内藤國雄
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内藤 國雄(ないとう くにお、1939年11月15日-)は、将棋棋士。棋士番号77。兵庫県神戸市出身。藤内金吾八段門下。主な弟子に神吉宏充がいる。
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[編集] 人物
- 1960年代中頃、数々の棋戦で優勝し、順位戦でも1967年度からA級となっていたが、ついに1969年度後期の棋聖戦で中原誠から奪取し、初のタイトル獲得。
- 1972年度の王位戦と1973年度の棋聖戦(後期)でもタイトル獲得。タイトル通算3期の規定により九段となる。(この規定で九段昇段した例は、内藤が初)
- 棋風は伸びやかで、いわゆる「空中戦」を好み、「自在流」と呼ばれる。将棋大賞で1994年度から新設された「升田幸三賞」の第1回受賞者となる。
- 十代の時に伊藤看寿の詰将棋に魅せられて以来、多数の詰将棋を創作し、その方面でも有名である。代表作に「玉方実戦初形」、「攻方実戦初形」、「ベン・ハー」がある。「玉方実戦初形」は1999年看寿賞特別部門大賞を受賞。
- 2000年9月、史上5人目となる公式戦1000勝達成により特別将棋栄誉賞を受ける。
- 余技である歌手としては、1976年から1977年にかけて「おゆき」が100万枚以上を売り上げる大ヒットとなった。その他には「男の酒場」などがある。当時「棋士の中で最も歌が上手く、歌手の中で最も将棋が強い人物」と称された。
- 歌のせいもあり、インターネット上では「おゆき」と呼ばれることもある。
- テレビドラマ、CM出演多数。なかでもCMのほほん茶での自然な演技は、織田作之助の小説中の人物のようだと絶賛された。[要出典]
- 2005年6月、日本将棋連盟関西本部長就任。
- 名の読みが同じであることから、米長邦雄との対局は「くにをあげての一局」とも言われる。
[編集] 神戸組のドン
内藤の師匠の藤内金吾(ふじうち きんご)は阪田三吉の弟子にあたる。藤内は非常に弟子思いの師匠で、一門は多くのプロ棋士を輩出して関西将棋界に一大勢力を築いた。その藤内の将棋道場が神戸市の三宮にあったため、一門は「神戸組」とも呼ばれた。藤内の死後、内藤は一門の総帥的存在となり、「神戸組のドン」と呼ばれるようになった。 将来有望な少年が関西に現れても弟分のところに預けることがほとんどであり(例えば谷川浩司の師匠は同じ藤内門下の若松政和)、自身ではあまり弟子を取らなかった。
[編集] 「藤内」と「内藤」をめぐる不思議な縁
当初内藤は、藤内の将棋道場の看板に横書きされた「藤内」の文字を逆向きに読み、同じ苗字の人がやっている道場だと誤解、これが藤内の道場に通い始めるきっかけとなった。後に内藤は藤内忍(とうない しのぶ、現・指導棋士)という弟子を持つことになる。
[編集] 昇段履歴
- 1954年 6級 = 奨励会入り
- 1956年 初段
- 1958年10月1日 四段 = プロ入り
- 1961年4月1日 五段(順位戦C級1組昇級)
- 1962年4月1日 六段(順位戦B級2組昇級)
- 1963年4月1日 七段(順位戦B級1組昇級)
- 1967年4月1日 八段(順位戦A級昇級)
- 1974年2月4日 九段(タイトル3期)
[編集] 主な成績
[編集] 在籍クラス
- 第21期竜王戦(2007年秋~2008年秋) 4組
- 1組在籍通算3期(第1~3期)
- 第67期順位戦(2008年度) B級2組
- A級在籍通算17期(第22~23, 25~29, 38~42, 46~50期)[1]
[編集] 獲得タイトル
[編集] 一般棋戦での優勝
- 最強者決定戦 3回(第4回-1964年度・6回・10回)
- 名将戦 3回(第4回-1964年度・10回~11回)
- 東西対抗勝継戦10勝以上 1回(第15回-1965年度)
- NHK杯戦 1回(第19回-1969年度)
- 日本将棋連盟杯戦 2回(第4回-1971年度・6回)
- 棋王戦(当時はタイトル戦でなかった) 1回(第1回-1974年度)
- 勝抜戦5勝以上 1回(第3回-1980年度)
- 王座戦(当時はタイトル戦でなかった) 1回(第30回-1982年度)
[編集] 将棋大賞
- 第1回(1973年度) 技能賞
- 第10回(1982年度) 技能賞
- 第22回(1994年度) 升田幸三賞
[編集] 主な著書
- 棋聖 天野宗歩手合集(1992年9月、木本書店、ISBN 4-905689-38-4)
- 内藤詰将棋選集(2002年10月、日本将棋連盟、ISBN 4-8197-0258-0)
- 勝負師(共著、2004年8月、朝日新聞社、ISBN 4-02-259857-3)
- 図式百番(2005年1月、毎日コミュニケーションズ、ISBN 4-8399-0128-7)
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
- ^ 第30期までの順位戦の期数は、名人戦の期数に対して5期のずれがあり、第36期から名人戦と順位戦の期数がそろえられた。このため、第31~35期の順位戦は存在しない。したがって、第29期と第38期との間のブランク(B級1組在籍期数)は8期ではなく3期である。
順位戦B級2組 |
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