甘辛しゃん
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『甘辛しゃん』(あまからしゃん)は、1997年10月6日から1998年4月4日まで放送されたNHK連続テレビ小説。
目次 |
[編集] 概要
神戸市灘の「榊酒蔵」を舞台に、女性酒職人を目指す主人公・榊泉とその家族が描かれている。朝ドラで初めて、阪神・淡路大震災を扱った。
ストーリーのプロットが漫画「夏子の酒」と似ている他、義理の姉弟の禁断の恋が話の中核を占めているなど、NHK(それも朝ドラ)のドラマでは異色の作品である。また、登場人物の結婚などにより、終盤では主要人物の大半の苗字が「榊」姓となる事態が発生した。
なお、タイトルは灘の最高の酒をたたえる言葉として使われる”しゃんとあがった秋晴れの味”という表現から。
平均視聴率は26.6%、最高視聴率は30.0%。
[編集] あらすじ
昭和35年、8月。丹波篠山の農村に住む泉は、農閑期に杜氏をしていた父を出稼ぎ先の灘での交通事故で亡くし、母・ふみと二人で暮らしていた。父は生前、「しゃんとあがった味」の酒を造ることが目標だった。 ある日、泉が友人たちと川遊びをしている時、そこで夏休みを過ごしていた灘の由緒ある造り酒屋、榊酒造の当主の孫の拓也と出逢う。
その年の秋、台風によりふみと泉は水田と家を失った。途方にくれる二人に父の杜氏仲間だった茂吉が、榊酒造で住み込みで働かないかと持ちかけた。悩みながらも、二人はその話を承諾。篠山を離れる事になる。
榊酒造での生活が始まる。造り酒屋独特の慣習やタブーに時に戸惑い、反発しながらも、泉はここでの生活になじんでいく。何かにつけて泉に突っかかり、ふみを独り占めしようとする拓也と意地を張り合いながらも、少しずつ仲良くなる。
そんな時、拓也の父、信太郎がふみにプロポーズする。1度は断り泉と共に榊酒造を離れたふみだったが、探して訪ねて来てくれた信太郎の真心にふれ、結婚を承諾。泉は拓也の義理の姉となった。
やがて泉は信太郎の死や拓也との感情のもつれを乗り越え、父が目指していた「しゃん」とした味の純米吟醸酒づくりを目指すこととなる。
[編集] スタッフ
[編集] キャスト
- 主人公。母・ふみの再婚により榊家に入る。義弟・拓也との許さざる禁断の恋に悩みながらも、亡き父の夢であった酒造りの夢に向かい邁進し、榊酒蔵第7代当主となる。年を経るに連れて、母・ふみに似た容姿となっていく。
- 神沢(榊)ふみ:樋口可南子
- 泉の母。住み込みで榊酒蔵で働いている時に信太郎に見初められ再婚、泉と拓也のことを誰よりも案じている。泉の榊酒蔵当主就任直前に不慮の事故で他界する。
- 榊拓也:岡田義徳(幼少時代:比嘉タケル)
- 信太郎の先妻の子で、泉の義弟。幼い頃は泉と喧嘩友達だったが、やがて義姉となった泉と禁断の恋に落ちてしまい、それを振り切るかのように家を飛び出し上京。しかし酒造りの夢を忘れる事はできず、榊酒蔵と親しい清水酒蔵の職人となる。後に結婚して泉と良好な関係を取り戻すが、阪神・淡路大震災で倉の下敷きとなって命を落とす。
- 榊信太郎:風間杜夫
- 榊庄一郎:植木等
- 信太郎の父で、泉の義祖父。当主を信太郎に譲って隠居していたが、信太郎の急死により急遽第6代当主として復帰、後に一人前の酒職人に成長した泉に当主の座を譲った。飄々とした性格だが威厳も併せ持ち、榊家の精神的支柱的な存在。
- 榊りん:馬渕晴子
- 庄一郎の妻で、泉の義祖母。古い伝統を重んじる性格で、酒蔵に女性が入る事を厳しく禁じる。当初は泉・ふみ親子と対立していたが、様々な出来事を経て和解していく。その一方で、息子・信太郎や孫・拓也に先立たれる不幸に直面した。
- 恩田(榊)万作:大場泰正
- 泉の夫。大学時代に泉と知り合う。若手の人気落語家“桂万吉”として活躍していたが、泉と結婚し榊家に婿入りする時に引退、以後は主夫として榊酒蔵を裏から支え続ける。年を経るに連れて、義父・信太郎に似た容姿となっていく。
- 榊そよぎ:大村彩子
- 泉と万作の娘。直感が鋭く、母・泉と叔父・拓也の関係を見抜いた。猫が大好きだが、なぜかあまり懐かれない。
- 浅井(榊)まゆ子:遊井亮子
- 泉の大学時代からの親友で、拓也の妻。上京した拓也と一時同棲し、一旦分かれた直後に拓也との子・拓実を出産。当初はシングルマザーとして拓実を女手一つで育てていたが、拓也と再会して無事に結婚した。
- 榊拓実:橋龍吾(幼少時代:比嘉タケル(二役))
- 拓也とまゆ子の子で、泉の甥。子供の頃から、泉によく懐いていた。後に小児科医を目指し、慎作の診療所で働き始める。
- 榊はるか:野川由美子
- 信太郎の従姉妹。アメリカで暮らしていたが離婚を機に日本へ戻る。阪神・淡路大震災で榊酒蔵が潰滅状態になった時は、救援物資を持って榊家を助けた。
- 恩田慎作:宍戸錠
- 万作の父。小児科医だったが、息子(万作の弟)の病気を治せなかった事がトラウマになっており、長い間息子の万作と確執が続いていた。
- 湊屋平吉:笑福亭松之助
- 居酒屋「湊屋」の主人。「湊屋」が信太郎がふみを探しだしプロポーズした場所となって以来、榊酒蔵と家族ぐるみの親しい付き合いとなる。
- 熊代茂吉:塩見三省
- 榊酒蔵の杜氏。一時榊酒蔵を離れていたが、泉の代に戻り榊酒蔵の御意見番的存在となる(ノベライズの設定年齢から考えると、終盤の阪神・淡路大震災時は既に90歳を過ぎている)。なお茂吉役の塩見は、9年後の連続テレビ小説「純情きらり」でも、伝統味噌職人という似た役を演じている。
- 小野寺一世:美木良介
- 榊酒蔵の技師。実家も酒屋だったが倒産し、榊酒蔵の実権を握ろうと目論むが、泉の酒造りの助力も行った。後に不正が発覚して榊酒蔵を去る。
- 小野寺環:小沢真珠
- 一世の妹で、榊酒蔵の女職人。泉の良きパートナーで、兄・一世の辞任後も榊酒蔵を支え続ける。
- 門田:山西惇
- 榊酒蔵の職人。長きにわたって登場し、終盤では杜氏までに成長している。
- 鶴子:紅萬子
- 榊家の家政婦。噂好きな性格。熱を出して倒れた時にふみに助けられて以来、ふみの親友となる。家政婦を辞めた後もしばしば榊酒蔵を訪れる。
NHK 連続テレビ小説 | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
甘辛しゃん
|
|
|
---|---|
1960年代 | 娘と私 - あしたの風 - あかつき - うず潮 - たまゆら - おはなはん - 旅路 - あしたこそ - 信子とおばあちゃん |
1970年代 | 虹 - 繭子ひとり - 藍より青く - 北の家族 - 鳩子の海 - 水色の時 - おはようさん - 雲のじゅうたん - 火の国に - いちばん星 - 風見鶏 - おていちゃん - わたしは海 - マー姉ちゃん - 鮎のうた |
1980年代 | なっちゃんの写真館 - 虹を織る - まんさくの花 - 本日も晴天なり - ハイカラさん - よーいドン - おしん - ロマンス - 心はいつもラムネ色 - 澪つくし - いちばん太鼓 - はね駒 - 都の風 - チョッちゃん - はっさい先生 - ノンちゃんの夢 - 純ちゃんの応援歌 - 青春家族 - 和っこの金メダル |
1990年代 | 凛凛と - 京、ふたり - 君の名は - おんなは度胸 - ひらり - ええにょぼ - かりん - ぴあの - 春よ、来い - 走らんか! - ひまわり - ふたりっ子 - あぐり - 甘辛しゃん - 天うらら - やんちゃくれ - すずらん - あすか |
2000年代 | 私の青空 - オードリー - ちゅらさん - ほんまもん - さくら - まんてん - こころ - てるてる家族 - 天花 - わかば - ファイト - 風のハルカ - 純情きらり - 芋たこなんきん - どんど晴れ - ちりとてちん - 瞳 - だんだん - つばさ |