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暗闇仕留人 - Wikipedia

暗闇仕留人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

暗闇仕留人』(くらやみしとめにん)は、必殺シリーズの第4作目として、朝日放送京都映画撮影所(現・松竹京都映画株式会社)の制作で、1974年6月29日から12月28日にかけてTBSテレビ系列(現在とネットワーク編成が異なる)で放送された時代劇。全27話。

藤田まことが出演した中村主水シリーズとしては第2弾となる。


注意以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。


目次

[編集] 作品内容

中村主水は『必殺仕置人』最終回で仲間と別れたものの、その黄金時代を忘れられず、たまたま知り合った村雨の大吉、糸井貢と一度限りのつもりで、仕置を行う。しかし、この三人が、実は中村家先代の3人の娘の夫であり、愛人であった(つまり義兄弟)という偶然から、仕置人時代の仲間であった鉄砲玉のおきん、おひろめの半次を加え、再びチームを組む。

中村主水出演の前作『仕置人』では、悪に対する怒りと容赦ない報復が描かれていたが、今作ではオイルショックという放送当時の世情を、黒船来航で混乱する幕末(嘉永6年=1853年)に設定。その作品内容も、悪人を始末しながらも、インテリであるがゆえに、人殺しの無意味さに悩む貢と、悪人を始末することに何の躊躇もない、単純明快な大吉の間で、主水が揺れ動く様が描かれることになる。大吉も基本的には優しい男で、溺死者を自分の手で蘇生させた時には、狂喜していた。ただ、その救った相手は、実は一度貢に始末された悪人であり、後で大吉自身により始末される。この様に、仕置行為が、何処か矛盾や虚しさを抱えている様に描かれるエピソードが少なくない。

この二律背反は、主水たちに巻き込まれる形になった貢の妻・あやの死、そして最終回での貢の死により決着が付く。最終回にて貢が主水に向けて放った「俺たちは一体何をしてきたんだ?少しでも世の中良くなったか?・・・俺たちに殺された奴らにだって妻や子がいたかも知れないし、好きな人がいたかも知れないんだ。」という問いかけに主水は答えることができない。そして自分の教え子の父親である開国派の大物を殺す事を躊躇し、「わしを殺せば日本の夜明けが遅れるぞ!」という叫びにひるんだ貢は、返り討ちに合ってしまう。人の命、正義、そして日本の未来。あらゆるものに真摯過ぎたがゆえの悲しい最期だった。貢の死を目の当たりにした主水は、シリーズ6作目『必殺仕置屋稼業』まで裏稼業から足を洗う事となる。

今作も『助け人走る』同様「必殺」をタイトルから外しているが、助け人とは違い、最初からコンセプト的には初期二作に近かった。

中村家次女である妙心尼が、愛人の大吉を一応拒絶(実は誘惑)して言う台詞「なりませぬ」は、当時流行語にまでなった。

なお本作で初めて、せんの主水に対して罵る言葉「種無しかぼちゃ」が登場した。一方、辛くも危機を脱して数日振りに帰宅した主水が、心配して待ち続けていたせんやりつに泣き付かれ、自身も号泣するなど、中村家の関係が暖かく描かれる場面も存在する(貢が中盤で愛妻を失うので、彼の孤独を強調する演出意図も有ったと思われる)。

西崎みどりの歌う主題歌「旅愁」は20万枚の大ヒットを記録した。

[編集] 制作の背景

シリーズ2作目『必殺仕置人』放送中に起きた「必殺仕置人殺人事件」による世間の糾弾から、自粛的な内容に軌道修正された前作『助け人走る』を経て、制作された本作は、その仕置人の作品世界をほぼそのままに継承している。

当初、シリーズ第4作目は、「必殺シリーズ」のチーフプロデューサーを務めた朝日放送山内久司(当時、現・顧問)が、制作を担当した時代劇『おしどり右京捕物車』(中村敦夫ジュディ・オング主演)を予定していたが、諸般の事情により、木曜夜21時枠(当時、制作局の朝日放送の担当枠だった)に、場所を移して放送される事となった。

そこで、『仕置人』の人気キャラクターの一人である中村主水を「このまま眠らせるのは惜しい」と、山内は考え、シリーズ第4作目に、再び主水を復活させる事に決定した。

他のキャスティングとしては、主役の糸井貢役に、当時のキー局であったTBSの人気ホームドラマ『ありがとう』シリーズに出演し、爽やかな好青年役を演じた石坂浩二を起用。その石坂に、殺し屋役という正反対のキャラクターを演じさせるといった意外性が、視聴者の目を引いた一方、幕末の混乱期に生き、価値観を持てずに悩み続けるインテリ蘭学者の役という事もあり、「殺し屋としては、ひ弱すぎて面白くない」と非難し、敬遠する視聴者が多かった事も事実であった。

次に、シリーズ恒例と化した坊主頭の殺し屋・大吉役には、当時の人気刑事ドラマ太陽にほえろ!』(日本テレビ)で、通称・山さんこと山村精一役を演じた露口茂が当初予定されていた。しかし、露口に断られ、その後、決定したのが、同じく『太陽~』で、ゴリさんこと石塚誠役を演じた竜雷太であった。一旦は出演を了承し、当時の一部の新聞やテレビ情報誌に掲載された広告や記事には、竜雷太出演と表記されながら、後に大吉が坊主頭である事を知った竜は、ゴリさん役に支障を来たしてしまうという事で、撮影を前に降板してしまった。最終的に大吉役は、近藤洋介に決定した。そして、「必殺シリーズ」初期の3作品(『必殺仕掛人』、『仕置人』、『助け人』)全てに出演した津坂匡章(現・秋野太作)野川由美子が、本作も連続登板し、脇を固めながら作品を盛り上げた。しかし、津坂と野川はこの作品を最後に「必殺シリーズ」からは「卒業」する。

この頃から「『必殺シリーズ』は面白い」といった声が、世間のあちこちから聞こえる様になり、それまで一部のファン層に受けた作品から、一般向けの娯楽作に変化して来たのが、本作といえよう。

なお、本作品のタイトルは当初『暗闇始末人』と予定されていた。一部の新聞・雑誌媒体に掲載された広告や記事の中には、「始末人」と発表されている物も多数存在しており、また第2話の脚本の表紙にも「始末人」と書かれていたが、それが「仕留人」に変更された経緯は不明である。これについては、「始末人」(漫画「始末人」シリーズ)というタイトルを既に使用していた漫画家・明智抄から朝日放送に抗議が届いたためであるという噂もあったが、実際には明智のデビューは1980年であり、本作の制作時点では「始末人」シリーズは発表されていないため、明らかに間違いである。

[編集] 殺し技

  • 糸井貢
    • 第17話までは刃を仕込んだ二枚重ねの三味線の撥で、悪人の喉を斬る。
    • 第17話ラストではあやの形見のかんざし、第18話では被害者の小間物屋から得物の研究用に購入したかんざしを使用。
    • 第19話より、太い針を仕込んだ矢立(携帯用の毛筆用の、硯を兼ねた一種の筆箱)を使用し、悪人の首筋を突き刺す。
  • 大吉
    • 素手で悪人の胸部を圧迫、心臓を握り、鼓動を停止させる。その前振りとして三個の胡桃を素手で潰すという演出があった。
    • 必殺仕置人」の念仏の鉄同様、レントゲン映像を使用し、悪人絶命の瞬間に、心臓停止に至るまでの心電図まで披露した。また、この技は心臓マッサージによって、死人の蘇生も可能であり、第16話にて実際に披露された他、最終回でも貢を蘇生させるために使用した。貢は一度息を吹き返したものの「すまなかったなあ。」と言い残し、絶命。
  • 中村主水
    • 太刀と脇差で、悪人を斬る・刺す。
    • 「必殺仕置人」から一転、本作より毎回、自ら殺しに参加する様になった。 

[編集] キャスト


  • ナレーション
語り … 芥川隆行
作 … 池田雅延
池田は『おしどり右京捕物車』のナレーションも手がけた。

[編集] 主題歌

[編集] スタッフ

  • プロデューサー:山内久司、仲川利久(朝日放送)・櫻井洋三(松竹)
  • 脚本:國弘威雄、村尾昭、安倍徹郎、猪又憲吾、下飯坂菊馬、石川孝人、播磨幸治、野上龍雄、松原佳成、久札秀夫、松田司
  • 音楽:平尾昌晃
  • 監督:工藤栄一蔵原惟繕松本明田中徳三、松野宏軌、高橋繁男、渡邊祐介、三隅研次倉田準二
  • 制作協力:京都映画株式会社(現・松竹京都映画株式会社)
  • 制作:朝日放送、松竹株式会社

[編集] 放映リスト(サブタイトルリスト)

サブタイトルのフォーマットは「」。

  1. 集まりて
  2. 試して候 - 中山仁が悪役でゲスト出演。
  3. 売られて候
  4. 仕留て候
  5. 追われて候 - 必殺シリーズ100回目。
  6. 狙われて候
  7. 喰うて候
  8. 儲けて候 - 津川雅彦が悪役でゲスト出演。
  9. 懸想して候
  10. 地獄にて候
  11. 惚れて候 - 池波志乃新克利が被害者役でゲスト出演。特に新はこれが『必殺仕置屋稼業』の印玄役につながった。
  12. 大物にて候
  13. 自滅して候 - 山本學南田洋子がゲスト出演。
  14. 切なくて候 - 半次の義母役で吉田日出子が出演。当初はこの回で津坂が降板することになっていたが、続く第15話と放送順を入れ替えた。そのため、この回で半次の故郷の府中へ一緒に行ったはずの大吉が第15話で半次に故郷の場所を尋ねるという、矛盾した描写が見られる。
  15. 過去ありて候 - おきんの仲間のおみつが殺害される。また津坂はこれで「必殺」から離れる。
  16. 間違えて候
  17. 仕上げて候 - 糸井貢の妻・あやが殺害される。
  18. 世のためにて候
  19. 乗せられて候
  20. 一途にて候
  21. 仏に替わりて候
  22. 怖れて候- 山谷初男がゲスト、悪役を怪演。
  23. 晴らして候
  24. 嘘つきにて候
  25. 晒されて候 - 中村玉緒が被害者役でゲスト出演。
  26. 拐かされて候
  27. 別れにて候 -主題歌を唄う西崎みどりがゲスト。 野川由美子はこれで「必殺」から離れる。

[編集] 放映ネット局

[編集] 関連項目

TBS 土曜22時台(当時はABCの制作枠。一部地域を除く)
前番組 番組名 次番組
暗闇仕留人


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