広島電鉄5100形電車
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広島電鉄5100形電車(ひろしまでんてつ5100かたでんしゃ)とは、2004年に登場した広島電鉄の路面電車である。愛称 Green mover max(グリーンムーバーマックス)。2005年にグッドデザイン賞を受賞した。
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[編集] 概要
- 近畿車輛・三菱重工業・東洋電機製造・広島電鉄の4社がU3プロジェクトの名で共同開発した、国産初の100%フルフラット超低床路面電車である。U3とは Ultimate (究極の)、Urban (都会的な)、User friendly (利用しやすい) を意味する。メーカではJTRAMという愛称で呼んでいる。構造は5000形(GREEN MOVER)に引き続き5連接車で、広島港方から A、C、E、D、B 車(荒手車庫所属である5101号は、宮島口方から B、D、E、C、A 車)となっている。
- 2005年3月30日に営業運転開始された。現在は10編成を保有しており、主に1号線(宇品線)で集中的に使われ、ラッシュ時には5号線(比治山線)にも入る。また、5101号のみ2号線(本線・宮島線)で運用される。なお、千田車庫所属の車両も宮島線の増発などの臨時便に充てられることがある。しかし、当初は全車千田車庫への配置予定であったが、デビュー時の宮島線期間限定運行に影響し、宮島線沿線利用者から「宮島線にも走らせてほしい」との要望が多くあったため、5101号は千田車庫配属から改めて荒手車庫所属となった(その代替として5000形の5012号が市内線の千田車庫所属へ変更となった)。
- 当初は「GREEN MOVER max」と「max」以外は大文字表記だったが、ロゴデザインの権利上の問題が発生し(出典・鉄道ファン)、第2編成登場時にロゴマークのデザインを変更した際、小文字主体の「Green mover max」と斜体表記になった。
- 2007年4月19日から5101が広島観光インフォメーション電車(広島平和記念公園と原爆ドーム・縮景園・広島城・宮島の大鳥居と厳島神社などの写真が部分ラッピングされ、車内に観光地や文化施設の案内板が設置されている)となった。
[編集] コンビーノ(グリーンムーバー)との比較
- 製造メーカ各社の狙いは、
- 座席が少ないなどコンビーノの欠点の克服
- 冷房装置の能力不足など日本の環境にそぐわない点の改善
- 外国特許の回避
にあった。
- 最大の改善点は、中間の付随台車を動力台車とは別に設計しサイズを小さくしたことである。これによりE車もロングシートとすることができ、車内から不自然な突起は無くなった(E車のロングシートは付随台車上にあるため、他のロングシートよりも若干高く固い)。また各車体の長さはコンビーノと大差ないが、ロングシートが効率的に配置できるよう工夫されている。これにより着席定員は5000形の52名から62名まで増えた。クロスシートは5000形の1名掛けに比べ若干広がり、着席定員に変化はないが実質1.5名掛けとなり、学生や親子であれば二人掛けも可能。逆にやや犠牲になっているのが床面高さ(360mm)で、コンビーノ標準の300mm、5000形の330mmに比べても高くなっている。また全長は軌道法限界一杯の30mに抑えられた。また、5000形よりも車両価格が約2000万円安く抑えられたほか、保守の容易化や部品調達コストの低減も期待されている。
- 行き先表示も従来の巻き取り幕方式からLEDタイプに変更され夜間の視認性が向上した。しかし同社では運行系統を色分けして案内しているが、このLEDは橙色タイプなので遠方からの色分けによる運行系統の識別が出来ないという状況になった。
- 制動機にも改良が加えられている。5000形ではマスコンを中立位にすると走行時にはまったくのニュートラル状態であるが、停車時は自動的にパーキングブレーキが作動するシステムになっている。しかし、このシステムは微速走行時にもパーキングブレーキが作動してしまうため停止位置の微調整が非常に難しく、運転士は停車寸前にマスコンをやや力行位にもっていかないとスムーズな停止が出来ない。
- これに対し5100形はマスコンをどの常用制動位にしていても停止寸前にブレーキが自動的にゆるめられスムーズな停止が可能となった反面、従来の車輌との操縦性の違いが顕著で目標停止位置に停止するのに緩め操作での微調整が難しいという側面がある。
- 内装は5000形ではグレーとブルー基調の配色で窓ガラスもスモークタイプを採用し車内照明も少なく照明カバーが設置されていたため昼間でも車内が若干薄暗く夜間ではそれが顕著になっていたが、5100形ではホワイトとライトなグリーン及びイエローを基調とし、窓ガラスもクリアタイプに変更され照明も暖かみのあるダウンライトが採用され、清潔感溢れる明るい印象となった。
- また事故対策の一環として、車内随所に握り棒が設置されている。特徴的な例としては車内通路中程に天井から床面にかけて握り棒が設置され事故防止に役立っている反面、設置箇所が乗車扉正面に配置されているため乗客がここに停滞してしまい、車内中程に乗客が流れにくいためスムーズな乗降を阻害している感がある。
[編集] 主要諸元
- 車種:5車体3台車連接車
- 軌間: 1,435mm
- 長さ:30,000mm
- 幅 : 2,450mm
- 高さ: 3,645mm
- 床面高さ : 360mm (客用扉付近は330mm)
- 設計最高速度:80Km/h
- 加速度 : 3.5km/h/s
- 減速度 : 4.8km/h/s (非常6.0km/h/s)
- 最小曲線半径 : 18m
- 最急勾配 : 50‰
[編集] 各車状況
特記が無い場合を除き、2008年3月現在の状態を示す。
- 5101 : 2004年竣工 : 荒手車庫所属
- 部分ラッピング電車、広島観光インフォメーション電車
- 5102 : 2005年竣工 : 千田車庫所属
- 標準色
- 5103 : 2005年竣工 : 千田車庫所属
- 標準色
- 5104 : 2005年竣工 : 千田車庫所属
- 標準色
- 5105 : 2007年竣工 : 千田車庫所属
- 標準色
- 5106 : 2007年竣工 : 千田車庫所属
- 標準色
- 5107 : 2007年竣工 : 千田車庫所属
- 標準色
- 5108 : 2007年竣工 : 千田車庫所属
- 標準色
- 5109 : 2008年竣工 : 千田車庫所属
- 標準色
- 5110 : 2008年竣工 : 千田車庫所属
- 標準色
[編集] 外部リンク
- 三菱重工業株式会社 ニュースレター 2004年11月22日 - 国産初の100%超低床LRV(Light Rail Vehicle)車両を開発 第1号車両を広島電鉄に納入
- 近畿車輛 広島電鉄殿向け国内初のフルフラット超低床車
[編集] 参考文献
- 『広電が走る街今昔』(JTBパブリッシング・長船友則) ISBN 4533059864
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