機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…
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機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で… |
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ゲーム | |
ゲームジャンル | 3Dシューティングゲーム |
対応機種 | ドリームキャスト |
発売元 | バンダイ |
キャラクターデザイン | 小林源文 |
発売日 | 1999年8月26日 |
販売価格 | ¥6,800 |
ゲーム: 特別版(BANDAI the Best) | |
発売日 | 2001年6月28日 |
販売価格 | ¥2,940 |
その他 | 機能・データが 追加された特別版 |
小説 | |
著者 | 林譲治 |
出版社 | 角川書店 |
レーベル | 角川スニーカー文庫 |
巻数 | 全2巻 |
■テンプレート使用方法 ■ノート |
『機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…』(きどうせんしがんだむがいでん コロニーのおちたちで)は、アニメ作品群「ガンダムシリーズ」の一つで、1999年8月26日にバンダイから発売されたドリームキャスト用の3Dシューティングゲーム。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] 概要
一年戦争末期、コロニー落としの被災地となったオーストラリアを舞台として、主人公(マスター・ピース・レイヤー)率いる地球連邦軍ホワイト・ディンゴ隊の活躍を描いた作品。地球連邦側の視点でありながら、主役機としては最後までガンダムが登場しないという特徴がある。
ちなみに「ディンゴ」とはオーストラリアにいる野犬のこと。
地球連邦軍の勝利の要因となったとされているジムであるが、アニメでは一方的にやられる場面ばかりであったので、視聴者の一部などでは「大量生産したにせよ、なぜジムで勝てたのか?」という疑念を持つ状態であった。その他のガンダム作品でも同様に、やられ役としてジオン公国側及びガンダムの強さを引き立てる役回りばかりであり、ジムが活躍する場面はほとんどなくその疑念は晴らされないままだった。
しかし、このゲームではそのジムが主役機である。敵機との性能差は圧倒的優位ではなく、1機で敵集団を撃破するということは出来ない。よって、情報戦用装甲車のホバートラックによって情報を収集し、敵機の配置や作戦目標から戦略を練り機体と武装を選択し、僚機と連係を取り常に多対一の形を作るなどの工夫をしないと勝利できない。反面、ジオン側は機体性能などは優れているものの、情報が無い上に機体間の連係も無く個別撃破されることになる。これがそのまま連邦がジオンに反攻できた理由となっており、このゲームをプレイした人は疑念が晴れると同時にジムを再評価することになった(このあたりの描写は特に小説版で丁寧に描かれている)。
モビルスーツのカラーリングを派手さを抑えたものにしたり、キャラクターを小林源文デザインによる劇画調にするなどでケレン味を極力取り除き、自らも特務部隊とはいえ量産機に乗る一兵卒であることや、部下や整備兵との会話なども「リアルな戦場臭さ」を重視した演出をしている。シナリオも似た状況である『第08MS小隊』での演出や、アニメ本編の時系列、近い未来にあたる『0083』との繋がりを意識したものとなっている。
また、『超時空要塞マクロス』との共通点が散見される。
- 主人公は小隊を率いる小隊長
- 隊に明るい性格のマクシミリアンという名前の兵士がいる
- 少し口うるさい戦闘オペレーターの女性が存在し、声が土井美加
- アイドル歌手が戦時放送を担当し、劇中度々登場する
ゲームシステム等は「機動戦士ガンダム外伝」シリーズの前作であるセガサターンのゲーム『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』の直系にあたるが、ドリームキャストのアナログ入力が可能であることを生かし、機動中でも手動での照準合わせや細かいブーストの出力調整が可能になっている。また僚機に指令(移動コースと索敵・攻撃などのモード)を出すことも出来る。
角川スニーカー文庫から小説版が上下巻で出版されている。林譲治著。小説版ではゲーム中では出てこなかった裏舞台やジオン側の視点が追加され、ゲームでは点だったミッションが線で繋がるようになっている。
[編集] ゲームソフト
- 機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…
- 1999年8月26日発売。
- 初回限定版はガンダムウォーのプロモーションカードを1枚封入。
- 機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で… 特別版 (BANDAI the Best)
- 2001年6月28日発売。
- 定価が下がっただけでなく、機能・データが追加された特別版。コクピットのフレームを非表示にするオプションが追加され、本編クリア後はネットワークからダウンロードしなければ使えなかった装備とプレミアムディスクに入っていたホワイトベース隊のモビルスーツとの模擬戦闘モードが追加される。
[編集] 登場人物
[編集] 地球連邦軍
- マスター・ピース・レイヤー (Master Pierce Rayer)
- 声:なし(本作)/ 山寺宏一(『ギレンの野望 ジオンの系譜』ほか)
- 地球連邦軍中尉、遊撃MS小隊「ホワイト・ディンゴ」の隊長。戦闘機パイロットから転身したという経歴を持ち、一年戦争末期、みずからの出身地でもあるオーストラリア大陸で戦った。小説版では、リーダーとして苦悩し模索しながらも、使命を完遂していく様が描かれている。
- その名前は「マスター」すなわち「プレイヤー」が操作するキャラクターである事を意味する(姓名の略称「マスター・P・レイヤー」が「マスタープレイヤー」すなわち「熟練プレイヤー」のもじりであるとする説や、「マスター(主)」と「プレイヤー」という、同意の二語を組み合わせた名前、という受け取る説がある)。
- ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜』ではユウ・カジマと同郷という設定になっており、会話イベントがある。ちなみにユウとは名前はプレイヤーのもじり(ユウの場合は「you」)である事や、主役を務めるゲームのハードが同じセガからの発売(「ここでは肩身が狭い」と嘆いていた)という共通点がある。
- レオン・リーフェイ
- 声:幹本雄之
- 戦車兵出身。真面目で実直だが堅物ではない。口数は少なめだが、発言した際は核心を突く推察を行ったりや出所不明な噂を知っていることがある。それらは全て任務遂行に寄与するようなものなのだが…。
- 実はジャブロー直属の諜報部部員。その使命はトリントン基地の核を防衛することで、一部の権限はスタンリー大佐をも上回る。しかし出所不明の噂については、半分は越権行為であり、仲間を助けるためだった。最終決戦前に正体を告白。更に団結が高まる結果となった。
- マクシミリアン・バーガー
- 声:宮本充
- 軍楽隊出身の変わり者。軽いお調子者風だが、任務にはやりがいを感じ着実にこなす。厭戦放送のパーソナリティ「ジャクリーン」に夢中。
- アニタ・ジュリアン
- 声:土井美加
- ホワイトディンゴの戦術と連係の要、ホバートラック「オアシス」を操る女性兵士。電子戦・情報戦にも長けている。マイクの口喧嘩相手。若干考えが堅いところと、連邦の正義を無条件に信じている所がある。
- ボブ・ロック
- 声:緒方賢一
- ホワイトディンゴのメカニック長。確かな技術のみならず、新兵器などの特徴を把握していたりジオン兵器との性質差を察するなど知識も豊富で、ホワイトディンゴ隊の厚い信頼を得ている。
- スタンリー・ホーキンス
- 声:藤本譲
- 地球連邦オーストラリア方面軍司令官。特務部隊であるホワイトディンゴの直接の上司。困難な任務をホワイトディンゴに与える。個人的にはそれを心苦しく思っているのだが、司令官としてそれを断じることの出来る人物。口癖は「吉報を期待している(期待する)」
[編集] ジオン公国軍
- ヴィッシュ・ドナヒュー
- 声:平田広明
- ジオン公国オーストラリア駐屯軍アリス・スプリングス支隊のモビルスーツ部隊隊長で階級は中尉。乗機はグフ、ゲルググ。
- 通常の装備で倍の時間戦闘が出来、更に三倍の戦果を挙げる事と、撤退時の殿を好んで勤め、しかも必ず無事帰還してくることから「荒野の迅雷」と敵味方に広く知られている。また彼自身が有能なパイロットであるにもかかわらず、部下たちには個人としてではなく、部隊の一員として戦う事を徹底させた。この方針と優秀な実績から、一時期戦線を離れ教官として新兵などの教育に専念したこともある。
- アリス・スプリングス駐屯基地において地球連邦軍のホワイト・ディンゴ隊と交戦するが、この時、市民への被害を最小にとどめるため、更には内々だが既に戦略的には拠点放棄する方向だったこと、また昔の恋人でもあるマヤ・コイズミ大尉率いる鉄道大隊が物資輸送のためにアリス・スプリングスを通過しようとしたこともあり、敵軍でしかも奇襲してきたホワイト・ディンゴに休戦を呼び掛けるなど、柔軟性に富んだ面も見られる。
- そして彼は最終指令「月の階段」が発令された後、ヒューエンデンHLV基地で友軍撤退に伴うHLV打ち上げの時間を稼ぐため出撃。元より撤退先の無い決死の出撃だった。ホワイト・ディンゴの隊長マスター・ピース・レイヤーと交戦し、戦死した。終戦を知らせる放送が流れたのは、正しくその直後だった。
- 全てが決着した直後にヴィッシュの意図を察したレイヤーは、「親友になれたかも知れない」と慟哭したという。(それを考慮してか『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜』では並んでシドニー湾を眺め、復興作業を見つめるIFシーンがある)
- 彼は画才が有り、愛機に雷神(彼と同じく眼帯をしたドクロ)のマークを描いた。また時にはアリス・スプリングスの子供達に絵を描いてやり、「アンクル・ドナヒュー」と呼ばれ親しまれた。
- ウォルター・カーティス
- 声:小山武宏
- ジオン公国オーストラリア駐屯軍司令官。略奪行為などをよしとしない正々堂々とした軍人であり、実務と実働を重視した有能な司令官であると同時に、類稀なる戦略家でもある。ゲームでは一部デモのみに登場。
[編集] 登場兵器
[編集] 地球連邦軍
ホワイト・ディンゴ隊が使用するモビルスーツのカラーリングは、ジムスナイパーII以外は明灰色・暗灰色で塗装されている。
- ジム
- プレイヤー機・僚機として最初から選択可能。標準機だが、他機と比較すると機動性に優れたタイプになる。多彩な武装を使用可能で高い汎用性を持つ。
- ジム・キャノン
- プレイヤー機・僚機として最初から選択可能。ジムに加えキャノン砲が使える分砲撃能力が高く耐久力も高めだが、やや機動性が劣る。MSV設定では、公式武装はジムと同じビームスプレーガンのみだが、本作では陸戦型ジム用のマシンガンやシールドを装備することが可能。
- ガンキャノン量産型
- 中盤以降プレイヤー機・僚機として選択可能。マシンガン二丁と二連装キャノンを持ち、高い火力があり耐久力も高いが、機動性と格闘性能が劣る。また武装が限られるため汎用性はジムより劣る。シールドを装備できない。
- ジム・スナイパーII
- 最終決戦時に搭乗する。ジムの汎用性に加え非常に高い機動性を持つ。
- ホバートラック
- 戦闘能力はほぼ皆無だが、情報戦に欠かせない装甲車。音紋センサーなどを装備し、ミノフスキー粒子散布下でも高い索敵能力を持つ。ホワイトディンゴ隊のホバートラックは「オアシス」と呼称されている。
- 61式戦車
- ミデア(輸送機)
- TINコッド
- フライマンタ
- バストライナー
[編集] ジオン公国軍
- ザクII
- ザクキャノン
- グフ
- ドム
- ゴッグ
- ゲルググ
- 通常のゲルググと違い、腕にグレネードランチャーとガトリング砲が付いている。本作の発表時はゲームオリジナルの改修機という位置づけであったが、後に正式に陸戦型ゲルググと設定された。
- ライノサラス
- ゲームオリジナルモビルアーマー。現地製造・改修らしく寄せ集めっぽさもあるが、その攻撃性能は高い。
- マゼラアタック・マゼラトップ・マゼラベース
- ドップ
- ガウ
- ユーコン級潜水艦
- ギャロップ
- アッザモード
- アッザムの改良型と思われる地上用モビルアーマー。キシリア少将が提案したと言うアッザムに装備していたビーム砲を実弾砲に換装しプラズマリーダーに加えミサイルを装備し、滞空も長時間可能。まさしく「空飛ぶ砲台」である。