ヒルドルブ
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ヒルドルブ (HILDOLFR) はアニメ『機動戦士ガンダム MS IGLOO - 1年戦争秘録 -』第2話「遠吠えは落日に染まった」に登場する架空の兵器。ジオン公国軍の試作モビルタンクである(型式番号:YMT-05)。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] 機体解説
ヒルドルブ(hildolfr) | |
型式番号 | YMT-05 |
所属 | ジオン公国軍 |
全長 | 35.3m |
全幅 | 14.7m |
通常全高 | 8.6m |
最高全高(モビル形態時) | 13.3m |
全備重量 | 220t |
主機関 | 核融合炉 |
ジェネレーター出力 | 3,300kW |
最高走行速度 | 110km/h |
主砲口径 | 30cm |
最大射程 | 32km |
有効射程 | 20km(有視界、ミノフスキー粒子環境下) |
航続距離 | ほぼ無制限 |
装甲材質 | 不明 |
乗員 | 1名 |
武装 |
30cm(サンチ)砲 |
主砲装弾種別 |
通常榴弾(HE弾) |
主な搭乗者 | デメジエール・ソンネン |
戦車に核融合炉などのモビルスーツ (MS) の利点を組み合わせることにより、地球侵攻作戦の要として試作された超弩級戦車である。モビルアーマーではなく、モビルタンクと呼ばれる独自のカテゴリーに属する。
ジオン公国が小型熱核反応炉を完成させ、相次いでMSの開発に着手した翌年の宇宙世紀0072年に本計画はスタートした。以降は地球進攻作戦を視野に入れ、熱核反応炉を搭載した陸戦兵器としてMSの開発と並行する形で研究が重ねられた。およそ5年に亘り紆余曲折の試行錯誤と仕様変更を重ねた後、宇宙世紀0077年に本機が完成する。
実用化へと向けて急速に完成度を高めるMS開発からの影響は大きく、本機はモノアイやショベル・アームユニットを採用し、さらに試作後期段階ではザクIIのマニピュレーターを流用する事で、ザクマシンガン等のMS用火器の使用も可能としていた。車両としては破格ともいえる巨体を誇りながら、ほぼ全てを搭乗員1名のオペレートで賄えるという点でも極めてMS的であると言えよう。これらを利用したモビル形態と呼ばれる半MS形態に変形することで、より高い位置から目視、射撃が可能になり、加えてある程度の対MS接近戦闘もこなすことができた。ただし、この状態では車高が増し、特にコクピットの被弾率が上昇するというデメリットもある。
上半身がターレットそのものとなっている為、主砲の旋回はモビル形態にのみ限られ、通常形態では無砲塔の自走砲や駆逐戦車同様の状態となる。そのため戦場で相対した地球連邦軍兵士からは「巨大な自走砲」と呼ばれていた。
主砲である30cm(ソンネン少佐は「サンチ」と発音していた)砲はメガ粒子砲の登場により一線を退いた宇宙戦艦のものを転用したもので、最大射程距離32~35km、ミノフスキー粒子散布下においても有視界で20kmの長距離砲撃が可能。戦局に応じて各種砲弾を必要に応じて装填、射撃が可能となっている(劇中では装弾筒付翼安定徹甲弾、曲射榴弾、焼夷榴弾、対空榴散弾など合計十数発を発射。搭載弾数および砲身命数は不明)。なお、モビル形態では砲身の位置が上がるために重心が上昇し、横向きに発砲すると反動で車体が傾くほどであった。この大口径砲の威力と核融合機関による高出力とが相まって、本機は地上制圧用の戦力として当初大きな期待がかけられていた。
野心的なコンセプトが多く投入された本機であったが、スペースノイドの集団であるジオン軍の地上戦術に対する錯誤は現実の地球進攻に直面する前に是正される事となり、一年戦争の開戦以前に本機の評価は不採用と確定。量産・制式化されないままモビルタンク計画は終了した。制式化されなかった大きな理由としては、同じく地上運用を目的として新開発されたマゼラアタックの数倍の莫大なコストがかかることから、大量生産の可能なマゼラアタックを採用したという説が有力である。実のところ、本機が期待された地上制圧の目的は、MSとマゼラアタックの連帯運用により十分に賄えるものと判断された事も大きく影響している様である。
また、これだけの大きさを誇る陸戦兵器の移動システムに無限軌道(キャタピラ)を採用していた事も幾多の面から推測して大きなデメリットのひとつだったと考えられ、後続の陸戦モビルアーマーの多くは、開戦と前後して実用化された熱核ジェットエンジンによるホバーシステム、あるいはミノフスキークラフト等を採用している事からもその事が想像される。結果として唯一試作された機体は「試験終了後は回収せず、そのまま現地配備」という、試験配備の名を借りた事実上の廃棄処分となった。
しかし、砲撃戦用というコンセプトと機体シルエットの一部にザメルとの共通点があるなど、モビルタンク計画自体は廃案となるも、本機の部分的要素、資材等はMSに統合されるかたちで後続の機体に受継がれていったようである。本機を起点に、数々の地球用モビルアーマーの開発へと昇化されたという解釈も出来るだろう。また、紆余曲折を経た中で結果的にそこに辿り着いたものではあるが、戦況に応じて形態を使い分ける史上初の可変機動兵器というコンセプトも特筆すべきものである。
なお、このヒルドルブ (hildolfr) なる名称の由来は、北欧神話に登場する主神・オーディンの戦場におけるあだ名である。
[編集] 劇中での活躍
デメジエール・ソンネン少佐搭乗のヒルドルブは、北アメリカ大陸・アリゾナの半砂漠地帯にてコムサイよりパラシュート付パレットで投下された後、連邦軍のセモベンテ隊と交戦。61式戦車2台と連邦軍によって鹵獲され運用中だった陸戦型ザクII(J型)6機を撃破している。初弾で装弾筒付翼安定徹甲弾 (APFSDS) を使用し、およそ10km 先のザクを一撃で大破させた。また、ザクマシンガンが弾切れを起こしかけた時は敵のザクマシンガンを奪い、そのまま使用した。
その機動力を駆使した戦法で次々とザクを撃破するが、敵機の残骸を無限軌道に巻き込んだことで機動力を失い、さらに小破状態で放置していた敵隊長機の反撃を受け、ゼロ距離からコクピットにマシンガンを撃ち込まれてしまう。その後コムサイを攻撃しようとした隊長機を背後からの一撃で撃破したが、既に重傷を負っていたソンネン少佐は直後に死亡し結果的に相討ちとなった。
上記の通りヒルドルブとザメルはコンセプトやデザインなどに共通点があるのだが、これは両者のデザインを担当したのがカトキハジメということもあり、カトキが意図的に(デザインの統合性を考慮して)共通点を作ったと推測される。カトキはヒルドルブが登場する第2話の絵コンテも担当している。
PS3ゲーム機動戦士ガンダム Target in Sightでは自機として使用可能である。ゲーム中ではフル改造された30cm砲はガンダムのビームライフルを凌ぐほどの破壊力を誇る。加えてモビル形態ではガンタンクのように若干のジャンプ (滞空) が可能であるが、設定上は車底部にスラスターなどは設けられていないため、一体どのような原理で飛び上がっているのかは不明である。
[編集] 関連項目
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ガンダムシリーズの映像作品 | ||||||
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ガンダムシリーズの劇中項目 | ||||||
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