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御殿場線 - Wikipedia

御殿場線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

山北駅付近を走るJR東海313系
山北駅付近を走るJR東海313系

御殿場線(ごてんばせん)は、神奈川県小田原市国府津駅から静岡県御殿場市御殿場駅を経て静岡県沼津市沼津駅に至る東海旅客鉄道(JR東海)の鉄道路線幹線)である。

JR東海管轄の在来線では唯一、関東地方に乗り入れている路線である。

かつては東海道本線の一区間であったが、1934年12月1日丹那トンネル開通に伴い、東海道本線は熱海経由に変更され、国府津~沼津間は支線の御殿場線となった。鉄道唱歌の歌詞は、丹那トンネル開通前に発表されたため、国府津~沼津が現在の御殿場線経由となっている。

富原薫作詞の童謡『兵隊さんの汽車』は旧陸軍の演習場があった御殿場線を舞台にしているといわれている。この童謡は戦後『汽車ポッポ』と歌詞が改められて広く愛されている。

目次

[編集] 路線データ

[編集] 沿線風景

御殿場線は、丹那トンネルが開業した1934年まで「函嶺越え」と呼ばれる東海道本線最大の難所であった。当時の蒸気機関車は非力なため、各列車には山越えのための補機(補助機関車)を、下り列車は国府津、上り列車は沼津で停車して連結、途中御殿場で停車して解放した。この補助機関車には、その時代毎に最強力の機関車があてられた。明治時代には、連結器の容量が不足するため、編成の途中に補助機関車を組み込む運用を行っていたほどである。

1930年から東京~神戸間で運転を開始した特急」号は、その停車時間を切り詰めるため、国府津・沼津での補機連結停車はたった30秒、解放は御殿場付近を走行中に無停車で行っていた。なお機関車の走行解放は「燕」に限らず、他の特急列車・急行列車貨物列車でも行っていた。

1955年に運転開始した小田急電鉄直通列車には、本格的なものとしては日本初の2基エンジン形気動車小田急キハ5000形気動車)が用いられるなど、この路線を語る際には常に「急勾配」が不可分である。

御殿場線の東半分は酒匂川を遡り、西半分は富士山の麓斜面を駆け下る。車窓の圧巻は御殿場~沼津間の富士山の景色。特に御殿場近辺では遮るものなく、間近に迫る。この辺では丁度、宝永火口が正面に見える。愛鷹山が手前に見える頃に沼津に到着する。

[編集] 運行形態

松田駅小田急小田原線に連絡線経由で連絡し(この線は小田急の新車を搬入する際にも使われる)、特急「あさぎり」号が新宿~沼津間で相互乗入れを行なっている。

普通列車は国府津~沼津間の列車がおおむね1時間毎、その間に御殿場~沼津間の区間列車が1~2本運行されている他、御殿場・山北~国府津の区間列車や朝夕中心に国府津駅・沼津駅から東海道本線との直通列車がある。なお国府津駅・沼津駅からの東海道本線との直通列車は行先表示において行先の左側に「御殿場経由」と表記したものを掲出するが、そうでない場合もある。

[編集] 使用車両

313系(谷峨駅にて)
313系谷峨駅にて)
かつて使用されていた115系
かつて使用されていた115系

普通列車は313系211系が使われる。なお、313系3000・3100番台を使用する列車はほとんどがワンマン運転である。

また、国府津山北間の1.5往復(下り2559M、上り2732M・2562M)及び東海道本線東京方面への直通列車(2331M)にはE231系の付属編成が使われる。

特急「あさぎり」には「ワイドビュー」371系小田急20000形「RSE」が使われる。

[編集] 過去の使用車両

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  • 気動車
    • 小田急キハ5000形 - 準急「あさぎり」で小田急から乗り入れた。1968年6月30日限りで気動車準急としての運行は終了。
    • キハ51形
  • 電車
    • 72系 - 電化から1979年まで使用された。通年半自動ドア扱いであった。4両編成であり、中間に入る付随車には便所が設置されていた。
    • クモハ60形 - 電化当初に72系と混結で使用されたが、後に低屋根化改造され身延線に転じた。
    • 165系・167系 - 電化と同時に運行を開始した急行ごてんば」で乗り入れた。当初は165系3両編成であったが、1981年10月1日からは167系4両編成に変更された。1985年3月13日限りで廃止。
    • 小田急3000形「SSE」 - 電化と同時に運行を開始した急行「あさぎり」で乗り入れた。1991年3月15日限りで急行としての運行は終了。
    • 113系 - 電化から2006年まで、東海道線からの乗り入れ列車に使用された。グリーン車組み込みの11両編成が、定期列車(東京-御殿場)で使用されていたこともある。
    • 115系 - 1978年から2007年までの主力車両。導入当初は4両編成であったが、1984年2月のダイヤ改正を機に3両編成となった。
    • 119系 - するがシャトル編成が東海道線からの乗り入れ列車に使用されたが、高速域の性能不足が災いして短期間で撤退した。

[編集] 歴史

現在の線路と複線時代の路盤跡(足柄駅付近)
現在の線路と複線時代の路盤跡(足柄駅付近)
築堤も複線の幅。築堤右側の空間は路盤跡(相模金子駅付近)
築堤も複線の幅。築堤右側の空間は路盤跡(相模金子駅付近)
一部の橋梁でも複線時代の橋脚がそのまま使用されている(第二酒匂川橋梁)
一部の橋梁でも複線時代の橋脚がそのまま使用されている(第二酒匂川橋梁
御殿場線60周年記念号
御殿場線60周年記念号

東京~大阪間の幹線鉄道の一部として1889年に国府津~御殿場~沼津~静岡間が開通した。1896年に線路名称が制定され東海道線と命名、1909年には主な幹線を本線と称するようになり、東海道本線となった。

この間の1891年の小山(現・駿河小山)~御殿場間を皮切りに現在の御殿場線にあたる区間の複線化が進められ、1901年には国府津~沼津間の複線化が完成した。

1934年、丹那トンネルが開通して東海道本線を熱海経由に変更、国府津~御殿場~沼津間は御殿場線となった。当初線名は「箱根支線」・「箱根線」・「函北線」・「富士山線」など様々な候補があったというが、御殿場町(後の御殿場市)の請願によって現在の名称に決定されたといわれている。しばらく複線運転を行っていたが、1944年山陽本線に編入された柳井線(岩国~柳井~櫛ヶ浜、この区間の山陽本線は1934年からその時まで現在の岩徳線ルートを採用)や、横須賀線の横須賀~久里浜間建設へ転用するため、片方のレールが撤去され、1943年には単線化された。現在でも各所に複線時代の名残をとどめる廃線跡が散在しており、車窓から確認できる。

小田急電鉄の新松田~松田間の連絡線が1955年に開業し、新宿~御殿場間直通の準急が気動車で運転開始された。1968年に電化が完成し、小田急からの直通準急(1968年に急行化、現在は特急)も電車に置換えられた。

[編集] 年表

  • 1889年明治22年)2月1日 : 国府津 - 御殿場 - 沼津( - 静岡)間が開業(国府津 - 沼津間は37M38C≒60.31km)。現在の御殿場線にあたる区間に松田駅、山北駅、小山駅(現在の駿河小山駅)、御殿場駅、佐野駅(現在の裾野駅)、沼津駅開業。
  • 1891年(明治24年)1月12日 : 御殿場 - 沼津間が複線化。
    • 3月1日 : 小山 - 御殿場間が複線化。
  • 1896年(明治29年) : 御殿場 - 佐野間に神山合図所を開設。
    • 4月1日 : 線路名称制定により、東海道線の一部となる。
  • 1898年(明治31年)6月15日 : 三島駅(現在の下土狩駅)開業。
  • 1900年(明治33年)度 : 神山合図所を神山信号所に変更。
  • 1901年(明治34年)2月5日 : 国府津 - 山北間が複線化。
    • 6月11日 : 山北 - 小山間が複線化。
  • 1903年(明治36年)1月20日 : 小山 - 御殿場間に足柄信号所を開設。
  • 1907年(明治40年)3月15日 : 山北 - 小山間に谷峨信号所を開設。
  • 1909年(明治42年)10月12日 : 線路名称制定により、東海道本線の一部となる。
  • 1911年(明治44年)5月1日 : 国府津 - 松田間に下曽我信号所を、御殿場 - 佐野間に富士岡信号所・岩浪信号所を開設。神山信号所廃止。
  • 1912年(明治45年)7月1日 : 小山駅を駿河駅に改称。
    • 7月18日 : 岩浪信号所を岩波信号所に改称。
  • 1914年大正3年)9月13日 : 駿河 - 御殿場間に竹ノ下仮信号所を開設。
  • 1915年(大正4年)2月15日 : 山北 - 谷峨信号所間に酒匂仮信号所(初代)を、谷峨信号所 - 駿河間に相沢仮信号所を開設。
    • 6月20日 : 酒匂仮信号所(初代)、相沢仮信号所廃止。
    • 7月10日 : 駿河 - 御殿場間に松沢仮信号所を開設。
    • 7月15日 : 佐野駅を裾野駅に改称。
    • 8月30日 : 松沢仮信号所、竹ノ下仮信号所廃止。
  • 1916年(大正5年)8月28日 : 酒匂仮信号所(2代目)を開設。
    • 11月6日 : 酒匂仮信号所(2代目)廃止。
  • 1922年(大正11年)4月1日 : 信号所を信号場に変更。
    • 5月15日 : 下曽我信号場を駅に格上げし下曽我駅開業。
  • 1925年(大正14年)4月9日 : 山北 - 谷峨信号場間に酒匂仮信号場を開設(廃止日不詳)。
  • 1934年昭和9年)10月1日 : 三島駅を下土狩駅に改称。
    • 12月1日 : 丹那トンネル開通に伴い、国府津 - 御殿場 - 沼津間 (60.2km) が御殿場線となる。
  • 1943年(昭和18年)7月11日 : 国府津 - 沼津間が単線化。
  • 1944年(昭和19年)8月1日 : 富士岡信号場を駅に格上げし富士岡駅開業。
    • 12月8日 : 岩波信号場を駅に格上げし岩波駅開業。
  • 1946年(昭和21年)1月15日 : 大岡駅開業。
  • 1947年(昭和22年)7月15日 : 谷峨信号場を駅に格上げし谷峨駅開業。
    • 9月15日 - 足柄信号場を移転・駅に格上げし足柄駅開業。
  • 1948年(昭和23年)6月1日 : 上大井駅開業。
  • 1952年(昭和27年)1月1日 : 駿河駅を駿河小山駅に改称。
  • 1955年(昭和30年)9月1日 : 旅客列車に気動車を導入。
    • 10月1日 : 小田急電鉄の新松田 - 松田間の連絡線開業。新宿 - 御殿場間直通の準急運転開始。
  • 1956年(昭和31年)12月25日 : 東山北駅、相模金子駅開業。
  • 1962年(昭和37年)7月20日 : 南御殿場駅開業。
  • 1968年(昭和43年)4月27日 : 国府津 - 御殿場間が電化。
    • 7月1日 : 御殿場 - 沼津間が電化。
  • 1979年(昭和54年)10月16日-18日 : 72系電車のさよなら運転実施。以後線内運転列車は115系に置換えられる。
  • 1982年(昭和57年)11月15日 : 下曽我 - 沼津間の貨物営業を廃止。
  • 1987年(昭和62年)4月1日 : 国鉄分割民営化により東海旅客鉄道が承継。日本貨物鉄道が全線の第二種鉄道事業者となる(下曽我 - 沼津間の貨物営業再開)。
  • 1989年平成元年)12月16日 : 全線にCTC導入。
  • 1994年(平成6年)11月27日 : 御殿場線60周年記念でキハ80系気動車を使用した「御殿場線60周年記念号」を、沼津 - 下曽我間で運転。
    • 12月4日 - 丹那トンネル開通60周年記念でEF58形プッシュプル+14系客車を使用した記念列車を函南 - 沼津(沼津→御殿場→国府津→熱海→沼津の経路)間で運転。
  • 1999年(平成11年)12月4日 : 一部列車でワンマン運転開始。
  • 2002年(平成14年)9月7日 : 長泉なめり駅開業。
  • 2004年(平成16年)10月16日 : ダイヤ改正で東京駅直通列車が1往復のみとなる。
    • 11月20日21日 : 御殿場線70周年記念でEF58形重連+14系客車が運転。
  • 2007年(平成19年)2月14日 : 115系の定期運用を終了。
    • 3月16日 : 113系の直通運用を終了。
    • 3月18日 : ダイヤ改正、上り東京行きは国府津行きに短縮され、東京からの直通は片道のみに。

[編集] 駅一覧

駅名 営業キロ 接続路線 所在地
国府津駅 0.0 東日本旅客鉄道東海道本線 神奈川県 小田原市
下曽我駅 3.8  
上大井駅 6.5   足柄上郡大井町
相模金子駅 8.3  
松田駅 10.2 小田急電鉄:小田原線新松田駅 足柄上郡松田町
東山北駅 13.1   足柄上郡山北町
山北駅 15.9  
谷峨駅 20.0  
駿河小山駅 24.6   静岡県 駿東郡小山町
足柄駅 28.9  
御殿場駅 35.5   御殿場市
南御殿場駅 38.2  
富士岡駅 40.6  
岩波駅 45.3   裾野市
裾野駅 50.7  
長泉なめり駅 53.5   駿東郡長泉町
下土狩駅 55.6  
大岡駅 57.8   沼津市
沼津駅 60.2 東海旅客鉄道:東海道本線

[編集] 廃止信号場

括弧内は国府津駅起点の営業キロ。

  • 酒匂仮信号所 - 1916年廃止、山北~谷峨間(約18.4km)
  • 酒匂仮信号場 - 廃止日不詳、山北~谷峨間(約18.7km)
  • 相沢仮信号所 - 1915年廃止、山北~谷峨間(約22.2km)
  • 松沢仮信号所 - 1915年廃止、駿河小山~足柄間(約26.4km)
  • 竹ノ下仮信号所 - 1915年廃止、駿河小山~足柄間(約28.3km)
  • 神山信号所 - 1911年廃止、富士岡~岩波間(約42.4km)

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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