カーリング
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カーリング (curling) は氷上で行われるウィンタースポーツのひとつである。
目次 |
[編集] 概要
4人ずつ2チームで行われ、目標とする円をめがけて各チームが交互に8回ずつ石を氷上に滑らせる。石を円の中心により近づけたチームが得点を得る。これを10回繰り返し、総得点で勝敗を競う。高度な戦略が必要とされ、その理詰めの試合展開から「氷上のチェス」とも呼ばれる。
15世紀にスコットランドで発祥したとされ、当時は底の平らな川石を氷の上に滑らせていたものとされている。氷上で石を使うカーリングの元となったゲームの記録は、1541年2月にさかのぼる。場所はスコットランド、グラスゴー近郊のレンフルシャーである。「カーリング」という名称の起源は定かでないが、1630年のスコットランドの印刷物中にこの名称の使用が確認されている。スコットランドでは16世紀から19世紀にかけて戸外でのカーリングが盛んに行われていたが、現在のルールは主にカナダで確立したもので、1807年には王立カーリングクラブが設立されている。1832年にはアメリカ合衆国にカーリングクラブが誕生し、19世紀の終わりまでにはスイスとスウェーデンへと広まった。1998年の長野オリンピックで初めて冬季オリンピックの正式種目として採用された。現在ではヨーロッパ全域をはじめ、日本、オーストラリア、ニュージーランド、中国、韓国などで行われている。
トリノオリンピックでは、女子日本代表チームが健闘。最終順位は7位で、メダル獲得には至らなかったが、その懸命な姿は日本の視聴者に大きな反響を巻き起こした(トリノオリンピックにおけるカーリング競技参照)。
[編集] リンク
- カーリングホール
- 主にカーリングを目的とした専用のリンク。
- シート
- 長さ42.06m(ハックからハックまでの長さ)。幅4.75m。ボウリング場で言うレーンにあたる。
- ぺブル
- シートの表面につけられた細かい突起。ペブルカンと呼ばれるじょうろ型の専用器具で水をまくことでつけられる。
- ハック
- ストーンを投げる時に使うけり台。シートの両側に2つずつある。
- センターライン
- 両方のハックを結んだライン。
- サイドライン
- 左右の端のライン
- ホッグライン
- ハウス手前にあるライン。このラインよりもハウス寄りに達しなかったストーンは失格となる。
- バックライン
- ハウスより下にあるライン。このラインからはみ出すとそのストーンは失格となる。
- ティーライン
- ハックから3.66m離れた位置にセンターラインと垂直に引かれた線。
- ボタン
- ティーラインとセンターラインの交点。ハウスの中心となる。
- ハウス
- ストーンを投げ入れる同心円。半径は外から1.83m、1.22m、0.61m、0.15m。
[編集] 用具
- ストーン
- 1個約20kgの円盤型の石に取っ手をつけたもの。1チームが8個を使用し、カーリング競技を行うためには16個必要となる。取っ手部分の色は赤、黄など。花崗岩製で、中でも高密度で強度と滑りやすさに優れたスコットランドのアルサクレッグ島特産の石が使われている。そのため1個10万円以上(1セット160万円)する高価な物だが、100年以上使用できると言われている。
- ブラシ
- 滑っていくストーンの方向や速度を調整するために氷面を掃く(スウィープする)デッキブラシ状の道具。
- ブルーム
- 滑っていくストーンの方向や速度を調整するために氷面を掃くホウキ状の道具。
- カーリングシューズ
- カーリング専用の靴。右投げの場合、左のソール(靴底)は滑りやすくするためテフロン加工されている。右側のソールは滑りにくくできている。スイープ時は左側にアンチスライダー(グリッパー)という滑り止めを装着する。専用シューズが無い場合、通常の靴にスライダーという滑りを良くするカバーを装着することでプレーできる。
- ストップウオッチ
- ストーンの通過速度を計測することで、ウェイトを判断するために使用する。
[編集] ルール
[編集] チーム構成
1チームは4~5人だが、試合に出られるのは4人まで(3人以下でもショットを分担してゲームを行うことが可能)、補欠は必ず1人(複数いてはいけない)。
- リード - 1,2投目を担当。掃き手(スウィーパー)の役割になることが多い。
- セカンド - 3,4投目を担当。同じく掃き手の役割になることが多い。
- サード - 5,6投目を担当。スキップが投球する際に、代わりにスキップの役割を行う(バイス)ことが多い。スキップの参謀役となる。
- スキップ(主将) - 主に7,8投目を担当。試合において司令塔の役割を果たす。
- リザーブ - 補欠。チームメイトが何らかの理由でプレーを続行出来なくなった場合、代理を務める。
- フォース - スキップ以外の選手が7,8投目を担当する場合の呼称。(スキップは必ずしも7,8投目担当者である必要はなく、たとえばセカンドがスキップを務めても問題ない。)
[編集] 試合形式
カーリングにおいて、ゲーム中の1回の攻守はエンド(end)と呼ばれる。試合は8エンドか10エンドで行われ、またこの他に各チームに持ち時間が与えられる。冬季オリンピックなど公式な試合では10エンド、持ち時間73分で行われ、1分間のタイムアウトを2度とることができる。また、第5エンドが終了すると休憩となる。持ち時間がなくなった場合、ゲームが終了していないチームはその試合を没収される。
なお、試合途中で自チームの勝ちが望めないと判断した場合、ギブアップすることができる(スキップが相手に握手を求めることで表明する)。野球などでいうコールドゲームのルールはないが、明らかに勝つ可能性がないにもかかわらず、試合を続行するのは好ましくないとされる。
第1エンドの先攻、後攻はサードの者がジャンケンかコイントスで決定する。勝った方はストーンの色か最初のエンドの後攻をとることができる。第2エンド以降は前のエンドで得点を取ったほうが先攻となる。ブランクエンド(得点なし)だった場合は、前のエンドと同じになる。
各エンドではリード・セカンド・サード・スキップの順に、1人2投ずつ各チームが交互に1投し、ハウス(円)をめがけてストーンを氷上に滑らせる(これを「投げる」という)。ストーンの位置の指示はスキップまたはスキップの代理が行う(試合中はスキップしかハウスの中に入ることは出来ない)。また、決められた区間にストーンをとめなければそのストーンは外される。ストーンはホッグラインを超えなければならず、サイドラインに当たってもいけない。どちらの場合もストーンは外される。
ストーンの距離を伸ばしたり、方向を微調整するため、自チームのストーンの進行方向の氷をブラシで掃く(スウィーピング)。また、スキップ(代理も含む)は相手チームのストーンをスウィーピングできるが、ティーライン(ハウスの中心を通る横のライン)より後ろしかスウィーピングできない(ストーンがティーラインを超える前でもスウィーピングは開始出来る)。
相手チームのストーンに自チームのストーンをあてて、ハウスからはじき出しても良い(テイクアウトと呼ばれる)。ただし、各チームのリードが2投ずつ投げ終わるまではフリーガードゾーン(ホッグラインからティーラインの間で、ハウスを除いた部分)にあるストーンをプレイエリアから出してはいけない(フリーガードゾーンルール)。相手チームのストーンをずらすことは可能だが、もしテイクアウトしてしまうと反則になり、相手ストーンは元の場所に戻される。
エンド終了時にハウス(1.83mの円)内にあるそれぞれのチームのストーンの中で、相手チームの全てのストーンよりも内側にある(ティーに近い)ストーンの数がそのチームの得点となる。この際、ハウスの外側にあるストーンは全く考慮されない。つまり、ティーに最も近いストーンのチームにのみ得点があることになる。そのため、当該エンドの負けチームの得点は常に0点である。エンドの最大得点差は8点、最小得点差は0点である。1エンドに満点の8点を獲得したチームは8-enderと呼ばれる。通常は両チームが確認して勝ち負けを決定するが、どちらのストーンがより中心に近いか判断しがたい場合は、メジャーが行われる。メジャーは、専用の器具を使って中心からストーンの内側までの距離を測定する。
第5エンドが終了すると7分間のハーフタイムとなり、選手たちは自分たちが試合しているカーリングシート(レーンとも言われる)の近くで後半の作戦を練ったり、糖分を含む食べ物や飲み物を摂取し体力を回復する。カーリングの試合は2時間30分前後の長丁場であり、集中力と体力を激しく消耗するためである。なお、試合中でコーチとの話し合いが認められるのは2度のタイムアウトを除きこの時間のみである(長野オリンピック開催前まではタイムアウト時もコーチとの話し合いは認められていなかった)。
[編集] スポーツマンシップとフェアプレイ
カーリングというスポーツは、いわゆるスポーツマンシップを重んじる競技であるため、例えば相手チームの失策を喜んだり、あるいはそのような態度を示すことは、慎むべき行為として忌避される。途中のエンドの終了時に自チームに勝ち目がないと判断したとき、潔く自ら負けを認め、それを相手に握手を求める形で示すという習慣もフェアプレーの表れの1つである。自分がファウル(ルール違反)をした時、それを自己申告するくらいのプレイ態度が期待される。
また、ゴルフと同様に、カーリングは元来基本的には審判員が存在しないセルフジャッジ(試合中のその場の両チームの競技者自身が判定する)の競技であることからも、無用のトラブルを避けるためにも、フェアプレーはカーリングに欠かせない要素と考えられる。
以上のことは、世界カーリング連盟の“The spirit of curling”(和訳「カーリング精神」)にも表されている。
[編集] 試合中の戦術と用語
[編集] 戦術
エンド最後のストーンを投げる事ができる後攻が有利とされるため、通常次のような戦術を取る。
- 先攻チーム
- 1点以上を獲得する(先攻チームが点数を獲得しても不利にならない)。
- 相手チームに1点だけ取らせ、点差を広げずに次エンドの後攻を得る。
- 後攻チーム
- 双方0点(ブランクエンド)とし、相手チームの得点を押さえつつ、次エンドも後攻を得る。
- 2点以上を獲得する(再び後攻を得た時には、相手チームが得点しているため)。
[編集] 基本用語
- ドロー(draw) - ハウスの中にストーンを止めること。
- ガード(guard) - 味方の他のストーンを守るために置くストーン。状況によっては相手のストーンもガードに利用される。
- テイクアウト(take out)- ハウスの外に敵のストーンをはじき出すこと。
- スウィーピング(sweeping) - すべっているストーンの前をブラシで掃くこと。ブラシがストーンにあたってしまうと、多くの場合は反則を取られる(当たった石を、バーンド ストーンという)。
- ハウス(house) - プレイの中心であるリング(円)。
[編集] ショットの種類
- カム・アラウンド(come around)- ドローショットの一つ。手前にあるストーン(ガードストーン)の後側に回り込んで止めること。
- フリーズ(freeze)- ドローショットの一つ。既にあるストーンの前側にくっつくように止めること。成功するとテイクアウトされにくくなる。
- レイズ(raise) - 敵や味方のストーンにあてて動かすこと。
- ロール(roll) - 既にあるストーンに当てて、投げたストーンを目的の場所に持っていくこと。
- ピール(peel) - 既にあるストーンに当てて、投げたストーンもアウトにしプレイエリアから出してしまうショット。
- ヒット・アンド・ステイ(hit and stay) - 既にあるストーンに当てて、投げたストーンはその場にとどめること。
- ヒット・アンド・ロール(hit and roll) - 既にあるストーンに当てて、投げたストーンを他の場所へ動かして止めること。
- ダブル・テイクアウト(double take out) - 敵のストーンを2つ同時にはじき出すこと。
- トリプル・テイクアウト(triple take out) - 敵のストーンを3つ同時にはじき出すこと。
- レイズ・テイクアウト(reise take out) - 手前にあるストーンに当てて、動いたストーンで他のストーンをはじき出すこと。
- プロモーション・テイクアウト(promotion take out) - ガードストーンに当てて、動いたストーンで他のストーンをはじき出すこと。
[編集] スウィーピングの指示など
- イエス(yes)、ヤー(yeah)、イェップ(yep) - スウィーピングをしろという指示。
- ウォー(whoa)、ノー(no)、オフ(off)、アップ(up) - スウィーピングをやめろという指示。
- ハード(hard) - もっと一生懸命掃け、という指示。
- ハリー(hurry) - もっと速く強く掃け、という指示。
- クリーン(clean) - ストーンの前を軽くブラシで掃くこと。動いているストーンと氷の間に髪の毛が1本挟まっただけでも軌道が変化するため、掃いてゴミを取り除く。
[編集] その他
- ウエイト(weight) - 投球の力。ストーンのスピード(秒数)で表される。投球時、選手には戦略に応じてウエイトを微調節することが要求され、その精度が試合における重要な要素にもなりうる。スウィーパーは判断したウエイトをスキップに伝達し、スキップはそのウエイトに基づきスウィーパーに指示を出す。
- エキストラ・エンド(extra end) - 第11エンド(8エンドゲームでは第9エンド)以降の延長戦。
- ブランク・エンド(blank end) - 両チーム無得点のエンド。次のエンドで再び後攻権を得るために、後攻のチームが意図して無得点にすることがある。
- ビッグエンド(big end) - 1エンドに3点以上得点すること。
- エイト・エンダー(8-ender) - 1エンドに8点得点すること。自チームの手持ちのストーンの8個全てが得点の対象となること。
- スチール(steal) - 複数のエンドを連続して得点すること。先攻で得点すること。
- リンク(rink) - カーリング場のこと。
- シート(sheet) - カーリングのゲーム用に整備された氷。アイスとも呼ばれる。
- アイス・メーカー(ice maker) - 製氷技術者。シート表面の補修なども行なう。アイス・メーカーによってシートの特性(後述)が左右されることも多い。
- キーン・アイス(keen ice) - ストーンが滑りやすい氷。
- スロー・アイス(slow ice) - ストーンが滑りにくい氷。
- スウィンギー・アイス(swingy ice) - ストーンのカール幅が大きい(カールしやすい)氷。
- バイス・スキップ(vice skip) - スキップが投球するときに、スキップに代わってハウスに立って指示をする選手。サードが務める事が多い。
[編集] 日本におけるカーリングの認知
先述のとおり、本スポーツは非常に歴史のあるものであり、欧米では生活の一部に根付いている地域も見られる。だが、日本においては残念ながら、他競技のメダリストなどから「カーリングはスポーツではない」と蔑視される事態が発生している(日下部基栄参照)。しかしテレビのドキュメント番組では筋肉トレーニングやスウィーピングの練習をしている光景が度々放送されている。
また、「氷上のチェス」という呼び名も「チェスのどこがスポーツなのか」という反応を起こしがちであるが、これは日本においては「スポーツ=体育」という認識が定着してしまい、マインドスポーツという概念が理解されていないことに起因する(スポーツの定義参照)。西洋においてはチェスのニュースはサッカーなどと並び新聞ではスポーツ面で扱われ、国際オリンピック委員会では競技として認定もされている。さらに、中国においても囲碁やブリッジなどもスポーツと考えられている。また、近代五輪初期に芸術競技が存在し、その廃止後もその流れを汲んで必ずビエンナーレが併催されるのはこのためである。
日本においては新興の競技であるだけにインフラの整備も不十分であり、カーリング専用ホールはもとより、競技可能なスケートリンクも少なく、普及の妨げとなっている。
1998年の長野オリンピックでの男子チームスキップ敦賀信人の健闘、2002年のソルトレークオリンピックでのシムソンズの出場がテレビで中継されたことで徐々に認知が広がり、2006年に開催されたトリノオリンピックに出場した女子チーム(チーム青森)が全試合を中継された中で7位入賞という活躍を見せたことで、日本におけるカーリングの認知度が一挙に広まった。
[編集] カーリングの物理学
よく知られているように、カーリングのストーンは回転させることによりそのコースが回転方向と同一の方向に曲がる。 すなわち、上からみて反時計回り (時計回り) に弱く回転させたストーンはホームに近付くにつれて進行方向に向かって左 (右) に曲がる。 カーリングのゲームを面白くさせている大きな要素であるこのストーンがカールする性質は、また物理的に興味深い疑問を提示している。 カーリングのストーンと氷との接触面はストーンの底面の形状からリング状の接触面を持つ。 そこで机の上で反対向きに伏せたグラスを同じように回転させながら滑らせてみると、面白いことにグラスはカーリングのストーンで予測される方向とは逆向きにカールする。 すなわちグラスにおいてはカールの方向は反時計回りで右となる。
グラスがカールする現象の説明は容易である。 以降、上からみて反時計回りに回転する場合のみを考える。 回転方向を進行方向を変えるのは進行方向に直交する摩擦の成分である。 これは主にリング状の接触面の進行方向前部と後部の摩擦による。 重心が接触面よりも上にあるために、グラスの接触面前部における方が後部よりも押さえつける力が大きい。 よって、通常の動摩擦のように接触面への力が大きいほど摩擦力も大きいとの関係が満たされるとき、接触面前部による進行方向左向きの摩擦力の方が後部の左向きの摩擦力より大きくなり、進行方向右向きの正味の力が生まれることになる。
カーリングのストーンでも同様に前部での押さえつけの力が大きいはずである。 カーリングのストーンで、カールの方向が通常とは逆になることは、少なくともある条件の元で押さえつける力が大きくなるとかえって動摩擦が小さくなることを示唆している。 これは摩擦による氷の融解が影響していると考えられている。 この説明では、カーリングの接触面には溶けた水の非常に薄い膜が形成されており、その膜がある条件で通常とは逆の摩擦の関係を生じさせているとする。 ストーンがカールする量が氷面のペブルの状態やコースの使用状況、氷面の温度、ストーンの氷面に対する速度、ストーンの角速度などに応じて敏感に変化するのは、この膜の形成状況による微妙な摩擦力の変化が影響している。 またストーンが水の膜を引きずりやすい性質をもつ花崗岩で作られているため、その停止間際までさらにカールしやすくなる。 カーリングのリンクがこうした摩擦の敏感な変化を起こす状態に調整されていることはこの競技を面白くしている物理的な要因となっている。
こうした説明は1990年代後半にカナダのマーク・シェゲルスキらにより与えられた。
[編集] その他
[編集] 勇敢なるスコットランド
「勇敢なるスコットランド」(Scotland the Brave)は、スコットランドの民謡で、バグパイプによる最も有名な演奏曲の一つであり、ほぼ国歌といってもいいほどの知名度を誇る曲である。オリンピックなどの国際大会では試合前にこの曲が演奏される。カーリング発祥の国スコットランドに敬意を表したものであると考えられる。
[編集] 車いすカーリング
車いすの使用者によるカーリング。2006年のトリノパラリンピックから正式競技となった。車いすカーリングは、試合形式は6エンドで、スウィーピングは行われないこと以外はカーリングのルールとほぼ同じである。
[編集] ユニカール
1979年にスウェーデンで研究開発された競技。「ユニバーサルカーリング」(みんなのカーリング)の略であり、特殊なカーペットの上でストーンを滑らせるように投げて競う。現在はスカンジナビア半島の諸国のほかイギリス、ドイツ、オランダなどのヨーロッパの国々で親しまれている。
日本では1986年に紹介された。
[編集] フロアカーリング(フロッカー)
カーリングを氷上ではなくフロアで手軽にできるように、1993年に北海道新得町で考えられたスポーツである。
フロアカーリングでは、遊動キャスターつきの木製ストーンを用いる。標的となる固定したハウスは存在せず、あらかじめ緑色のターゲットストーン(4輪)を投げ、それに向かって赤と黄色のフロッカーストーン(3輪)と呼ばれるストーンを投げ合ってゲームを進める。スタイルはカーリングだが、実質的なゲーム進行はペタンクと同様である。
[編集] カローリング
フロアカーリング同様、カーリングをヒントに生まれたスポーツであるが、こちらはカーリングのハウスに相当するターゲットが固定されていて、進行はカーリングに近い。ストーンに相当する「ジェットローラー」は、方向が固定されているのでフック、スライスなどのテクニックが使えない。ターゲットに記入されている数字によって採点する点がカーリングと異なる。
詳細はカローリングの項目を参照。
[編集] 主な大会
カーリングの大会はおおむね、参加チーム全部、または参加チームを複数のグループに分けて総当たり方式(ラウンドロビン)のリーグ戦により決勝トーナメント進出のチームを決める。決勝トーナメントは一般的なトーナメント方式で行われることが多いが、日本選手権などページシステム方式で行う大会もある。
大会において準決勝に進出できないチームの順位は勝敗数によって決められ、勝敗数が同一のチームは同位となる。決勝トーナメントの進出に規定数以上のチームが関係している場合はタイブレーク戦を行って進出チームを決定する。
以下は2005 - 2006年シーズンを例に述べる。
[編集] 日本の国内大会
日本の国内大会は大小様々なものがあるが、ここでは世界大会に直結する日本選手権に関わる大会について述べる。
- 日本選手権代表選考会(1月下旬まで)
- 北海道カーリング選手権、東北カーリング選手権、関東中部カーリング選手権、西日本カーリング選手権が日本選手権へのステップ大会となる。後述する通り、各地区には出場枠があり、この数だけ日本選手権に出場することが出来る。世界大会への道はこの選考会から始まるといってもよい。
- 日本カーリング選手権(2~3月)
- 北海道代表3チーム、東北代表1チーム、関東中部代表2チーム、西日本代表1チーム、前年度優勝チーム、開催地1チームの9チーム(オリンピックがある年度は五輪代表チームも参加)が集って日本一の覇権を争う。優勝したチームは翌シーズンのパシフィック選手権に日本代表として出場できる。
- 日本ジュニアカーリング選手権(12月)
- 日本シニアカーリング選手権(12月)
- 日本車椅子カーリング選手権大会
- 全国高等学校カーリング選手権大会(3月)
- 2006年から開催される。18歳以下の高校生であれば、他校との合同チームで出場可能である。北海道代表、東北代表、関東中部代表、西日本代表と開催地代表の計5チームで行われる。
[編集] 日本以外の地域の大会・国際大会
- ヨーロッパ男女混合カーリング選手権(10月中旬)
- 男女混合チームによるヨーロッパのカーリング大会。23ヶ国が参加し4つのグループに分かれて予選リーグがおこなわれ、その後各組上位2ヶ国による決勝トーナメントが行われる。
- パシフィックカーリング選手権(11月下旬 - 12月上旬)
- 参加国はニュージーランド、オーストラリア、韓国、中国、日本、チャイニーズタイペイの6カ国。日本からは前のシーズンの日本選手権の優勝チームが出場する。優勝・準優勝チームは世界選手権への出場権を得る。なお、日本にとってはこの大会の優勝または準優勝が世界選手権に出場する唯一の手段である。2006年は東京都(日本)で開催。
- ヨーロッパカーリング選手権(12月上旬)
- ヨーロッパの頂点を決める大会。毎年20ヶ国以上が参加する。
- ヨーロッパジュニアカーリングチャレンジ(1月上旬)
- ヨーロッパのジュニアカーリングの頂点を決める大会。男子12カ国、女子8カ国が出場し、男子は2角グループにわかれて、女子は総当りで予選リーグが行われる。決勝トーナメントは上位4カ国で行われる。
- パシフィックジュニアカーリング選手権(1月中旬)
- 参加国はパシフィック選手権とほぼ同じである。優勝国は世界ジュニア選手権への出場権が得られる。2005年に第1回が北海道常呂町で開催され、男女とも日本チームが優勝した。2006年に第2回が中国・北京で開催され、男女とも中国チームが優勝した。
- 冬季オリンピック(2月中旬)
- 冬季オリンピックの前の年までの3年間で行われた世界選手権の順位をポイントに換算し、開催国を除いた上位9カ国以内になっていればオリンピックへの出場権が得られる。オリンピックでは男女ともにオリンピック開催国を含めた10カ国総当りの予選リーグが行われ、上位4カ国により決勝トーナメントが行われる。
- 世界ジュニアカーリング選手権(3月上旬)
- ジュニアカーリングプレイヤーの頂点である大会。大会は男女ともに10カ国が参加し、総当りリーグ戦による予選が行われ、その後上位4カ国による決勝トーナメントが行われる。2006年は韓国・全州市、2009年はカナダ・バンクーバーで開催される。
- パラリンピック(3月中旬)
- 2006年、トリノパラリンピックから車椅子カーリングが正式種目として採用されている。男女混合種目で、8カ国総当りの予選リーグの上位4カ国による決勝トーナメントで順位を決める。
- 世界シニアカーリング選手権(3月上旬)
- シニアカーリングプレイヤーの頂点である大会。大会は男子19カ国、女子13カ国が参加し、AとBの2つのグループに別れてリーグ戦による予選が行われ、その後各組上位2カ国による決勝トーナメントが行われる。2006年はデンマーク・コペンハーゲンで開催される。
- 世界女子カーリング選手権(3月17日~25日)
- 女子のカーリング世界一決定戦。毎年開催される。2004-2005年シーズンからは、それまで男女同一会場で行われていたものが男女別会場で行われ、出場国も10から12に増加した。2007年は青森市で開催されている。2006年グランドプレーリー(カナダ・アルバータ州)大会の出場国枠はヨーロッパ:8、アメリカ:2(開催国カナダを含む)、パシフィック:2。
- 大会は12カ国の総当りリーグ戦による予選が行われ、その後ページシステム形式の決勝トーナメントが行われる。
- 世界男子カーリング選手権(4月上旬)
- 男子のカーリング世界一決定戦。毎年開催される。12カ国が参加し、形式は女子と同じ。2006年ローウェル(アメリカ・マサチューセッツ州)大会の出場国枠はヨーロッパ:8、アメリカ:2(開催国アメリカを含む)、パシフィック:2。
なお、イギリス・アイルランドについては、冬季オリンピック以外はイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドカーリング協会(アイルランド・北アイルランド)で別々に代表を送っている。
[編集] 過去行われた大会
(制作中)
[編集] カーリングを題材にした作品
- 漫画
- 「ちょっとヨロシク!」(吉田聡)
- 「オレンジでりばりぃ」(原作:ボヘミアンK 作画:宗我部としのり) - 月刊コミックラッシュに連載
- 映画
- 「女王陛下の007」(1969年)- ボンドと美女がカーリングに興じるシーンがある
- 「裸の石を持つ男」(2002年、カナダ 原題: Men with Brooms)
- 「シムソンズ」(2006年、日本)
- 「素敵な夜、ボクにください」(2006年、日本)
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- WCF世界カーリング連盟
- ヨーロッパカーリング連盟
- 社団法人 日本カーリング協会
- 東京都カーリング協会
- CurlTV — カナダのカーリング専門の中継画像有料配信局。
- CURLIT — スイスのカーリング用ソフトウェア会社。大会の中継も行う。
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