ルノー・カングー
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ルノー・カングー(Renault Kangoo)は、フランスの自動車製造会社、ルノーの生産する小型貨客ハッチバック自動車である。
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[編集] 概要
[編集] 生い立ち
古くは1960年代に開発された「ルノー・4(キャトル)フルゴネット」を端とする、荷室拡大型小型貨物車である「ルノー・エクスプレス」の後継として開発された。
ルノー・エクスプレスは、ベースモデルとなるルノー・5が四角い大箱を背負ったような形状の、純粋な小型貨物車であったが、カングーでは5人乗りの家庭向け用途も視野に入れ、スライドドアとセニックで評判を得た後部座席独立シート、充実した室内装備を備えて、純貨物用である「カングー・エクスプレス」(Kangoo Express/KEX)と共に1997年に登場した。
[編集] 人気
当初は乗用モデルの「カングー」と商用モデルの「カングー・エクスプレス」は半々の売り上げであったが、次第にその使い勝手が評価されるようになり、乗用カングーの売り上げが増え、あっという間にヨーロッパで大セールスとなった。
ヨーロッパの各メーカーもカングーに追従したモデル(プジョー・パルトネ/シトロエン・ベルランゴ、フィアット・ドブロ、フォード・コネクト)を発表することとなり、またこれに対応してカングーも2003年と2005年に内外装のマイナーチェンジや室内装備の充実を進め、ロングセラーとなった。
[編集] 「カングー2」
2007年に新型である「カングーⅡ」が発表されたが、安全性の観点から前後長が大型化され、それに併せて価格も上がったことなどから、多くの市場ではしばらくの間「カングー1」との併売が行われる予定である。
[編集] カングー1
[編集] 高い安全性
1997年に登場した 「カングー1」は、背の高い荷室や荷室上、運転席上のストウェッジスペース、そして貨物用と兼用で開発されたと思えないような安定した乗りごこちなどが高い評価を受け人気モデルとなった。また、ABSを標準で装備するほか、4つのエアバッグを標準装備し、ヨーロッパの衝突安全テスト「ユーロNCAP」において4つ星の評価である。
[編集] 世界各国での販売
この様な人気を受け、フランス国内のみならず、ヨーロッパ諸国やアフリカ諸国、日本やマレーシア、シンガポールなどのアジア諸国、オーストラリアやニューカレドニアなどの太平洋諸国でも販売されている。また、マレーシアのタンチョン社の子会社である「TCユーロカーズ」社でノックダウン生産されており、近隣諸国へ輸出されている。
[編集] ラインナップ
駆動方式は前輪駆動(FF)で、1.0ℓと1.2ℓ、1.4ℓ、1.6ℓDOHCのガソリンエンジン、1.5ℓと1.9ℓディーゼルエンジン、及びターボディーゼルエンジンを搭載するモデルが発売されている。トランスミッションは4速オートマチックと、5速マニュアルの2タイプが用意される。
ヨーロッパ市場などでは四輪駆動バージョンや荷室部分を延長したバージョン「マキシ」、また、スウェーデンではピックアップバージョンが用意される他、マレーシアなどでは7人乗りバージョンも用意されている。後部ドアが「ハッチバックドア」と、観音開きタイプの「ダブルバックドア」の2タイプを選択できる。
[編集] 限定車
2002年から、フランス国内のテレビCMでは、イギリスの人気キャラクターの「ウォレスとグルミット」が登場しており人気を博していた。また、『ウォレスとグルミットバージョン』の限定車も発売されていた。
[編集] オプション
高い室内高と広い後部アクセスを生かした車椅子対応バージョンがヨーロッパ市場で販売されている。また、このタイプの車種では珍しく、パノラミックサンルーフをオプションで選ぶことが出来る。
[編集] バリエーション
[編集] 「カングー・エクスプレス」
乗用モデルの「カングー」と商用モデルの「カングー・エクスプレス」が存在するが、日本では乗用モデルのみが販売されている。また、4輪駆動モデル(5速マニュアルのみ)も用意されているが日本市場には導入されていない。なお、SVE社製でカングーベースの電気自動車「CleanovaⅡ」を、フランスの郵便局が配達用に導入する予定である。
[編集] 「キュビスター」
2003年10月から子会社の日産自動車へのバッジエンジニアリングを行っており、日産・キュビスター(Kubistar)として欧州、及び南アメリカにおいて販売されている。
[編集] 「カングー2」
[編集] 大型化
2007年に新型である「カングーⅡ」が発表された。安全性などの観点から横幅を中心に大型化された他、各種装備が充実された。しかしその分価格も上がったこともあり、多くの市場ではしばらくの間「カングー1」との併売が行われる予定である。
[編集] バリエーション
乗用モデルの「カングー」と商用モデルの「カングー・エクスプレス」が用意される他、ホイールベース部分を短縮したショートバージョンが用意される。また、四輪駆動モデルも用意される予定である。
[編集] 日本市場
[編集] 「カングー1」
「MPV」とも呼ばれる、人も荷物も余裕を持って搭載することのできる小型ハッチバックとして2002年に導入された。1.6ℓDOHCのガソリンエンジンを搭載するモデルのみが発売されている。後部ドアが「ハッチバックドア」と、観音開きタイプの「ダブルバックドア」の2タイプを選択できたが、現在、正規ディーラーでは「ダブルバックドア」のみの設定となっている。
拡大された車室を与えられたことによる居住性・使い勝手と多彩なシートアレンジが特長で、輸入車としては低価格と充実した装備も相俟って、この種の輸入車としては異例の月100台以上が販売されることも多い。
2006年初頭から発売されたマイナーチェンジ版「ジェネレーション2006」ではフロントグリルのデザインが変更され、内装の質感を向上させた他、後部座席にトレイがつくなどさらなる装備の充実が図られている。日本初公開の場として2005年10月に開催された東京モーターショーが選ばれた。
[編集] 「カングー2」
なお、フランス本国で2007年にデビューし、ヨーロッパ諸国の多くで販売されている「カングー2」の日本市場への導入時期や、導入されるバリエーション、販売価格についてはまだ発表されていない。