近鉄9020系電車
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9020系電車(9020けいでんしゃ)とは、近畿日本鉄道の保有する通勤形電車の1系列。
本項ではその6両編成バージョンである9820系電車、9020系の狭軌仕様である6820系電車についても記述する。
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[編集] 9020系
2両編成のロングシートのシリーズ21。1230系、1430系を増備する際、シリーズ21に仕様変更した系列。2000年登場。
奈良線用は老朽化した900系、8000系2連車の置き換え目的に、同じく大阪線用は2400系の置き換え目的に製造されている。
2両編成で、奈良・京都線に18本(9021F~9038F、電算記号は汎用シリーズ21車を意味するEの頭文字に同線の2両編成車を意味するEを重ねてEEとなった。難波・京都寄りからモ9020(Mc)-ク9120(Tc)と組成)、大阪線に1本(9051F、電算記号はEW、上本町寄りからク9150(Tc)-モ9050(Mc)と組成)が配備されている。
IGBT素子によるVVVFインバータ制御装置は、9027F・9035F~9038Fと9051Fが日立製作所製でそれ以外は三菱電機製[1]を搭載している。9023F・9024F・9026F~9038F、9051Fは下枠交差式パンタグラフを搭載しているが、このパンタグラフは900系や8000系などの廃車発生品を再利用したもの。9027F以降はフロントガラスが緑色を帯びたUVカットガラスに変更された。
9025Fは新造当初、シングルアーム式パンタグラフを装備していたが、一時期下枠交差式パンタグラフを装備し、現在は再びシングルアーム式に戻っている。主電動機は三菱電機製MB-5085A形(185kW×4)を採用。歯車比は再び6.31と大きく取った。
5820系、9820系の増結用だが、単独ないし他車併結による重連4両編成で京都線・橿原線・天理線の普通としても運用され、また、単独ないし他車併結による3重連6両編成で快速急行以下各種別や、京都線の急行にも入る。このほか、4重連8両編成や5重連10両編成となったこともある。登場後数年間はシリーズ21車と既存形式車の混成編成が見られるケースは稀であったが、2006年3月以降は在籍本数が増加したことや9000系が転属したことに伴い基準を緩和し、8000系や8810系などの既存形式と連結するケースも多く見受けられる。
奈良線所属車については2006年度より阪神直通対応工事を行うことになり、全編成が本工事を完了した。
現在9028F・9029Fに不思議の国のアリス、9032F・9033Fに阪神相直PR、9035F・9036Fになららラッピングがなされている(9030F・9031Fにラッピングされていた近鉄ライナーズは2008年5月をもって終了した)。今後も新造投入が行われる予定である。
[編集] 9820系
9020系の6両編成バージョン、または5820系のロングシートバージョンである。1020系(6両編成)、1620系(6両編成)をシリーズ21に仕様変更した系列。
老朽化した8000系60・70・80番台車3、4両編成の置き換え用として製造。2001年に登場した。IGBT素子のVVVFインバータ装置を搭載し、9821F、9823F、9825F~9828Fは三菱電機製で、9822F、9824Fと9829Fは日立製作所製。
パンタグラフは9821F、9826F~9829Fがシングルアーム式のPT-7126形、9822F~9825Fが下枠交差式のPT-4811形を装備している。ちなみに、9823F~9825Fのパンタグラフは廃車発生品を再利用している。主電動機はMB-5085A形(185kW×4)、台車はKD-311形を採用。9020・9820系共に120km/h運転に対応しているが、営業最高速度は110km/hに抑えられている。9823F以降はフロントガラスが緑色を帯びたUVカットガラスに変更され、奈良・橿原神宮前側の先頭部分にも貫通扉に幌枠が設けられた(阪神電気鉄道直通運転対応工事と同時に9821F、9822Fにも設置)。また、9825F以降の行先表示器のLED表示は旧国名入り(例・大和西大寺)に対応しており、9825Fは運用開始直後、この旧国名表示に対応していたが、一旦消滅し、再び旧国名入りに戻されている。9826F以降は天井の蛍光灯カバーが省略されている。
現在、奈良・京都線に9本(9821F~9829F)が配備されている。電算記号はシリーズ21汎用車を表すEの頭文字に奈良線系統の6連車を表すHを重ねてEHとなった。難波・京都寄りからク9720(Tc1)-モ9820(M1)-モ9620(M2)-サ9520(T)-モ9420(M3)-ク9320(Tc2)と組成している。全編成に阪神電気鉄道直通運転対応工事が行われ、阪神用の列車選別装置とATSが取り付けられた。現時点では、大阪線には投入されていないが、9200系が大阪線に転属するときに番号が重複するサ9350がサ9310に改番されていることから将来投入されるものと思われる。
9826Fは2006年10月から2008年5月までシミズメガネのラッピングがなされていた(現在は通常塗装に戻されている)。今後も新造投入が続く予定である。
[編集] 6820系
2002年登場。9020系の狭軌版にあたる。南大阪・吉野線用の2両編成の「シリーズ21」である。2両編成2本(6821F、6822F、電算記号はAY)が現在配備されている。
日立製作所製IGBT素子によるVVVFインバータ制御装置を採用しているが、主回路は9020系の1C4M制御に対し本型式では16400系と同様の1C2M制御に変更されていて、単独編成での運用を考慮したものとなっている。 南大阪線系統の通勤車の最高速度が100km/hとされているため、モータ出力は160kWである(奈良・京都・大阪線系統の「シリーズ21」は185kW)。シングルアーム式パンタグラフ採用。