必殺仕事人IV
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『必殺仕事人IV』(ひっさつしごとにんふぉー)は、必殺シリーズの第21弾として、朝日放送(ABCテレビ)と京都映画撮影所(現・松竹京都映画株式会社)が制作し、1983年10月21日から1984年8月24日にかけてテレビ朝日系列で放映された時代劇。全43回。
藤田まこと演じる中村主水シリーズの第10弾であり、必殺仕事人シリーズの第4作目でもある。
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[編集] 作品内容
前作『必殺仕事人III』最終回で仕事人チームが解散してから、半年の歳月が流れた。ある日、裏稼業を休職中の中村主水に、別の仕事人からそれぞれ別個に殺しの依頼が舞い込んで来た。一方は江戸幕府のある老中を、もう一方は別の老中を殺して欲しいという。仕事料は百両だが、老中の勢力争いと睨んだ主水は両方の仕事を断る。依頼を断ったその途端、主水は何者かに襲われる。主水同様、仕事人チーム解散後も江戸に残ったかつての仲間・西順之助(ひかる一平)が話を聞き、自分が力になるというのだが、どうも頼りない。
ちょうどその頃秀(三田村邦彦)・勇次(中条きよし)・加代(鮎川いずみ)・おりく(山田五十鈴)たちが江戸に舞い戻っていた。しかしおりくと勇次は巡礼の旅に出る予定であり、また秀は旅先で知り合った孤児の少女・お民(林佳子)がおり、共に裏稼業に戻る気は無いと言う。主水も現在の危機を言い出せないまま彼らと別れ、一人で仕事を引き受けるしかないと覚悟を決める。
仕事人を脅して頼み人に直接会った主水は、頼み人の幕府のさる要職から、ある老中を殺せと言われる。その後、頼み人からある老中の妾宅へ潜入した主水と仕事人は、そこで、片方の依頼を受けた仕事人と鉢合わせする。罠と察知した主水は難を逃れたが、二人の仕事人たちは殺されてしまう。
後を付けて来たおりくに助けられた主水は、依頼の真相を知る。対立していた老中双方が手を結んだため、邪魔な仕事人たちをまとめて抹殺しようとした事や、さる要職はその両方から殺しを請け負っていたのだ。さる要職には、主水の素性もばれているため、主水の方から仕掛けるしかなかった。
主水の危機を知り、秀・勇次・加代・順之助・おりくが駆け付け、力を貸すという。既に受け取っていた百両を仕事料として、主水たちは双方の老中たちとさる要職一派を始末した。ここに仕事人チームが再結成される事となり、今日も頼み銭を貰い、弱者の晴らせぬ恨みを請け、悪人たちを次々と闇に葬って行く。
[編集] 制作の背景
「必殺シリーズ」第21作、そして「中村主水シリーズ」の第10作となった本作は、前作「必殺仕事人III」の続編という作品世界である。本作は歴代シリーズ中、前作からレギュラー出演者が誰一人変わる事無い、唯一の作品となっている。
本作は、新しいキャラクターとして毎回手を換え品を換え、一目惚れした順之助を追い掛け回すオカマの広目屋(現在のサンドイッチマン)・玉助(梅津栄)と、秀が旅先から連れ帰って来た孤児の少女・お民の二人が加入した。
梅津栄は、名脇役としてこれまでの歴代シリーズ各作品で悪役や善人役として活躍していた俳優であり、前作『仕事人III』第37話に順之助に一目惚れするオカマの女形としてゲスト出演しており、順之助に迫るキャラクターを好演した。これが本作の起用に繋がり、玉助のモチーフとなっている。玉助は、同じオカマキャラクターの筆頭同心田中(山内敏男、現・としお)と並ぶ人気を獲得し、次作『必殺仕事人V』にも連続出演を果たした。
お民は、第2話でその素性が明かされるが、彼女と秀の関係を主軸とした話(第14、22話他)もきちんと作られており、演じた林の可憐さも相成って、単なる普通のキャラクターにならなかったのは見事である。
レギュラーキャラクター(仕事人)たちの殺し技は、主水・秀・勇次・おりくは前作と全く変わる事は無かったが、順之助は本作より手製の投石器を使用し、殺しには参加せずに主水たちの援護を担う様になる。これに関しては、前作でライデン瓶を使い、悪人を感電死させる殺し技を使用した順之助が未成年の設定だったためか、主水たちとともに殺しをするのは問題があるのではないか? という理由で、変更を余儀なくされたという説も囁かれた。しかし、仕事人チームは5人体制のため(ただし、おりくは旅に出て不在という事が多かったため、基本的には4人だったが)、これでは小回りが効かないシフトが生ずるので、真偽の程はともかくとして、賢明な処置といえよう。
第7話では、大阪でおりくと組んで殺しをやっていた元仕事人・ピン助役として江戸家猫八が登場。帯の先端に剃刀の刃を忍ばせ、帯を水で湿らせることで重みをつけて投げつけ、悪人の首に巻きつけて頚動脈を切るという殺し技であったが、2人の実娘の仇をとるために数年ぶりに殺しを試みるが失敗し、返り討ちに合い殺され、その仇をレギュラーキャラクターがとることになる。
第9、10話は勇次の登場シーンが激減し、悪人を殺すシーンにのみ登場する。特に第10話は「湯治に出掛けている」という設定となり、おりくが残した置き手紙を見て、笠を被った旅姿の勇次が颯爽と登場して悪人が集う大奥へ走るシーンがある。いつものクールなキャラクターでは滅多に見られないとてもめずらしいシーンである。これは勇次を演じる中条きよしが多忙であったため、通常の撮影が困難となり、他の出演者と絡むシーンをすべて排除した特別な脚本変更を強いられた回だったと思われる。実際、劇中ではレギュラーメンバーの誰とも絡まずに殺しを終えて画面から姿を消している。
第14話では、次作『必殺仕事人V』で花屋の政を演じる村上弘明が、仕事人・小平次としてゲスト出演している。小平次はお民の伯父であり、劇中で「お民は自分の妹の子供」と語っている。
前作同様、秀と勇次の殺しのシーンも、回を重ねる事に華麗さを高め、現代の事件・流行を風刺した演出、せんとりつ・田中様との主水のコントといった、当時のバラエティ番組を意識した内容に変化していったのはこの時期からである。これに対しては、あまりのルーティーンワーク振りに、初期~中期の各作品から観続けたファンや一般視聴者層からは時には非難を浴びる事もあったが、冷静に見ると以前のハード描写は完全に影を潜め、大人から子供まで楽しめる国民的番組として必殺は変質を遂げ、市民権を得たという事が本作をもって決定的となったのがわかる。
その勢いはテレビのブラウン管だけに留まらず、仕事人特集が組まれた数々の商業誌の発行や、大手レコード会社(キングレコード)から発売された番組BGM集、更にはシリーズ通算600回記念として劇場用映画「必殺! THE HISSATSU」(1984年6月16日公開)が制作されるといった、シリーズとしての人気の頂点を、本作は迎える事となったのである。
[編集] 殺し技
- 中村主水…悪人を油断させながら相手の一瞬の隙を付いて、脇差を相手の急所に刺す。
- 秀…金属製の房が付いた金色の簪で、悪人の首筋を刺す。
- 勇次…三味線の三の糸を悪人の首筋目掛けて投げ、首に巻き付け締め上げ、宙吊りにして窒息死させる。
- 西順之助…前作で使用したライデン瓶を黙って使っていた事が順庵にばれて捨てられたため、本作より手製の投石器を使用。
- 加代とともに主水たちの援護役として仕事をし易くするように、相手を気絶させたり陽動を行ったりする。
- おりく…三味線の撥で、悪人の首筋を斬る。
[編集] キャスト
- 中村主水 … 藤田まこと
- 秀 … 三田村邦彦
- 加代 … 鮎川いずみ
- 西順之助 … ひかる一平
- 筆頭同心田中 … 山内敏男(現・としお)
- 広目屋の玉助 … 梅津栄
- お民 … 林佳子
- 西順庵 … 溝田繁(第1、21、41、43話)
- 西巴 … 三浦徳子(第1、3、4、11、15、21、22、38、43話)
- 松田屋お聖 … 松田聖子(写真出演)
- ※当時トップアイドルであった歌手の松田聖子が、写真出演という特殊な形式で必殺シリーズに初登場。
- 受験生の順之助が憧れる、江戸随一の人気町娘という設定。後に順之助が再登場した作品では、「神田屋の正吉との祝言が…」と、神田正輝との結婚を風刺する台詞があった。
- おりく … 山田五十鈴(第1~3、6~8、10、11、18、19、42、43話)
- ナレーション
[編集] 主題歌
- 「花の涙」
- 作詞・中西冬樹 作曲:平尾昌晃 編曲:竜崎孝路 歌:鮎川いずみ
- 発売:CBSソニー(現・ソニー・ミュージックレコーズ)
挿入歌
- 「自惚れ」(第1~22話)
- 「風が泣くとき」(第23~43話)
- 作詞:山口洋子 作曲:北林研一 編曲:小杉仁三 唄:中条きよし
- 発売:テイチクレコード(現・テイチクエンタテインメント)
[編集] スタッフ
- 制作:山内久司(ABC)
- プロデューサー:辰野悦央(ABC)、櫻井洋三(松竹)
- 脚本:吉田剛、鶉野昭彦、篠崎好、林千代、中原朗、保利吉紀、野上龍雄、三田純市
- 監督:田中徳三、原田雄一、広瀬襄、家喜俊彦、松野宏軌、黒田義之、八木美津雄
- 音楽:平尾昌晃
- 協力:エクラン演技集団、新演技座
- 製作協力:京都映画撮影所(現:松竹京都映画)
- 製作:ABC、松竹株式会社
[編集] 放映リスト(サブタイトルリスト)
- 主水 悲鳴をあげる!
- 秀、少女の謎を明かす
- 主水 老人問題を考える
- 主水 犬にナメられる
- お加代 十里早駆けに挑戦する(國村隼が改名前に本名で出演・飛脚、つむじ風の安)
- お加代 商売敵の出現にあわてる
- 主水 忘年会の幹事でトチる (以前おりくと組んでいた元仕事人・ピン助役として江戸家猫八がゲスト出演)
- せんとりつ 子供をもらう!?
- 主水 晩めしをすっぽかされる
- 主水 せんを張り倒す
- 秀 催眠術をかけられる - (頼み人が一切登場しない話。敵の女仕事人・夢操りのお京役に秋野暢子が扮した)
- 勇次 鼠小僧と間違えられる - 河原崎建三が悪役でゲスト出演。
- お加代 りつの殺しを頼まれる
- 主水 節分の豆を食べる - (村上弘明がゲスト出演。これが『必殺仕事人V』の起用につながった)
- 順之助 いよいよ受験する
- 主水 転職を夢見る
- 勇次 吉原遊女に惚れられる - 風祭ゆきが悪女役でゲスト出演。
- なんでも屋の加代 花嫁になる
- 秀、天気を当てる女に出逢う
- 主水、宮本武蔵の子孫と試合をする
- 主水 仲人を頼まれる
- 主水 大根めしを食べる - 香月京子がゲスト出演。
- せん 遺言状を書く
- 秀 空中で戦う - 江幡高志、鳥居恵子が悪役でゲスト出演。
- 主水の上役 転勤する(國村隼が改名前に本名で出演・鎌鼬の六)
- 主水 外で子供をつくる
- 主水 未知と遭遇する
- 順之助 20歳の誕生日に誘拐される - 本放送日(1984年5月11日)、順之助ことひかる一平の20歳の誕生日。
- 主水 せんとりつの葬式を出す
- 勇次 投げ縄使いと決闘する
- 加代 幽霊になる
- 主水 超能力山伏に部屋を貸す
- 勇次 悪女軍団と対決する - 加茂さくらが悪女役でゲスト出演。
- 主水 失神する
- 田中筆頭同心 見合いする - (『必殺仕事人』で半吉(山田隆夫)の恋人・おふくを演じたかわい(現・河合)のどかが田中の見合い相手(?)役でゲスト出演)
- 主水 流れ星に願いをかける - 芦川よしみが悪女役でゲスト出演。
- せん 遂に再婚を決意する
- 主水 うなぎにナメられる
- 加代 エリマキトカゲを目撃する - 必殺シリーズ600回目。
- 主水 世にも不思議な朝顔を作る
- 主水 夏バテで早朝体操を休む - 黒田福美が悪女役でゲスト出演。
- 加代 パン作りに挑戦する
- 秀 夕陽の海に消える
[編集] 放映ネット局
※途中で打ち切られた局や、しばらくの間放送する他系列ネットの局がある。
- 近畿広域圏:ABC朝日放送
- 関東広域圏:ANB(現:EX)テレビ朝日
- 北海道:HTB北海道テレビ
- 青森県:RAB青森放送
- 岩手県:TVIテレビ岩手
- 宮城県:KHB東日本放送
- 秋田県:AKT秋田テレビ
- 山形県:YBC山形放送
- 福島県:KFB福島放送
- 新潟県:NT21(現:UX)新潟テレビ21
- 長野県:NBS長野放送
- 山梨県:UTYテレビ山梨
- 富山県:T34(現:BBT)富山テレビ
- 石川県:MRO北陸放送
- 福井県:ftb福井テレビ
- 静岡県:SKT静岡けんみんテレビ(現:SATV静岡朝日テレビ)
- 中京広域圏:NBN名古屋テレビ
- 鳥取県・島根県:BSS山陰放送
- 岡山県・香川県:KSB瀬戸内海放送
- 広島県:UHT(現:HOME)広島ホームテレビ
- 山口県:KRY山口放送
- 徳島県:JRT四国放送
- 愛媛県:RNB南海放送
- 高知県:KUTVテレビ高知
- 福岡県・佐賀県:KBC九州朝日放送
- 長崎県:NBC長崎放送
- 熊本県:TKUテレビ熊本
- 大分県:OBS大分放送
- 宮崎県:MRT宮崎放送
- 鹿児島県:KKB鹿児島放送
- 沖縄県:RBC琉球放送
[編集] 視聴率
- 最高視聴率:26.7%[第12回]
[編集] 関連項目
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テレビ朝日系 金曜22時台(当時はABCの制作枠) | ||
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