西鉄8000形電車
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西鉄8000形電車 | |
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西鉄8000形電車 西鉄久留米駅3番線より撮影 |
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編成 | 6両固定編成 (Tc-M-M-M-M-Tc) |
営業最高速度 | 110km/h |
編成定員 | 750人(座席339人) |
車両定員 | 両端車116人(座席50人) 中間2・4・5号車130人(座席60人) 中間3号車128人(座席59人) |
全長 | 19,500mm |
全幅 | 2,716mm |
全高 | 4,080mm パンタグラフ搭載車4,170mm |
車両重量 | 先頭車29.3t 中間2・4号車37.2t 中間3号車35.6t 中間5号車35.5t |
軌間 | 1,435mm |
電気方式 | 直流1,500V (架空電車線方式) |
モーター出力 | 135kW |
編成出力 | 2,160kW |
歯車比 | 83:18 (4.61) |
駆動装置 | WN平行カルダン駆動方式 |
制御装置 | 抵抗制御(三菱電機ABFM-188-15MDHD) |
ブレーキ方式 | 発電制動併用電気指令式電磁直通空気制動 三菱MBS(先頭車)/MBS-D(中間車) |
保安装置 | 西鉄型ATS |
製造メーカー | 川崎重工業 |
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西鉄8000形電車(にしてつ8000けいでんしゃ)は、1989年(平成元年)3月10日に営業運転を開始した西日本鉄道(西鉄)天神大牟田線用の特急形車両。
目次 |
[編集] 製造の背景
大牟田線(当時)の特急には、1973年(昭和48年)以来2000形が使用されていたが、1987年(昭和62年)に実施された国鉄分割民営化により九州旅客鉄道(JR九州)が発足し、大牟田線と並行する鹿児島本線の列車増発や新駅設置など積極的な営業政策が進められたため、西鉄としては競争力の強化が課題となっていた。また、福岡市では1989年3月からアジア太平洋博覧会を開催することが決定しており、これを機会として製造から15年が経過した2000形に代わる新形式特急形車両が製造されることとなった。
6両編成6本(36両)が製造された。1989年2月に8011F・8021F・8031F(F=編成)が落成し、続いて8041F・8051F・8061Fが同年4月に落成した。
[編集] 構造
[編集] 車体
普通鋼製車体で、両端に両開き式の乗降扉を設けた片側2扉構造である。本形式では2000形と異なり、先頭車前部が前面展望を考慮した設計となっており、前面運転室と乗降扉の間に眺望性を良くした区画を設けている。
前面は「く」の字形に傾斜させた非貫通形とし、前面窓は左右対称の大形曲面ガラスとして西鉄の鉄道車両では最大の視界を確保している。前面下部に丸型の前照灯・尾灯を配置し、前面上部の窓の内側と側面中央上部に種別・行先表示器を設けている。前面運転室と乗降扉の間の窓は高さ1,050mm×幅2,660mmの大形固定窓となっており、他の窓に比べ高さ・幅ともに大きい。他の窓も2列ごとの固定窓としており2000形に比べ眺望性が向上している。なお扉寄りの窓1枚はバランサ付き(どの位置でも止められる)の1枚下降窓となっている。
車体塗装は白色(ケープアイボリー)地に窓周りが深みのある赤色(カーディナルレッド)としている。
[編集] 台車・機器
台車・機器は5000形とほぼ同一で、台車は、西鉄初の車体連結のダイヤフラム型空気バネを採用し、軸箱支持は円筒ゴム軸箱支持方式としたKW-60A形(電動車)およびKW-61A形(制御車)が採用されている。
ブレーキは西鉄初の発電制動併用電気指令式電磁直通空気制動が採用されている。
制御方式は旧来の抵抗制御としている。導入時には抵抗制御に代わる制御方式の導入が検討されたが、結局見送られた[1]。主な理由としては以下のものが挙げられる。
- チョッパ制御や界磁添加励磁制御はVVVFインバータ制御へ移行するまでの一過性的なものに過ぎない。
- VVVFインバータ制御は技術の革新途上にあり、制御装置の価格自体が高価である。
- 停車駅の少ない特急運用が主体であり回生ブレーキの使用効果が薄い。
車両別の設置機器については下記「編成」を参照。
[編集] 運転室
全室式。2000形と異なり、一般的な左側配置の運転席となった。運転装置は西鉄初のT型ワンハンドルマスコンとしている。またモニタ装置も設置された。
警笛は従来の空気式のもののほか、電子式の警笛も併設された。本形式以降の西鉄の新形式車両はいずれも空気式と電子式の警笛を併設している。
[編集] 車内設備
特急形車両ではあるが、通勤通学利用も考慮した設計である。乗降扉間の座席は900mm間隔で配置されたバケット式でワインレッドのチェック柄モケットを張った転換クロスシートとなっているが、乗降扉寄りの座席は固定式で、車端部連結面寄りの座席は青色モケットのロングシートとしている。カーテンは横引き式とし、開閉可能な窓の部分にはロールアップカーテン(上から引き出すカーテン)も設けている。連結面寄りの扉周りとロングシート部分には三角形のつり革を設置している。
冷房装置は天井形集中分散式になっており、ラインデリアによる冷風撹拌として車内温度の均一化を図っている。
大牟田側から3両目の車両(番号末尾3)にはカード式の公衆電話を設けた。電話周囲は防音のため客室との間に仕切りが設けられており、この関係で定員が2名(座席1名)少なくなっている。なお、携帯電話の普及もあり、電話は2000年(平成12年)4月から2001年(平成13年)11月にかけて施工された重要部検査の際に順次撤去された。
落成後間もなく、車内の貫通路上部と運転室出入口上部にLED式の情報案内装置を設置した。この案内装置は次停車駅のほか営業案内も表示する。また自動車内放送装置も設置されている。営業運転開始時には車内放送用チャイムとして、地元ゆかりの民謡や童謡、あるいは福岡県出身もしくは福岡県にゆかりのある歌手の楽曲をオルゴール調にアレンジしたものを流していたが、その後標準的なチャイムに変更された。車内チャイムに使われた曲は後述する。
[編集] 編成
編成は以下のようになっている。
- 8011 - 8012 - 8013 - 8014 - 8015 - 8016
- 8021 - 8022 - 8023 - 8024 - 8025 - 8026
- 8031 - 8032 - 8033 - 8034 - 8035 - 8036
- 8041 - 8042 - 8043 - 8044 - 8045 - 8046
- 8051 - 8052 - 8053 - 8054 - 8055 - 8056
- 8061 - 8062 - 8063 - 8064 - 8065 - 8066
両端2両が制御車(ク8000形)、中間4両が電動車(モ8000形)のMT比4M2T編成となっている。
[編集] 現況
[編集] 運用
本形式は特急用として転換クロスシート主体の座席構造を有し、編成は6両固定、また乗降用扉は片側2か所であることから、通勤ラッシュ時の輸送には不向きな構造である。そのため、平日朝夕の混雑時間帯は太宰府線や天神大牟田線の普通列車など、比較的利用客の少ない列車の運用に就いており、その時間帯はロングシートの5000形等の他形式が特急運用に充当される。日中の特急運用は基本的にすべて本形式が使用されているが、一日に5編成を運用するため、検査や故障などで2編成以上が同時に工場に入場している場合は2000形が特急に使用される。正月やゴールデンウィークの多客期は混雑緩和のため8000形に代わり3000形や5000形などの7両編成が終日特急運用に入ることがある。
[編集] 車両整備
本形式は特急運用主体のため他形式より走行距離が長いことから、西鉄の車両の中では唯一重要部検査サイクルの「60万km以内」に該当している。そのため、平均検査周期は前回の検査出場から2年5か月~2年10か月の範囲で次期検査入場している。8年周期の全般検査では次回の全般検査までの間に2回重要部検査を受けていることになる。また、車体の検査票はかつては白地に白文字表記だったが、2002年(平成14年)7月から2004年(平成16年)4月にかけて実施された全般検査の際、順次赤地に白文字表記へ改められた。
[編集] ラッピング
2003年6月の8011編成での『ウルトラマン号』、2004年12月の映画『ポーラー・エクスプレス』とのタイアップ、2007年3月の福岡ソフトバンクホークスなど、時々キャンペーン等に伴うラッピングが施されている。2007年1月末には、8061編成が純真短期大学のフルラッピング編成とされており2008年6月現在も継続中である。原塗装を完全に覆い隠す(ただし連結面はラッピング塗装なし)フルラッピングは今回が初めてである。
2008年6月2日から西鉄創立100周年記念企画の一環として、8011Fが100周年記念ラッピング電車として運行している。 100周年記念ラッピング電車は2008年12月31日まで運行される予定。
2008年6月5日現在、8011Fが100周年記念ラッピング、8041Fがnimoca、8061Fが純真短期大学のラッピングである。
このほか毎年人権週間にあわせたラッピングがされるが、これは両先頭車のみで、側面にカラフルな鳥の絵柄とシールタイプのヘッドマークだけのシンプルなものとされている。
[編集] その他
[編集] 車内チャイムに使われた曲
現在は全駅統一された車内チャイムを使用しているが、かつては以下のような駅別に異なったチャイムを使用していた。
- 『通りゃんせ』→『贈る言葉』(海援隊)→『SAY YES』(CHAGE and ASKA)
[編集] 関連商品
天神大牟田線・大牟田発西鉄福岡(天神)行列車の前面展望映像を収録したDVDソフトがビコムより販売されている。
過去には、テイチクエンタテインメントから西鉄福岡発大牟田行列車の前面展望映像(1989年4月撮影)が、PRO企画から大牟田発西鉄福岡行列車の展望映像(1991年12月撮影)が収録されたVHSビデオソフトが販売されていた(いずれも絶版)。
[編集] 参考文献
- 『鉄道DATA FILE』FILE 2-170 (デアゴスティーニ・ジャパン)
- 『鉄道ピクトリアル』1989年9月・1999年4月臨時増刊号(電気車研究会)
- 『鉄道ダイヤ情報』2004年2月号(交通新聞社)
[編集] 脚注・出典元
- ^ 『鉄道ピクトリアル』1999年4月臨時増刊号(電気車研究会)34ページ6050形の項目を参照。
[編集] 外部リンク
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