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伊東勤 - Wikipedia

伊東勤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

伊東 勤
基本情報
出身地 熊本県熊本市
生年月日 1962年8月29日(45歳)
身長
体重
181cm
84kg
選手情報
投球・打席 右投右打
守備位置 捕手
プロ入り 1981年 1位
初出場 1982年4月11日 阪急戦(西武)
最終出場 2003年9月27日 近鉄戦(西武D)
経歴
Template  ウィキプロジェクト 野球選手

伊東 勤(いとう つとむ、1962年8月29日 - )は、熊本県出身の元プロ野球選手捕手)・プロ野球監督

現役時代は西武ライオンズで活躍し、西武黄金時代の司令塔として鳴らした。引退後は西武で2004年から2007年まで監督を務めた。

目次

[編集] 来歴・人物

1980年熊本県立熊本工業高校定時制課程に在籍)野球部の捕手として、県大会決勝で秋山幸二がエースだった熊本県立八代高等学校を破り夏の甲子園に出場。西武の根本陸夫監督にその才能を認められる。1981年に熊工から埼玉県埼玉県立所沢高等学校(定時制)へ転校、同時に西武球団職員として採用された。昼間は職員としての社務の傍ら練習生として活動し、夜は高校通学という生活を送った。これは根本が他球団に伊東を奪われまいとするための"囲い込み"であったと伝えられる。

1982年、ドラフト1位で西武に入団。前年に西武に入団していたライバル秋山と再会する。1年目の1982年は33試合、2年目の1983年には56試合出場と経験を積み、1983年の日本シリーズでは第4戦以降大石友好黒田正宏を差し置きスタメンに抜擢される。翌1984年より正捕手となり、以後西武のホームベースを死守し続けた。2001年オフ、フロントより監督要請を受けるも固辞する。しかしコーチ兼任は受諾し、2002年は総合コーチ兼捕手として現役を続行する。2003年限りで現役を引退。

2004年より監督に就任する。伊東勤本人の選手引退、松井稼頭央のメジャー移籍、アレックス・カブレラの死球による長期離脱などで苦戦が予想されたが、伊東の穴を細川亨が、松井の穴を中島裕之が、カブレラの穴をロッテから移籍したホセ・フェルナンデスが埋めることによってチームは2年ぶりのリーグ優勝、12年ぶりの日本一となった。2006年7月19日福岡ソフトバンクホークス戦(福岡Yahoo!JAPANドーム)でクロスプレーの判定を巡り審判に暴力を振るったとして選手時代、監督時代通じて初の退場処分を受けた。首位北海道日本ハムと1ゲーム差で2位。プレーオフでは、3位ソフトバンクの前に1勝2敗と敗れた。2007年は怪我人が相次ぎ、交流戦で10連敗を喫するなどして低迷。26年ぶりのBクラスに陥落し、結局5位でシーズンを終えた。このため成績不振の責任を取り監督を辞任することを発表した。

2008年からNHKなどで野球解説者(2007年の日本シリーズNHK衛星第1テレビジョンのゲスト解説が実質デビューである)。

既婚で、妻との間には1992年生まれの男児と女児の双子がいることを公表している(その子供は2007年度の文化放送ライオンズナイターのジングルも担当している)。

[編集] エピソード

  • 正式に入団した1982年に西武球団は初優勝を飾り、それ以降は西武黄金時代を支えた。しかし監督として去ることとなった2007年は伊東の野球人生にとって初めてのBクラス転落(5位)となり外的要素はあるが西武ライオンズの栄光と挫折を象徴する人物である。
  • 高校時代に外野手から捕手にコンバートされる。きっかけは同学年の九州学院の藤村寿成の足を封じるためである。ちなみに藤村寿成の次男藤村大介は熊本工の後輩にあたる。(2005年夏、2006年夏、2007年春甲子園に出場。2007年高校生ドラフト読売ジャイアンツ1位指名)
  • 正捕手となった当初、一部の主力投手がバックネット裏のスコアラーと投球のサインのやりとりをし、伊東の出すサイン通りに投げてもらえなかった。
  • 1994年の対近鉄開幕戦で、3点のビハインドからの逆転サヨナラ満塁ホームランで1000本安打を達成。当時最強だったストッパーの赤堀元之から放った劇的な一打である。この試合をテレビ朝日中継していたが、ちょうど伊東がこの一打を放った瞬間に放送時間終了で打ち切られてしまい、視聴者からは抗議の電話が殺到したという。その後、この一打が西武快進撃のきっかけとなり、最終的にはオリックス・近鉄・ダイエーに7.5ゲーム差をつけて5年連続パ・リーグ優勝を果たした。
  • 20年近く正捕手の座に君臨し、他球団で正捕手を務めた大宮龍男中尾孝義植田幸弘中嶋聡らや、アマチュア野球で活躍した仲田秀司垣内哲也高木大成和田一浩貝塚政秀らに打ち勝った。
  • 1996年9月7日から1998年5月27日まで1263守備機会連続無失策を記録。ゴールデングラブ賞受賞は11回を数えた。通算犠打305はパ・リーグ歴代1位。捕手としての通算出場試合数2327は野村克也(現・東北楽天ゴールデンイーグルス監督)に次ぐ歴代2位という輝かしい成績を残した。なお、選手として日本シリーズでセ・リーグ6球団全てと対戦した経験を持つ。
  • 現役時代の末期(2002年からの2年間)は総合コーチを歴任し、2004年より監督就任。レギュラーシーズン2位からプレーオフ日本シリーズを勝ち進み、(伊東の「レオ流」対落合の「オレ流」決戦と言われた)監督就任1年目での日本一を達成した。特に、現役引退後即監督となった人は5人いたが、いずれも成績は5位か最下位しかなく(その6人とは、1954年・国鉄藤田宗一監督が5位、1970年・西鉄の稲尾和久監督が6位、1975年の巨人・長嶋茂雄監督が6位、1978年の南海・広瀬叔功監督が6位、1987年のロッテ有藤道世監督が5位だった)Aクラスまして優勝など望むべくもないというジンクスがあり(しかもその年、松井稼頭央ニューヨーク・メッツ移籍と正捕手伊東が抜けたことで、攻守の両輪を欠いてあり、なおさら優勝を望む声が少なかった)、不吉なジンクスとも言うべき「引退後に即監督就任したチームはBクラスどまり」というジンクスを破っての優勝、そして日本一達成は、まさに史上初の快挙であった。
  • 1992年の日本シリーズ野村克也森祇晶の教え子(古田敦也と伊東勤)対決となった。その日本シリーズであの名将野村監督をして、「伊東のリードには傾向が出ない為、読みづらい」と言わしめたほどである。
  • 試合後などのインタビューの際、たいてい返答の語尾に「ハイ」がつく。
  • 大の競輪好きで、監督として日本一を果たした2004年には中野浩一のラジオ番組「中野浩一のフリートーク」にもゲスト出演しており、ライオンズの選手にも競輪好きの輪が広がっているというエピソードを話した。KEIRINグランプリは毎年欠かさず現地観戦しているという。
  • 捕手投手の相性にこだわる。例としては、涌井 - 銀仁朗の10代バッテリーや、松坂(大輔) - 細川のバッテリー等。

[編集] 年度別打撃成績

年度 球団 背番号







































1982年 西武 27 33 36 33 3 8 3 0 0 11 1 0 0 0 0 1 2 3 0 .242
1983年 56 137 108 22 21 3 0 0 24 6 3 2 6 1 17 5 19 3 .194
1984年 113 408 345 44 98 15 1 10 145 44 20 16 12 2 38 11 46 4 .284 15位
1985年 124 481 411 57 106 19 5 13 174 62 13 11 9 6 50 5 43 11 .258 30位
1986年 129 485 418 59 98 20 3 11 157 40 18 11 24 2 39 2 70 11 .234 37位
1987年 124 465 405 42 100 14 1 10 146 51 7 3 15 5 34 6 77 7 .247 26位
1988年 129 506 429 51 108 16 5 11 167 56 2 4 24 2 50 1 68 11 .252 27位
1989年 117 437 374 37 88 14 1 9 131 35 3 2 14 2 45 2 56 9 .235 32位
1990年 119 421 366 47 103 20 3 11 162 43 4 2 16 4 30 5 56 2 .281 12位
1991年 124 461 392 51 83 17 0 8 124 44 3 1 27 2 36 4 59 5 .212 36位
1992年 124 443 365 52 96 14 3 4 128 49 10 2 23 4 45 6 59 3 .263 27位
1993年 128 472 401 36 90 15 1 7 128 39 6 4 19 4 46 2 63 9 .224 31位
1994年 113 403 338 44 86 12 3 8 128 53 17 5 22 3 38 2 48 7 .254 23位
1995年 125 429 386 40 95 21 0 6 134 43 9 4 9 2 27 5 59 8 .246 22位
1996年 92 289 248 24 64 10 0 6 92 26 2 2 11 5 23 2 25 6 .258
1997年 129 494 436 50 122 19 1 13 182 56 5 3 21 2 29 6 48 11 .280 20位
1998年 114 370 325 34 79 11 2 8 118 38 4 1 9 2 31 3 42 10 .243
1999年 95 296 258 27 74 10 1 3 95 24 1 2 9 4 20 5 35 6 .287
2000年 94 277 245 21 52 9 0 5 76 19 3 2 7 1 22 2 48 3 .212
2001年 106 293 236 15 48 5 1 2 61 20 1 1 16 3 35 3 41 9 .203
2002年 118 383 341 29 87 12 1 8 125 50 3 2 9 4 24 5 48 9 .255
2003年 73 205 190 13 32 7 0 3 48 12 0 1 3 0 11 1 31 2 .168
通算 2379 8191 7050 798 1738 286 32 156 2556 811 134 81 305 60 691 85 1044 146 .247
  • 初出場/初打席 1982年4月11日阪急戦(西武) 7回より大石に代わり出場/8回今井の前に凡退
  • 初安打 1982年5月4日近鉄戦(西武) 8回村田から二塁打
  • 初打点 1982年9月29日南海戦(大阪) 5回藤田学から適時打
  • 初盗塁 1983年8月19日南海戦(大阪)
  • 初本塁打 1984年5月12日近鉄戦(西武) 8回村田からソロ

[編集] 年度別守備成績

年度 試合 刺殺 捕殺 失策 併殺 捕逸 守備率 企図数 許盗塁 盗塁刺 阻止率
1982 17 - 6 6 0 .000
1983 53 - 34 22 12 .353
1984 113 - 122 79 43 .352
1985 124 - 97 59 38 .392
1986 129 - 87 57 30 .345
1987 123 - 77 62 15 .195
1988 129 - 84 60 24 .286
1989 115 - 114 80 34 .298
1990 119 - 84 58 26 .310
1991 124 - 86 54 32 .372
1992 123 855 49 6 9 2 .993 70 48 22 .314
1993 126 934 54 6 15 1 .994 85 54 31 .365
1994 111 750 45 5 12 3 .994 65 37 28 .431
1995 123 814 56 5 6 2 .994 83 50 33 .398
1996 85 568 48 3 7 2 .995 54 38 16 .296
1997 129 874 69 0 15 2 1.000 98 69 29 .296
1998 110 704 61 6 16 1 .992 85 57 28 .329
1999 92 593 42 4 6 2 .994 63 45 18 ,286
2000 88 522 36 3 7 4 .995 64 46 18 .281
2001 104 594 44 2 7 3 .997 56 41 15 .268
2002 117 847 48 1 3 5 .999 65 49 16 .246
2003 73 437 23 0 6 3 1.000 40 31 9 .225
通算 2244 - 1673 1102 571 .341

[編集] タイトル・表彰・記録

  • ベストナイン 10回(1985~1988、1990~1992、1997~1998、2002)
  • ゴールデングラブ賞 11回(1985~1988、1990~1992、1994~1995、1997~1998)
  • 功労賞 2回(2003年、2007年)
  • オールスターゲーム選出 16回(1984~1998、2002)
  • 優勝監督賞 1回(2004年)
  • 開幕戦逆転サヨナラ満塁本塁打(1994年)

[編集] 背番号

ちなみに現役時代の27と監督時代の83を足すと110となる。
本人は「巨人の原監督にならって83にした」と話していたが、これは「百獣の王(「ライオン」ズだから)」と「いとう(伊東)」をかけていると思われる。

[編集] 監督としてのチーム成績

[編集] レギュラーシーズン(リーグ戦)

年度 チーム 順位
リーグ戦順位)
試合 勝利 敗戦 引分 勝率 チーム本塁打 チーム打率 チーム防御率 年齢
2004年 平成16年 西武 1位(2位) 133 74 58 1 .561 183 .276 4.28 42歳
2005年 平成17年 3位(3位) 136 67 69 0 .493 131 .275 4.27 43歳
2006年 平成18年 2位(2位) 136 80 54 2 .597 162 .269 3.64 44歳
2007年 平成19年 5位 144 66 76 2 .465 126 .264 3.82 45歳

[編集] ポストシーズン

年度 大会名 対戦相手 勝敗
2004年 パリーグプレーオフ1stステージ 北海道日本ハムファイターズ 2勝1敗
パリーグプレーオフ2ndステージ 福岡ダイエーホークス 3勝2敗
日本シリーズ 中日ドラゴンズ 4勝3敗
2005年 パリーグプレーオフ1stステージ 千葉ロッテマリーンズ 0勝2敗
2006年 パリーグプレーオフ1stステージ 福岡ソフトバンクホークス 1勝2敗

[編集] 監督通算成績

  • 549試合 287勝257敗5分(2007年シーズン終了時点)

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

先代:
王貞治
星野仙一
正力松太郎賞
2004年
イチロー(特別賞)
次代:
B.バレンタイン
先代:
伊原春樹2002年2003年
西武ライオンズ監督
2004年2007年
次代:
渡辺久信2008年~)
※カッコ内は監督在任期間。
西武ライオンズ(現-埼玉西武ライオンズ)
1981年ドラフト指名選手
1位:伊東勤 / 2位:金森栄治 / 3位:小田真也 / 4位:串原泰夫 / 5位:藤高俊彦 / 6位:工藤公康
他の言語


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