過給機
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過給機(かきゅうき)とは、エンジンへ空気を圧縮して強制的に送り込む装置の総称。もともとは航空機用レシプロエンジン向けに開発された機構である。
航空機の飛行時,高度が高くなるにつれて徐々に気圧(空気密度)も低くなり、海面上高度6000メートルでは約半分となる。このため、エンジンが吸入できる空気(酸素)量も減少することになり、出力も低下することになる。そのため、何らかの方法でエンジン(燃焼室)内に強制的に空気を押し込む仕組が必要となった。そこで開発されたのが過給機である。
現在では、船舶、鉄道をはじめ、建設機械や発電機などの産業用エンジンに広く採用されている。自動車に採用されるものが一般的に知られるが、普及の度合いから見るとむしろ少数派である。
燃焼前のシリンダーに混合気を吸入し、圧縮するガソリンエンジンでは、過給に伴うデトネーションが避けられないのに対し、空気のみを吸入し、圧縮するディーゼルエンジンではその問題がまったく無く、相性が特に良い。最新のディーゼルエンジンでは出力向上のみならず、エミッション(排出物)低減にも寄与している。
過給機とは元来、super charger の日本語訳であり、駆動方式や圧縮方式の区別はない呼称だった。駆動方式により排気タービン式過給機はエグゾースト(エキゾースト)タービンスーパーチャージャー(Exhaust turbine super charger)、ルーツブロアーなどの機械駆動式を指す機械式過給機はメカニカルスーパーチャージャー (Mechanical super charger)と呼ばれる。一般的にはそれぞれ、ターボチャージャー (turbo charger) 、スーパーチャージャー (Super charger) と略され、定着している。航空機用レシプロエンジンで見られる、遠心式コンプレッサーをエンジンのクランク出力で機械的に駆動しているものはターボチャージャーとは呼ばれない。