広島電鉄70形電車
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広島電鉄70形電車(ひろしまでんてつ70かたでんしゃ)とは、広島電鉄の路面電車である。3車体8軸の全鋼製連節車で、1959年デュワグ(DUEWAG)社製。1982年に西ドイツのドルトムント市電(ドルトムント都市事業 Dortmunder Stadtwerke AG)より移籍した。76、77の2編成が存在したが、2006年1月に77は廃車され、現在は76のみが残る。
目次 |
[編集] 概要
- A・B
- 全長:10115mm
- 全幅:2360mm
- 全高:3940mm
- 自重:13.10t
- 車体構造:全金属製
- 定員(着席):48(16)人
- 主電動機出力・駆動方式:65kw×2、吊り掛け式
- C
- 全長:6850mm
- 全幅:2350mm
- 全高:3650mm
- 自重:6.80t
- 車体構造:全金属製
- 定員(着席):54(22)人
ドルトムント市電が地下線新設のため車両更新した際、余剰になった8軸連節車を1981年に購入した。 広島での使用条件に合うように冷房改造などを行い、翌年より運用を開始した。
本形式は当時、西ドイツ国内向けに大量製造されたデュワグカーの一つであるが、
- 多段式直接制御であること…点検整備は車体外部の点検蓋から行う構造。また、他車とはノッチ進段が逆回しである。
- 駆動方式が標準のモノモーター式の直角カルダン駆動ではなく、釣り掛け駆動を採用している。
といった特徴がある。 こうした特徴を有するものはこれ以外には数例しかない。また、片運転台・片側面ドア方式が主流のドイツにおいて両運転台・両側面ドア式というのも少数派である。
[編集] 76
ドルトムント時代からの銀を基調としたドイツの地ビールの広告塗装のまま現在に至っている。市内線運用には主にこの車両が使われた。現在は貸切専用車として使用されている。
[編集] 77
ドルトムントの路面電車の標準塗装で、窓下にドイツの宝くじの広告が貼られている。旧車番は80号だったが、76号と連番にするために77号に改番された。市内線運用は76号の予備扱いだったが、晩年の運用では比較的多く使用された。運用終了後しばらくして台車に亀裂が見つかり休車状態となる。2005年1月に車体外部が再塗装されたが、元々の色よりも明るくなり、塗り分けも異なるものになった。5100形などの車両増加による車庫スペース確保のために2006年1月に廃車解体された。台車など一部の部品は76号の予備品として残された。
[編集] 運用
当初、荒手車庫に在籍し、宮島線直通用で使用されてた。 しかし、高速走行時に振動が発生するなどの問題が発生。また、運転取扱上の違いが多く、保守整備に際しても支障する点が多いことから、3700形以降の新型直通車が増えると、あまり使用されなくなった。 その後、1994年に市内線の輸送力強化のために千田車庫に転属し、比治山線でラッシュ時に使用された。 しかし、市内線に3000形が転属してきたため、1998年からは再び使用されなくなる。そして77は2006年1月に廃車解体された。現在は76号のみが残り、車内にテーブルやカーテン、マイクを設置して「ビール電車」などの貸切専用車となっている。なお、老朽化が進んでいることや部品の調達が困難になりつつあることから、引退が示唆されている。
[編集] 各車状況
- 76:1982年10月竣工:荒手車庫所属
- 77:1982年10月竣工:2006年1月廃車解体
[編集] 参考文献
- 『ローカル私鉄車両20年 路面電車・中私鉄編』(JTBパブリッシング・寺田裕一) ISBN 4533047181
- 『広電が走る街今昔』(JTBパブリッシング・長船友則) ISBN 4533059864
- 『私鉄の車両3 広島電鉄』(保育社・飯島巌) ISBN 4586532033
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