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第三艦隊 (日本海軍) - Wikipedia

第三艦隊 (日本海軍)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

第三艦隊(だいさんかんたい)は、旧日本海軍の部隊の一つ。常設だった第一艦隊第二艦隊と違い、必要に応じて編制・解散される特設艦隊であったため、日露戦争から太平洋戦争までの間に六代にわたって編制と解散を繰り返した。

目次

[編集] 初代(1903年12月28日新編~1905年12月20日解散)

1903年12月の臨戦編制において、大本営直轄で警備・哨戒を担当するために老朽艦を集めて編制した。1904年3月より連合艦隊に編入された。艦隊行動を想定していない寄せ集め部隊のため「滑稽艦隊」と揶揄されたが、陸軍部隊の金州上陸支援、来航するバルチック艦隊探知のためのインドシナ捜索、そして日本海海戦当日の発見から敵情報告、南樺太占領と、日本の勝利に大きく貢献している。1905年12月の連合艦隊解散式と同時に解散した。

[編集] 編制

(新編時)

[編集] 歴代司令長官

[編集] 歴代参謀長

  • 中村静嘉大佐(1903年12月28日 -)
  • 斎藤孝至大佐(1905年1月12日 - 1905年11月2日)

[編集] 二代(1908年12月24日南清艦隊より改称~1915年12月25日解散)

1905年12月より、本土に第一・第二艦隊を常設する一方、中国大陸には邦人保護を名目とした「南清艦隊」を編制して派遣した。この南清艦隊を改名したのが二代目の第三艦隊である。のちの海外派遣部隊と同様に司令部を置かず、指揮官は司令官であり、参謀も2名のため参謀長も定められていない。辛亥革命発生にともなって河川砲艦を大幅に増強された。第一次世界大戦が勃発すると、中華民国政府は中立を宣言したため、航洋力のある巡洋艦は本邦に退去、航洋力がない河川砲艦は上海に集合のうえ武装解除され、第三艦隊は解散した。

[編集] 編制

(南清艦隊より改名時) 新高対馬和泉隅田伏見

[編集] 歴代司令官

  • 寺垣猪三少将(南清艦隊司令官より留任~)
  • 川島令次郎少将(1910年12月1日 -)
  • 名和又八郎少将(1912年4月20日 -)
  • 土屋光金少将(1914年3月25日 -)
  • 財部彪中将(1915年2月5日 - 12月25日解散)

[編集] 三代(1915年12月25日新編~1922年12月1日解散)

第一次世界大戦に対応した臨戦編制において、南方に進出した第二艦隊の留守部隊として編制した。したがって世界大戦の前半には目立つ動きはなかったが、1917年にロシア革命が起きると、ソビエト連邦の制圧のため沿海州方面での主力部隊となる。陸軍のシベリア出兵に対応して船団護衛を担当した。また、尼港事件勃発時に救援部隊の派遣に失敗している。また、三笠がこの艦隊の一員として進出した際に座礁事故を起こしている。第一次世界大戦の終結、シベリア出兵の中止、ワシントン軍縮会議にともなう旧式戦艦の廃棄などのために解散した。

[編集] 編制

(新編時)

[編集] 歴代司令長官

[編集] 歴代参謀長

  • 高木七太郎少将(1915年12月13日 -)
  • 平賀徳太郎大佐(1916年4月1日 -)
  • 飯田久恒少将(1917年3月19日 -)
  • 斎藤七五郎少将(1917年12月1日 -)
  • 古川鈊三郎少将(1918年12月1日 -)
  • 内田虎三郎少将(1919年6月10日 -)
  • 田口久盛少将(1920年11月20日 -)
  • 小松直幹少将(1921年12月1日 - 1922年12月1日)

[編集] 四代(1932年2月2日新編~1939年11月15日第一遣支艦隊へ改称)

1932年1月28日に上海事変が勃発したため、現地に駐留していた第一遣外艦隊第二遣外艦隊に増援部隊を派遣し、この3つの部隊を統括する四代目の第三艦隊を編制した。この増援部隊に「上海特別陸戦隊」が含まれる。2個遣外艦隊は翌年まで戦隊への組み換えを行わなかったため、第三艦隊の中に2個艦隊が存在する状態が約1年3ヶ月続いた。1933年5月に遣外艦隊を第10・第11戦隊に組み替えて、通常の艦隊編制となった。主力の旧第一遣外艦隊と同様に、河川砲艦を主体とする揚子江流域を監視した。1937年7月に日華事変が勃発し、第三艦隊の統率能力を上回る大量の増援部隊が加わったため、10月には増援部隊で第四艦隊を新編し、第三艦隊と併せて統率する支那方面艦隊が編制された。第三艦隊司令部は支那方面艦隊司令部が兼任した。1939年11月15日より、支那方面艦隊隷下の3個艦隊は「~遣支艦隊」へ改名することになり、第三艦隊は「第一遣支艦隊」へ改名すると同時に、司令部の兼任も解除された。なお、第一遣支艦隊は1943年8月20日をもって揚子江方面特別根拠地隊へと降格した。新編から改称まで7年9ヶ月、歴代第三艦隊では最も長い期間存在した。

[編集] 編制

(新編時)

[編集] 歴代司令長官

[編集] 歴代参謀長

  • 嶋田繁太郎少将(1932年2月2日 -)
  • 菊野茂少将(1932年6月28日 -)
  • 三井清三郎少将(1933年4月1日 -)
  • 高須四郎少将(1933年11月15日 -)
  • 近藤英次郎少将(1934年11月15日 -)
  • 岩村清一少将(1935年12月2日 -)
  • 杉山六蔵少将(1936年11月16日 - 支那方面艦隊参謀長)
  • 支那方面艦隊参謀長兼任(1937年10月20日 - 改称) ※改称までに杉山六蔵→草鹿任一井上成美が歴任

[編集] 五代(1941年4月10日新編~1942年3月10日第二南遣艦隊へ改称)

フィリピン攻略部隊として編制した。陸海軍協定でルソン島攻略を陸軍が、ミンダナオ島を海軍が攻略することになり、パラオ群島で開戦を待った。ラモン湾の上陸支援、レガスピー攻略作戦に従事し、フィリピン占領後は蘭印攻略に向かう。陸海軍協定では、海軍が占領、陸軍が駐留を分担することになり、第三艦隊はジャワ島とボルネオ島の攻略に兵力を捻出した。蘭印占領をもって第一段作戦が完了。攻略に特化した編制から駐留に特化した編制へ変更されることになり、1年と経たぬうちに第二南遣艦隊へ改称した。第二南遣艦隊はインドネシア各地に陸戦部隊を駐留させたが、大規模な戦闘を経験せぬまま本土との航路が途絶し、末期には遊兵となって終戦を迎えた。太平洋戦争を経験した三代の「第三艦隊」の中で、終戦まで艦隊としての地位を維持した唯一の部隊である。

[編集] 編制

(開戦時)

  • 第16戦隊‐長良球磨
  • 第17戦隊‐厳島八重山
  • 第5水雷戦隊‐名取、第5駆逐隊、第22駆逐隊
  • 第6潜水戦隊‐長鯨、第9潜水隊、第13潜水隊
  • 第12航空戦隊‐神川丸山陽丸(いずれも特設水上機母艦)
  • 第1根拠地隊(のちの第21特別根拠地隊、ジャワ島駐留、司令部はスラバヤ)
  • 第2根拠地隊(のちの第22特別根拠地隊、ボルネオ島駐留、司令部はバリクパパン)
  • 第32特別根拠地隊(ミンダナオ島駐留、司令部はダバオ)
  • 附属‐特設工作艦山彦丸、特設運送船2隻

[編集] 歴代司令長官

  • 高橋伊望中将(1941年4月10日 - 改称後も留任)

[編集] 歴代参謀長

  • 中村俊久少将(1941年4月10日 - 改称後も留任)

[編集] 六代(1942年7月14日新編~1944年12月15日解散)

ミッドウェー海戦で壊滅した第一航空艦隊の後継部隊として、ミッドウェー海戦に参加しなかった翔鶴瑞鶴を中心に再建した機動部隊である。当初より高速戦艦(金剛型戦艦)を組み入れ、遠征のたびに臨時召集していた航続距離の長い駆逐艦を取り揃え、今までにない総合力を備えた艦隊となっている。以後、新たに改造を終えて就役した空母を加え、一貫して空母機動部隊として海軍の中核をなした。しかし南太平洋海戦の勝利を最後に衰退を余儀なくされる。1944年3月に、第二艦隊と連合して第一機動艦隊を編制し、第三艦隊司令部が機動艦隊司令部を兼ねた。マリアナ沖海戦で旗艦大鳳や大量の艦上機と搭乗員を失い、練成した航空機も台湾沖航空戦で消耗したため、フィリピン沖海戦では艦上機をほとんど搭載しない「囮艦隊」として参加した。全空母を失いながらもアメリカ機動部隊の誘引に成功したが、第二艦隊はレイテ島突入を断念した。艦隊解散後、残った伊勢日向北号作戦を完遂し、全行動を終了した。

[編集] 編制

(新編時)

[編集] 歴代司令長官

  • 南雲忠一中将(1942年7月14日 -)
  • 小沢治三郎中将(1942年11月11日 - 第一機動艦隊司令長官)
  • 第一機動艦隊司令長官直卒(1944年3月1日 - 1944年11月15日)※解散まで小沢司令長官が続投

[編集] 歴代参謀長

  • 草鹿龍之介少将(1942年7月14日 -)
  • 山田定義少将(1942年11月23日 -)
  • 古村啓蔵少将(1943年12月6日 - 第一機動艦隊参謀長)
  • 第一機動艦隊参謀長兼任(1944年3月1日~1944年11月15日)※解散までに古村啓蔵→大林末雄が歴任
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