むさしの (列車)
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むさしのとは、東日本旅客鉄道(JR東日本)が、府中本町駅・八王子駅~大宮駅間を中央本線・武蔵野線・東北本線経由で運行する臨時快速列車の愛称。土曜・休日には「ホリデー快速むさしの号」として運行される。
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[編集] 運行概要
乗り換えが必要な中央本線沿線から東北・山形・秋田・上越・長野新幹線接続駅である大宮まで直通する列車として運行されている。運行当初は、「こまちリレー号」、その後「新幹線リレー号」を名乗ったことから新幹線接続列車の側面が大きいはずであったが、新幹線との接続があまりよくなかったこともあり、通勤列車の側面が強くなっていた。そのため、2001年に「ホリデー快速むさしの号」が「ホリデー快速河口湖」3・4号に改称されたのに伴い、名称を現在の「むさしの」に変更し、新幹線接続列車としてのアピールを取りやめた。
運行本数は平日2往復、土曜・休日1往復である。うち平日の大宮駅行き1本は、朝方に豊田車両センターを出庫した後新秋津で折り返して府中本町まで回送され、同駅始発としている。これは朝ラッシュ時の中央快速線のダイヤに支障をきたさないようにするための措置である。また、以前の平日ダイヤでは3往復、高尾まで運行される列車が存在したが、利用者が増えなかったことにより縮小、従来昼間に1往復していた時間帯は豊田車両センターにて留置される。また、土休日ダイヤでは間合い時間を利用して「ホリデー快速鎌倉号」としての運用に入っている。以前は土休日には「ホリデー快速日光号」として八王子~大宮~宇都宮~日光間を運行していた時期もあった。2006年のゴールデンウィークからは立川から青梅線に乗り入れる快速「むさしの奥多摩」が大宮~奥多摩間で運転を開始している。この列車は武蔵野線内は、貨物列車のダイヤで、青梅線青梅~奥多摩間は定期普通列車のダイヤで運転される。
またこの姉妹列車として、2002年の秋季行楽シーズンには田町車両センターの167系8両編成を使用し平塚~横浜~大宮~宇都宮~日光間を武蔵野線経由で運行した「ホリデー快速湘南日光号」などがある。
基本的に毎日運行の臨時列車である。これは、運行区間のうち、国立~新小平間および西浦和~大宮間が貨物線であって、いわゆる旅客列車として定期的に運行されているわけではないことに配慮して列車番号を与えられているからである。設定当初は臨時列車の予備番号である9000番台であったが、2008年3月15日より宇都宮線の「フェアーウェイ」や新宿発着の「ホリデー快速河口湖」1・2号などと同じ8000番台に変更された。
これらの貨物線はJR東日本の所属(第一種鉄道事業者)であるが、同社では独立した線区とみなしていないため、これら区間を乗車する場合の運賃は前者は西国分寺駅、後者は武蔵浦和駅経由で計算され、第二種事業者である日本貨物鉄道(JR貨物)が設定している営業キロは適用されない。なお、交通新聞社発行の『JR時刻表』では西国分寺駅(武蔵浦和駅は掲載なし)に通過を示すマークが入っている。
[編集] 停車駅
- 八王子駅発着列車(「むさしの」2・3・4号、「ホリデー快速むさしの号」)の停車駅
- 府中本町駅発列車(「むさしの」1号)の停車駅
- 府中本町駅 - 西国分寺駅 - 新秋津駅 - 東所沢駅 - 北朝霞駅 - 大宮駅
- ホリデー快速日光号(2007年現在は運転していない)
※()内は臨時停車
- 快速「むさしの奥多摩」(2006年)
- 快速「むさしの奥多摩」(2007年・2008年)
[編集] 車両
車両は、「こまちリレー号」として運行開始した当初は幕張電車区(現・幕張車両センター)から三鷹電車区(現・三鷹車両センター)に転入した湘南色の165系急行形電車が使用されていた。これらはすべて3両編成を2本連結して運用された。
上記の165系が老朽化したことから、代わって松本運転所(松本電車区を経て現・松本車両センター)から169系3両編成5本が、上沼垂運転区(現・新潟車両センター)から165系3両編成1本が転入し、専用の塗色(八王子支社独自のものであることから「八王子色」とも呼ばれた)に変更された。松本運転所から転入した編成のうち3本はリクライニングシートを装備したグレードアップ編成であり、上沼垂運転区から転入した編成は先頭車前面に大型前照灯を残した、いわゆる「原型車」である。「新幹線リレー号」および「むさしの」や「ホリデー快速日光号」にはリクライニングシートの1編成と通常のボックス式クロスシートの1編成を連結して使用されるのが基本であった。客室アコモデーションの向上はあったものの、平日朝夕など通勤客が多く利用する列車では、2扉車の運用では乗降に手間取る・立客がデッキに集中するなどのデメリットがあった。
2002年に165系・169系が「ホリデー快速」等すべての準定期運用から撤退することになり、豊田車両センターに配置されている115系近郊形電車が投入される。同区で1本のみ存在するスカ色塗装車の6両貫通編成(当時の松本電車区から再度豊田へ復帰した編成。基本的に「むさしの」専属車両)を使用するが、この編成の検査時には同区の3両編成2本を連結した編成または長野総合車両センター配置の6両編成が代走している。長野総合車両センターの車両は塗装が長野色で、「快速むさしの」の表示が側面方向幕に用意されていないため単に「快速」のみの表示となる。
また、115系がなんらかの理由で運用に充当できない場合、189系特急形電車で代走をすることもあるが、平日の「むさしの」1号のように通勤・通学客が多く利用する列車では、乗客が乗り切れない懸念があるため、停車駅では189系使用日を明記するなどして、他の列車を利用する旨、案内が行われている。
一方、快速「むさしの奥多摩」は小山車両センター配置の115系4両編成で運転されていたが、2007年の春臨以降は201系展望型電車「四季彩」で運転され、専用の方向幕を掲出している。
[編集] ヘッドマーク
「こまちリレー号」時代よりこの系統の快速列車にはすべて専用のヘッドマークが掲出されている。「新幹線リレー号」まではイラストつきの愛らしいものであったのに対し、「ホリデー快速日光号」や「むさしの」は淡い黄色地に黒字で名称が表記されただけのシンプルなものにされている。また、列車名の変更や運行の変更を伴うダイヤ改正時など時期によっては、このマークすらも取り外し基部の銀板を露出して運行されるのが通例となっている。
2007年現在では、「ホリデー快速むさしの号」にも掲出されており、これはオレンジに黒字で表記されている。
[編集] 沿革
- 1997年 秋田新幹線「こまち」運行開始とともに「こまちリレー号」として運行を開始する。
- 1998年 名称を「新幹線リレー号」に変更。
- 2001年 名称を現行の「むさしの」に変更。また、一時期土休日運行のものに限り名称を「ホリデー快速日光号」に変更、八王子駅~日光駅間を運行。
- 2002年 165・169系の撤退に伴い、使用車両を115系に変更。
- 2004年 土休日運行列車の名称を「ホリデー快速むさしの号」に変更。ただし側面の方向幕は「快速むさしの」で表示。
- 2005年 「ホリデー快速むさしの号」および「むさしの」2号のダイヤが変更される。
- 「むさしの」2号は、朝の10時台から9時台に。「ホリデー快速むさしの」2号は夜の8時台から夕方の6時台になった。
- 2006年 大宮駅~青梅線奥多摩駅間を運行する快速「むさしの奥多摩」が運転される。
- 2007年3月18日 ダイヤ改正にともない新たに東所沢駅に停車。