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NH90 (航空機) - Wikipedia

NH90 (航空機)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

NH90

NH90

NH90

NH90ヨーロッパの航空機メーカー、NHインダストリーズ(NHI)が製造した軍用ヘリコプターフランスドイツオランダイタリアの4カ国によって共同開発した。

北大西洋条約機構(NATO)の次期汎用ヘリコプターとして計画されたものである。各国が自国企業を1社ずつ参加させることとなり、フランスのアエロスパシアル・ドイツのDASA・オランダのフォッカー・イタリアのアグスタが出資して、NHインダストリーズが設立された。当初はイギリスも参加を打診していたものの、後に脱退した。また、仏独企業は後にユーロコプターとなる。

当初より陸軍向けの戦術輸送型TTH90と海軍向けの艦載型NFH90が計画され、同時に開発した。

目次

[編集] 開発経緯

1980年代にイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダの5ヶ国は、北大西洋条約機構(NATO)軍の次期輸送ヘリコプターの共同開発を決定し、アエロスパシアル社、DASA社、アグスタ社、フォッカー社が開発担当メーカーに選ばれた。なお、イギリスは1987年にプログラムから脱退している。

1992年8月な各メーカーの共同出資でNHインダストリー社が設立され、機体名もNH90と命名された。同年9月1日には4ヶ国の政府を代表する統合機関NAHEMA(NATO Management Agency)とNHインダストリー社との間で開発契約が結ばれ、プログラム参加国が提供する資金でNH90を先のメーカー4社で製造することとなった。

2000年6月8日にはプログラム参加4ヶ国でNH90量産化合意の調印がなされ、4ヶ国合計で298機が発注された。また、2001年6月21日にはポルトガルがプログラム参加を表明している。

[編集] 機体構成

NH90はNATO軍の標準的な汎用ヘリコプターとして、安全性、信頼性、整備性、実用性に重点を置いて設計され、5機の試作機が製造された。

試作初号機は1995年12月18日、試作2号機が1997年3月19日にそれぞれ初飛行し、試作3号機は1998年11月27日、試作4号機が1999年5月31日、試作5号機も同年12月22日に初飛行している。NH90の飛行試験では、2300時間の飛行時間のうち、半分近くがフライ・バイ・ワイヤのみによる飛行が行われた。量産初号機はドイツのユーロコプター・ドイツ社の工場で組み立てられ、2004年5月4日に初飛行した。プログラム参加国へのNH90の引き渡しは2005年から開始されている。

NH90は戦術輸送(TTH)型と海軍(NFH)型の2タイプがあり、TTHは兵員14~20名の搭載能力を持ち、全天候での匍匐(NOE)飛行が可能とされ、NHFは4時間の航続性能と大容量の兵装搭載能力を持つものとされた。

NH90のメインローターハブはチタニウム製で、エラストメリック・ベアリングを持ち、4枚の複合ブレードを備える。テイルローターはベアリングレスの4枚ブレードで、NFHの場合はメインローターと尾部パイロンに折り畳み機構が備えられている。操縦系統は4重のフライ・バイ・ワイヤで、自動操縦装置(AFCS)が装備されているため、これと組み合わせることによって手放しでも操縦可能であり、パイロットはほとんど操縦操作に気を取られることなく任務に集中できるようになっている。

胴体は複合材料製で、耐腐食性も高いため耐用年数は無限。NBC兵器に対しても高い防御力を持ち、ステルス性も備える。また耐衝撃力も強く、可動部品やシステムは高い安全性を持つ。後部胴体は、軽車両や重火器の搭載に使用するランプ・ドアの設置が選択でき、TTHでは標準的に設置されているが、NHFでは非設置となっている。

コクピットは完全なグラス・コクピット仕様で、照明も暗視ゴーグル対応型。ヘルメット装着式照準器にも対応しており、戦術管制および戦術通信システム、デジタル・マップ、気象レーダーも装備している。

エンジンはチュルボメカ社、ロールス・ロイス社、MTU社が共同開発したRTM322ターボシャフト・エンジンを双発搭載しているが、ゼネラル・エレクトリック製T700-86E1エンジンの搭載も可能である。

[編集] 各国での採用状況

NH90の引渡しはプログラム参加国を優先して行われているが、参加国以外でも2001年9月にスウェーデンフィンランドノルウェーの北欧諸国で相次いで採用を決め、これにギリシャベルギースペインオマーンオーストラリアなどが続いて採用を決定している。

[編集] スペック

  • メインローター直径:16.30m
  • 全長:19.56m
  • 全高:5.44m
  • 胴体長:16.81m
  • 空虚重量:5,400kg
  • 最大離陸重量:8,700kg
  • ペイロード:4,600kg
  • エンジン:ロールス・ロイス・チュルボメカ RTM322-01/9(推力:1,566kW)ターボシャフト×2
  • エンジン推力:1600kW
  • 最大速度:162kt
  • 巡航速度:156kt
  • 海面上昇率:480m/min
  • 実用上昇限度:4,250m
  • ホバリング高度限度:3,500m
  • フェリー航続距離:650nm
  • 乗員:2名/兵員:20名

[編集] 関連項目


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