二酸化炭素
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二酸化炭素 | |
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IUPAC名 | 二酸化炭素 |
別名 | 炭酸ガス ドライアイス(固体) |
組成式 | CO2 |
式量 | 44.01 g/mol |
形状 | 無色気体 |
結晶構造 | |
CAS登録番号 | [124-38-9] |
密度と相 | 0.00198 g/cm3, 気体、25 ℃ |
水への溶解度 | 0.145 g/100 mL ( °C) |
融点 | −56.6 °C/5.2 atm[1] |
沸点 | −78.5 °C/760 mmHg[1] |
出典 | ICSC |
二酸化炭素(にさんかたんそ、英:carbon dioxide)は、化学式が CO2 と表される無機化合物。最も代表的な炭素の酸化物である。気体は炭酸ガス、固体はドライアイス、水溶液は炭酸、炭酸水と呼ばれる。
目次 |
[編集] 性質
常温常圧では無色無臭の気体。常圧では液体にならず、− 79 ℃ で昇華して固体(ドライアイス)となる。水に比較的よく溶け、水溶液(炭酸)は弱酸性を示す。助燃性はない。炭素を含む物質(石油、石炭、木材など)の燃焼、動植物の呼吸や微生物による有機物の分解、火山活動などによって大量に発生する。反対に植物の光合成によって二酸化炭素は様々な有機化合物へと固定される。
また、三重点(-56.6℃、0.52MPa)以上の温度と圧力条件下では、二酸化炭素は液体化する場合がある。さらに温度と圧力が臨界点(31.1℃、7.4Mpa)を超えると超臨界状態となり、気体と液体の特徴を兼ね備えるようになる。これらの状態の二酸化炭素は圧縮二酸化炭素または高密度二酸化炭素と呼ばれている。
[編集] 毒性
二酸化炭素は環境中にごくありふれた物質で、その有毒性が問題となることはまずない。しかし、空気中の二酸化炭素濃度が極めて高くなると、人間は危険な状態に置かれる。濃度が 3~4% を超えると頭痛・めまい・吐き気などを催し、7% を超えると炭酸ガスナルコーシスのため数分で意識を失う。この状態が継続すると麻酔作用による呼吸中枢の抑制のため呼吸が停止し死に至る(二酸化炭素中毒)[2]。
ストレスや疲労等により呼吸(換気)をし過ぎたり呼吸(換気)が速くなり過ぎたりして人体の血中の二酸化炭素濃度が異常に低くなることがあり、これを過呼吸、あるいは過換気症候群(過呼吸症候群)と呼ぶ。過換気症候群の病態自体が命に関わる事は無いが、背景に身体疾患が隠れていることがあるので注意を要する。
[編集] 反応性
二酸化炭素は非常に安定した化合物であるが、グリニャール試薬やアルキルリチウムなどの試薬とは、高い反応性を示しカルボン酸を与える。
- R-MgBr + CO2 → R-CO2H (加水分解後)
また、金属マグネシウムは二酸化炭素中でも燃焼し、二酸化炭素は酸素を奪われて炭素の粉末になる。
- CO2 + 2 Mg → C + 2 MgO
[編集] 生産と用途
工業原料としての炭酸ガスは、石油化学プラントなどから排出されたものを回収し、洗浄・精製を繰り返すことで生産される[3]。工業製品としての炭酸ガスの2004年度日本国内生産量は759,189t、工業消費量は143,788tである[4]。実験室レベルでは石灰石に薄い塩酸を加えるか、炭酸水素ナトリウムを加熱することで発生させる。生ビールやジュースで使用する炭酸ガスボンベはビールの発酵の工程で産出したものを回収して使用している。なお、ボンベの色は緑色と指定されている。
炭酸飲料や入浴剤、消火剤などの発泡用ガスとして、または冷却用ドライアイスとして広く用いられている。最近では自転車の補充用エアーとしても使われるようになった。また、超臨界状態の二酸化炭素はグリーンな抽出溶媒として、コーヒーのデカフェなどに利用されている。
工業で加工に使用するレーザーとして炭酸ガスレーザーが一般的である。炭酸ガスレーザーは医療用レーザーメスとしても使用されている。
イチゴの促成栽培、観賞用水槽の水草など、植物の成長を加速させる二酸化炭素施肥に使用されている。(参考:二酸化炭素飢餓)
フロン系冷媒の代替として、CO2冷媒コンプレッサが主に自動販売機などで実用化されつつある。高圧にする必要があるためコスト面での課題が残る。またエネルギー効率も悪い。
鳥インフルエンザ発生時には、鶏を殺処分する際容器につめて炭酸ガスを注入し安楽死させるという方式が近年ではとられている(茨城県、宮崎県など)。
ドライアイスは昇華時に白煙を生じるが、これは舞台演出などで用いられ、放送業界などではドライアイスによる白煙を「炭ガス」と呼ぶ(この白煙は二酸化炭素そのものが見えているわけではなく(二酸化炭素そのものは無色)、空気中の水分が凍結して白く見えるものである)。
[編集] 温室効果
二酸化炭素は赤外線の2.5~3μm、4~5μmの波長帯域に強い吸収帯を持つため、地上からの熱が宇宙へと拡散することを防ぐ、いわゆる温室効果ガスとして働くと言われているが、赤外線を反射することはない。 二酸化炭素の温室効果は、同じ体積あたりではメタンやフロンにくらべ小さいものの、排出量が莫大であることから、地球温暖化の最大の原因とされる(地球温暖化の原因を参照)。 現在の大気中にはおよそ 370ppm(0.037%)ほどの濃度で含まれるが、氷床コアなどの分析から産業革命以前は、およそ 280ppm(0.028%)の濃度であったと推定されている。濃度増加の要因は、主に化石燃料の大量消費と考えられている(IPCC第4次評価報告書を参照)。
また、二酸化炭素そのものの海水中への溶存量が増えることによって海水が酸性化し、生態系に影響を与える海洋酸性化も懸念されている(地球温暖化の影響も参照)。
1997年には京都議定書によって二酸化炭素を含めた各国の温室効果ガス排出量の削減目標が示され、各国でその削減を努力することを締結した。 その手法は多岐に亘る。エネルギーや農業・畜産業など人為起源の二酸化炭素の排出量を抑制する努力、および森林の維持・育成や二酸化炭素回収貯留(CCS)技術の開発など、二酸化炭素を固定する努力が進められている。また排出権取引などを活用して、世界的に二酸化炭素の排出量を削減を促進する努力も行われている。(地球温暖化への対策を参照)
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- ^ a b Merck Index 12th ed., 1857.
- ^ http://www.fri.go.jp/suppression/co2.html
- ^ 昭和炭酸による解説または日本炭酸による解説
- ^ 日本国 経済産業省・化学工業統計月報
[編集] 外部リンク
- 「Carbon dioxide」 - Encyclopedia of Earthにある「二酸化炭素」についての項目(英語)。
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