JR貨物M250系電車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
JR貨物M250系電車 | |
---|---|
JR貨物M250系電車(積車状態・2005年10月撮影) | |
営業最高速度 | 130km/h |
編成定員 | - |
全長 | 20,300(20,500)mm |
全幅 | 2,800(2,660)mm |
全高 | 3,792(1,000)mm |
編成重量 | 406.0t |
軌間 | 1,067mm |
電気方式 | 直流1,500V |
編成出力 | 220kW×16=3,520kW |
駆動装置 | かご形誘導電動機 |
制御装置 | VVVFインバータ制御(IGBT) |
ブレーキ方式 | 電気指令式ブレーキ |
保安装置 | ATS-SF、ATS-PF、 列車防護無線装置、 列車無線装置、 TE装置、EB装置 |
備考 |
M250系電車(M250けいでんしゃ)は2003年(平成15年)、宅配便などの小口積み合せ貨物輸送と環境負荷低減を目的に製作された、日本貨物鉄道(JR貨物)による、世界初の動力分散式を用いた貨物電車。コンテナ貨物電車[1]。日本車輌製造、川崎重工業、東芝で製造された。
目次 |
[編集] 概要
2004年(平成16年)3月13日のダイヤ改正より、東京貨物ターミナル~大阪・安治川口間でSGホールディングス系列である佐川急便が1列車を貸切輸送する「臨時高速貨物列車」として営業運転を開始した。コンテナの所有者も佐川急便である。その後の増備に伴い、現在では定期列車となっているが、発駅基準で日曜日と祝日は運休する。
本系列には「スーパーレールカーゴ」(Super Rail Cargo)という愛称がつけられている。エコプロダクツ大賞エコサービス部門国土交通大臣賞(2004年度)、および非旅客用車両としては1969年のEF66形電気機関車以来となる鉄道友の会ブルーリボン賞(2005年度)を受賞した。
[編集] 編成
編成は動力車であるMc250形-M251形の2両ユニットと、付随車であるT261形-T260形の2両ユニットに大別され、編成は通常大阪方面から(Mc250-M251)-(T261-T260)×6-(M251-Mc250)の4M12T16両編成で構成されている。Mc250-M251が6ユニット12両、T260-T261が16ユニット30両の3編成計42両が大井機関区に所属している。
なお、両端に電動車を組み込む方式は、東日本旅客鉄道(JR東日本)215系などに類似している。また形式に「クモハ」、「モハ」など国鉄時代からの称号ではなく、英字の略号M・Tを用いたものとなっている。
[編集] 特徴
速度向上のため、旅客電車と同様の各種車両規程をクリアすることが本車両の設計の重点である。軸重に関わる規制をクリアするため、従来の動力集中型である機関車方式から動力分散型の電車方式とし動力車の機器質量を分散、積載貨物を専用の31ft軽量コンテナU54A形30000番台に限定し重量を抑制した。その他に低重心の車体構成・高出力主電動機・TDカルダン駆動装置・ヨーダンパ付き空気バネ台車やアンチロックブレーキを採用。最高速度130km/hと曲線半径(R)=600m以上で本則+15km/hの通過性能を得た。西日本旅客鉄道(JR西日本)223系等の旅客電車と同等の能力を誇る。
所要時間は東京貨物ターミナル~安治川口駅間6時間11~12分である。2006年現在、この列車は東海道本線を走行した全ての列車の中で、歴代最速の表定速度約91km/hを誇っている(東海道新幹線開業以前に在来線東京駅⇔大阪駅間を結んだ特急「こだま」の表定速度が約85km/h程度)。しかもこれは、それぞれの旅客会社が保有する線路規格に起因した速度制限という枷を受けながら到達した記録である。M250系が130km/hで運転できるのはJR西日本の一部の区間内だけで、JR東日本管内では一部の区間で120km/h運転が許され、東海旅客鉄道(JR東海)管内の大半では110km/hに最高速度が制限されている。
その他、定期列車で運用の際は佐川急便のヘッドマークを先頭車に掲出する。現在のところ、佐川急便による貸切運行のみであることから、コンテナの塗装はすべて佐川急便の「ギャラクシーカラー」である。
また、JR西日本管内の車両規程の制約によりコンテナはすべて積載状態で運行される。そのためコンテナが満載にならなかった場合は、死重を積載した事業用コンテナを搭載する。
M250系にトラブルが発生して運行できなくなった場合、佐川急便の各拠点から代行輸送トラックを出動できる体制も整えられている。
[編集] ギャラリー
[編集] 関連商品
関水金属(KATO)よりNゲージ鉄道模型、玩具メーカーのタカラトミーよりプラレールが販売されている。
[編集] 脚注
- ^ 動力分散式の貨物車両としては、ドイツ鉄道が、環境負荷低減・インターモーダル輸送を目的に、1997年にコンテナ貨物気動車(690型:"CargoSprinter")を試作し、試験的に運用していたことはあり、また、国鉄も貨物電車を試作したことがあるが、どちらも実用には至らなかった。[1]