ドライバーズコントロールセンターデフ
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ドライバーズコントロールセンターデフ(DCCD)とは、4輪駆動車の前後輪のトルク配分を制御する電子装置の一つである。
[編集] 概要
スバル・インプレッサの一部のグレードに採用されている。電子制御であり、運転中にドライバーが(ダイヤルを操作することで)任意に設定変更が可能である。現行型のインプレッサでは完全電子制御のオートモードも追加されている。
運転中にドライバーが任意に設定することができることは一見便利に見えるが、熟練ドライバーでなければ使いこなすことは難しい。しかし元々インプレッサは電子制御に頼らず、車の素性を生かした走らせ方をする車であるため、素人が速く走らせられる車ではなかった(ラリーやサーキットにおいてランサー・エボリューションなどに勝つという意味において)。そのため多くのインプレッサを競技で使うドライバーには、こういった機能は必要とされ歓迎された。
初見文章は間違いです。 前後トルク配分を変更するのではなく、前後の回転差の制限力を変更しています。 よく、DCCDはトルク配分を変更するものと勘違いされますが、前後トルク配分はあくまでもデフ機構であり、変更は不可。作動制限力を電磁ロック式LSDにて、任意に変更しています。DCCDは、基本構造は作動制限装置付きセンターデフであり、その内、作動制限力のみを変更できる機構です。
[編集] インプレッサにおけるDCCDの変遷
- センターデフに、フロント35:リヤ65の比率で基本トルク配分を行うプラネタリーギヤと電子制御で差動制限を行う電磁式LSD機構を組み込み、センターデフのロック率をロックからフリーまで、運転中に任意に設定することができる。なおサイドブレーキを引けば強制的にデフフリーの状態になるデフロック強制解除機構も備えており、これによりサイドブレーキ・ターン(サイドブレーキにより後輪をロックさせ、パイロンターン等の最小回転半径以下の旋回)が行える。
- 2代目インプレッサGD・GG型"丸目"(2000年~2002年マイナーチェンジ前まで。アプライドモデル名では「A」, 「B」型)
- 先代からの変更は、前後トルク配分が45.5:54.5になったのと、最大作動制限力が20kg/m程度まで引き上げられた点。現在でもエンジンの最大トルク数値が40kg/mそこそこである面からも、DCCDをロックにした場合、ほぼ完全直結の全輪駆動であるといえる。競技用モデル「RA」16インチモデルみ搭載。
- 2代目インプレッサGD・GG型"涙目"(2002年マイナーチェンジ後~2005年マイナーチェンジ前まで。アプライドモデル名では「C」~「E」型)
- 再び、前後トルク配分は35:65に戻される。これは、A、B型に於いてあまりにアンダーステアが顕著に現れたため、一般ユーザーのニーズに合わせたものと考えられる。車の挙動(横Gや縦G、ヨーレートセンサー)やドライバーの意志(スロットル開度、スロットルセンサー)などの情報から、センターデフのロック率を自動で設定するオートモードが追加搭載された。またどのSTiモデルでもオプションで搭載可能となった。なおオートモードでもサイドブレーキを引けばデフロック強制解除機構が働く。
- 2代目インプレッサGD・GG型"スプレッドウイングスグリル"(通称鷹の目)(2005年マイナーチェンジ後。アプライドモデル名では「F」、「G」型)
- 従来に加え、オートモードの制御にステアリング舵角センサーを追加。従来の電磁式LSDから電磁式+機械式LSDに変更し、差動制限のレスポンスを高めている。前後の基本トルク配分は41:59に変更された。これは、DCCDの改良により、旋回性能が向上したためで、車両重量配分に近い数値になり、旋回時のアクセルオンにより、トラクションによる安定性と踏んで曲がり、より前に出る特性になった。これは、グラベル(未舗装路)に於いても強力な武器になる。