印玄
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印玄(いんげん)は、必殺シリーズ第6弾『必殺仕置屋稼業』に登場した仕置屋の一人。新克利が演じた。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] キャラクター
本名は多助という。上州中宿の出身。番組当時は、牛込村無宿の三十歳(第26話)。
表の稼業(?)は破戒僧。怪力の持ち主で、無類の女好き。仕置料が手に入るとすぐさま吉原に出向いて派手に遊び、その後で仕置にかかる。友人である捨三(渡辺篤史)の紹介により、中村主水(藤田まこと)と出会い、仕置屋グループに加入。殺し技は、第1話では単に屋根の上で担ぎ上げた悪人を投げ捨てていたが、第2話以降は、まず悪人を担ぎ上げて屋根の上まで登り、「行けっ!」などと叫んで背中を押す。悪人は「やめて~止めて~」(このセリフは第3話から)などと悲鳴を上げながら屋根の上を滑って行き、地面に落下して首の骨を折って死ぬ。屋根の縁から身を乗り出して悪人を引きずり上げることもあった。階段の壇上から相手を転がしたり(第19話)、人体二つ折り(第23話)、人間ボウリング、手足を車輪に差し込んで屋根から転げ落とす(第20、24話)、縄罠で捕らえた後ぐるぐる巻きにして屋根からハンマー投げのように投げ捨てる、といったバリエーションも、後半使用した。また下で待ち構える主水が、落ちてきた悪人を胴斬りにする連携を行ったこともある(第2話)。
彼は当初躁鬱癖があり、5歳の時に男と蒸発した母親・おりんを捜し求めていたが、14年後に再会したおりんは実息にすら肉体関係を求めるあばずれ女に成り下がっていた。そして、自分がいる側でおりんが男と関係を持っていたのを見て、彼は我を忘れ、二人を二階の窓から突き落として殺したのであった(第13話)。過去との決別後は、そのトラウマも消えたのか、上記の殺し技も多用していくようになる。
仕置屋崩壊の話(最終回)では、市松(沖雅也)と強い絆を築くも、最後は捕らわれて拷問を受けていたおこう(中村玉緒)を救出する際ドスを腹に受け、おこうを市松に託した後、最後の力で悪人を捕まえて共に屋根から落ち、相討ちして果てた。
[編集] 解説
- 第1作『必殺仕掛人』の藤枝梅安(緒形拳)以来、「必殺シリーズ」5人目の坊主キャラクターを演じることとなった新克利は、ホームドラマで活躍していた良識的なイメージの俳優で、『仕掛人』、『助け人走る』の元締役の山村聰、『暗闇仕留人』糸井貢こと石坂浩二、『必殺必中仕事屋稼業』の密偵・利助こと岡本信人の路線をそのまま引き継いだ。チーフプロデューサーの山内久司(現・朝日放送顧問)の推薦もあったが、新は『仕留人』第11話「惚れて候」(1974年9月7日放送)に被害者役でゲスト出演し、さらにさかのぼると、同じ朝日放送制作のスタジオドラマ『おやじ火山』(1970年)にレギュラー出演したこともある。
- 歴代の坊主キャラクターがそうであったように、無類の女好きである印玄は、かなりの絶倫であり、吉原の女郎たちから警戒されていた。また、女湯を覗く事があったが、印玄のシーンと女湯のシーンは別々に撮影されていた(もちろん印玄は直接覗いていないが)。
- 新は、ほぼ同時期に“ニセ必殺”と称された『長崎犯科帳』(ユニオン映画製作、日テレ)にも出演しており、週末は同系統の時代劇でダブってしまった。
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