安康天皇
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安康天皇(あんこうてんのう、履中天皇2年(401年)? - 安康天皇3年8月9日(456年9月24日))は、第20代の天皇(在位:允恭天皇42年(453年)12月14日 - 安康天皇3年(456年)8月9日)。穴穂天皇・穴穂皇子(あなほのみこ)。中国の『宋書』・『梁書』に記される「倭の五王」中の倭王興に比定されている。
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[編集] 系譜
允恭天皇の第二皇子。母は忍坂大中姫(おしさかのおおなかつのひめ)。雄略天皇の同母兄。
- 皇后:中磯皇女(なかしのひめみこ、中蒂姫命。履中天皇の皇女)
- 皇子女なし
[編集] 皇居
都は石上穴穂宮(いそのかみのあなほのみや。現在の奈良県天理市田町、あるいは同市田部か)。
[編集] 略歴
皇太子の木梨軽皇子(きなしのかるのみこ)には近親相姦の前科が有ったために群臣は皆従わず、弟の穴穂皇子の側に付いた。
軽皇子は穴穂皇子を討ち殺そうとして兵を集めるが、群臣が離反していく不利な現況を悲嘆して、物部大前宿禰(もののべのおおまえのすくね)の家に潜んだ。穴穂皇子が率いる兵に包囲され、大前宿禰の計らいで戦は避けられたが、軽皇子は自裁した(尚、『古事記』では伊余湯に流罪となったと記される)。こうして、穴穂皇子は12月に皇位に践祚された。
安康天皇元年(454年)、根使主の讒言を信じて大草香皇子(仁徳天皇の皇子)を誅殺し、翌年にその妃であった中蒂姫を皇后に立てた。
同3年(456年)8月9日、天皇は中蒂姫の連れ子眉輪王(まよわのおおきみ)により暗殺された。『古事記』『旧事紀』に享年56歳、『帝王編年記』に享年54歳と伝えられる。
皇太子を指名することなく崩御したが、従兄弟の市辺押磐皇子(履中天皇の皇子)を皇位継承者に立てる腹積もりであったとされる。
[編集] 近親相姦説
兄である木梨軽皇子には近親相姦疑惑があったとされているが、安康天皇も近親相姦をしていたのではないかという説がある。これは、古事記に大草香皇子を殺した後、妻にした皇后が同母姉である長田大娘皇女とされているためである。ただし日本書紀の雄略紀では安康天皇の妻は履中天皇の皇女である中磯皇女とし、亦の名は長田大娘皇女と註を付けている。他にも姉弟ではあるが母親は違うのではないかという説も出ている。
[編集] 陵墓・霊廟
菅原伏見西陵(すがはらのふしみのにしのみささぎ)に葬られた。同陵は、奈良県奈良市宝来4丁目にある古城1号墳に比定される。しかし近年の調査結果から、古墳ではなく中世の山城跡とする見方が強い。
[編集] 在位年と西暦との対照表
歴代天皇一覧 | |||||||||
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1 神武 | 2 綏靖 | 3 安寧 | 4 懿徳 | 5 孝昭 | 6 孝安 | 7 孝霊 | 8 孝元 | 9 開化 | 10 崇神 |
11 垂仁 | 12 景行 | 13 成務 | 14 仲哀 | 15 応神 | 16 仁徳 | 17 履中 | 18 反正 | 19 允恭 | 20 安康 |
21 雄略 | 22 清寧 | 23 顕宗 | 24 仁賢 | 25 武烈 | 26 継体 | 27 安閑 | 28 宣化 | 29 欽明 | 30 敏達 |
31 用明 | 32 崇峻 | 33 推古 | 34 舒明 | 35 皇極 | 36 孝徳 | 37 斉明 | 38 天智 | 39 弘文 | 40 天武 |
41 持統 | 42 文武 | 43 元明 | 44 元正 | 45 聖武 | 46 孝謙 | 47 淳仁 | 48 称徳 | 49 光仁 | 50 桓武 |
51 平城 | 52 嵯峨 | 53 淳和 | 54 仁明 | 55 文徳 | 56 清和 | 57 陽成 | 58 光孝 | 59 宇多 | 60 醍醐 |
61 朱雀 | 62 村上 | 63 冷泉 | 64 円融 | 65 花山 | 66 一条 | 67 三条 | 68 後一条 | 69 後朱雀 | 70 後冷泉 |
71 後三条 | 72 白河 | 73 堀河 | 74 鳥羽 | 75 崇徳 | 76 近衛 | 77 後白河 | 78 二条 | 79 六条 | 80 高倉 |
81 安徳 | 82 後鳥羽 | 83 土御門 | 84 順徳 | 85 仲恭 | 86 後堀河 | 87 四条 | 88 後嵯峨 | 89 後深草 | 90 亀山 |
91 後宇多 | 92 伏見 | 93 後伏見 | 94 後二条 | 95 花園 | 96 後醍醐 | 97 後村上 | 98 長慶 | 99 後亀山 | 100 後小松 |
北朝 | 1 光厳 | 2 光明 | 3 崇光 | 4 後光厳 | 5 後円融 | 6 後小松 | |||
101 称光 | 102 後花園 | 103 後土御門 | 104 後柏原 | 105 後奈良 | 106 正親町 | 107 後陽成 | 108 後水尾 | 109 明正 | 110 後光明 |
111 後西 | 112 霊元 | 113 東山 | 114 中御門 | 115 桜町 | 116 桃園 | 117 後桜町 | 118 後桃園 | 119 光格 | 120 仁孝 |
121 孝明 | 122 明治 | 123 大正 | 124 昭和 | 125 今上 | ※註:橙に赤字は女帝 |
[編集] 関連項目
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