジェクトチーム」の座長として2001年11月5日、野中広務加藤紘一小渕優子ら45名(野田本人含む)の賛同を得て、党三役に対し選択的夫婦別姓制度について申し入れを行なう。 2002年7月16日、党内に「例外的に夫婦の別姓を実現させる会」(会長・笹川堯)を結成し注目を集めた。「おれの目の黒いうちは(夫婦別姓を)絶対に実現させない」との主張で、夫婦別姓に反対していた山中貞則を最高顧問に据えたからである。 同会所属議員らによる議員立法案「民法の一部改正に関する法律案」を2002年7月24日に自民党法務部会に対し提出した。 2005年2月22日、衆議院議員会館において超党派の議員を集めて行なわれた「夫婦別姓緊急院内集会」(主催:夫婦別姓選択制実現協議会・全国司法書士女性会)に参加し、全会一致が原則となっている党法務部会の合意が得られないことを憂慮、「超党派の議員立法で成立させるという誘惑に駆られることがある」と、その心境を吐露した。

少子化

三年間で八回におよぶ体外受精を受けた不妊治療体験から国会議員として生殖医療に取り組んできたが、少子化問題にも目を向け、2002年秋ごろ、特に力を入れたい政策課題だと表明。小泉政権の少子化対策について、「百点満点で十点」と酷評。自費出版を検討していた自らの体験や体外受精をめぐる夫との軋轢や通院の苦労談、流産の辛さをつづった著書を、新潮社の申し出により、2004年12月に『私は、産みたい』と題して出版。翌2005年5月には、『だれが未来を奪うのか 少子化と闘う』を講談社から出版し、自党内の「女性が職を持つようになって子を産まなくなった」との発言に対して、欧米など女性労働者が多い国でも、出生率が高いデータ例を示しつつ反論。政府が課題とする少子高齢化と人口減少を切り口に、今後取り組むべき政策ビジョン「人財増産計画」を提言しつつ、党内議員の旧態依然たる意識を厳しく批判している。少子化対策への取り組みこそ社会を安定させると主張する数少ない議員。

郵政事業民営化法案

2005年4月27日に政府提案(閣法)で上程された郵政民営化法案に反対したため、民営化反対派の急先鋒だと見なされたが、本人は「今の竹中プランでは駄目だと言っているのです」と説明(しかし解散総選挙後、小泉首相が国会に提出した郵政法案は中身は全く同じであったが、野田は7月の本会議から一転して賛成票を投じている)。「『民営化に反対だ』などと言ったことはない」、と否定。「国民生活を直撃」するインパクトを持ち、規制緩和の手本である合衆国ですら国営だと指摘し、法案が古い「二項対立論の焼き直しにすぎない」と批判を展開した。

批判や反対論を法案上程後一貫して主張し、全国特定郵便局長夫人会(会長・高田千代栄)が2005年6月14日に行なった郵政民営化反対の国会へのデモ(請願)行動に出席して挨拶に立ち、再度法案反対を表明。本会議の採決で自民党が党議拘束をかけた場合でも反対する意向を表明した(2005年6月15日)。

7月5日の衆議院本会議における法案採決には党議拘束に造反して青票(反対票)を投じ、五票差で可決となったが、法案は参議院で否決された。なお、夫の鶴保庸介は、師事してきた二階俊博の判断を尊重し、参議院本会議の採決で白票(賛成)を投じたが、国会での記者会見で8月10日、所属する二階グループ「新しい波」へ脱会届を提出したと表明。その理由として、「夫としては当然、妻の応援に向かわなくてはならない」と述べ、党選挙対策本部事務局長である党総務局長・二階俊博に迷惑はかけられない旨説明している。さらに「法案に反対したものすべてが改革反対論者であるような風潮や、総裁(小泉首相)の言動に疑問を感じる」と付け加えて首相の政治手法を批判した。

自由民主党岐阜県支部連合会(会長・古屋圭司)は8月10日、岐阜市内で執行部会・常任総務会合同会議を開き、県連規約を改正し、党公認がなくても総選挙で支援することを決定した。会議の席上、法案に賛成した金子一義が異論を唱えたが、これに対し「県連は一致して法案に反対している。地方の声を聞くのが国会議員だ」とする反論も出た。衆院解散後、8月12日に開かれた初の選対会議は県連規約を改正した上で、造反組の野田聖子、藤井孝男古屋圭司の支援を正式決定、自民党本部の執行部が対立候補を立てた場合、これを支援した党員は、県連党紀委員会にかけて処分することを表明して党本部との対決姿勢を鮮明にした。

日本外国特派員協会 (FCCJ: The Foreign Correspondents' Club of Japan) における昼食講演会 (Professional Luncheon) で2005年7月6日、郵政民営化と少子化対策について英語で講演し、質疑で民営化法案の今後について問われ、廃案を期待しているとしながら、「今後どうなるかは分からないが、ひとつだけ言えることがある、ミスター小泉はもはやダイナマイトではない(威力は低下している)」 ("I don't know (if there will be political confusion) , but one thing I can tell is, Mr. Koizumi is no longer dynamite.") と英語で即答してみせ、約百人の記者団・特派員からどよめきと喝采を浴びている。

しかし総選挙終了後に与党が圧勝すると、後援会幹部や地元・自民地方議員らから法案に賛成するよう強い要望が出た為に路線を変更し、再度提出された郵政民営化法案に賛成票を入れた。同年10月に野田は自民党から離党勧告され離党をするが、その後、安倍晋三総裁(首相)の主導の下、郵政造反組の復党が検討され、2006年12月に自民復党を果たした(郵政造反組復党問題)。

その他

事務所放火事件

2007年8月10日、深夜、岐阜にある野田の事務所に何者かが侵入し、パソコンと防犯カメラ用デッキが盗まれたうえ、事務所に放火された。燃えたのはビル一階の事務所であるが、ビル五階にまですすが達する火災となった。

野田は「昔から政治活動する人は、いろいろな妨害や危害を加えられてもやり続けている。私もそういう被害にあって、屈せず頑張るしかないというのが率直な心境だ」[1]と述べたうえで、犯行について「ひきょうだと思う」[1]と指摘した。

事件の後、事務所はビル二階に移転。政治日程やメールマガジンの配信などが一時的に滞った。事件の犯人は捕まっておらず、真相は明らかとなっていない。


文献

著書

単著

  • 1987年12月 『アイアム聖イング』海越出版社、ISBN 4906203523
  • 1994年6月 『改革という美名の下で』海越出版社、ISBN 4876971889
  • 1996年2月 『国民のみなさまにお伝えしたいこと ホンネで語る政治学』PHP研究所ISBN 4569550177
  • 2004年12月 『私は、産みたい』新潮社、ISBN 4104729019
  • 2005年5月 『だれが未来を奪うのか 少子化と闘う』講談社、ISBN 4062128330

共著

  • 2001年10月 『ポストITは日本が勝つ! トップランナー7人の提言』(杉山知之編)、アスキーISBN 4756139183
  • 2005年3月 『よくわかる改正児童買春・児童ポルノ禁止法』(森山眞弓と共編)ぎょうせい、ISBN 4324075875

関連項目

外部リンク

オンライン記事

脚注

  1. ^ a b 「野田聖子議員『ひきょうだと思う』――事務所放火事件」『asahi.com:野田聖子議員「ひきょうだと思う」 事務所放火事件 - 社会朝日新聞社2007年8月10日
先代:
自見庄三郎
郵政大臣
1998年 - 1999年
次代:
八代英太
他の言語


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