反転フラップ式案内表示機
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反転フラップ式発車案内表示機(はんてんフラップしきはっしゃあんないひょうじき)は、鉄道駅、もしくは空港などにおいて、乗り物の行先や種別などを案内するための表示板及びその機械である。
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[編集] 概説
変更稼働中の音から「パタパタ式」、開発者の名前から「ソラリー式」(近畿日本鉄道など一部の鉄道会社では「ソラリー」と呼称する)、仕組みから「回転式」、テレビ番組ではTBSの「ザ・ベストテン」「クイズダービー」の得点表示などで使われていたことから「ベストテン式」「クイズダービー式」などとも呼ばれている(その他のテレビ番組での使用例)。また、ガソリンスタンドでも数字のみ使用されているケースもあるほか、同じ構造を持つデジタル時計(置き時計や壁掛け時計など)も存在している。
[編集] 構造
2枚の小さい円盤で10~20枚程度の同じ大きさの薄い板(フラップ)を挟む構造となっている(フラップが横長の場合は中間支持のための別に円盤が設けられていることも多い)。1枚のフラップには表面に文字・記号の下半分が、裏面に上半分が記載されており、フラップの一辺の延長上で円盤に支持され、2枚の円盤が縦方向に同期して回転することでフラップを反転させる。装置の上部にフラップを留める爪が設けられており、円盤が静止した状態でフラップの1枚が上部で裏面を向けて静止することで、表面を向けて静止した下の1枚と組み合わせて上下で一連の文字・記号を表示させる仕組みとなっている。これを数字の桁や表示項目毎に複数組み合わせることで、全体として意味のある表示とさせている。
[編集] 利点と欠点
稼動時は、フィルム式案内表示器よりも高速に変更でき、表示項目毎に独立して稼働させることができることから、緊急の時刻変更やのりば変更などにも対応できる(京浜急行電鉄などの駅では、遅延などの緊急時に対応しきれずに1日中「調整中」の表示になることもあった)。文字も乱視や老眼の人にもよく見えるように作られており、光の反射によって見えなくなることもない。しかし、ダイヤ改正時や新しい文字(列車名や航空会社名)などの追加や変更になると、1つの機械に必要な文字数(11・50・70コマ)が限界を超え、その都度改修工事をしなければならない不便さがあった。不便を解消するため、液晶式やLED式と併用する場合もある。
[編集] 設置箇所
視認性に優れるため、鉄道駅や空港で多く使用されているが、近年ではLED方式やプラズマディスプレイなどの電光掲示板に取って代わられつつあり、減少傾向にある。
鉄道駅で使用されている主な例は下記の通り。
- 京浜急行電鉄(金沢文庫駅や京急久里浜駅ではフラップとLEDが混在されているものを使用。横浜駅では反転フラップ式から一時ブラウン管式に切り替えたが、再び反転フラップ式に戻した)
- 関西の大手私鉄(但し阪神電気鉄道では甲子園駅にしか残っていない)では現在でも比較的多くの駅で使用されている。なお、京阪電気鉄道は2007年から中之島線開業までにフラップを全廃すると発表している。
- 京成電鉄の八広駅にはフラップとLEDが混在されているものが使用されている。設置されたのも改良工事が完成した2001年9月15日と比較的新しい。そのフラップ・LED混在式は過去に小田急電鉄の町田駅でも見られたが、2002年にLED式に置き換えられ、撤去された。
- 静岡県の私鉄(静岡鉄道の新静岡駅や遠州鉄道の八幡駅・助信駅)
- 東海道新幹線では、のぞみ停車駅以外はホームに現存している(設置時期は1996年~1998年と比較的新しい)。一方山陽新幹線は、2007年までに全てLED方式に変えられた。最後まで残ったのは新岩国駅だった。
- 東海旅客鉄道(JR東海)の静岡県内一部駅のホーム(島田駅、菊川駅、浜松駅。設置時期はいずれも1997年と比較的新しい)。
- 近鉄名古屋駅の地下改札口と、JR東海改札口から30mまっすぐ行ったところの2ヶ所。近鉄では主要駅の大半でこの表示器が用いられているが近年ではLED方式やプラズマディスプレイなどの電光掲示板に換わりつつある。
- 名鉄では、犬山線犬山駅、名古屋本線東岡崎駅、河和線河和駅などの主要駅でも一部見られる。
- 豊橋駅バスセンターと豊橋鉄道東田本線駅前電停(共用、ペデストリアンデッキに設置)。
- 四国旅客鉄道(JR四国)の主要駅の一部(阿波池田駅など)
- 南海電気鉄道では泉佐野駅を除く本線の主要駅に多く存在する。うちなんば駅・新今宮駅・関西空港駅はLED混合式、天下茶屋駅・堺駅・岸和田駅には横に補助的な表示を行うLEDが併設されている。高野線では河内長野駅・中百舌鳥駅を除きフルカラーLEDへ置き換られている。なんば駅正面出口のものは、全国でも屈指の大きさを誇るものである。
- 泉北高速鉄道では、光明池駅を除く全駅に存在。また、泉ヶ丘駅以南のものはLED式の列車位置案内システムとの混成式。
- JR西日本山陰本線の浜田駅では現在でも現役で使用しているが、2008年に駅舎が建て替えられるため、それに伴い撤去されると思われる。
[編集] テレビ番組での使用例
特記ないものは得点または賞金額表示に使用。TBSのみが主に縦方向に反転、その他の局は主に水平方向に反転するフラップを使用していた(ただし横長のものはすべて縦方向の反転)。
- TBS
- 毎日放送
- アップダウンクイズ
- 世界まるごとHOWマッチ - 現地通貨のレートと正解表示。司会席後方にあった。
- フジテレビ
- やりくりクイズ30万に挑戦
- クイズタッグマッチ
- ズバリ!当てましょう - 回答に使用。
- いい旅ときめき本線~チャレンジ20,000km~
- 「オレたちひょうきん族」のコーナー「ひょうきんベストテン」
- 「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」のコーナー「邦ちゃんのものまねベスト10」
- アイ・アイゲーム - 勝率表示。
- クイズ!お金が大好き
- とんねるずのみなさんのおかげでした - 「トークダービー」「ムダ・ベストテン」で使用。
- 関西テレビ
- 花の新婚!カンピューター作戦の電光表示板
- 三枝の恋のトリプルチャンス - ラストゲームにて使用。
- 日本テレビ
- お笑いスター誕生!! - 「サバイバルシリーズ」にて使用。
- THE夜もヒッパレ - 曲名とオリジナル歌手名の表示。ザ・ベストテンとほぼ同形式だが、点数表示部分はない。
- 逆転クイズ スーパービンゴ - 縦方向反転を使用。
- よみうりテレビ
- テレビ朝日
- 100万円クイズハンター
- クイズ!!マガジン - 縦方向反転を使用。
- まっ昼ま王!!濡れてにアワー!!
- 朝日放送
- 世界一周双六ゲーム - 現在地の都市名を表示。
- テレビ東京
- クイズ地球まるかじり - 長門裕之司会時の初期に使用。のちに得点システムが変更され使用されなくなった。
- ザ・ヤングベストテン - 週のベストテン10曲を発表時に表示