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ザメル - Wikipedia

ザメル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ザメル (XAMEL) は、OVA機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場する、架空の兵器ジオン公国の長距離支援用モビルスーツ。(型式番号:YMS-16M)

なお、この項目では準備稿バージョンであるメルザ・ウン・カノーネについても記述する。


注意以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。


目次

[編集] 機体解説

機体諸元
ザメル
型式番号 YMS-16M
所属 デラーズ・フリート
建造 ジオン公国
全高 27.0m
本体重量 75.0t
全備重量 121.5t
ジェネレーター出力 1080kW
スラスター総推力 61800kg
センサー有効半径 不明
装甲材質 超硬スチール合金
武装 680mmカノン砲
8連装ミサイルランチャー
20mmバルカン砲
主な搭乗者 ボブ

ザメルは、ジオン公国軍の重砲撃モビルスーツである。全備重量121.5tと鈍重な外見に似合わない高い機動性を誇る。これはドムに採用された熱核ジェットエンジンを採用しているためである。なお、陸上での最高速度は220km/hである。
この機体の最大の特徴とも言える主武装の680mmカノン砲は、劇中でトリントン基地司令部を一撃で破壊したように、絶大なる威力を誇る。このカノン砲を運用するため、ザメルは複座機となっており前方に操縦士、後方に射撃手が搭乗する。また、カノン砲は2つ折にたたまれており、砲撃時には組み上げて運用する。ただし、操縦系の切り替えにより一人での運用も可能である。
それに引き換え、近距離戦に対してミサイルランチャーとバルカン砲のみの武装であり、劇中の格闘戦では機体の質量をもって体当たりをしているなど近距離戦を苦手としている(ただし、設定上はビームサーベルも装備可能である)。
型式番号が示す通り、ザメルは試作機である。従って、戦中に製造された機体数は多くないと考えられるが、一年戦争においての実戦参加の有無、戦果などは不明な点が多い。公国軍残党のデラーズフリートは、終戦から3年後、この機体をトリントン基地への攻撃に投入し、大きな戦果を挙げている。また試作モビルタンクヒルドルブは、重砲撃を主眼に置いた運用思想やモノアイ周囲のデザインに共通点が見られ、ザメルの開発系譜に関与していたことが伺える。

[編集] 技術的考察

ザメルは、ザク・キャノンガンタンクといった中長距離支援用モビルスーツの1つである。一般的にこれらのモビルスーツは鈍重なイメージがある。しかし、ザメルは熱核ジェットエンジンにより高い機動性を確保している。(ただし、ドムとは異なりジャンプなどは出来ず、平面的な移動に限られるといわれている。)この点において、ザメルは今までの中長距離支援用モビルスーツの悪いイメージを払拭したといえる。
主兵装について、開発当時の一年戦争末期にはビーム兵器が実用化されており、実際に中長距離支援用モビルスーツであるMS-14Cゲルググ・キャノンには、ビームキャノンが搭載されている。しかし、ビーム兵器は地上では威力が減衰するため当時はあまり用いられなかった(具体例として、地球連邦軍の第08MS小隊の陸戦型ガンダムはビームライフルを使用することの出来るジェネレーター出力を有していたものの、兵站面の問題とこの地上での威力減衰のため、実弾兵器を主に使用していた)。また、地上では曲射弾道による長距離砲撃を行えることもあり、実体弾を用いるカノン砲が装備されたのである。 ただし、ミノフスキー粒子下の戦闘である為、目標となるのは劇中の描写通り基地などの軍事施設や都市と言った、地図上で位置が確認可能な固定目標に限られる。さらに680mmカノン砲はMSや戦車相手に有効な兵装ではなく、またそのプラットフォームをMSとする必要性が薄い事などから、この種のMSは以後はほとんど開発されていない。

[編集] メルザ・ウン・カノーネ

メルザ・ウン・カノーネは本編に先駆けてイラスト公開されたザメルの準備稿バージョンを指す(メルザ・ウン・カノーネとは列車砲の意)。このデザインからアニメーション用に線を減らして完成したのが、ザメルの決定稿である。決定稿との違いは、

・胸部中央部が上下に割れた砲弾状のフォルムになっている(モノアイは割れ目の隙間に沿って、装甲の内側を動く)
・その後方、いわゆる「頭部」のあるべき部分に剥き出しのセンサーユニットが複数林立している
・肩アーマー一面にスパイクアーマーが施されている(スパイク一個の大きさはザクIIのものと同じ)
・下腕部、および足首のデザインはドムトローペンと同一
・鉄パイプを束ねたような、左肩の多弾倉ミサイルランチャーのデザイン(連装数は3列、4+5+4=13連装)

などがある。元々ザメルは、デザイナーのカトキハジメが先にデザインしたゼク・ツヴァイをルーツとした巨大MSであり、歩行不可能な多重分割された脚部、推進補助用の巨大スカートなど、巨体ゆえに人型を外れたフォルムというコンセプトは、まさにゼク・ツヴァイのそれである。随所に既存MSのパーツを流用したのも、「一目で巨大物と解るようにするため」というデザイン上の意図があった(同様のギミックはアプサラス等にも見られる)。同時に既存MSの流用パーツは、その兵器が「急ごしらえで作られた」ことや「戦争後半におけるジオン公国軍の苦境」を醸し出す役割も果たしていると言えよう。

なお、陸上用巨大MSであるザメルには、腰部正面(いわゆるフンドシパーツ)が折り畳みハシゴとバケットのようになって、乗員を胴体から地上まで輸送する昇降装置が装備されている。ギミックそのものは準備稿の段階で考案されていたが、本編には登場しなかった。

[編集] 関連項目


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