広島電鉄宮島線
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広島電鉄宮島線(ひろしまでんてつみやじません)は、広島県広島市西区の広電西広島駅から、広島県廿日市市の広電宮島口駅に至る広島電鉄の鉄道路線である。軌道線と直通する広島駅~広電西広島の区間も「宮島線」と呼ぶ(同区間の駅番号の頭文字も「M」となっている)ことがあるが、広島電鉄では「宮島線」を鉄道線の部分である広電西広島~広電宮島口間のみの呼称としている。
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[編集] 路線データ
[編集] 概要
当線は鉄道事業法が適用される鉄道線扱いで、かつては当線専用の車両(通常の電車の形をした、高床車と呼ばれた車両)が在籍しており、各駅のプラットフォームも鉄・軌道直通電車用の低いものと、鉄道線専用車用の高いものの2つを持っていたが、1991年(平成3)8月8日以降、当線専用の車両は走ることが無くなり、軌道を走行する路面電車が広電西広島(己斐)を越えてほとんどが直通運転されるようになり、高いプラットフォームは撤去された駅が多い。
当線はJR西日本の山陽本線とほぼ並行し、JRの1駅間に広電は2~4駅ありJRの中・遠距離輸送に対して、広電は地域内需要を細かく拾う役割を果たしている。車両は路面電車タイプの3両連接車、5両連接車(まれに2両連結車)が使用されている。なお、JRは宮島線との並行区間に2か所の新駅設置を計画しており(西広島~新井口間と五日市~廿日市間)、地域内需要の争奪も予想される。これを踏まえ、広電では現在、複線の間に渡り線を設けて通勤時間帯に急行の運転も検討されている。この他にも輸送力向上のために連接車の連結運転も計画されている。
駅名標は、阪急電鉄のものとデザインが似通っている(広電は緑地に白字、阪急は黒地に白字。漢字・平仮名の大小等を除けば、隣駅表示部の「く」の字型赤矢印も同じ)。
[編集] 運行形態
原則、広島駅~広電宮島口間直通の系統(2号線、ラインカラー■赤)で運行されているが、朝方を中心に荒手車庫からの出庫を兼ねた商工センター入口始発、更に線内折返し運転(広電西広島、JA広島病院前発着)の電車も設定されている。以前は、広電廿日市や広電五日市発着の電車もあった。また、市内線3号線(広島港~広電本社前~紙屋町西~広電西広島)~宮島線間を直通する電車も平日朝夕に設定されている(平日、朝の宮島線→市内線3系統-広島港行(2本)は3号線表示、広電本社前行(4本)・日赤病院前行(2本)は0号線表示、市内線3系統-広島港発(2本)→宮島線は2号線表示。平日、夕方の市内線3系統-広電本社前発(3本)→宮島線は2号線表示)。
宮島線内は、日中は7・8分間隔で毎時8本程度、朝のラッシュ時は最高3分間隔の毎時18本となる。
平日の朝・夕ラッシュ時を除く時間帯では、3両または5両連接の「ぐりーんらいなー(GreenLiner)」「GREEN MOVER」「Green mover max」などの愛称のついた電車で運行されている。
正月三が日の昼間時間帯においては従来の2号線(広島駅~広電宮島口)はやや減便されるが、広電西広島・商工センター入口~広電宮島口間の区間列車も多数運転される。その一方で1号線(広島駅~紙屋町~広島港)での連接車の運転がなくなる。また宮島競艇開催時には商工センター入口~広電宮島口間の臨時列車が運転されることがある。
[編集] 急行運転計画
2003年(平成15年)5月24日の中国新聞で、広電が宮島線の急行運転を計画していることが報道された。急行運転は2次計画に分けて進められ、第1次計画は、広電西広島~商工センター入口間で運転を開始。事業費約4億円をかけ、商工センター入口駅東側に隣接した広電社有地に待避線を設置し、通勤時間帯に1時間に4本を運転するとした。短縮時間は3分となる。
第2次計画は、商工センター入口~広電宮島口間で運転を行う。廿日市駅東側の社有地に待避線を設け、全線での急行運転によって6分の短縮が実現できるとした。
その後、待避線ではなく複線の間に渡り線を設けて経費削減をする案などが出たが、進展が無く、2007年(平成19年)現在も急行運転は実現していない。
[編集] 歴史
- 1922年(大正11年)8月22日 己斐町(現在の広電西広島)~草津間が開業。
- 1924年(大正13年)4月6日 草津町(現在の草津)~廿日市町(現在の広電廿日市)間が開業。
- 1925年(大正14年)7月15日 廿日市町~地御前間が開業。
- 1926年(大正15年)7月15日 地御前~新宮島(のちに廃止)間が開業。
- 1931年(昭和6年)2月1日 新宮島~電車宮島(現在の広電宮島口)間が開業し全通。新宮島駅廃止。阿品駅開業。己斐町駅を西広島駅に、五日市町駅を電車五日市駅に、廿日市町駅を電車廿日市駅に改称。
- 1935年(昭和10年)12月1日 塩浜駅開業。
- 1936年(昭和11年)9月8日 塩浜駅を楽々園駅に改称。隅ノ浜駅廃止。
- 1941年(昭和16年)4月17日 実践女学校前駅開業。
- 1944年(昭和19年)7月21日 皆実線敷設のため、電車廿日市~電車宮島間の下り線を撤去し、単線となる。
- 1947年(昭和22年)4月1日 実践女学校前駅を鈴峯女専前駅に改称。
- 1950年(昭和25年) 草津町駅を草津駅に改称。
- 1950年(昭和25年)6月1日 鈴峯女専前駅を鈴峯女子大前駅に改称。
- 1950年(昭和25年)7月24日 電車廿日市~電車宮島間が複線に戻る。
- 1950年(昭和25年)11月24日 山陽女学園前駅開業。
- 1951年(昭和26年)9月1日 荒手駅を中央魚市場前駅に改称。
- 1954年(昭和29年)1月1日 阿品駅を地御前県病院前駅に改称。
- 1954年(昭和29年)10月31日 (臨)競艇場前駅開業。
- 1960年(昭和35年)8月11日 井口病院前駅開業。
- 1960年(昭和35年)10月? 井口病院前駅を荒手車庫前駅に改称。
- 1961年(昭和36年)6月1日 電車五日市駅を広電五日市駅に、電車廿日市駅を広電廿日市駅に、電車宮島駅を広電宮島駅に改称。
- 1962年(昭和37年)1月10日 市内線広島駅前(現在の広島駅)~宮島線広電廿日市間で直通運転開始。
- 1963年(昭和38年)4月1日 山陽女学園前駅を山陽女子大前駅に改称。
- 1963年(昭和38年)5月6日 市内線・宮島線直通運転区間を広電宮島まで延長。
- 1964年(昭和39年)8月13日 東高須駅開業。
- 1965年(昭和40年)7月20日 楽々園駅を楽々園遊園地駅に改称。
- 1969年(昭和44年)10月1日 西広島駅を広電西広島駅に改称。
- 1971年(昭和46年)9月1日 楽々園遊園地駅を楽々園駅に改称。
- 1972年(昭和47年)3月1日 地御前県病院前駅を阿品駅に改称。
- 1978年(昭和53年)8月1日 田尻駅開業。
- 1979年(昭和54年)11月1日 中央市場前駅を草津南駅に、荒手車庫前駅を商工センター入口駅に改称。
- 1984年(昭和59年)11月1日 平良駅開業。
- 1987年(昭和62年)3月27日 佐伯区役所前駅開業。
- 1991年(平成3年)8月7日 宮島線専用車(高床車)運行終了。翌日より路面電車タイプに統一。
- 1998年(平成10年)9月1日 JA広島病院前駅開業。
- 1999年(平成11年)6月9日 GREEN MOVER運行開始。
- 2001年(平成13年)11月1日 田尻駅を隣接するJR阿品駅と駅名を揃えるため、広電阿品駅に改称。それに伴いこれまでの阿品駅を阿品東駅に改称。また、広電宮島駅を広電宮島口駅に改称。
- 2006年(平成18年)6月1日 平良駅を廿日市市役所前(平良)駅に改称。
[編集] 駅一覧
系統 | 番号 | 駅名 | 接続路線 |
---|---|---|---|
2,3 | M19 | 広電西広島駅(己斐駅) | 広島電鉄:本線(己斐駅) 西日本旅客鉄道:山陽本線(西広島駅) |
2 | M20 | 東高須駅 | |
M21 | 高須駅 | ||
M22 | 古江駅 | ||
M23 | 草津駅 | ||
M24 | 草津南駅 | ||
M25 | 商工センター入口駅 | 西日本旅客鉄道:山陽本線(新井口駅) | |
M26 | 井口駅 | ||
M27 | 鈴峯女子大前駅 | ||
M28 | 広電五日市駅 | 西日本旅客鉄道:山陽本線(五日市駅) | |
M29 | 佐伯区役所前駅 | ||
M30 | 楽々園駅 | ||
M31 | 山陽女子大前駅 | ||
M32 | 広電廿日市駅 | 西日本旅客鉄道:山陽本線(廿日市駅) | |
M33 | 廿日市市役所前(平良)駅 | ||
M34 | 宮内駅 | 西日本旅客鉄道:山陽本線(宮内串戸駅) | |
M35 | JA広島病院前駅 | ||
M36 | 地御前駅 | ||
M37 | 阿品東駅 | ||
M38 | 広電阿品駅 | 西日本旅客鉄道:山陽本線(阿品駅) | |
競艇場前(臨時駅) | |||
M39 | 広電宮島口駅 | 宮島松大汽船:宮島航路(宮島口桟橋) 西日本旅客鉄道:山陽本線・宮島連絡船(宮島口駅) |
※駅番号は本線からの通し番号である。
[編集] 運賃
大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。運賃後払い方式。2004年12月1日現在。
キロ程 | 運賃(円) |
初乗り3km | 120 |
4~6 | 140 |
7~10 | 170 |
11~15 | 190 |
16~17 | 210 |
- 広電五日市 - 広電廿日市間は120円の特定運賃。
- 市内線にまたがって乗車の場合は、鉄道線運賃に60円を加算。