近鉄1010系電車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1010系電車(1010けいでんしゃ)は、近畿日本鉄道の通勤形電車の一つ。電算記号はT(10番台)。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 登場
1972年、京都線用920系として登場。一部機器を600系から流用して製造されたため、吊り掛け駆動方式で、電気ブレーキも装備していなかった。車体は8400系と同等の普通鋼製で、乗降扉は片側4箇所、座席はロングシートで、車両間の貫通路は幅の広いものとなっている。電動車の台車は空気バネのKD-74を新造したが、制御車・付随車の台車は廃車車両のもの[1]を改造して利用した。KD-74は将来のカルダン化を想定しての採用であり、実際にカルダン化された現在でも使用されている。モ921~929(奇数)-モ922~930(偶数)-ク971~975の3両編成5本が製造された。製造当初は冷房装置を搭載していなかった。
[編集] 冷房化とカルダン化
1982年から、駆動方式を吊り掛け式からカルダン式に、制御方式を抵抗制御から界磁位相制御に変更する改造工事が行われた。その際、主電動機は廃車となった10100系(ビスタカーII世)の三菱MB-3020Eに取り替えられた(出力は125kWから132kWに引き上げられた)。この改造によって回生ブレーキが使用できるようになった。また、同時に冷房装置の搭載も実施された。
[編集] 名古屋線への転属
京都線・橿原線での3両編成の運用が減少したため、1987年から1988年にかけて、全車が名古屋線に転属した。この際改番が行われ、モ1010-モ1060-ク1110となったほか、連結器の高さを変更するなどの改造が行われた。
[編集] 現状と今後
2006年、1012Fと1015FにB更新(延命工事)およびワンマン運転対応工事(車外スピーカー、電光式ワンマン表示器の設置など)が施された。この際、ク1110形の台車が空気バネのKD-64Aに交換された(廃車となった8000系のものと推測されている)。抑速ブレーキを装備しない車両が新青山トンネルを越えて高安検修センターまで自力回送されるのは異例のことである。2007年には1013Fも同様の工事(ただし、前述の2編成と異なり、一部窓枠の交換は行われなかった)を受け、残る2編成にも今後行われるものと考えられる。
2008年3月現在、廃車は発生しておらず、3両編成5本全車が明星検車区に所属し、名古屋線、山田線で使用されているほか、前述の3編成は湯の山線および鈴鹿線のワンマン列車にも使用されている。
[編集] 編成一覧
- 1011F T11 明星 Tc1111-M1061-Mc1011
- 1012F T12 明星 Tc1112-M1062-Mc1012 ワンマン運転対応 側面1枚窓
- 1013F T13 明星 Tc1113-M1063-Mc1013 ワンマン運転対応
- 1014F T14 明星 Tc1114-M1064-Mc1014
- 1015F T15 明星 Tc1115-M1065-Mc1015 ワンマン運転対応 側面1枚窓