ふたりっ子
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『ふたりっ子』(ふたりっこ)は、1996年度下半期にNHK連続テレビ小説として放送されたテレビドラマである。脚本を大石静、音楽を梅林茂が担当した。
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[編集] 概要
それまで直近の連続テレビ小説(走らんか!など)が不評で、視聴率的にも苦戦していた中で、久々の大ヒット作となった。それを受けて原作が書籍化、漫画化(作画・みすみさこ)された。
大阪市南部の下町・天下茶屋と新世界を舞台に、全く性格の違う双子のヒロイン・麗子(れいこ)と香子(きょうこ)の挑戦と、それを取り巻く人間関係をほのぼのと描いた。
マナカナの出世作であり、銀じいやオーロラ輝子など個性豊かな脇役も人気となった。最近の朝ドラにしては珍しく、主人公(麗子・香子共に)が全く登場しない回もある。
平均視聴率は29.0%、最高視聴率は31.9%。
[編集] スタッフ
- 作:大石静
- 音楽:梅林茂
- 主題歌:『Natural』
- 作詞:NOKKO・路木麻子、作曲:梅林茂・NOKKO、編曲:梅林茂、歌:NOKKO
- 挿入歌:『夫婦みち』
- 挿入歌:『まごころの橋』
- 挿入歌:『二千一夜のミュウ』
- 語り:上田早苗アナウンサー(当時はNHK大阪放送局所属。ドラマ内でもアナウンサー役として登場)
- 副音声解説:関根信昭
- タイトル画:加藤潤子
- 大阪言葉指導:松寺千恵美、山元勢津子
- 讃岐言葉指導:亀井賢二
- 豆腐作り指導:宮北茂樹、東隆司
- 将棋指導:神崎健二、本間博、藤内忍
- ピアノ指導:衣川久美子
- ビリヤード指導:斉藤健悟
- 経済監修:山本和義
- 医事指導:小沢満、月城稔実、益澤学
- 空手指導:酒井修
- 撮影協力:社団法人日本将棋連盟、大阪府豆腐油揚商工組合、京都府豆腐油揚商工組合、大阪府大阪市、香住町、城崎町
- 制作統括:二瓶亙
- 美術:岡本忠土
- 技術:皿井良雄、鈴木文夫
- 音響効果:加藤正孝、巽浩悦、嶋野聡、山倉正美
- 撮影:松村敏雄、森本祐二
- 照明:松村豊、中村正則、青井紀子
- 音声:佐藤善次郎、坂口一夫
- 映像技術:佐伯仁之、増田裕康
- 編集:狩森ますみ
- 演出:長沖渉/西谷真一、鈴木圭、東山充裕、椰川善郎、安原裕人
[編集] 主要キャラクター
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
- 野田(黒岩)麗子(のだ(くろいわ)れいこ、演:少女期:三倉茉奈、青年期:菊池麻衣子)
- 双子の姉。まじめな性格で頑張り屋。秀才で京都大学を卒業。庶民的な実家に嫌気がさし、大学は芦屋の祖父母宅から通う。大学で知り合った海東壮平と付き合ったり、森山史郎のアパートに転がり込んだこともあったが、香子と森山の結婚式の時に幼馴染の黒岩政夫との結婚を決意し、香子と森山の結婚式と一緒に結婚式を挙げる。大企業を退社後、実家の豆腐屋を新事業展開しようと模索するが苦労し、結局新事業を畳む。黒岩政夫との間に双子の娘を授かる。豆腐事業清算の後は、政夫とバーバー黒岩を切り盛りし、オカンとして、自分そっくりの真実、妹の香子のようにやんちゃな玲実の育児に悩む。
- 野田(森山)香子(のだ(もりやま) きょうこ、演:少女期:三倉佳奈、青年期:岩崎ひろみ)
- 双子の妹。麗子とは対照的に破天荒でやんちゃな性格。学校の問題児で教師や両親から度々怒鳴られる。しかし、将棋センターで出会った老人・佐伯銀蔵(銀じい)の勧めもあって将棋に打ち込み、やがて女性初の正式な棋士を目指す。少女時代に銀じいに連れられて訪れた香住で偶然出会った将棋のライバル・森山史郎と結婚し、子供も授かったが流産した後に離婚した。以後は将棋の道に専念し、森山とタイトルを争い対決することとなる。
- ※三倉茉奈・佳奈は、その後視聴者からのアンコールで、黒岩真実(茉奈)・黒岩玲実(佳奈)として、再出演を果たした
- 野田千有希(のだ ちあき、演:手塚理美)麗子・香子の母
- 芦屋の有沢家の令嬢。なぜか豆腐屋の光一を想い、駆け落ちする。その後は豆腐屋の女将として店を切り盛りし、二人の娘を育てる。度々光一と離婚すべきか悩むが、憎むことから生まれる愛情を見出す。
- 野田光一(のだ こういち、演:段田安則)千有希の夫、麗子・香子の父
- 天下茶屋の野田豆腐店に生まれ、跡を継ぐ。芦屋の令嬢であった千有希を駆け落ち同然で奪い、芦屋の義父母とは敵対関係であった。その後オーロラ輝子に執拗な憧れを抱き、一時期蒸発する。オーロラ輝子の死の間際に言われた言葉によって目覚め、豆腐屋家業を再開する。阪神タイガースのファン。
- 黒岩政夫(くろいわ まさお、演:伊原剛志)
- 野田豆腐店のある商店街に店を構えるバーバー黒岩の息子。娘にも「マサ」の通称で呼ばれる。麗子が幼い頃より麗子に憧れ、ついに結婚する。豆腐屋事業に苦悩する妻と麗子・香子に性格がそっくりの双子の娘に苦労する。両親の引退で理容店を継ぐことになる。
- 森山史郎(もりやま しろう、演:少年期:伊藤譲二、青年期:内野聖陽)
- 少年時代は賭け将棋に打ち込んでいた父を憎み、父に会おうとした銀じいと香子に将棋の駒を投げつけたことがある。後には奨励会員となり、高校卒業を間近に控えた香子と将棋対局をし、彼女を負かした。これがきっかけで、香子に女性が正式な棋士になる道を開拓させることとなり、やがて香子と結婚する。しかし、勝負師としての本能に目覚めた香子から離婚を望まれ、彼女への愛情からそれを承諾する。のちに香子とタイトルを争い、その対局中に香子へもう一度求婚する。
- 佐伯銀蔵(さえき ぎんぞう、演:中村嘉葎雄)
- 通天閣の地下にある将棋センターの常連客で、賭け将棋を生業としている真剣師。香子には「銀じい」と呼ばれる。香子にとっては、将棋のみならず人生の師匠となる。モデルは真剣師の大田学。
- 海東壮平(かいとう そうへい、演:山本太郎)
- とある財閥の御曹司で、アメリカンフットボール・京都大学ギャングスターズのスター選手。麗子のフィアンセになったことがある。後に豆腐事業を展開していた麗子と再会し、麗子と政夫の心を揺らす。森山史郎とは学生時代からの旧友。
- オーロラ輝子(オーロラ てるこ、演:河合美智子)
- 通天閣の歌姫といわれる演歌歌手。孤児院育ちで本名は「小山田てる」。元々「夫婦みち」を持ち歌に地方を渡り歩くどさまわりだったが、劇中では新曲「まごころの橋」が大ヒットして紅白歌合戦に出場。その後落ちぶれて通天閣に戻るが、肝臓ガンに冒されており、通天閣で熱唱した後に倒れ、光一に看取られながら激動の生涯を終えた。「夫婦みち」がCD75万枚を売り上げるなど視聴者からの反響が大きかったため、1997年の実際の紅白歌合戦にも河合美智子がこの役名で出場を果たした。頭部に通天閣の置物を乗せ派手な着物といういでたちで一世を風靡。
- オーロラ輝子は、実際に通天閣歌謡劇場の人気者で現在も頻繁に出演している歌手の叶麗子をモデルとしており、後に叶麗子自身もゲスト出演を果たした。
[編集] その他の登場人物
[編集] 有沢家
芦屋市にある野田千有希の実家。
- 有沢英之(ありさわ ひでゆき、演:高島忠夫)
- 千有希の父。娘の結婚に反対し、千有希を勘当する。初めは亭主関白だったが、長い間その仕打ちに耐えてきた妻の理佐子に家庭内暴力を振るわれる。この事件を機に考えを改め、野田家とも和解した。その後は人が変わったかのように好々爺となり、麗子のビジネスがバブル崩壊の影響で破綻した時は、借金返済のために芦屋の本家を売り、六甲の別荘に引っ越した。
- 有沢理佐子(ありさわ りさこ、演:香川京子)
- 千有希の母。夫のワンマンぶりに耐えかねて、ついに家庭内暴力を振るってしまうが、後に英之と和解した。六甲に引っ越した後は、阪神大震災のショックで痴呆症の兆候が出た英之のリハビリに専念する。
- 有沢可奈(ありさわ かな、演:丹阿弥谷津子)
- 英之の母。
[編集] 天下茶屋の人々
- 黒岩良夫(くろいわ よしお、演:宮川大助) 伸代(のぶよ、演:宮川花子)
- バーバー黒岩の鴛鴦夫婦。野田夫妻のよき相談相手である。ドラマの中でも夫婦漫才のような台詞が多い。理髪店を息子政夫夫妻に任せ、和歌山の故郷で余生を過ごす。
- 谷武蔵(たに むさし、演:河島英五)
- たこやきビリヤードのマスター。政夫の親友で良き相談相手。
- 梅屋音吉(うめや おときち、演:夢路いとし)
- 通天閣将棋センターの席主。
- 伊能義臣(いのう よしおみ、演:麿赤兒)
- 賭け将棋を生業とする真剣師で、銀じいのライバル。
- ダイナマイト玲子(ダイナマイト れいこ、演:叶麗子)
- 演歌歌手。大阪を去ったオーロラ輝子に代わり、通天閣の歌姫として人気となる。
- 掛布雅之(かけふ まさゆき、本人役)
- その後、未来編では阪神タイガースの監督として出演
[編集] 棋士
- 米原公紀(よねはら きみのり、演:桂枝雀)
- 棋界のドン・永世名人。森山史郎の師匠。
- 米原桂子(よねはら けいこ、演:三林京子)
- 米原永世名人の妻。
- 猿渡夏彦(さるわたり なつひこ、演:國村隼)
- 新進棋士奨励会の幹事。初登場時は五段、後に六段。初めは香子を軽視していたが、次第に実力を認めるようになる。香子と森山の結婚式では幹事を務めた。対局の解説を担当することが多い。
- 雨宮秋彦(あめみや あきひこ、演:田口浩正)
- 奨励会員。弱気な将棋だったが、佐伯銀蔵に教えを乞うて攻め将棋に開眼する。しかし、互いにプロ入りを懸けた大一番で香子に敗れ、年齢制限規定により奨励会を退会する。その後はレストランで働き、棋士を辞めようとする香子を慰留した。
- 羽柴秀明(はしば ひであき、演:茂山宗彦)
- 21世紀編に登場する天才的な若手棋士。突如、香子にプロポーズするが、森山に敗れて引退してしまう。
- 織田信雄(おだ のぶお、演:岸部一徳)
- 「飛将」のタイトル保持者。(以下、作中のタイトルは実際の将棋界のタイトルとは名称が異なる。作中では「名人」のみ実在のものと同じタイトルが使われた)
- 対局相手の背後に回りこみ、相手側から盤面を見ようとする癖がある。
- 毛利元彦(もうり もとひこ、演:古田敦也)
- 「棋将」のタイトル保持者。
- 上杉康治(うえすぎこうじ、演:桂小米朝)
- 「飛王」のちに「王棋」のタイトル保持者。
- 三枝桂一郎(さえぐさ けいいちろう、演:桂三枝)
- 「竜将」のちに「飛王」のタイトル保持者。終盤の妙手で一度は森山の挑戦を退ける。
- 羽生善治(はぶ よしはる、本人役)
- 「名人」タイトル保持者。香子が羽生の名人位に挑戦するシーンをもってドラマは幕を閉じる。
- 日本将棋連盟所属の実際のプロ棋士
[編集] 総集編・サブタイトル
- 「少女編」
- 「青春編」
- 「結婚編」
- 「21世紀編」
[編集] DVD
- 連続テレビ小説 ふたりっ子 総集編 DVD-BOX(2003年7月、コロムビアミュージックエンタテインメント)
- 連続テレビ小説 ふたりっ子 完全版 DVD-BOX 1(2007年8月、ジェネオンエンタテインメント)
- 連続テレビ小説 ふたりっ子 完全版 DVD-BOX 2(2007年10月、ジェネオンエンタテインメント)
[編集] VHS
- 連続テレビ小説 ふたりっ子 オーロラ輝子 名場面集(現在は絶版)
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- ふたりっ子感想戦(ファンサイト)
- 通天閣(つうてんかく)オフィシャルサイト(本作の主要な舞台となった通天閣のオフィシャルサイト。当地に生まれた棋士・阪田三吉を称える王将碑がある)
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