ドラえもん のび太の恐竜
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『ドラえもん のび太の恐竜』(ドラえもんのびたのきょうりゅう)は藤子・F・不二雄のSF漫画『ドラえもん』中のエピソードのひとつ。およびそれに大幅に加筆修正し、月刊コロコロコミック1980年1月号から1980年3月号に掲載された「大長編ドラえもんシリーズ」の作品と、この作品を元に1980年3月15日に公開された映画作品。大長編・映画ともに第1作。
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[編集] 略歴
- 1975年、短編作品として「増刊少年サンデー」に掲載。てんとう虫コミックス10巻に収録。ジョイ・アダムソンの小説『野生のエルザ』をモチーフにしたものとされる[1]。この短編はピー助を白亜紀の日本に返したところで終了している。
- 1979年10月、コロコロコミック誌上で最初の映画製作発表。
- 1979年12月、コロコロコミック1月号から最初の短編に大幅なページ増加をした大長編を3ヶ月に分けて発表。
- 1980年3月15日「大長編ドラえもんシリーズ」の映画第1作目公開。配給収入15億6000万円、観客動員数320万人。併映作品は『モスラ対ゴジラ』(1964年公開作品のリバイバル上映。)。
- 1983年、大長編原作連載にさらに改ページを加えたものをてんとう虫コミックス単行本として発売。
- 1994年、ミュージカル化して上演。香港やマレーシアでも上演された。
- 2006年、『ドラえもん のび太の恐竜2006』としてリメイク版公開。また、「ぴっかぴかコミックス」にて、カラー版コミックスが発売された。ぴっかぴかコミックス版はてんとう虫コミックス版とは細かい違いがあり、おそらくはてんとう虫コミックスが出る前に出された「カラーコミックス」を元にしていると思われる。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] 物語のあらすじ
ティラノサウルスの爪の化石を自慢するスネ夫に対抗し、のび太は「恐竜の化石を一匹分丸ごと見つけてみせる!」と、突拍子もない宣言をしてしまう。
その後、偶然にも首長竜の卵の化石を発掘したのび太は、タイムふろしきを使って卵を化石になる前の状態に戻し、孵化させる。のび太は孵化した首長竜の子供をピー助と名づけて可愛がり、ピー助ものび太を慕って育つ。だが成長するにつれてピー助を匿うのが困難になってくる。ピー助の本当の幸せを願い、のび太はタイムマシンで白亜紀の世界へ帰す(ここまでが短編作品のあらすじ)。
しかしその後、タイムマシンの空間移動機能の故障によりピー助を本来の棲息地である日本近海ではなく、アメリカへ置いて来てしまったことが判明する。ドラえもんたちはタイムマシンで再びピー助のもとへ行くが、タイムマシンの空間移動機能が完全に壊れて、日本の、正確にいえば一億年後にのび太の机が置かれることになる場所にタイムマシンを置かない限り元の世界へ戻れなくなってしまう。さらに未来から来た恐竜ハンターがピー助をつけ狙う。ピー助を元の住処へ戻すべく、そして無事に20世紀に帰るべく、白亜紀を舞台にのび太達の冒険が始まる。
[編集] 舞台
一億年前の白亜紀の北米西海岸。
[編集] ゲストキャラクター
- ピー助
- のび太が孵化させて育て上げたフタバスズキリュウ。性格は温和で甘えん坊。刷り込み効果の上、のび太に育てられたため、のび太を実の親のように慕っている。
- フタバスズキリュウは海生爬虫類の首長竜であり、厳密には恐竜と異なる。また、現在では首長竜は胎生もしくは卵胎生であり、卵を生むことはなかったと考えられている。
- ガケシタさん
- 化石発掘中ののび太に庭や車を汚された男性。のび太とピー助との奇蹟的な出会いのきっかけともなった。名前の初出は書籍「(コロコロコミックデラックス)映画アニメドラえもん のび太とアニマル惑星」に掲載の記事「映画アニメドラえもん大事典 THE ENCYCLOPEDIA OF"DORAEMON"THE MOVIE」。
- 黒い男
- 恐竜を捕らえて売ろうとする未来世界の密猟者、恐竜ハンター。ドルマンに恐竜を渡して金をもらっている。なお、彼のタイムマシンは「スコルピオン」と言い、その名の通りサソリを模した形状になっている。
- ドルマンスタン(ドルマンスタイン)
- 24世紀(2314年)のメガロポリスに住む大富豪。恐竜のコレクションが趣味。「人間に慣れた珍しい恐竜」であるピー助を手に入れるために恐竜ハンター、黒い男を雇う。通称ドルマン(書籍「(コロコロコミックデラックス)映画アニメドラえもん」)。アニメ版(『ドラえもん のび太の恐竜』『2112年ドラえもん誕生』『ドラえもん のび太の恐竜2006』など)では「ドルマンスタイン」で、原作単行本でも途中の版から「ドルマンスタイン」となった。
- タイムパトロール隊
- 時空犯罪を取り締まる部隊。23世紀に本部を置く。巡視船「タイムマリン」で、時間や場所を問わず常に巡回活動をしている。
[編集] 声の出演
- ドラえもん:大山のぶ代
- のび太:小原乃梨子
- しずか:野村道子
- ジャイアン:たてかべ和也
- スネ夫:肝付兼太
- ピー助:横沢啓子
- のび太のママ:千々松幸子
- のび太のパパ:加藤正之
- ジャイアンのママ:青木和代
- スネ夫のママ:加川三起
- ガケシタ:川久保潔?
- 女子A:横沢啓子
- 女子B:太田淑子?
- アナウンサー:加藤正之
- 頭脳読みとりコンピューター:横沢啓子
- ドルマンスタイン:島宇志夫
- 恐竜ハンター(黒い男):加藤精三
- 恐竜ハンター(手下):宮村義人ほか。
- タイムパトロール隊長:加藤正之
- タイムパトロール隊員:井上和彦、宮村義人ほか。
[編集] スタッフ
- 脚本:藤子・F・不二雄、松岡清治
- 作画監督:本多敏行
- レイアウト:芝山努
- 美術監督:川本征平
- 撮影監督:三沢勝治(J.S.C)
- 録音監督:浦上靖夫、大熊昭
- 原画:富永貞義、瑞名貴勇、前田実、一川義久、椛島義夫、島田和義、森下圭介、野田作樹、鈴木欽一郎、おおたぬう、窪田正史、増谷三郎、鈴木信一、吉川由美子、春貴健司、飯口悦子、池ノ谷安夫、原完治、徳田悦郎、小和田義博、中村英一、山崎勝彦、下野昌子
- 動画:木上益治、木内良子、木村友和、上ノ山順子、川東桃代、大塚正実、星山和子、渡辺裕子、田口陽子、小林幸、荒牧園美、小松良江、今沢恵子、安井修子、岩井美登理、鈴木加代子、古川みや子、青木雅之、湊和良、佐藤弘美、川島都子、大沢真紀子、大塚伸治、池内純、斎藤かおる、片山友夫、吉原彰夫、木野村良一、福田一彦、佐伯肇、中村圭一、箕輪美恵子、畑良子、中村美子、船塚純子、原田雅祥、福山政敏、塩谷和夫、内田広之、桜沢裕美、山本富子、中村久子、中山晴夫、寺田千久、平村文男、柿沼弥栄子、若山佳幸、大塚典子、長谷川実、須田裕美子、栗井重紀
- 特殊効果:土井通明
- 美術補:工藤剛一
- 背景:沼井信朗、村上勢至、伊藤政洋、矢島みよ子、笠原淳二、斉藤由美子、高野正道
- 撮影:小山信夫、金子仁、神山茂男、高橋明彦、小池彰、吉川義典
- 音楽:菊池俊輔
- 編集:井上和夫、森田清次
- 効果:柏原満
- 整音:中戸川次男
- スタジオ:東宝録音スタジオ
- 現像:東京現像所
- 動画チェック:小林正義
- 色指定:野中幸子
- 音楽ディレクター:池田久雄
- 演出助手:安藤敏彦
- 製作担当:佐久間晴夫
- 製作進行:田村正司、塚田庄英、藤沢一夫、井上修、木村和市、志水貴美子
- 製作事務:山本有子、小沢一枝、千葉明美、別紙博行、真田芳房
- 監修:楠部大吉郎
- プロデューサー:楠部三吉郎、別紙壮一
- 監督:福富博
- 製作協力:テレビ朝日、旭通信社
- 製作:シンエイ動画、小学館
[編集] 主題歌
[編集] 原作との違い
変更は少ないものの大きく違っている点
- タイムマシンの暴走の描写
- 原作では卵を見つけた時点でスネ夫たちにみせようとするが、映画にはこのシーンはない。
- 鼻でスパゲティを食べる約束のことをドラえもんに泣きつかない
- 白亜紀でのピー助との再会場所の地形
- 作中で登場するひみつ道具・コンクフードは、原作ではてんとう虫コミックス第4巻収録「海底ハイキング」に登場するものと同様だが[2]、映画版ではカップラーメン型[3]。ちなみに食料探しのシーンもカットされている。
- キャンプファイヤーのシーンでジャイアンが歌を歌い、恐竜がその歌声に共鳴する。ちなみにこのときに唄っていたのは「ワンパク三人組」の映画オリジナルバージョン(歌詞中の「三人組」はぼかされて歌われている)。
- キャンピングカプセルは原作では1人1つの割り当てだが、ここではドラえもんとのび太は1つのカプセルで泊まっているため、カプセルは4つ。
- 原作ではのび太が日記を付けようとして『冒険』の字がわからずに投げ出すが、こちらでは最後まで冒険日記をつけている。
- イカダが滝に落ちた際にドラえもんは交通安全お守りを出さない。その為に滝からなぜ助かったのかと言う理由がよくわからないが、その後に意識を取り戻す場面やハンターがアジトに帰る描写などが追加されている。
- 恐竜ハンターのアジトに乗り込む際、原作ではピー助は外にいるままだが、この映画ではスモールライトでさらにミニサイズ化されのび太のポケットの中に入って共に行動している。また、アジトに乗り込んだ際の描写が原作より鮮明に描き出されている。
[編集] 豆知識
てんとう虫コミックスに収録する際、雑誌連載版に35ページもの加筆とその他各所の修正が行われた。その後の作品でもこの単行本収録時の加筆・修正は行なわれたが、それが最も顕著だったのはこの作品である。雑誌連載版では、「一億年という時間に関するドラえもんの説明」「食べ物探し中の爬虫類・哺乳類の解説」「自分の想像で気絶するスネ夫としずかちゃんを思いやるのび太」などの場面は存在しない。逆に雑誌連載版にあった恐竜ハンターの母船の登場場面は、単行本では小型艇に差し替えられている。また、セリフのみの修正も何箇所か見受けられ、例えば火口湖でティラノサウルスに襲われる恐竜の名前は雑誌連載版及び単行本の昔の版では「ブロントサウルス」であったが現在の単行本では「アパトサウルス」と改められている。この雑誌連載版は、2006年に発行された「ぴっかぴかコミックススペシャル カラー版 ドラえもん のび太の恐竜」で確認することができる。
またシナリオ第一稿には出木杉が登場しており、1億年前での冒険にも参加していたが、完成した映画では、出木杉は一切登場することは無かった。なお、このシナリオで出木杉は「タケコプターの電池の持たせ方」「ブロントサウルスの解説」「日本へ陸伝いに帰る」「ラジコンで恐竜ハンターたちを出し抜く」など、作中で重要な解説をしたり、アイディアを出したりしている(完成版では、それらの役割はドラえもん・のび太・スネ夫に置き換えられた)。
一部ではスティーヴン・スピルバーグが来日中に同時上映の『ゴジラ』目当てで入った映画館でこの映画を見て、「E.T.」などの作品に影響を与えたといわれ、小学館発行の『藤子・F・不二雄の世界』(1997年)等でも言及されているが、真偽のほどは明らかではない。
また、本作では恐竜狩りを重大な悪事(航時法違反)として描いているが、原作の別エピソードではドラえもん達が娯楽として恐竜狩りを楽しむ話(「恐竜ハンター」てんとう虫コミックス2巻収録)や、恐竜を現代に無理やり連れてくる話(「小学一年生」1970年6月号掲載話(無題)、単行本未収録)など、矛盾した話も存在している。これは藤子が、本作をよく理解していないことから発生した矛盾だと、藤子不二雄Aと宮崎駿との対談で語っている(「Neo Utopia 43号」より)。
本作のモチーフとなったのはジョイ・アダムソンの小説『野生のエルザ』であり、映画化の際には『駅馬車』(1939年、ジョン・フォード監督映画)、『恐竜100万年』(1966年、ドン・チャフィ監督映画)も参考にされている[4]。
ビデオソフト化は1980年に小学館ビデオから、VHSカセット版とβカセット版で発売。しかし、この版では理由は不明だが音声がモノラル収録となっていた。次作「のび太の宇宙開拓史」からはHi-Fiステレオ収録となっている。1990年からのリニューアル・廉価版(VHSカセット・LD。ともに絶版)以降はステレオ収録に変更された。
[編集] 脚注・出典
- ^ DORAEMON THE MOVIE 25th_gallery - 「作者のことば」参照。2008年2月11日閲覧
- ^ 藤子・F・不二雄 『大長編ドラえもん 1 のび太の恐竜』 小学館〈小学館コロコロ文庫〉、1995年、73頁。
- ^ DORAEMON THE MOVIE 25th_Film History_1st - サイドメニューより「ひみつ道具」参照。2008年2月11日閲覧
- ^ 「QuickJapan」64号、太田出版、2006年
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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