シー・ラヴズ・ユー
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シー・ラヴズ・ユー She Loves You |
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ビートルズ の シングル | |||||
リリース | 1963年8月23日 1963年9月16日 |
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録音 | アビー・ロード・スタジオ (1963年7月1日) | ||||
ジャンル | ロック | ||||
時間 | 2分17秒 | ||||
レーベル | パーロフォン (イギリス) スワン (アメリカ) |
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作詞・作曲者 | レノン=マッカートニー | ||||
プロデューサー | ジョージ・マーティン | ||||
チャート最高順位 | |||||
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ビートルズ シングル 年表 | |||||
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「シー・ラヴズ・ユー」("She Loves You")は、1963年8月にビートルズが発表した4枚目のオリジナル・シングル曲である。
目次 |
[編集] 解説
レノン=マッカートニーの作品。ヴォーカルはジョン・レノンとポール・マッカートニー。二部コラースになる部分では、他の曲と同様に、ジョンが下のパートを、、ポールが上のパートを分担している。フレーズの繰り返し部分と"She loves you Yeah! Yeah! Yeah!"の部分のみジョージが加わる。(その際ポールの左利き用ベースとジョージのギターが平行に向き合い、"Woo!"で首を振り長髪を振るわせる。これは「ツイスト・アンド・シャウト」の時と同じスタイルを使用。)エンディングのYeah!ではG6コードが使われ当時としては新鮮味を出している。
プロデューサーであるジョージ・マーティンのアイデアで、当時としては斬新な「イントロなしでいきなりサビの部分から曲が始まる」曲のスタイルが使われた。この他にもリンゴのドラムロールによるイントロ、ハイハットの代わりにバスタムを使用し迫力を出す、変拍子を使う、最後に6thコードを使う(ジョージ・マーティンは古臭いと反対したが、メンバーが押し切った)、当時、イギリスでは下品とされた"yeah"の歌詞への使用等、いろいろな工夫の跡が見られる。
「プリーズ・プリーズ・ミー」や「抱きしめたい」などと共に、世界的に彼らの人気を不動のものにしたヒット曲であり、一般的な「初期のビートルズの音楽的イメージは、この曲にある」と断言してもいいほどの作品[1]との記載がある。2005年に、英音楽雑誌「アンカット」が企画した「世界を変えた」曲、映画、テレビドラマを選ぶ特集では3位となった。
[編集] ステレオ・ヴァージョン
ステレオ・ヴァージョンが作成される前にマスター・テープは破棄されたため、「シー・ラヴズ・ユー」にリアル・ステレオ・ヴァージョンはない。ステレオと表記されているものは全て疑似ステレオ[2]である。
[編集] シングル盤
「シー・ラヴズ・ユー」はイギリスでは1963年8月23日にリリースされた。B面は「アイル・ゲット・ユー」。イギリス、『メロディー・メイカー』では通算7週1位、その後期間が約2ヵ月程開いて返り咲きで1位獲得し、当時としては考えられないチャート・アクションだった。アメリカではメジャーから相手にされず、マイナー・レーベル(スワン)からリリースしたものの、全くヒットしなかった。ブライアン・エプスタインらのセールス・プロモーション(営業活動)にも拘わらず、アメリカの巨大音楽産業を動かせなかった(すなわち有望なグループと認められなかった)。その後の営業活動で、大手Capitol版の抱きしめたいがアメリカで大流行すると、それにつられる形で(他曲と共に)ヒット、『ビルボード』(Billboard)誌では、1964年3月21日及び28日にわたりに週間ランキング第1位を獲得。『ビルボード』誌1964年年間ランキングでは第4位。オリジナルアルバムには未収録。現在のCDフォーマットでは、『パスト・マスターズ Vol.1』や、いくつかの正式ベスト編集盤などにも収録されている。
イギリスでは166.7万枚を売り、当時のイギリスでのシングル売り上げの最高記録を樹立した。この記録は、ポールが1977年にウィングスの『夢の旅人』(Mull Of Kintyre)で219.3万枚を売り上げるまで破られなかった。
[編集] ドイツ語版
「シー・ラヴズ・ユー(ドイツ語)」("Sie Liebt Dich")はドイツのファンをターゲットとした「シー・ラヴズ・ユー」のドイツ語版である。「シー・ラヴズ・ユー」のマスター・テープが消去されていたため、すべてを一から新しく録音し直している。ただしこちらのほうは完成度は低い[3]。ドイツ語ヴァージョンも、CDではパスト・マスターズ Vol.1に収録されている。
[編集] 収録アルバム
- ザ・ビートルズ・セカンド・アルバム
- ザ・ビートルズ・スーパー・ライヴ!
- ザ・ビートルズ1962年〜1966年
- パスト・マスターズ Vol.1
- ザ・ビートルズ・アンソロジー1 Disc2
- ザ・ビートルズ1
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
- ^ 中山康樹著、『これがビートルズだ』、講談社、2003年、259ページ
- ^ 英国パーロフォンがリリースした疑似ステレオは少なく、「ラヴ・ミー・ドゥ」、「P.S.アイ・ラヴ・ユー」(アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』収録)、「シー・ラヴズ・ユー」(アルバム『オールディーズ』収録)、「アイ・アム・ザ・ウォルラス」の後半部分(2枚組EP『マジカル・ミステリー・ツアー』収録)、「オンリー・ア・ノーザン・ソング」(アルバム『イエロー・サブマリン』収録)の5曲のみである。
- ^ ジョン・ロバートソン、速水丈著『ビートルズ全曲解説』丸山京子訳、シンコーミュージック、2002年、168ページ