ドラえもん のび太と竜の騎士
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『ドラえもん のび太と竜の騎士 』(ドラえもんのびたとりゅうのきし)は、月刊コロコロコミック1986年11月号から1987年3月号に掲載された「大長編ドラえもんシリーズ」の作品。および、この原作を元に1987年3月14日に公開された映画作品。大長編、映画ともにシリーズ第8作。地底世界を舞台に、恐竜人をモチーフにした作品。
映画版の監督は芝山努。配給収入15億円、観客動員数310万人。同時上映は『プロゴルファー猿 甲賀秘境!影の忍法ゴルファー参上!』と『オバケのQ太郎 進め! 1/100大作戦』。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] 概要
物語序盤ではスネ夫が恐竜の存在を否定しようとする展開で進行し、大長編には珍しくスネ夫が話の中心になっている。 また、以前に「アフリカを衛星写真で調べたことがある」とのび太の大魔境の話の後に起こったことが示唆されている。
序盤でスネ夫が行方不明になるが、主要メンバーの1人が序盤で行方不明になり、残りのみんなが助けに行くことから冒険が始まるという展開はドラえもん映画では初であり、後の映画にも受け継がれている(『ドラえもん のび太のドラビアンナイト』のしずかちゃん、『ドラえもん のび太とブリキの迷宮』のドラえもんなど。なお、のび太は冒険途中で行方不明になることが多い)。
地底人による祖先の恐竜の大絶滅を阻止しようとする計画「大遠征」をのび太らが知り、人類の祖先を滅ぼすのではという誤解から(恐竜の大絶滅を阻止したら哺乳人類は誕生できなくなるため充分な脅威であるという見解もあるが)地底人とは対立の様相を呈する。
藤子・F・不二雄は恐竜の大絶滅の原因として彗星衝突説を先に知り、これを本作品に取り入れたが、後から考えると隕石衝突説の方が有力だったと思うようになった。また、カナダのラッセルが提唱したディノサウロイド(恐竜人)の写真を雑誌で見て、地底人のデザインの参考にした。(ドラえもんふしぎ探検シリーズ恐竜大探検の藤子・F・不二雄と小畠郁生の対談より)地底人とは話し合いで和解をし、明確な敵というものが存在しない作品(一部文献では彗星が敵と言うことになっている)としても知られる。
[編集] あらすじ
恐竜が今でも生き残っていると言い張って、スネ夫らに笑い者にされたのび太は、ドラえもんのひみつ道具「○×占い」でも「地球上に生き残っている恐竜はいない」と判定されてがっかりする。
ところが、多奈川で巨大な生物を発見したスネ夫は、それが恐竜ではないかという疑問にかられてすっかり動転してしまい、挙げ句の果てにノイローゼになってしまう。一方、のび太は0点の答案を隠すためにひみつ道具の「どこでもホール」を使い、地底にある大空洞を発見する。のび太とドラえもんは、しずかやジャイアン、スネ夫と一緒に地底の大空洞を秘密の遊び場にするが、スネ夫だけが仲間からはぐれて地底に取り残されてしまう。
壊れた「どこでもホール」の代わりに多奈川の河底から再び地底に入り込んだのび太たちは、河童そっくりな地底の野蛮人ナンジャ族に捕まってしまう。あわや地底人の生贄にされそうになったところで、竜の騎士バンホーが彼らを救い出す。地上で滅亡した恐竜は地底で生き残り、トゥロオドン(旧名:ステノニコサウルス)から進化した恐竜人(ディノサウロイド)は高度な文明を築き上げていたのだ。バンホーの案内で、地底国の首都エンリルに保護されていたスネ夫と再会したのび太たちだったが、武装した竜の騎士たちが不穏な計画を立てている事を知る。
[編集] 原作と映画の相違点
原作では「どこでもホール」が神成さんに壊されるという設定だが、映画では子供たちが転がした「どこでもホール」がトラックに轢かれて壊されるという設定になっている。
のび太が地底世界の天井に頭をぶつけた時に付いた「日光ゴケ」を、ドラえもんが不思議がるという、地底世界誕生に関する重要な伏線は、映画版では丸々とカットされている。
地底世界に部屋を作るときに使った道具が違う。(原作:岩細工セット 映画:インスタントルームお湯つき)
原作にはワンワンとないて火をはく恐竜が登場する(のび太は「ちっちゃなゴジラ」といった)。
[編集] 物語の舞台
恐竜と恐竜人が暮らす広大な地底の空洞世界。24時間周期でしぼむ「日光ゴケ」によって昼夜が存在する。恐竜から進化した恐竜人が首都エンリルを中心に祭政一致の高度な文明を築いており、空洞間の移動は次元転換船によって行われる。陸上の交通網はオルニトミムス型恐竜の引っ張る馬車(竜車?)や、リニアモーターカーなど、排気ガスを出さないものとなっている。地底世界の片隅には、恐竜人から「聖域」と呼ばれる正方形の空間があり、6500万年前の大絶滅の際、一部の恐竜がこの「聖域」に避難して生き延び、進化を遂げたという。
[編集] ゲストキャラクター
- バンホー (声:堀秀行)
- 勇敢で心優しい恐竜人の騎士。恐竜を御している時は兜をかぶっている。下洞穴で迷子になったスネ夫を救助する。任務上ドラえもんたちと対立する運びとなるが、最後には和解する。
- 名前の由来は、騎士道小説の古典『アイヴァンホー』の主人公、高潔な騎士ウィルフレッド・アイヴァンホーと思われる。なお、アイヴァンホーはシャーウッドの森に立てこもるロビン・フッド一味と対立する運びとなるが、最後には和解している。
- ロー (声:神代智恵)
- バンホーの妹。地帝国にいる間、のび太たちのガイドを引き受ける。
- 祭司長 (声:大塚周夫)
- 恐竜人が崇める神の祭司長。巨大な次元転換船を建造し、ある計画を企てている。
- 軍団長 (声:田中信夫)
- バンホーが所属する竜の騎士団を率いる長。
- 法王 (声:巖金四郎)
- 恐竜人の長で称号名は法王。ロー曰く「神様におつかえするえらい人」。
- 部長(声:北村弘一)
- 訊問官(声:加藤正之)
- ドラえもんたち地上人の訊問をした。
- 地底人(声:北川米彦、田の中勇、広中雅志、堀川亮、柴本広之、柏倉つとむ)
- 男の子(声:小粥よう子)
[編集] スタッフ
- 原作・脚本:藤子・F・不二雄
- レイアウト:本多敏行
- 作画監督:富永貞義
- 美術設定:川本征平
- 美術監督:沼井信朗
- 録音監督:浦上靖夫
- 音楽:菊池俊輔
- 効果:柏原満
- 撮影監督:斎藤秋男
- 特殊撮影:三沢勝治(J.S.C)
- プロデューサー:別紙壮一、小泉美明、波多野正美
- 監督:芝山努
- 演出助手:安藤敏彦、原恵一、平井峰太郎
- 動画チェック:内藤真一、間々田益男
- 色設計:野中幸子
- 仕上監査:代田千秋、枝光敦子
- 特殊効果:土井通明
- 整音:中戸川次男
- 録音スタジオ:APUスタジオ
- 音響制作:オーディオプランニングユー
- 原画:池ノ谷安夫、窪田正史、大塚正実、一川孝久、木村陽子、飯山嘉昌、堤規至、斉藤文康、原博、徳田悦郎、生野裕子、若山佳治、数井浩子、西岡哲夫、鈴木玲子、徳田益男、斉藤哲人、徳田幸子、土肥一宏
- 背景:石橋修一、徳重賢、浜名お孝、川口正明、池田淳、笠原淳二、福田和矢、鈴木美弥子
- 撮影:伊藤修一、高橋秀子、朝稲由紀、刑部徹
- エリ合成:平田隆文
- スリットスキャン:古宮慶多
- コンピューターグラフィック:亀谷久、斉藤直忠
- 編集:井上和夫、渡瀬祐子
- タイトル:道川昭
- 現像:東京現像所
- 文芸:水出弘一
- 制作事務:片山幸子、北沢育子
- 制作進行:伊坂武則、水島努、中村守
- 制作デスク:田中敦
- 制作担当:山田俊秀
- 制作協力:藤子スタジオ、旭通信社
- 制作:シンエイ動画、小学館、テレビ朝日
[編集] 主題歌
「友達だから」(作詞:武田鉄矢/作曲:山木康世/唄:大山のぶ代、森の木児童合唱団)
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
|
|
---|---|
第2作1期 | (1980) 恐竜 - (1981) 宇宙開拓史 - (1982) 大魔境 - (1983) 海底鬼岩城 - (1984) 魔界大冒険 - (1985) 宇宙小戦争 - (1986) 鉄人兵団 - (1987) 竜の騎士 - (1988) パラレル西遊記 - (1989) 日本誕生 - (1990) アニマル惑星 - (1991) ドラビアンナイト - (1992) 雲の王国 - (1993) ブリキの迷宮 - (1994) 夢幻三剣士 - (1995) 創世日記 - (1996) 銀河超特急 - (1997) ねじ巻き都市冒険記 - (1998) 南海大冒険 - (1999) 宇宙漂流記 - (2000) 太陽王伝説 - (2001) 翼の勇者たち - (2002) ロボット王国 - (2003) ふしぎ風使い - (2004) ワンニャン時空伝 |
第2作2期 | (2006) 恐竜2006 - (2007) 新魔界大冒険 - (2008) 緑の巨人伝 |