雷神
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雷神(らいじん)は、日本の民間信仰や神道における雷の神である。「雷様(かみなりさま)」「雷電様(らいでんさま)」「鳴神(なるかみ)」「雷公(らいこう)」とも呼ばれる。
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[編集] 民間伝承
菅原道真は死して天神(雷の神)になったと伝えられる。民間伝承では惧れと親しみをこめて雷神を「雷さま」と呼ぶことが多い。雷さまは落ちては人のヘソをとると言い伝えられている。日本の子どもは夏に腹を出していると「かみなりさまがへそを取りにくるよ」と周りの大人から脅かされる。
雷さまから逃れるための方法論としては、蚊帳に逃げ込む、桑原(くわばら:菅原道真の亡霊が雷さまとなり、都に被害をもたらしたが、道真の領地の桑原には雷が落ちなかったと言う伝承から由来)と唱える、などが伝えられる。
対になる存在としては風神が挙げられる。
[編集] 姿かたち
日本では俵屋宗達の風神雷神図(屏風)を代表例に、雷さまは鬼の様態で、牛の角を持ち虎の革のふんどしを締め、太鼓(雷鼓)を打ち鳴らす姿が馴染み深い。この姿は鬼門(艮=丑寅:うしとら)の連想から由来する。雷が落ちる時「雷獣」という怪獣が落ちてくるともいう。 大津絵のなかでは雷さまは雲の上から落としてしまった太鼓を鉤で釣り上げようとするなどユーモラスに描かれている。
[編集] 寺社の祭神
- 上賀茂神社(賀茂別雷神社) - 賀茂別雷神(かもわけいかづちのかみ)
- 天満宮 - 菅原道真(火雷天神、からいてんじん)の天神信仰による
- 塩竈神社 - 建御雷神(たけみかづち)
- 雷電神社 - 火雷神(ほのいかづちのかみ)・大雷神(おおいかづちのかみ)・別雷神(わけいかづちのかみ) など
- 「八雷神(やついかつちのかみ)」
[編集] 歴史・文学の中の雷神
- 古事記:建御雷神ほか
- 季語:雷神は 「雷」「はたたがみ」「雷鳴」などと同じく「晩夏」の季語である。
- 能「雷電」は後シテが雷神である。
- 歌舞伎演目の「鳴神(なるかみ)」は「雷神不動北山桜(なるかみふどうきたやまざくら)」の一部
[編集] 世界の雷神
ギリシア神話のゼウス、ローマ神話のジュピター、北欧神話のトールなど、世界各地の神話に「雷の神」が現れる。 中国では雷公(Lei Gong),雷師,雷祖などと呼ばれている。(en:List of thunder gods)