コンパクトカー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コンパクトカーとは、乗用車の形状の1つである。全長4400mm級以上の一般的な「中型車」や「大型車」(ここでは乗用車を意味する)に対して、こう呼ばれる傾向が強い。
目次 |
[編集] 概要・定義
日本では一般的にボディは全幅が1700mm程度、全長が4000mm前後の5ナンバーサイズで、形はハッチバックやトールワゴンが主流である。エンジンは1000cc~1500ccクラスが主流である。
米国では日本のコンパクトカーより二回りほど大きめ(日本の区分では2000cc級のミドルクラス)になっている。全長は5000mm以下、エンジンは多くが4気筒エンジンを搭載するものが多く、排気量は概ね2400cc以下である。→en:Compact carを参照
なお米国では日本における「コンパクトカー」はサブコンパクトカーと呼ばれる。
ヨーロッパでは、AセグメントからBセグメントの下位(サブB)がおおよそ日本でいうコンパクトカーに該当する。ヨーロッパ諸国において主流となっているクラスである。
[編集] 日本におけるコンパクトカーの歴史
- 1960年代~1970年代
- 自動車そのものの普及を目指していた時代で、安価な他には「コンパクト」に別段の意味はなかった。
- 安価で信頼性の高い「国民車構想」を製品として実現した。兄弟車としてダイハツ・コンソルテも販売された。
- 日産初のFF車として70年代感覚を取り込み登場。のちにパルサーへモデルチェンジされた。
- 自動車産業へ伸び行く三菱のシンボルとして登場。しかし一旦消滅した。
- 水平対向エンジン搭載、車室のフラットフロア化等、技術的先進性をアピールした。
- 1970年代~1980年代
- オイルショックとニューファミリーの台頭により、経済的かつ実用的な「コンパクト」が求められた。
- CVCCエンジンにより、排ガス規制にいち早く対応した。
- ニューファミリー向けのハッチバック車として大人気を博し、コンパクトカーの先鞭を付けた。
- 上質のデザインにより、コンパクトカーから「安物」のイメージを消した傑作である。また3気筒1000ccエンジン搭載も注目された。
- 1980年代~1990年代
- 経済性と実用性のみならず、「走り」も重視した「ライトウェイトスポーツ」、「ボーイズレーサー」(現在の「ホットハッチ」)が登場した。
- トヨタ・カローラII
- さらなる派生車種としてAE86レビンに搭載された、1.6ツインカム16バルブエンジン(4A-G)を搭載しスポーティな走りを可能とした。
- パブリカ後継となる実用性重視の車種に、ターボチャージャーを搭載し力強い走りを実現した。
- 2ドアクーペも存在した。1980年代中盤にはリア部分がハッチバック形態やクーペと載せ換えできるユニークな仕様も存在したが、国内では認可がおりず、どちらかの仕様で固定となった。兄弟車として、ラングレーがあった。
- 初代モデルはTURBO仕様もあり、さらに国産車では現代までにおいて唯一のスーパーTURBOも存在した。なんと過給器がスーパーチャージャ+TURBOチャージャー付きという2つのシステムが搭載されていた。
- 初代マーチベース。限定車として一時プレミアがついた。日産パイクカーシリーズ第1弾。なんとこの年代のコンパクトカーとしては2008年現在でも未だに流通している。
- 初代マーチベース。日産パイクカーシリーズ第2弾。
- シビックより下位モデルとして都会的センスあふれる小型車として登場。ホンダ市販車初のTURBO搭載モデルも追加発売され、さらに進化していった。
- ホンダ・CR-X/シビック
- 軽量ボデーに高出力エンジンを搭載し、FFレイアウトのコンパクトカーでありながら、スポーティーな走りを実現した。
- 既に1970年代にもハッチバックモデルとして存在していたが、VWゴルフをコピーしたFF2BOXとしてモデルチェンジし大ブレイクした。
- 米国GMでのOEM販売を目的に開発。国内では軽自動車ユーザーからの代替目的で販売された。
- 1990年代~2000年代
- バブル崩壊に伴う経済低迷により、コンパクトカーも本来の経済性と実用性本位のコンセプトに回帰した。
- トヨタ・スターレット
- 1990年代に入っても低価格で人気を保った。
- 1992年にフルモデルチェンジ。丸みを帯びたデザインと実用性の高さでロングセラーの地位を守った。
- 不発だった2代目シティ以降に名前も新たに登場するが、またも不発で1代限りとなる。
- 1996年登場。「自由形ワゴン」の広告コピーが象徴する多用途性で、当時のマツダの経営不振脱出の推進役となった。
- シャレードの後継車として登場。トヨタ・デュエットとは兄弟車。クローム鍍金をふんだんに取り入れ、お洒落感を演出していた。
- 軽自動車の拡大版小型車として登場。欧州ではオペル・アジーラとしてもOEM販売された。
- 2000年代~現在
- 主なターゲット・ユーザ層が女性と言われ、経済性と実用性に加えてファッション性も重視されている。
- 愛らしい丸みを帯びたデザイン。
- フィットに対抗し登場。シャーシはヴィッツベース。
- より多機能、多用途向けに登場。ヴィッツベース。
- トヨタ・Willサイファ
- おしゃれな若者向けとして登場。ヴィッツベース。
- デュエット/ストーリアの後継モデルで、トヨタのボトムを受け持つ車両として登場。兄弟車にダイハツ・ブーンもある。
- 2002年に登場した2代目はボディーカラー13色+特別仕様色設定に見られるように、カラフルな色使いを特徴に打ち出していた。
- 2007年よりファッション性を重視した外観として3代目にフルモデルチェンジを行った。
[編集] ヨーロッパにおけるコンパクトカーの歴史
戦後欧州ではゴッゴモビール他、様々な小型大衆車が日本国内同様に登場し消滅したが、現代において有名な車種として、初代VWビートルに始まり、同様に約40年間に渡り基本的に同じモデルが製造販売されたミニを筆頭にシトロエン・2CVやフィアット・500あたりが源流。一時期は大型化へ進んだフィアット・128やシトロエン・GSがあるものの、オイルショック以降モデルチェンジされ新登場したフォルクスワーゲン・ゴルフⅠにルノー 5やフィアット・パンダといった小型車が開発され、当時のベストセラーとなった。この系譜を引き継いだのが後述の、輸入コンパクトカーである。
(stub)
[編集] コンパクトカーの特質
一般的に指摘されているもの[要出所明記]を挙げる。
[編集] 利点
- ボディサイズが小さく、狭い街路や駐車場に入れやすい。
- 重量が1トン前後と比較的軽量であり、エンジンの排気量も手伝い燃費が良い。
[編集] 欠点
- 国内向けの一般モデルでは、ドライバーを女性前提で、中低速の市街地走行を前提として設計されているため、足回りの性能が割り切られている[要出典]。高速を出すと安定しない傾向にある。ただし欧州向け車種や、一部のスポーツモデルでは高速走行が重視されるため、この限りでない。
- 国内向け車種では基本的に街乗り用として設計されていることから、上級小型車に比べ連続長距離高速走行では疲労が蓄積する。
- ワンクラス上(カローラ、ティーダクラス)の車種との車両価格差があまりない。カローラ、ティーダクラスの車種が特売(特にモデル末期時の大幅な値引き)されると、価格が逆転する場合もある。
- ボディサイズは小さめながらも、居住性重視によりFFレイアウトを生かしたロングホイールベースの車種が多い為、車体サイズの割に小回りが利かない車種も散見される。
- 最近のコンパクトカーは安全対策上、車幅が1,695mmと小型車枠一杯のものが多く、狭い道のすれ違いなどに響く。さらにダッシュボードの奥行きがありフロント窓との距離が遠い車種では、ボンネットが短い割に取り回しにくい車種もある[要出所明記]。
- リセールバリュー(下取り価格)が低い[要出典]。
- 女性向きの車という外観のデザインイメージが根強くあり、男性から敬遠されることもあった[要出典]。しかし近年ではそれを気にしない男性も増え、そういったイメージも薄れつつある。
- 全長が短いため、万一の衝突時の安全性に不安を感じる向きもあるが、近年のモデルではボディ剛性強化、衝突安全ボディーの採用などにより、衝突安全性の改善が計られている。
[編集] 現代のコンパクトカーの例
[編集] 日本車 |
[編集] 輸入車 |