思い出のメロディー
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思い出のメロディー(おもいでのメロディー)は1969年に第1回が放送されて以来、NHKが毎年8月に放送している大型公開音楽番組。毎年のテーマに沿って、昭和の名曲を中心に、視聴者からのリクエストから寄せられたエピソードなどを紹介する。なお、取り上げられるジャンルは演歌・歌謡曲に限られておらず、和製ポップスなどもある。
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[編集] 番組の概要
平年は8月の第2土曜日19:30から途中ニュースなどの中断を挟んで概ね22時台前半まで、総合テレビ、BS第2テレビ(2006年、2007年は録画放送)、ハイビジョンテレビ(2006年まで生放送。2007年は録画放送)、ラジオ第1放送と海外向けのNHKワールド・プレミアム、NHKワールドラジオ日本の各チャンネルでの同時放送で行われているが、2005年は当該日の8月13日がNHKプロ野球巨人vs阪神の生中継を行うため、8月16日(火曜日)開催(19:30~22:00)となった。宮田輝が司会をしていた時代は生放送であったが、宮田降板後、中継録画に変更された。その後、第29回(1997年)からは再び生放送形式に戻り、現在に至っている。なお、中継録画の時代のラジオ放送はNHK-FMで行なわれ、テレビ放送されてから数日空けて放送されていた。
開催当初は渋谷公会堂で開催され(なお、1970年の第2回は大阪万博万国博ホールで開催)、1973年の第5回以降はNHKホールで開催されているが、かつては、大阪城ホール(第21回…大阪市制100周年、第26回…関西国際空港開港記念)、愛知県芸術劇場(第27回…NHK名古屋放送局開局70周年)、神奈川県民ホール(第31回)、大宮ソニックシティ(第34回)といった地方でも開催された。
取り上げる楽曲は、元々は昭和30年代頃までの流行歌が多く、戦前や終戦直後の復興期の歌も多かった。そこには戦禍や復興の労苦を思う気持ちを寄せる視聴者が多かったという。
しかし、特に2000年代に入り、昭和40年代以降の楽曲が多数取り上げられるようになった。それらの楽曲は明るいものが多く、歌謡曲全盛時代の熱気を今に伝えることが期待される。アイドルの歌なども、わずかではあるが紹介されるようになった。ただし、ロック色の強い楽曲、平成に入ってからの楽曲などは、演歌を除くと今の所取り上げられていない。
なお、近年の傾向としては、2005年は明るい楽曲が主体であった。愛知万博にちなんで「世界の国からこんにちは」が歌われたり、田原俊彦の「抱きしめてTONIGHT」・南野陽子の「はいからさんが通る」など、この番組にしては比較的新しい1980年代後半の楽曲まで選曲された。しかし、2006年においては、暗めの楽曲が比較的多かった。「里の秋」について戦地からの生還を願う節が歌われる(この節は知名度が低い)、『宇宙戦艦ヤマト』主題歌が作曲者の宮川泰の哀悼として歌われるなどである。また「同棲時代」「赤色エレジー」など、1970年代の青年の暗い青春を歌った歌で、かつ民放ドラマの主題歌など当時のNHKなら放送されなかったであろう歌も紹介された。
1980年代までのオープニングでは、かつてラジオ第1放送で放送されていた歌謡番組「今週の明星」のテーマソングが歌われていた。
この番組は『NHK紅白歌合戦』とともにNHKの主要な音楽番組特番のひとつで、「夏の紅白」とも呼ばれている。その人選が、紅白歌合戦に影響することも多かった。
総合テレビは中断ニュースを含め、リアルタイム字幕放送を実施している。BS2、BSハイビジョンの時差放送でも撮って出し形式での放送のためリアルタイム字幕放送と同等のレベルで字幕放送を行う。
毎年11月頃には同番組の近畿地方版『わが心の大阪メロディー』が放送されている。
[編集] 過去の名場面
- 2000年の第32回では、ジャッキー吉川とブルー・コメッツが再結成。「ブルー・シャトウ」を生熱唱。
- 2001年の第33回では、ザ・ドリフターズが出演。学校コントや、ヒゲダンスといった名演目など、会場は大爆笑。
- 2002年の第34回では、ヴィレッジ・シンガーズが再結成。「亜麻色の髪の乙女」を生熱唱。また、ヤング101のメンバーも再集結。
- 2003年の第35回では、ザ・ゴールデン・カップスが再結成。「長い髪の少女」など3曲を生熱唱。
- 2004年の第36回では、「スパーク3人娘」として人気だった園まり、中尾ミエ、伊東ゆかりが再結成。
- 2005年の第37回では、C-C-Bが再結成。 田原俊彦、南野陽子が初出演。
- 2006年の第38回では、「レ・ガールズ」として人気だった西野バレエ団の金井克子、由美かおる、奈美悦子が37年ぶりに再結成。
- 2007年の第39回では、森田健作が出演し、代表曲で同年8月1日に死去した阿久悠作詞の「さらば涙と言おう」を歌唱した。また、他にも阿久悠作詞の曲では、あべ静江が「みずいろの手紙」を、岩崎宏美が「思秋期」をそれぞれ歌唱。また、植木等の追悼コーナーも設けられた。
[編集] 歴代司会者
年度 | 回 | 男性 | 女性 |
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1969年 | 1 | 宮田 輝 | (なし) |
1970年 | 2 | ||
1971年 | 3 | ||
1972年 | 4 | ||
1973年 | 5 | ||
1974年 | 6 | 山川静夫 | |
1975年 | 7 | 相川 浩 | 倍賞千恵子 |
1976年 | 8 | 森 光子 | |
1977年 | 9 | ||
1978年 | 10 | ||
1979年 | 11 | 芳村真理 | |
1980年 | 12 | 山川静夫 | 竹下景子 |
1981年 | 13 | 相川 浩 | 星野知子 |
1982年 | 14 | 原日出子 | |
1983年 | 15 | 森 光子 | |
1984年 | 16 | 紺野美沙子 | |
1985年 | 17 | 美空ひばり | |
1986年 | 18 | 荻野目慶子 | |
1987年 | 19 | 桜田淳子 | |
1988年 | 20 | (なし) | 杉浦圭子 |
1989年 | 21 | ||
1990年 | 22 | ||
1991年 | 23 | 葛西聖司 徳田 章 |
(なし) |
1992年 | 24 | 西田敏行 徳田 章 |
泉ピン子 |
1993年 | 25 | 鈴木健二 | 東ちづる |
1994年 | 26 | 桂 文珍 | 和田アキ子 |
1995年 | 27 | 宮本隆治 | 竹下景子 |
1996年 | 28 | ||
1997年 | 29 | 松坂慶子 | |
1998年 | 30 | ||
1999年 | 31 | 黒木瞳 | |
2000年 | 32 | 紺野美沙子 | |
2001年 | 33 | 国仲涼子 | |
2002年 | 34 | 高島礼子 | |
2003年 | 35 | 仲間由紀恵 | |
2004年 | 36 | 松坂慶子 | |
2005年 | 37 | 船越英一郎 | 黒崎めぐみ |
2006年 | 38 | 堀尾正明 | 秋吉久美子 |
2007年 | 39 | 三宅裕司 | 島津有理子 |
※宮田・山川・相川・杉浦・葛西・徳田・宮本・黒崎・堀尾・島津は司会当時NHKの現役アナウンサー、鈴木健二は司会当時アナウンサーOBであった。また、1994年(第26回)については、大阪で公開収録が開かれたことから、関西出身のタレント2人(和田・文珍)を起用。司会進行にNHKアナウンサー(OB・OG含む)が一切関わっていないのは2007年現在、この回のみである。
[編集] 歴代のトリ歌手とその曲目
- 1969年 第01回 森進一「港町ブルース」(昭和44年)
- 1970年 第02回 藤山一郎「丘を越えて」(昭和6年)
- 1974年 第06回 森進一「おふくろさん」(昭和46年)
- 1975年 第07回 北島三郎「函館の女」(昭和40年)
- 1981年 第13回 村田英雄「人生劇場」(昭和13年/楠木繁夫)
- 1985年 第17回 美空ひばり「悲しい酒」(昭和41年)
- 1986年 第18回 藤山一郎「長崎の鐘」(昭和24年)
- 1987年 第19回 北島三郎「帰ろかな」(昭和40年)
- 1989年 第21回 並木路子(全員)「リンゴの唄」(昭和21年)
- 1990年 第22回 石川さゆり「津軽海峡・冬景色」(昭和52年)
- 1991年 第23回 和田アキ子「夜明けのうた」(昭和39年/岸洋子)
- 1992年 第24回 舟木一夫(全員)「高校三年生」(昭和38年)
- 1993年 第25回 橋幸夫「いつでも夢を」(昭和37年)
- 1994年 第26回 田端義夫「大利根月夜」(昭和14年)
- 1995年 第27回 並木路子(全員)「リンゴの唄」(昭和21年)
- 1996年 第28回 森進一「君こそわが命」(昭和42年/水原弘)
- 1997年 第29回 小林旭「北帰行」(昭和36年)
- 1998年 第30回 北島三郎「帰ろかな」(昭和40年)
- 1999年 第31回 森進一「君こそわが命」(昭和42年/水原弘)
- 2000年 第32回 森進一「津軽のふるさと」(昭和28年/美空ひばり)
- 2001年 第33回 布施明「愛は不死鳥」(昭和45年)
- 2002年 第34回 天童よしみ「道頓堀人情」(昭和60年)
- 2003年 第35回 八代亜紀「舟唄」(昭和54年)
- 2004年 第36回 石川さゆり「津軽海峡・冬景色」(昭和52年)
- 2005年 第37回 五木ひろし(全員)「長崎の鐘」(昭和24年/藤山一郎)
- 2006年 第38回 夏川りみ「花~すべての人の心に花を~」(昭和55年/喜納昌吉)
- 2007年 第39回 秋川雅史「長崎の鐘」(昭和24年/藤山一郎)
- 2008年 第40回 ?
- トリ歌手終了後多くの年は出演歌手、司会者、ゲストがステージに集合し、エンディング曲を歌うが、トリ歌手の所に(全員)と表記がある回はトリ曲の大終盤に全出演者が登場して大合唱された。その際は、エンディング曲合唱はない。
- トリ歌手であるが、藤山一郎や並木路子、村田英雄といった大御所から夏川りみや秋川雅史など若年層にも人気の高い歌手まで幅広い。森・五木といった歌手は当時若手~中堅だった昭和期にもトリ経験がある。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- NHK思い出のメロディー(公式。夏季)