日産・ティーダ
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ティーダ (TIIDA) は、日産自動車の5ドアハッチバック型乗用車である。
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[編集] 概要
2000年8月にパルサーセリエの生産を終了して以来、日産から同クラスのハッチバックが消えていたこともあり、車格はかつて同社が生産していたパルサーに近い[1]。
ハッチバックのほかセダンの日産・ティーダラティオが存在する。
[編集] 国際戦略車種
当初はアジア戦略車と位置付けられていたが、2006年にはメキシコのアグアスカリエンテス工場でも生産を開始し、北米サブコンパクト市場にも投入された。さらに2007年からはメキシコからスペイン、アイルランド、ポーランド、ハンガリーなど欧州諸国への輸出も開始された。欧州市場ではアルメーラの生産終了によって空いた小型ファミリーカーのポジションを埋める役割を担う。
さらに2009年からは南米市場向けにセダンをクライスラーへOEM供給する予定である[2]
なお、中華人民共和国向けはいち早く2007年11月にフェイスリフトが行われている。
[編集] 海外での車名
米国・カナダでは「ヴァーサ」(Versa)、シンガポール、インドネシア、マレーシアでは日本向けのセダンのサブネームと同じ「ラティオ」、それ以外の地域では日本同様「ティーダ」の車名で販売される。なお、日本向けはセダンにサブネームを付加して区別しているが、海外向けはシンガポールとマレーシアを除いて(ハッチバックが「ラティオスポーツ」とサブネーム付きの車名になる)、ハッチバック・セダンとも同じ車名となる。また、中国仕様では漢字表記のときのみに際し同音異字を用いて区別している。
[編集] 機構・メカニズム
シャシー(プラットフォーム)は、日産の事実上の親会社で、アライアンス関係を結んでいるルノーと共同開発し、すでにマーチやルノー・モデュスなどで使用されているアライアンス・Bプラットフォームの中でも、特にキューブキュービックのものをベースに開発されている。
ボディサイズは、全長4205mm、全幅1695mm、全高1535mm(4WDモデルは1540mm)、ホイールベース2600mmと、近年このクラスのモデルが大型化して3ナンバーボディを採用することが多い中、5ナンバーサイズを堅持している。上級クラスに遜色のない室内空間を再現しつつ、車幅を5ナンバーサイズ枠に収めようとした点については、幅の狭い道路が非常に多い日本の道路事情を考慮した開発主査が最もこだわったところのひとつでもある。
エンジンは低中速トルク・燃費性能・環境性能を、従来のQG型から大幅に向上させたという、新開発のHR15DE型直列4気筒1.5Lエンジンを搭載。2005年初頭には同じく新開発のMR18DE型直列4気筒1.8Lエンジンが追加された。また、海外向けにはHR16DE型直列4気筒1.6LエンジンやK9K型直列4気筒1.5Lディーゼルエンジンも用意されている。
トランスミッションは、4速AT(E-ATx)と、伝達効率を向上させた新開発CVT(エクストロニックCVT)を用意。ただしe-4WDシステム(トランスファー、プロペラシャフトを用いず、電気モーターによって後輪を駆動する)搭載車には、CVTとe-4WDとのマッチングが良くなかったためにCVT(エクストロニックCVT)は設定されず4速ATのみの設定となる。2008年1月のマイナーチェンジより18Gに6速マニュアルが設定されている。
[編集] スタイリング
内外装は、日産がティーダに掲げる“SHIFT_ compact quality”のコンセプト通り、従来の小型車のレベルを超えた高い質感を実現している。
エクステリアは日産と提携関係にあるルノーのモデル(メガーヌなど)との類似性が一部で指摘されているが、質感は高く、リアコンビネーションランプは同社のモデル、フェアレディZにも似たスタイリッシュなデザインを採用している。
インテリアは、すでに高い質感とデザインで好評を得ている同社のモデル、ティアナを手がけたスタッフによるもので、ダッシュボードにはアルミ調パネルをあしらい、シートはティアナと同等の余裕あるサイズのものを採用している。さらにオプションでシートをクロスレザー仕様にすることもでき、全体として高い質感を実現している。
なお、初期モデルではインパネおよびドアトリム上部にソフトパッドが採用されていたが、2006年12月の一部改良では、ソフトパッドから硬質なハード樹脂への変更、また、2008年1月のマイナーチェンジでは、LEDマップランプや高鮮映性塗装が廃止されている。
[編集] 歴史
[編集] C11型(2004年-)
- 2003年10月 - 第37回東京モーターショーにコンセプトカー「シーノート(C-NOTE)」を出展。
- 2004年6月 - 北京モーターショーに「シーノート(C-NOTE)」を出展。
- 2004年9月30日 - ティーダ発売。オーテックジャパンによる特別仕様車「アクシス」を設定。
- 2004年10月29日 - セダンバージョンである、ティーダラティオ(SC11型)が追加
- 2005年1月 - 新開発のMR18DE型直列4気筒1.8リットルモデルを追加。
- 2005年4月 - 上海で中国向け「ティーダ ハッチバック」(中国名:騏達)を披露。
- 2005年12月 - 一部改良。15Mにフォグランプと本革ステアリングが標準装備される。
- 2006年6月 - 台湾、タイ王国で相次いで発売開始。
- 2006年12月 - 一部改良。環境性能が改良され、燃費が向上する。メーカーオプションにHDDナビが設定される。
- 2007年6月5日 - 特別仕様車「Plus navi HDD」(15S及び15S FOURベース)発売。ノート等にも発表された同エディション中唯一、カーウイングス対応ナビを搭載する。
- 2008年1月28日 - マイナーチェンジを実施。特別仕様車「Plus navi HDD」は継続設定。前回同様カーウイングス対応。
[編集] エンジン
型式 | HR15DE | MR18DE |
---|---|---|
種類・シリンダー数 | DOHC・直列4気筒 | |
シリンダー 内径×行程 mm | 78.0×78.4 | 84.0×81.1 |
総排気量 L | 1.498 | 1.797 |
圧縮比 | 10.5 | 9.9 |
最高出力 kW (PS) /rpm | 80 (109) /6000 | 94 (128) /5200 |
最高トルク N・m (kgm) /rpm | 148 (15.1) /4400 | 176 (17.9) /4800 |
燃料供給装置 | ニッサンEGI (ECCS) 電子制御燃料噴射装置 | |
使用燃料・タンク容量 L | 無鉛レギュラーガソリン・45 | 無鉛レギュラーガソリン・52 |
搭載時期 | 2004年9月 - | 2005年1月 - |
[編集] バリエーションモデル
[編集] 車名の由来
ティーダという名が英語のTIDEを語源とする。沖縄方言で太陽の意を表す“てぃーだ”から来ているということも、それを暗示している。
[編集] CMソング・タイアップ
- 初期はザ・ゾンビーズ(The Zombies)の「Time Of The Season」(ふたりのシーズン)が使用されていた。
- 2006年よりビル・ウィザーズ(Bill Withers)の「Use Me」を起用している。
- テレビドラマHEROES/ヒーローズとのタイアップ。サイドストーリーのコミックにCM漫画、ドラマ内で車名Nissan Versaの連呼など、従来にない形のタイアップとなった。
- 2007年5月~9月まで、スペシャルwebコンテンツ「艶やかコンパクト.com」が公開された。雑誌「LEON」と「NIKITA」とのコラボレーション企画であり、艶男(アデオス)&艶女(アデージョ)のためのファッション・ドライブガイドが掲載されていた。同時に、TVCMキャラクターとしてパンツェッタ・ジローラモが起用されていた。
[編集] キャッチコピー
キャッチコピーは、「Compact meets Luxury. -コンパクトがはじめて出会う上質。」
シフトコンセプトは、「SHIFT_compact quality コンパクトの質をシフトする。」
[編集] 関連項目
[編集] 参照
- ^ a b 一般には事実上の後継車としても扱われるが、日産では正式な後継車である事を否定している。
- ^ 日産自動車、クライスラーへのOEM供給に合意、2008年1月27日取得。