西鉄66形電車
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西鉄66形電車（にしてつ66がたでんしゃ）とは、かつて西日本鉄道（西鉄）で使用されていた路面電車車両の一形式である。
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[編集] 製造当時の仕様
北九州線の前身にあたる九州電気軌道（1942年（昭和17年）に他4社を吸収し西日本鉄道に社名変更）が1929年（昭和4年）に製造した車両で、66号から85号まで20両が製造された。66形という形式は木造ボギー車の1形が1から34まで、35形が35から65まで製造されたため、その続き番号として振られた形式である。北九州線の車両は85までは通し番号であった。
車体は丸屋根構造、低床式で全長12m、前面3枚窓、側面は両端に引き戸を設け扉間に12枚の一段上昇窓を配し、前面下部には救助網を装備している。車体は九州電気軌道としては初の鋼製車体としたが、当時の路面電車としては珍しい全鋼製車体を採用した。台車は川崎車輌製の76E-2形を履き、主電動機出力は従来の木造ボギー車の37.3kWから45kWに上げられている。この45kWという主電動機出力は、その後の北九州線のボギー車の標準出力となった。
[編集] 軽量化
本形式は溶接技術の確立していなかった昭和初期に製造された全鋼製車体であり、車体部材の接合に多数のリベットが使用されており重量が大きかったため、西鉄発足後、戦後の1950年（昭和25年）に車体の軽量化を実施することになった。
70・76～78・80～85の10両は車内を木製に改造することで半鋼製化したが、車体の状態が悪くなっていた66～69・71～75・79は新製の半鋼製車体に載せ替えている。
[編集] 半鋼製化改造車
70・76～78・80～85は車体内部を鋼製から木製に改造して半鋼製車両とし、軽量化を実施しており、外観の変化は少ない。
車体改造後、1950年代に集電装置をトロリーポールからパンタグラフに交換し、扉を折戸に変更し、塗色を西鉄標準色のベージュ色とマルーンのツートンカラーに塗り替えるなど、その後の新造車との同等化が図られた。
その後、ダイヤ合理化により余剰となり、ワンマン化を実施することなく1972年（昭和47年）に全車が廃車となった。
[編集] 車体新製車
66～69・71～75・79の10両は車体の状態が比較的悪かったため、新潟鐵工所・川崎車輌で車体を新製して載せ替えた。新製車体は屋根を張り上げ屋根とし、窓は従来よりも面積を広げた上段固定下段上昇窓を両端扉間に10枚配している。扉は折り戸である。前面は3枚窓で、方向幕を前面上部中央に設置し、前面中央腰部に大きな前照灯を取り付けていた。水切りや雨樋といった若干の差異を除いて同時に製造された600形とほぼ同じ車体形状であるが、72以降の川崎製の車両では前面窓上のヘッダーが省略された。
1000形連接車の増備により運用に余裕が出たので、1964年（昭和39年）から1967年（昭和42年）にかけて福岡市内線に残る木造ボギー車100形（旧北九州線1形・35形）の置き換えのため、79を除く9両が同線に転属した。転属時に歯車比を19:56から15:63に変更し、車番の字体や尾灯など細部を福岡市内線車両に合わせて変更したが、北九州線独特の大型前照灯などはそのままだった。福岡市内線に所属中の1968年（昭和43年）以降、同線でのワンマン運転が開始されたため本形式もワンマン化改造を実施されている。
1975年（昭和50年）の福岡市内線一部廃止により、福岡市内線所属の9両は全車運用離脱したが、そのまま福岡で廃車となった75を除く8両は翌1976年（昭和51年）に北九州線の完全ワンマン化のため歯車比を19:59とし、北九州線に戻った。この8両の使用開始により、北九州線に残留していたワンマン化未改造の79が廃車となっている。その後、残存車は台車を日本車輌製のK-10形に交換（この時66号は既にK-10形に交換済み）したほか、1980年（昭和55年）には車体更新工事により側面窓上段部の固定窓がHゴム支持（いわゆる「バス窓」）となった。
1985年（昭和60年）に北九州線の一部廃止に伴い66～68が廃車となり、残る69・71～74も1992年（平成4年）の北九州線大幅廃止の際に廃車となり形式消滅した。
[編集] 主要諸元
※車体更新車の廃車時点のもの
- 車体構造：半鋼製
- 最大寸法（長さ×幅×高さ）12,200mm×2,400mm×4,022mm
- 自重：16.3t
- 定員：80人（座席32人）
- 主電動機：HS-307-19FrもしくはTDK-524-2C（45kW）×2
- 駆動方式：吊掛式
- 歯車比：1:3.11（19:59）
- 制御方式：直接制御式
[編集] 参考文献
- 『復刻版 私鉄の車両9 西日本鉄道』（ネコパブリッシング・飯島巌） ISBN 4873662923
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