61式戦車 (機動戦士ガンダム)
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61式戦車(ろくじゅういっしきせんしゃ、ろくいちしきせんしゃ、TYPE61 M.B.T., TYPE61 TANK)はアニメ「機動戦士ガンダム」シリーズに登場する架空の戦車である。
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[編集] 概要
宇宙世紀0061年に制式採用された地球連邦軍の戦車。 作中ではモビルスーツを引き立てる役割の、所謂「やられメカ」である。 一年戦争前半の地球連邦軍の陸上主力兵器として、モビルスーツやマゼラアタックなどのジオン公国軍陸上部隊と戦った。 主砲は150mm連装砲。発射間隔が短く、交互の射撃が可能である。
元々の設定では無名の「戦車」であったが、アニメ誌が陸上自衛隊の61式戦車の名を代用したところ、正式設定として定着してしまった。 「機動戦士ガンダム第08MS小隊」ではデザインが刷新され、MS IGLOOなど他の一年戦争を扱った作品にも登場する。
[編集] 劇中での活躍
本車輌は主に機動戦士ガンダムや機動戦士ガンダム 第08MS小隊など、一年戦争を舞台とした作品に登場する。
機動戦士ガンダムのTV・劇場版共に、ジオン公国軍が占領した資源地帯オデッサへの攻略作戦「オデッサ作戦」発動直前から、他の陸上・航空兵力と共に登場している。 ベルファスト基地でのマッドアングラー隊によるホワイトベースへの攻撃でも、友軍としてオレンジ色の車体が登場した。ジオン軍によるジャブロー攻撃の際も多数出撃している。
劇場版では赤鼻の搭乗するアッガイを撃破する描写が追加された。
機動戦士ガンダム MS IGLOO では、ルウム戦役直後のアリゾナの砂漠でジオン軍試作機動戦車「ヒルドルブ」と交戦した。
いずれの戦いも、性能で優るジオン公国軍のモビルスーツに対し物量で対抗するという戦術である。
[編集] ミノフスキー粒子下での戦闘
電波を撹乱するミノフスキー粒子の投入はそれまでの兵器・戦闘を一変させるものであったが、個体としての戦車はミノフスキー粒子による影響が比較的少ない部類にあたる。なぜなら、個々の戦車の戦闘は基本的に目視と直射射撃によるからである。
しかし、電波機器が撹乱されると航空機や砲兵、歩兵と連携して相互に補完する複合的な戦術どころか、僚車との連携という基本戦術さえ不可能になる。特に戦車単体での視界は狭く低く、MSのカメラアイによる「鳥瞰」とでは比較にならない。ミノフスキー粒子下での戦車は孤立し、本来の戦力を発揮することができない。
[編集] モビルスーツ(MS)に対する戦術
61式戦車の設計は宇宙世紀0061年と古く、無論対MS戦闘を全く考慮していない。
さらに、
- 61式戦車の戦車砲の攻撃力に対して、MSは十分な装甲を持っている。
- MSは、61式戦車の装甲を全方向から貫徹可能な攻撃力を持っている。
- MSの携行火器の発射速度は、61式戦車の連装150mm砲より速い
- 61式戦車の防御は、MSの小口径実体弾兵器ならともかく、バズーカ系火器やビーム兵器にはまったく通用しない
といった要素が加わる。
61式戦車がMSと戦闘を行う場合、砲弾が敵MSの装甲を貫徹可能な距離まで接近しなければならなく、必然的に交戦距離は近いもの(数百m~至近距離)となる。それも、MSが上から見下ろしている最中を、劣悪な視界内でである。さらに、戦車の砲弾は、その威力を最大限に発揮するために適切な目標と距離を取らればならない(近づきすぎても貫徹できない)事も留意する必要がある。
近距離の乱戦では、MSは61式戦車などの車輌を見下ろす形となる事から、薄い上面装甲を攻撃可能であり、またMSの移動速度は(ホバリングやジャンプを考慮外としても)61式戦車と同程度を誇り、至近距離では砲塔の旋回・砲身の附仰よりもMSが避ける方が速い。そして、MSの得意技である格闘戦に持ち込まれたら、61式戦車は単なるキャタピラつきの箱でしかない。従って、距離に関わらず61式戦車の対MS戦闘は困難であると言える。だが、偽装して待伏したり、圧倒的多数が確保できれば61式戦車でも十分にモビルスーツに対抗しうる(「絶対に不可能、勝算皆無ではない」程度の、きわめて不利な可能性ではあるが)。
しかし、TV版や劇場版で登場する61式戦車は(連邦軍将兵の錬度の低さもあって)敵MSに対して有効な戦闘を行えず、ほぼ一方的に撃破されている。 オデッサ作戦では大量に投入され連邦軍を勝利に導いているが、作戦に参加した61式戦車の8割を喪失しているという設定になっている。一方で、派生作品の小説版「ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079」では、対MS戦術としてエイガー少尉の発案で装甲が薄い背面を攻撃する作戦がとられるなど、戦車の有用性を評価する傾向も見られる。
MS登場以後の兵器開発では専らMSが重視され、戦車型の新型兵器の開発は行われなかった。「歴史は繰り返す」とはよく言ったもので、戦車が登場しそれを撃破するために次々と新型戦車が開発・投入されたように、MSに対する最良の手段は新型MSの開発・投入であると判断されたのである。
よって、ミノフスキー粒子・モビルスーツの登場で戦車はその使命を終えたと言える。
[編集] 参考文献
- ガンダム「一年戦争」 円道祥之 ISBN 4796628177
[編集] 関連項目
- マゼラアタック
- 61式戦車
- リニアガン・タンク(機動戦士ガンダムSEEDシリーズで登場する同一コンセプトの主力戦車)
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