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稚児 - Wikipedia

稚児

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

稚児(ちご)には、概ね、以下の意味がある。

  • 本来の意味の稚児で乳児幼児のこと。「ちのみご」という言葉が縮んだものと考えられる。後に、6歳くらいまでの幼児に拡大される。
  • 大規模寺院における稚児 → 下記 大規模寺院における稚児 参照
    • 転じて、男色の対象とされる若年の男性の意。
  • 祭りにおける稚児 → 下記 祭りにおける稚児 参照

目次

[編集] 大規模寺院における稚児

烏天狗と牛若丸(鞍馬寺の稚児)
烏天狗と牛若丸(鞍馬寺の稚児)

平安時代頃から、真言宗天台宗等の大規模寺院において、剃髪しない少年修行(12~18才くらい)が現れはじめ、これも稚児と呼ばれる様になった。皇族や上位貴族の子弟が行儀見習いなどで寺に預けられる上稚児、頭の良さを見込まれて世話係として僧侶に従う中稚児、芸道などの才能が見込まれて雇われたり腐敗僧侶に売られてきた下稚児がいた。禅宗では喝食と呼ばれた。

髪形は垂髪、または、稚児髷で、元服後の平安貴族女性と同様の化粧をし(お歯黒も付けていたらしい)、極彩色の水干を着る。

真言宗天台宗等の大規模寺院は修行の場であるため山間部にあり、また、女人禁制で有るため、このような稚児はいわば「男性社会における女性的な存在」となり、しばしば男色の対象とされた(但し上稚児は対象外)。中世以降の禅林(禅宗寺院)に於いても、稚児・喝食は主に男色、衆道の対象であった。

また、大法会の際に舞楽散楽延年を上演する場合が多く、他の寺の僧侶からも注目を集めた。

これらの稚児は成人に達すると還俗する場合が多いが出家して住職となった者もいたらしい。

[編集] この意味の稚児が登場する文学作品

上記の稚児は、古典、近代、等、数多くの文学作品に登場、これらの中でも、繊細、優美、典雅、清楚、可憐、脆弱、等、妙齢の女性と同様の耽美的描写が行われる場合が多い一方、幼さゆえの場違いな発言で僧侶の失笑を買う、等、笑いの対象になる場合もある。極稀に、可憐さとは正反対に、精悍な体育会系に描写される場合もある。

[編集] この意味の稚児出身の歴史上の人物

[編集] この意味の稚児関連の外部リンク


[編集] 祭りにおける稚児

深川神明宮の稚児行列(江東区)
深川神明宮の稚児行列(江東区

(以下、少年には男児、少女には女児を含む)

現代においては、祭りの中で、特徴的な化粧厚化粧の場合が多い)をし、お揃いの、または決められた衣装を着た少年少女(概ね小学生以下)が稚児と呼ばれる場合が多い。

稚児の衣装は概ね平安装束神官装束巫女装束)か、それを大幅に簡略化した稚児装束の場合が多く、少年は烏帽子、少女は天冠を被る場合が多く、また、は不可欠と考えられる。

化粧は額に「位星(くらいほし)」と呼ばれる丸を黒、または赤で入れ、鼻筋を白く塗るのが基本だが、それ以外は、殆ど素顔、口紅を塗るだけの場合から、大人のフォーマルと同様の厚化粧歌舞伎舞踊と同様の舞台化粧(極稀にお歯黒を付ける場合や引眉する場合がある)、バレエと同様な洋風の厚化粧、と結構様々である。

ただ、稚児と呼ぶかどうかは祭りの主催者によって一定しない場合が多く、鶴岡八幡宮例大祭の八乙女・童子や花巻市花巻まつりの囃子方の様に、見た目が稚児であっても稚児と呼ばない場合がある一方で、姫路市のゆかた祭りの様に、素顔にゆかた(無し)の場合でも稚児と呼ばれる場合もある。

[編集] タイプ別の分類

祭りにおける稚児には大きく分けて3つのタイプがある

  1. よりまし型
  2. 舞踊・芸能型
  3. 行列型

[編集] よりまし型

古代から6才以下の幼児には神霊が降臨しやすいと考えられたことから、神社の祭りにおいてよりましの役割をもった稚児が登場した。現在では、その祭りのシンボルとして扱われている。殆どの場合、少年に限られ、選ばれる人数も1人か、多くても3人程度。

[編集] 舞踊・芸能型

神楽舞楽延年田楽風流等を奉納・上演する少年少女も稚児と呼ばれる場合が多い。巫女神楽の場合に巫女装束となる少女の巫女太鼓台の「乗り子」も稚児と呼ばれる場合がある。

前節の稚児(有髪の少年修行僧)の芸能の流れを汲むものもある。

この他、少年少女の素人歌舞伎稚児歌舞伎と呼ぶ地方がある。

[編集] 行列型

このタイプが一番多く見られる。

お寺の花まつり(誕生会、灌仏会釈尊の誕生日)や観世音菩薩不動明王、等の縁日法然日蓮、等の宗祖命日お会式)、本堂落慶法要や晋山式といった、数十年~数百年に一度の大法会に行われる他、神社の祭りにも巫女と共に登場、また、時代行列の中で登場する場合もある。

稚児は一般から公募する場合も多く、大規模な所では200名以上が登場する場合もある。

少年少女の手古舞も稚児と呼ばれる場合がある。

尚、稚児行列に3回出ると幸福になれる、という言い伝えもあり、特に愛知県で根強いらしい(愛知県内では少女に限る)。

[編集] 稚児が出る祭り

長刀鉾の稚児@祇園祭(京都市)
長刀鉾の稚児@祇園祭京都市
諏訪神社における少女の巫女(富岡市)
諏訪神社における少女の巫女(富岡市
伊勢町祇園祭での手古舞の稚児(中之条町)
伊勢町祇園祭での手古舞の稚児(中之条町

節分雛祭り花まつりお会式手古舞は各項目を参照

[編集] 祭りにおける稚児の関連項目

[編集] 祭りにおける稚児関連の外部リンク

ウィキメディア・コモンズ
ウィクショナリー
ウィクショナリー稚児の項目があります。



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