近鉄3200系電車
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3200系電車(3200けいでんしゃ)は、近畿日本鉄道の通勤形電車。
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[編集] 概要
近鉄で初めて量産されたVVVFインバータ制御装置搭載車両で、1986年(昭和61年)1月に登場した。また一般車(シリーズ21を除く)では初めてマルーンとシルキーホワイトの塗装となり、西大寺車庫に配置され京都市営地下鉄烏丸線に乗り入れている。
登場当時4両編成であったため、電算記号は奈良線系統の4連車を意味するLを用いてKLとなった。3201F~3206Fの6本は4両編成で登場したが、3207F(KL07)は新製時から6両編成で登場。残りの6本は1988年(昭和63年)の京都市営地下鉄烏丸線乗り入れ開始に際して、1987年(昭和62年)11月に真ん中に2両が組み込まれて6両編成となっている。なお歯車比は1986年製が5.73、1987年製が6.31と異なるが、混結には支障ない。2006年(平成18年)現在、6両編成7本(42両)が在籍するが、電算記号はKH01~07とはならずにKL01~KL07のままである。これは6両編成化された当時、奈良線系統の6両編成車を意味する電算記号が存在していなかったことに由来する。ちなみに3207Fは奈良線系統で初めて、編成単位で英文字併記の方向幕を採用した編成でもある。
基本的に他系列とは併結しないので、電気指令式ブレーキを採用し、電気連結器も装備していない。運転台は登場時の3000系と同じく、デスクタイプの2ハンドルマスコン。制御装置は16ビットの制御回路のマイコンを採用している。
標準サイズの地下鉄対応車両としては珍しく山岳トンネル(奈良線・新生駒トンネル、新向谷トンネル)を走行する(3220系も同様)。
先頭部分の形状は他の一般車両と違い「く」の字型で、他の車両との連結は不可能である。前面には非常用の扉と連結器が付いている。先頭部の車両ナンバーは他の車両と違い運転席の窓の右下に記されている。
地下鉄線に乗り入れるため、3220系と共通運用であるが、毎日数本余るので終日近鉄線のみを走る編成も出ており、昼間時は一部が、それ以外の時間帯は最大で約半数の運用が難波にも顔を見せる。これは京都市営地下鉄直通急行運用の前後は一部を除き近鉄奈良駅では奈良線運用として折り返すからである。この時は準急又は各駅停車の運用が多い。ただし平日の一部では快速急行や急行でも運用される。なお工場入場時や試運転時には大阪線も走行する。逆に近鉄・京都市交の両社局の車両走行距離の調整の兼ね合いもあり、地下鉄烏丸線内区間列車に運用される事も多い。
何故か、この車両には急行、準急、普通「高の原」行きの方向幕が用意されている。(普通の幕は実際に使われたことがある。)
[編集] 改造工事
2006年8月から2007年4月にかけて全編成に転落防止幌が設置された。また、同年10月から高安検修センターにて車体更新が行われている。
2008年06月現在、4編成が車体更新工事を完了している。
車体更新入場(年-月) | 出場・営業運転復帰(年-月) | |
---|---|---|
3201F(KL01) |
2007-08 | 2007-11 |
3202F(KL02) |
2006-10 | 2007-01(営業運転復帰は2月) |
3203F(KL03) |
2008-04 | - |
3204F(KL04) |
2007-05 | 2007-07 |
3205F(KL05) |
未更新 | - |
3206F(KL06) |
2007-12 | 2008-02 |
3207F(KL07) |
未更新 | - |
[編集] 主な運転区間と種別
- 京都市営地下鉄烏丸線(線内運用も多数ある)
- 京都線-普通・準急・急行(全線通しの各駅停車には運用されない)
- 橿原線-急行(大半は京都まで直通)
- 天理線-急行(同上)
- 奈良線-普通・区間準急・準急(一部の急行・快速急行)